ナショナリズムとは何か の商品レビュー
様々な学術研究結果を参照しながら、ナショナリズムがどう形成されるか、社会にどう影響し得るかを説明した本。 ナショナリズムの構成要素として、 ①帰属意識(National Identity) ②国民としての誇り(National Pride)や愛国心 ③優越感情(Chauvini...
様々な学術研究結果を参照しながら、ナショナリズムがどう形成されるか、社会にどう影響し得るかを説明した本。 ナショナリズムの構成要素として、 ①帰属意識(National Identity) ②国民としての誇り(National Pride)や愛国心 ③優越感情(Chauvinism)や排外主義 に分けられると説明されている。①≠②≠③であることは述べられているが、個人的には①⊃②⊃③なのではとも思う。例えば、帰属意識はあるが国民としての誇りはない、という場合はあるがその逆はない気がする。 仮にそうだとすると、全ての起点は帰属意識で、社会はこの恩恵と弊害を常に受け続けているのだなとつくづく思う。国家に限らず、共同幻想で作られた集団への帰属意識という諸刃の剣を扱うには、本書のような冷静な分析を知っておくことがまず重要だと思う。
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ロシアとウクライナの戦争について、「ウクライナ(の一部)が本来ロシアであるかどうは、『そうである』か『そうではない』の二択しかなく、妥協の中間というものがない。ナショナリズムに基づく信念は、こういった価値の不可分性を国家間関係に持ち込んでしまい事前交渉による解決の余地を狭めてし...
ロシアとウクライナの戦争について、「ウクライナ(の一部)が本来ロシアであるかどうは、『そうである』か『そうではない』の二択しかなく、妥協の中間というものがない。ナショナリズムに基づく信念は、こういった価値の不可分性を国家間関係に持ち込んでしまい事前交渉による解決の余地を狭めてしまう可能性がある。それが戦争という手段を選択させてしまう」(209p)と述べる。そして、ナショナリズムを「帰属意識(ナショナル・アイデンティティ)、国民としての誇り(ナショナル・プライド)や愛国心、優越感情(ショービニズム)や排外意識の三つ」で構成されるとして、それぞれが国民意識の中に生じる事由を分析する第3章から第5章が、本書の中心である。 最近よく話題になる「排外主義」も、ナショナリズムの要素として位置づけられ、「排除の線引きがあって初めて自分たちが何者かを自己定義することができる。その排除の側面が前面に出てくるのが排外主義の一面だ」(134p)とする。そして、「ナショナリズムが文化を共有する集団をくくって線引きすることは、異文化が劣後しており、それゆえ線を引いて異なる対応をとることは当然のことだ、という発想とも隣りあってそういった優越感の裏返しとしての異文化への蔑視は、ときに帝国主義や白人至上主義やエスノセントリズム(自民族中心主義)といった概念とも結びつきやすい。そして、人種差別やレイシズムにも結びつく」との指摘は、ナショナリズムのやっかいさを浮き彫りにする。 この是非は、本書の述べるところではないが、ナショナリズムの一環として、「排外主義」的主張をする場合は、よくよく留意すべき論点ではないかと思う。
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実証研究の見地からみるってナショナリズム面白い 「実証的にこうだと分かっています」と言われるとOKという感じにもなるが 「余談だが、1990年代後半から内線の発生件数と死者数は総じて減少傾向にあり、……実証的な学問の知見の蓄積は人の命を救う。」p.192←かっこいい
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私の生活と地続きにあるナショナリズムの功罪、因果関係を実証的に分析し、冷静にとらえる材料を提供してくれるものであった。分かっていることは活かし、一人でも多くの人が救われるべきであろう。
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ナショナリズムとは文化的な単位と政治的な単位を一致させようとする動きという定義から始まり、その用語の要素を帰属意識、愛国心、排外意識と分解して論じてゆく。ナショナリズムは一部の極端な思想を指すわけではない。誰しもが抱くその感覚を、広範な調査から得られたデータをもとに客観的に解剖し...
ナショナリズムとは文化的な単位と政治的な単位を一致させようとする動きという定義から始まり、その用語の要素を帰属意識、愛国心、排外意識と分解して論じてゆく。ナショナリズムは一部の極端な思想を指すわけではない。誰しもが抱くその感覚を、広範な調査から得られたデータをもとに客観的に解剖してゆく。良い面悪い面をそれぞれ論じつつ、現代世界を覆う空気を理解するための新たな視座を与えてくれた。
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ナショナリズムは何に影響を受け、何に影響を与えているのか、いまの実証研究をベースに丁寧に読み解いている。 言葉から受ける印象とは裏腹に、日本の愛国心や排外意識は低くないことが示される。また、戦争により愛国精神か増すわけではないということも示される。学術的に調べられたデータを元に議...
ナショナリズムは何に影響を受け、何に影響を与えているのか、いまの実証研究をベースに丁寧に読み解いている。 言葉から受ける印象とは裏腹に、日本の愛国心や排外意識は低くないことが示される。また、戦争により愛国精神か増すわけではないということも示される。学術的に調べられたデータを元に議論が広げられる。 主観などのノイズが可能な限り取り払われているため読みやすい。著者の感想箇所も仮定から導かれるであろう一般的な記述のみであり、意見の強度が高い。
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▼東京外国語大学附属図書館の所蔵状況(TUFS Library OPAC)https://www-lib.tufs.ac.jp/opac/recordID/catalog.bib/BD13886929
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『#ナショナリズムとは何か』 ほぼ日書評 Day973 新書版、タイトル通りの良書。様々な統計データをもとに、統計手法の解説も交えつつ、かなり客観的にナショナリズムの各側面、および それをもたらすものや、その影響などの因果関係を紹介してくれる。 古来1民族1国家の日本では、...
