ゴジラ

大橋泰彦【著】

• 販売会社／発売会社: 白水社
• 発売年月日: 1988/04/01
• JAN: 9784560033395

商品レビュー

2018/06/20

ゴジラvsビオランテの前年に発表されて、岸田國士戯曲賞をとった
異種族間の恋愛ストーリーである
人間の女の子が、なぜかゴジラと恋に落ち
これを家族と引き合わせるべく、伊豆大島の実家に帰ってくる
もちろん両親は大反対
ゴジラの親族（モスラとか円谷英二とか）も出てきて大反対
隠し子ミニラの存在を暴露されるわ
女の子の幼馴染であるハヤタ隊員からは
理不尽な憎悪（ルサンチマン）をぶつけられるわで
すっかり心の傷ついてしまったゴジラは
別れを告げていずこへともなく去ってしまう
しかし直後に三原山の大噴火
島民たちが大混乱に陥るなか、ゴジラと女の子は再会するのだった
80年代には実際
ハルマゲドンによって本当のリベラルが実現するという考えが
本気とも冗談ともつかず語られていたようだが

2012/10/18

「お嬢さんをください。」というシチュエーションは、日本人ならなじみ深いものであろう。
結婚の申し込みに来た男、娘を嫁に出したくない頑固な父親。この黄金の構図は芝居でもコントでもよく見られる。
しかし結婚の申し込みに来たのが、あのゴジラだったら…。
自由な発想と展開で笑いを起こし、家族の中のドタバタはいつしか国家レベルの問題へと発展していく。
シュールでありながら、普遍的なテーマを孕んだこの作品を舞台で見ることが出来たのは幸運であった。
戯曲にその魅力がすべて書き起こされているわけではないが、軽快な科白のやりとりは、読み物としても面白い。

2011/08/21

2011 8/21読了。Amazonマーケット・プレイスで購入。
中学１年生のとき・・・もう12年も前になるのか、に、卒業生を送る会で演じた劇の脚本（ゴジラ役だった）。そのときの本は上映時間にあわせて編集されていたので、オリジナル版を読んだのは初めてだ。
おおそよ10年ぶりくらいに読んで、中盤までのコミカルなストーリーに久々にわくわくして、当時一緒に演じた人たちとかを思い出して少ししんみりして、結末に至ってもっと切なくなった。
当時、大好きだった先生が編集したのか、使っていた本には最後の男のセリフがなくて、やよいさんがどうなったのかわからなかったのだけれど、10数年越しにオリジナルの終幕を知り、でも自分の中では今でも当時の共演者の声で「ゴジラ！」と叫んだところで幕が閉じている。

いつか劇団の人たちが上演しているところも見たいなー。