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ヴァーミリオン・サンズ ハヤカワ文庫SF
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ヴァーミリオン・サンズ ハヤカワ文庫SF

J.G.バラード【著】, 浅倉久志【訳】

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ヴァーミリオン・サンズ ハヤカワ文庫SF

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房
発売年月日 1986/11/15
JAN 9784150106911

ヴァーミリオン・サンズ

¥385

商品レビュー

4.2

5件のお客様レビュー

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2024/11/18

この短編集を読み進めるうち、私は自分の意識が少しずつ溶解していくような感覚に襲われました。それは、現実と夢、時間と空間、生と死という境界が、バラードの紡ぐ言葉によって静かに、しかし確実に溶解していく体験でした。 『ヴァーミリオン・サンズ』に収められた物語群は、一見するとSFの形...

この短編集を読み進めるうち、私は自分の意識が少しずつ溶解していくような感覚に襲われました。それは、現実と夢、時間と空間、生と死という境界が、バラードの紡ぐ言葉によって静かに、しかし確実に溶解していく体験でした。 『ヴァーミリオン・サンズ』に収められた物語群は、一見するとSFの形式を借りています。しかし、そこにあるのは宇宙船や未来都市の物語ではありません。むしろ、私たちの内なる風景、意識の深層に潜む「時間の化石」を発掘する試みとでも言うべきものです。バラードは、現代文明の廃墟に咲く幻想の花々を、冷徹な博物学者のような視線で描き出していきます。 特に印象的なのは、彼特有の「圧縮された時間」という感覚です。乾ききった湖底、廃墟となった遊園地、朽ちたビル群—そこでは時間が通常の流れを失い、あらゆる瞬間が永遠の現在へと凝縮されていきます。まるで、シュルレアリスムの絵画が小説という形式を得たかのようです。 1971年に原著が出版されたとき、この作品集は従来のSFの概念を完全に塗り替えました。核戦争の不安、環境破壊、消費社会への懐疑—そうした時代の不安が、バラードの手にかかると、奇妙な美学へと昇華されていきます。それは今日、テクノロジーと人間性が複雑に絡み合う私たちの時代において、さらに深い共鳴を呼び起こします。 本質的に、これは「内なる空間」の探検の記録です。バラードは、現代文明の表層を破って、その下に眠る無意識の地層へと降りていく。そこで彼が見出すのは、時間と記憶が結晶化した不思議な風景であり、理性の光が届かない深みに潜む美と恐怖です。 警告しておきます—この短編集は、あなたの現実認識を取り返しのつかないほど変容させるかもしれません。日常的な風景が突如として異様な輝きを帯び始め、見慣れた時計の針が別種の時間を刻み始めるかもしれない。しかし、それこそがバラードの目指した「理性の彼方」なのかもしれません。

Posted by ブクログ

2023/11/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

後に見られるドぎつい皮肉や毒は薄めでファンタジー要素強めだが、これはこれで素晴らしい この時点で後の作風に見られる特徴的なエッセンスも随所に散見される 現実の生々しさより非現実性の方が強いが、それが良い 舞台設定が実に良く、砂漠だがギラギラしていない、人物もどこか乾いている ここでは終わりを描くというより、終わった後の世界を描いている それは索漠とした虚無感にどこか安心を感じるような、どこでもない感情の終着点だ 過ぎ去った夏か終わらない夏休みの中か、または廃墟で時間の流れを見出すようなロマンを感じる 夏休みの読書感想文におすすめ 大休止と浜辺症候群というキーワードが出てくるが、打倒すべき障害というよりあるべきものとして肯定的に描いている 登場人物はなにかしら手の届かなくなった過去に囚れているが、底が見えないバーミリオンサンズのキャパシティは全てを収容する 個々が固定観念を克服するためには、こういった何か超越した世界が必要なのだろう 冒頭の作者のステイトメントにあるように、遊びが仕事で仕事が遊びになるというくだりは完全に同意。文明が行き詰まった先に求める理想郷は現実も夢もまぜこぜ調和して混ざり合った世界なのだろう 例えばバーニングマンなど現実的に実践しようとする動きもあり、未来予測は的確で、現代人の心理傾向を鋭く拘えている これこそ詩のような『スクリーンゲーム』、ストレートな怪忌憚『歌う彫刻』、記号部品のように消費され消える現代のコンテンツのありようを示唆している『スターズのスタジオ5号』など各話は結構バラエティに富んでいる。『希望の海、復讐の帆』の絵の合成は今のAIの概念だし、スターズ~の詩の生成マシンはまんまchatGPTではないか その中でも作者にしては比較的すっきり爽やかな余韻で終わる『スターズのスタジオ5号』が特に良い シニカルな芸風だと思っていたが、情感や詩情も大切にしていることがよくわかる 登場人物が台詞で直に心情を語るのではなく、風景や状況描写で説明するスタイルは、影響受けたのか知らないが村上春樹にも似た作風だが、こっちは読めてしまうのはなぜだろうか どれだけ大仰な比喩表現を重ねても、くどくならず逆に持ち味になるのは類まれな才能だ あまり細かいことは気にせず伸び伸びと描いている気がするが、70年代以降書かなくなったというがどういう心境の変化があったのか 後の作品に比べ現実逃避的な側面の強い内容であることが、興味深い この時点で十分に作風は完成しているのに、年齢を重ねてさらに激烈に攻めていったことがすごい。あとやっぱりこの作者の教養の幅広さは異常だ

Posted by ブクログ

2016/02/12

名作とは思うがこれ以上前衛的になると読めなくなる 表紙   7点上原 哲 展開   7点1971年著作 文章   7点 内容 730点 合計 751点

Posted by ブクログ