『#ナショナリズムとは何か』 ほぼ日書評 Day973 新書版、タイトル通りの良書。様々な統計データをもとに、統計手法の解説も交えつつ、かなり客観的にナショナリズムの各側面、および それをもたらすものや、その影響などの因果関係を紹介してくれる。 古来1民族1国家の日本では、民族国家としてのナショナリズムはあまりに当然のものだろうと思ったら、我が国におけるそうした意味での国家観が一般的になったのは明治維新以降であると聞いて、まず軽く驚く。 ナショナリズムの強弱に影響を与える諸要素については、さもありなんというものと、へえ!そうなんだ、というものにかなり分かれる。 愛国心と外国人に対する親和性(例: 隣に住んでいたら…?)は逆相関になる国もある。たとえばカナダ等。 独立志向の強いカタルーニャ(スペイン)や言語が異なり地方分権の進んだスイスでも、地域への愛着心と同程度に国への帰属意識が強いケースも多い。 これらは意外感のある調査結果だ。 生まれた土地、育った地域等といった要素も加えて、置かれた時々の立場や文脈により、重層的に帰属意識が働くことも普通にある。 連邦制は他民族国家の平和維持に有効と考えられていたが、民族ごとに住む州が分かれる民族連邦制では、かえって国内紛争の確率が高まる。 共通の公用語として英語を採用したタンザニアと、民族ごとの言語を温存したケニアと比較した場合、後者民族紛争がより多く発生している。 これらの指摘は、直感的に納得感があるものである。 サッカーのワールドカップ予選をギリギリ勝ち抜いた国と敗退した国では、前者が数年以内に戦争を始める確率が有意に高いというのは興味深い。 国際スポーツ競技による民族意識の高揚は統計的に裏付けられているが、期間終了後に急速に冷めるという分析もあり、予選の勝敗(だけ)が、この結果に結びつくのかは疑問に感じるところも多い。 一方で、民族紛争(内乱)は、国家の独立数年以内に起きることが多いが、40年ほど経つと、ほぼそのリスクがなくなる。これなどは、世代交代によって価値観が変化する例として納得感がある。 https://amzn.to/3M3jgO8
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ナショナリズムとは、ネーション(国民、民族)による政治を重視する主義である。国民の政治に関わる意識、またそれを推進するイデオロギーの要素であり、また国民の生活の様々な場面で顔を出す国民にとって日常的なものでもある。 そのナショナリズムは帰属意識、愛国心、排外意識という3つの側面を...
ナショナリズムとは、ネーション(国民、民族)による政治を重視する主義である。国民の政治に関わる意識、またそれを推進するイデオロギーの要素であり、また国民の生活の様々な場面で顔を出す国民にとって日常的なものでもある。 そのナショナリズムは帰属意識、愛国心、排外意識という3つの側面を持つという。その3つの側面に関して、それぞれ現在までの学会の研究成果に基づいて解説を加え、これまでナショナリズムについて持たれてきた一般的な言説の当否なども検討する。 また、ナショナリズムが実際の社会で政治や経済現象、国際社会での暴力や国内紛争の発生とどのような関わりがあり、またどのような時にどのような影響を及ぼしあうのかなどを丁寧に説明する。 ナショナリズム研究の現在を知る上での必読である。
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ナショナリズムは多くのイデオロギーとともに近代に生まれた概念。ナショナリズムが台頭している背景にはそうでない国が戦争に敗れて消滅しているから。その意味で国家の数は徐々に減少している。 ナショナリズムは本質的に同胞愛などの正義と結びつくため危険である(主観的正義) グローバル化は世...
ナショナリズムは多くのイデオロギーとともに近代に生まれた概念。ナショナリズムが台頭している背景にはそうでない国が戦争に敗れて消滅しているから。その意味で国家の数は徐々に減少している。 ナショナリズムは本質的に同胞愛などの正義と結びつくため危険である(主観的正義) グローバル化は世界のと競争が促されるためグローバル化が進む国ほどナショナリズムは強く働く。 ナショナリズムは近代化とともに醸成される。教育、軍隊、鉄道、出版の普及。 ナショナリズムは帰属意識、愛国心、排他主義の3つの要素から成る。 帰属意識は必ずしも自国を肯定するものではない。 経済格差を国内から問題の目を逸らせるため政府は愛国心を煽る(ナショナリズムの陽動理論) 低学歴低収入ほど不安に駆られてナショナリズムに走りやすい。 排他主義は個人的感情よりも抽象的な脅威認識であり本人にとっては正義となる。 福祉や民主主義といったリベラルな社会装置はナショナリズムに基づく共同体意識なしには成立しない(リベラルナショナリズム) アメリカは自助努力こそがアメリカ人の要件とする意識が強く帰属意識がと強いほど再配分や福祉への反対が強くなる。 天然資源や自然はナショナリズムの源泉 戦争よりも内戦が5倍多い。経済格差と民族の違いが結びつくと内戦になりやすい。 民族を恣意的に区分けし、敵視する構造を作りすぎるとナショナリズムを煽りやすくなる。リトアニアやウクライナのユダヤ虐殺の例。 『そうであるか』と『そうでないか』の二択しかなく、妥協の中間というものがない。 小選挙区の方が比例代表よりも5倍内戦率か高くなる。 明治維新もナショナリズムが持つ階級横断的な平等ではなく、内部の一体感が膨張されのちの対外戦争に繋がった。 被害を受けたという事実ではなく被害を受けたという認識が人を動かす(被害者ナショナリズム) 歴史をどのように記憶するか? ファシズムはナショナリズムの量的な強化版 ナショナリズムに基づく共同体意識は、人々が福祉を提供することに肯定的な効果をもたらしたり、政治参加を促す効果がある。
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