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龍の守る町 の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2025/12/01

消防士カッコイイ!!!!と、何度も心のなかで叫びました。臨場感あふれる小説の、登場人物たちの救命の場面を読んで、今一度きちんと心肺蘇生法を覚えようと誓いました。あ〜消防士カッコイイ!!!

Posted byブクログ

2025/11/19

『いま日本人に必要な防災小説』 5年前の水害の爪痕が色濃く残る町。山や川、野鳥や祭りの描写から、被災前は日本中どこにでもある自然豊かな田舎町であったことが窺える。そんな悲しい過去を乗り越え、それぞれの立場から、それぞれの方法で町を復興させようと、もがき苦しむ人々の様子を描く「町...

『いま日本人に必要な防災小説』 5年前の水害の爪痕が色濃く残る町。山や川、野鳥や祭りの描写から、被災前は日本中どこにでもある自然豊かな田舎町であったことが窺える。そんな悲しい過去を乗り越え、それぞれの立場から、それぞれの方法で町を復興させようと、もがき苦しむ人々の様子を描く「町の再生」の物語だ。 本書の主人公は消防士の秋月龍朗。水害のトラウマを抱えながらも、多くの人を救ってきた町のヒーローである。そんな彼が現場を離れ、指令室と呼ばれる“119番通報の電話番”へ異動してきたところから物語は始まる。当然のことながら、消防士にも色んな役割がある。現場の消火活動も、指令室の電話番も立派な消防士の仕事だ。当初は指令室の業務に困惑していた龍朗だが、消防署の頭脳としてプライドを持って働く仲間たちとの奮闘が本書の読みどころである。 消防士という仕事。あなたは「二度と帰れないかもしれない」と思いながら出勤したことはあるだろうか。身を挺して命と対峙する消防士には本当に頭が下がる。そんな確固たる信念を持って、私は仕事に取り組めていない。助けられなかった命。忘れられない現場。言葉で表現できない痛みややるせなさを抱えながら、今日も町の平和を守る消防士という仕事をリスペクトする。本書はそれに気づかせてくれた。 もの悲しさの中にも温かみがある独特の文体。砥上さんは、痛みを感じるのに優しくなれる物語を描く唯一無二の作家だと思う。作中にも出てくるが、文化伝統を守るか、防災工事を進めるか。その選択の正解は、被災したあとにしか気付けない訳ではない。命は天秤にかけられない。防災を後回しにした結果、みんな過去の闇に苦しみ、残された方も辛いのだ。防災意識を高めるためにも、いま日本人にとって必要な小説であると思う。

Posted byブクログ

2025/11/19

 ある出来事をきっかけに水が怖くなってしまった消防士の龍郎。  そんな龍郎が異動した先は緊急連絡を受ける指令室。  電話対応や機器の操作に不慣れな彼はなんとか奮闘する日々を送る。  裏方と言われる指令室を舞台にした消防士たちの物語。  この話をどうあらすじとして書くのか?...

 ある出来事をきっかけに水が怖くなってしまった消防士の龍郎。  そんな龍郎が異動した先は緊急連絡を受ける指令室。  電話対応や機器の操作に不慣れな彼はなんとか奮闘する日々を送る。  裏方と言われる指令室を舞台にした消防士たちの物語。  この話をどうあらすじとして書くのか?凄く難しいなと思いつつ、余計なことを書くと伝わらないなぁと思いながらひねり出して書いてます(笑)  裏方で現場に出ない指令室の面々を消防士ではないと言う人がいるかもしれない(現場でそんなこと言う人いてるの?)。  ただ、裏方であってもその指令室の指示が的確でないと助けられたはずの命は助けられなくなるかもしれない。  そう思うと、本作品は命の灯火が消える寸前の人に対する救助と消防士の物語といえるかもしれません。  火事や災害のニュースがたくさんあるものの、消防士の活躍に焦点が当たるのは殉職した時か、何年も後にバラエティ番組であの時の事件や災害みたいな感じで特集される時のみ。それも現場で活動した消防士のみだと思います。  実際の火事のニュースが報道されても危険をおかしてなんとか人を救いだそうとしている消防士の方々を想像するのは難しい。少なくとも私は本作を読むまでそんなことを想像したことはありません。  火事や災害なんてない方が本当は良いし、救助事案なんてない方が本当は幸せだと思うし、何日も出動しない日もあると思います。  指令室にはイタズラ電話する人もいるだろうし、タクシー代わりに救急車を呼ぶ人もいるだろうし、緊急性がないものだってあるだろうし。  でも、本当に緊急なことがいつ起こるか分からない中で、そんなに多くはないかもしれない緊急事態のために備えて体を鍛えたり、訓練したり、対応を考えたりする消防士たち。  確かに、冒頭の作者の前書き?にもあるように、本作品を読むと消防士たちに敬礼したくなる、そんな作品だなと思いました。

