家族 の商品レビュー
家族とは何かという感想は沢山あるので省きます。 この作品で感じたのは、人というのは窮地に陥った時に何かに縋りたくなってしまうのだと。あるいは、自分の命が危ないと例え大切は人でも見ず知らぬの相手でも裏切りったり、傷つけたりできてしまう。自分ならどうだろうと考えさせられました。
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2011年11月、裸の女性が交番に助けを求めて駆け込んだことから事件は発覚した。足掛け25年にわたって複数の家族が監禁、虐待され、死者、行方不明者は10人以上に及ぶという実際にあった事件「尼崎連続変死事件」をモチーフにしたフィクション。 事件そのものは本当に陰惨。ターゲットの家...
2011年11月、裸の女性が交番に助けを求めて駆け込んだことから事件は発覚した。足掛け25年にわたって複数の家族が監禁、虐待され、死者、行方不明者は10人以上に及ぶという実際にあった事件「尼崎連続変死事件」をモチーフにしたフィクション。 事件そのものは本当に陰惨。ターゲットの家族に入り込み罵声と暴力で脅迫、恐怖による支配で思考停止に追い込み、家族を分断し、家族間で“躾”という名の虐待を促す。恐るべきマインドコントロールに身が竦む。 命からがら駆け込んだ警察には「民事不介入」を理由に介入を断られ、連れ戻された先ではさらに過酷な拷問が待ち受ける。この世の地獄だ。 複数のノンフィクション作品が出ているこの事件を今、フィクションで描くことの意味を考えた。 小説では未だ正体が判明していない“あばた面の男”が手を差し伸べているトー横の子供たち。 家庭に居場所がなく、家族に愛されない子供たちに手を差し伸べ、擬似家族となる。その“家族”が再び尼崎のような事件に発展しないと誰が断言できようか。 愛を与えられず、愛を求めた犯人が作った“家族”の事件。機能不全家族が蔓延した今、事件の萌芽はそこらじゅうにあるではないかとうすら寒い思いになった。 ノンフィクションの方も読んでみます。
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救いもない、胸糞も悪い、何の学びもない。 実話に基づいているからこそ終わってる。 読んでる途中から気分悪い。 読後感、最悪。
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尼崎連続変死事件をモチーフにした小説。 どんな話かはノンフィクションで読んでいたなーと思ってたら、そっちは北九州連続殺人事件の方だった。記憶は曖昧だけど、構造は似てる気がした。
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2012年10月(wikipediaによる)に発覚した“尼崎連続変死事件”をモチーフにしたスリラー。奥付では「二〇一一年に表面化した尼崎連続変死事件をモチーフにしていますが、内容はすべてフィクションです。」と書かれているが、人物相関図や経緯などそのまんまである。 冒頭、特定の地名...
2012年10月(wikipediaによる)に発覚した“尼崎連続変死事件”をモチーフにしたスリラー。奥付では「二〇一一年に表面化した尼崎連続変死事件をモチーフにしていますが、内容はすべてフィクションです。」と書かれているが、人物相関図や経緯などそのまんまである。 冒頭、特定の地名(尼崎ではない)を用いて神話的な記述があり、そういう方向にいくのかと思わせるがまったく無関係だった。うーん、そうなるとこの小説が書かれた意味がよくわからない。 事件の詳しい内容を知りたければ参考文献に上げているようなノンフィクションを読めばいい。ただひたすらいやな気持ちになっただけだった。
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胸糞話 現実事件がモチーフのようだが、読んでいて嫌な気持ちを持ち続け、早く終わってほしかったやつ(最後まで読む主義) 最後に夫婦の綺麗なエピソードを入れていたが感想は全く浄化されなくて低評価 少なくとも人にはお勧めしない
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★5 なぜ犯罪に手を染めたのか、なぜ巻き込まれてしまったのか、なぜ早く解決できなかったのか #家族 ■あらすじ 11月のある朝方、八王子の交番に勤務する警官が外に出ると、全裸の女性がふらふらと歩いていた。助けをもとめる彼女は以前から警察に相談をしていたものの、面倒な案件に巻き込...
