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12色物語(文庫版)(1) 講談社漫画文庫
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12色物語(文庫版)(1) 講談社漫画文庫

坂口尚(著者)

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12色物語(文庫版)(1) 講談社漫画文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 2002/11/11
JAN 9784063603873

12色物語(文庫版)(1)

¥660

商品レビュー

4.7

3件のお客様レビュー

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2020/05/17

書庫を漁っていたら出てきた。Amazonでは今では購入時の倍以上の値がついていた。私は、レビューで大絶賛しているが、実はこんな文庫本では坂口尚の真価はわからない。「原稿の同寸の大判で復刊して欲しい」と書いたが、どうやら数年前に(大きさは不明だが)限定復刊本で、数万円もする物が出て...

書庫を漁っていたら出てきた。Amazonでは今では購入時の倍以上の値がついていた。私は、レビューで大絶賛しているが、実はこんな文庫本では坂口尚の真価はわからない。「原稿の同寸の大判で復刊して欲しい」と書いたが、どうやら数年前に(大きさは不明だが)限定復刊本で、数万円もする物が出ているらしい。それはちょっと極端だ。 マンガが、線の芸術だとしたら、坂口尚のそれは、私の知る限り、最も綺麗な線を描いた芸術家だった。 (2004年のレビュー) 12の「色」から触発された、坂口尚の短編集である。東欧、南欧、アメリカ、そして日本、と舞台は次々と変わる。扱う人間のタイプも実に様々。しかしまぎれも無く坂口尚しか描けないマンガの世界。アシスタントを使わない一本一本の線が、12の物語全体を通じて「生きる意味」を語る。 今回特に印象に残ったのは次ぎの5作品。 この人の描く老人はどうしてこうも味わい深いのだろう。緑色の森が見事な生命賛歌になっている「朝凪」。 最後から2ページ目のガラクタばかりの絵に見事にテーマが集約される「紫の炎」。 父から貰った万年筆で少年は一本の線を描く。少年から大人へ。一本の線は大いなるボルガ河の紺色につながっていく。「万年筆」。 才能の無いバイオリニストの物語。けれども彼はほかに道を見つけることが出来ない。この歳になってやっとこの作品の深さが見えてきた。寒く白い決意への道。「雪の道」 「おれ、ときどき考えるんだ。太古の植物や恐竜が、地層の中で石炭や石油になったように、人間も圧縮され長い年月のすえ何か明確な有用なものになれたらってね…。」そう呟く男と、人生と山に迷いこんだ女子高生は果たして真っ黒い夜の中になにかを見つけることが出来たのだろうか。「夜の結晶」。 坂口尚の代表作を挙げよ、といわれると私は迷うことなくこの本を挙げるだろう。彼の真価は短編の中の一コマの絵の中でこそ輝く。この本は出来たら原稿と同寸の大判で復刊して欲しい。

Posted by ブクログ

2019/07/18

長編の印象が強い中で、短編集がどんなものか大変すごく気になつてゐた。 12の色をテーマに作品を展開する。作品ごとに季節も違へば場所も違ふ。年齢も大人から老人までグラデーションのやうに拡がる。 しかし、まつたく異なるばらばらな物語ではなく、なぜだかどこかでつながつてゐるやうな気がす...

長編の印象が強い中で、短編集がどんなものか大変すごく気になつてゐた。 12の色をテーマに作品を展開する。作品ごとに季節も違へば場所も違ふ。年齢も大人から老人までグラデーションのやうに拡がる。 しかし、まつたく異なるばらばらな物語ではなく、なぜだかどこかでつながつてゐるやうな気がする。どの物語をとつても底に何かしらの哀しみが流れてゐる。色に深みがあるやうに、哀しみの加減で明度が決められてゐる。そして、物語の時空が色の彩度となつてゐる。 哀しみを基準に、色の彩度の配置が決められてゐるのではないか。ひとの存在を抉るやうな哀しみ、何かを失ふ恋のやうな甘酸つぱい哀しみ、生死の瀬戸際の哀しみ、虚偽と真実の狭間の哀しみ… さうした様々な哀しみも、光の当て方次第で、朝凪のやうな緑にもなれば、闇のやうな黒、何ものも拒絶するやうな白、精彩を欠いた灰色にもなる。 かうした機微を短編といふ限られた中で表現できるのは、このひとでなければできなかつたと思ふ。マンガといふ表現を通して、このひとはいつも人間とは? と考へてゐた。このひとの中で貫かれる人間観はどうしやうもない存在へとたどり着くといふのに、そこに至るまでがこんなにたくさんの道がある。何度も何度も考へてゐたのだと思ふと、12色では済まない何色もの物語があつたに違ひない。

Posted by ブクログ

2015/02/21

バラエティに富んだ深い味わいのストーリーと美しい絵だが、出だしの老人の話からして物悲しい。 人生不平だらけの男に送られた人形を作って出来上がったものは。。 心に重く残りました。

Posted by ブクログ

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