Posted byブクログ

2025/11/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

水墨画を通して再生していく大学生や、新人視能訓練士の成長というニッチな世界を色濃く描いてきた砥上裕將が、消防士の生きざまを通して「命と町」という大きな世界を描き出す。 子どもの頃から育った町を襲った大災害。誰もがその傷から未だ立ち直れていないなかで生きていくこと。 その痛みと苦しさに、今の日本に生きる私たちはとても敏感だ。 震災、災害、疫病。暴力的で圧倒的なその力の前に私たちは自分たちの無力さを思い知らされた。 自分の町が、自分の家族が、そして自分自身が受けた傷は痛みは消えても記憶は消えない。失われたものは決してもとには戻らないのだ。 現場の最前線で人の命を救い続けてきた一人の消防士秋月が、電話での通報を声という武器だけで救う部署へと異動になる。戸惑いや焦り、失望や自己嫌悪。あまりの違いにうまくいかない日々が個性的で有能な部下とのやり取りで変化していく。「馬鹿みたいに優しくあれ」という言葉の強さと重さが、秋月の語りによって深まっていく。秋月ものそして部下たちそれぞれの傷をたどりながら、私たちも自分の傷を手当していくのだ。優しい強さが明日の笑顔につながっていく。

Posted byブクログ

2025/10/11

砥上さん待望の新作は、なんと消防士を主人公にした作品だった。水墨画、視能訓練士はあまり馴染みのない世界だったが、消防士はいろいろな分野で取り上げられたメジャーな職業だ。それをどう料理するのか。お手並み拝見である。 主人公の秋月司令補は、第1話でいきなり現場から退場してしまう。辞令...

砥上さん待望の新作は、なんと消防士を主人公にした作品だった。水墨画、視能訓練士はあまり馴染みのない世界だったが、消防士はいろいろな分野で取り上げられたメジャーな職業だ。それをどう料理するのか。お手並み拝見である。 主人公の秋月司令補は、第1話でいきなり現場から退場してしまう。辞令は司令室勤務、要するに電話番だ。電話対応もパソコン操作もしたことのない彼は戸惑いつつも、若い部下に指示を仰ぎながら対応していく。 というメインのストーリーの背景に、10年前にこの町を襲った水難事故がある。秋月もPTSDを抱えていて、それにいかに対処していくかも読みどころの1つだ。いきなり現場を引退させたのは火災現場を描かないためかと危惧したけれど、回想シーンでたっぷりと書かれていたので杞憂だった。 異常気象続きの昨今、いつどこでもこの小説に描かれているような事態は起こり得る。消防士の世界を違う視点から描いたこの作品は新味があり、重層的な構造はキャラクターに深みを与えていた。 続篇があるそうなので、楽しみに待ちたいと思う。 刊行日 2025/11/10、NetGalleyにて読了。

Posted byブクログ

2025/10/08

読み終わりスーパーヒーローの登場、その名は消防士秋月龍朗、そして現場での活躍が終わり指令室勤務に変わってしまい、またそこでの苦労が痛々しく感じまた現場に戻りたいと思いつつ指令室での奮闘に清々しく感じました。過去の水害での痛々し話や命の尊さを感じる体験など読んでいて感動しっぱなしで...

読み終わりスーパーヒーローの登場、その名は消防士秋月龍朗、そして現場での活躍が終わり指令室勤務に変わってしまい、またそこでの苦労が痛々しく感じまた現場に戻りたいと思いつつ指令室での奮闘に清々しく感じました。過去の水害での痛々し話や命の尊さを感じる体験など読んでいて感動しっぱなしでした。消防士のことを深く考えさせられるほどの感動作でした。あなたも読んで消防士のすごさを感じて下さい。

Posted byブクログ