★5 なぜ犯罪に手を染めたのか、なぜ巻き込まれてしまったのか、なぜ早く解決できなかったのか #家族 ■あらすじ 11月のある朝方、八王子の交番に勤務する警官が外に出ると、全裸の女性がふらふらと歩いていた。助けをもとめる彼女は以前から警察に相談をしていたものの、面倒な案件に巻き込まれたくない警察は、民事不介入を理由に事件化をせずにいたのだ。その後警察が捜査を開始すると、背後には多くの犠牲者がいることが浮き彫りになり… ■きっと読みたくなるレビュー ★5 家族… たった二文字、シンプルかつ強烈なタイトルですね。もはや予想はしていていたのですが、され以上に鬱々たる気分にしてくれる作品でした。 本作は2012年に実際にあった事件、尼崎事件をモチーフにした社会派ミステリー。血縁関係がないのに疑似的な家族関係を築き上げ、その共同生活の中で様々な犯罪行為を行ったという事件。正直、そんな事件あったなーという程度の記憶でして、本作を読んでしっかりと思い出すことができました。 まず言いたいこと、「力作」だということ。 これまでも葉真中顕先生は様々な社会問題をテーマに物語を描いてきましたが、本作も鬼エグですよ。間違いなく事件を詳細まで取材されているし、その中で憤り、悲しみ、悔しさなど、魂が抉られるような想いをしたに違いないんです。物語を紡ぐ時も、どうすればこの事件とその内面を表現できるのかを考えたはずなんです。先生の情熱をしっかりと体感させてもらいました。 一番の読みどころは「人間」です。 日本人は優しく穏やかで、何事にも冷静な聡明でな人が多いと思います。しかし本作においては、愚かな人間、奪われる人間、悪魔のような人間など、悲劇的な人間ばかりが出てくるのです。 なぜこんな犯罪をするのか、なぜ巻き込まれてしまったのか、なぜもっと早く解決できなかったのか。読んでる最中、これらをずっと頭の中で問いかけるのですが、答えが導き出せずに苦しくなる。彼らの倫理観の違いに愕然とし、ただただ茫然と読み進めるしかないのです。私も奪われる側の人間だったら、同じ行動しかできないかもしれません。 本作のテクニックが光る部分として「分かりづらい」点をあげたい。 物語の中心には主犯格の女性がいるのですが、彼女の視点で語られることは少ない。周りにいるたくさんの人物からの目線で物語が進行するから、人間関係が複雑なんです。また時系列も前後するので、どの時代の話なのかも把握しづらい。複雑に見せることによって、事件が解決に至らなかった難解さを表現してるように思うんです。 主犯格の女性は「愛」があれば家族になれるといった。 でも彼女は愛を与えるのではなく、奪い取るだけだ。子どもの頃の愛情不足ってのは、後にこういった悲劇をもたらすと思うと、本当に本当に親の責任ってのを考えさせられますね… そして警察の判断もひどいものです。色んな事情あるんでしょうが、市民を守る正義の味方であることを忘れずにいてほしいです。 ■ぜっさん推しポイント 暴力の恐ろしさを知ってますか? 被害に遭った人たちは、畏れ逃げ惑うしかできず、従わざるを得ない状況になる。選択肢など与えず、自由を完全に奪ってしまうところが罪深いのです。 私はこの力でねじ伏せるという非人道的な行為は絶対に許せません、大嫌いです。あらためて自分の価値観を思い出させてくれた、厳然たる作品でした。
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尼崎連続変○事件を元に描いた小説ということで、読んでみました。 当時はかなりニュースになっていましたよね。この地名が一気に知られた事件、と言ってもいいのではないでしょうか。残虐だった記憶はあるものの細部までは覚えていなかったので、その確認も兼ねて読み進めました。 実際に読んでみ...
尼崎連続変○事件を元に描いた小説ということで、読んでみました。 当時はかなりニュースになっていましたよね。この地名が一気に知られた事件、と言ってもいいのではないでしょうか。残虐だった記憶はあるものの細部までは覚えていなかったので、その確認も兼ねて読み進めました。 実際に読んでみると、北九州連続○人事件と手口が非常に似ていると感じました。 まったく関係のない第三者が一つの家族に入り込み、暴力で洗脳し、家族同士を殴る・蹴るといった折檻へと追い込み、ついには身内を○害させる――。しかも被害は一つの家族にとどまらず、何家族も犠牲になっていく恐ろしさ。 こういううさん臭い集団にはどう巻き込まれるのか。読んでいる途中、思わず“防御策”まで考えてしまいました。 興味深かったのは、事件に関わる人物一人ひとりのバックグラウンドが丁寧に描かれている点です。 そもそも人間は生まれながらにして悪なのか――そんな問いを読者に投げかけてきます。 主人公・瑠璃子をはじめ、登場人物たちはどこか“親の人生を子がそのまま生きている”ように見えるのですが、その中でも特に考えさせられた人物がいます。光山家の鉄です。 鉄は複雑な家庭で育ち、母親と父親(養父)が覚醒剤で捕まったため、養父の姉夫婦である有間家に引き取られたという背景を持つ人物。 彼は自分の家族を“こちら側”、有間家を“あちら側”と呼び、まるで異なる世界を行き来するような感覚で生きているのです。その物事の解釈が、とにかく歪んでいる。 血のつながらない鉄を我が子同然に扱う有間家に対して、鉄はこう感じてしまう。 “叔母夫婦は直接血がつながっているわけでもない鉄に優しかった。なに不自由ない暮らしをさせてもらった。だが、惨めだった。鉄は敏感に感じ取っていた。“あちら側”の人々に特有の“こちら側”の人間への憐れみを。” 自分が惨めになる方向にばかり意識が向いてしまい、何かしてもらっても感謝に辿りつかない。 “こちら側”の生活が標準になってしまっているから、“あちら側”の当たり前の優しさに違和感や居心地の悪さを覚えてしまうのだろうなと感じました。 人から善意で何かしてもらったら、お礼を言うのは当たり前のはずなのに、それに嫌悪感を抱いてしまう――。 そこに人間性の歪みがあり、その歪みは育ってきた環境によって容易につくられてしまうものなんだと、胸が痛くなります。 それにしても、ここまでの異常事態が起きていても、警察は本当に頼りにならないとは……。 “自分の身は自分で守るしかない”という思いが、読めば読むほど強くなってしまいました。
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とにかくヤバい。しばらく立ち上がれなくなる。実際の事件はもっと凄惨だったかもしれない。人の心を殺す作品。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2025/08/24予約1 実際の事件がモチーフになっている。ピンク婆さんこと夜戸瑠璃子にここまで洗脳される恐ろしさ。逃げても連れ戻される、親、親戚などまで追い詰める。キッカケは何でもよく自分に都合のいい人間を見つけて家族ごっこに巻き込む。民事不介入を利用して警察に立ち入らせない。瑠璃子も妹分の朱鷺子も頭脳明晰。これほどたくさんの人が出てくるのによく混乱しないな、と別の意味で感心する。それを書く筆力があるのもさすが。まだ秘匿された部分がありそうで恐ろしい。何度も巻末の相関図を見ながら読んだ事、気味が悪く読み進めるのがきつかった事もあり読了まで難航した。
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