家族 の商品レビュー
2012年尼崎で発覚した角田美代子を主犯とする連続殺人事件、いわゆる「尼崎事件」を小説化したものだ。小説であっても事実に基づいて書かれたものなので、これが本当に起こったことなのかと、読むのも躊躇するほど悲惨な事件だ。角田と義妹、そして息子の3人は決して自ら手を汚さない。他人の家に...
2012年尼崎で発覚した角田美代子を主犯とする連続殺人事件、いわゆる「尼崎事件」を小説化したものだ。小説であっても事実に基づいて書かれたものなので、これが本当に起こったことなのかと、読むのも躊躇するほど悲惨な事件だ。角田と義妹、そして息子の3人は決して自ら手を汚さない。他人の家に入り込み、好き放題振る舞った挙句に自分の陣地に連れて帰り、監禁し、全財産を奪い、完全に支配下に置いて、「しつけ」と称し、お互いに殴り合いをさせる。子が親を、夫が妻を痛めつけ、最後には殺させてしまう。自分たちは家族だと謳っているので、逃亡者が警察に駆け込んでも「民事介入」はできないと追い返される。全て角田が思うように事が運び、こんな恐ろしい事件が13年もの間野放しにされ、10人以上もの人が亡くなったのだ。 わからないのはこの小説内での雪の心理。家族とはいえ、というか家族であるが故に許せない事のひとつやふたつはあるでしょう。でも悪魔の手先になって父母や姉を貶め、死に至らせるような言動は取らないでしょう。ましてや彼女はこちら側の(普通の平和な家族の)人間。良心の呵責はなかったのか。 案外わからなくもないのは雪の姉、澄と結婚した宗太の心情。脅され、澄を殴っているうちにだんだん本当に憎くなっていくのだ。「この子をぼくが守る」と心に誓ったはずなのに、心が麻痺していく。そうでもないととてもまともな気持ちで殴れない、心の防衛反応かもしれない。
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警察の「民事不介入」って便利な言葉よね……作品読んでても普通に怖かったけど、読んだあとに元になった事件をネットで見たら、ホント、ヤバいやつで、ひたすら恐怖を覚える作品でした
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家族の絆の恐ろしさ。絆とは本来、馬・犬・たか等をつなぎとめる綱。恐怖でつなぎ止められた家族。 読んでいてぞっとした。
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葉真中顕「家族」文藝春秋読了。民事不介入と言って、警察は、ご家庭のトラブルには、おいそれと口出せんのですよ。それから警察はマニュアル通りの対応をした。これはまともでないラスボス率いる軍団による家族という名の犯罪史。物語はモチーフから生まれた。読み始めたら後戻り出来ない。悪い夢をみ...
葉真中顕「家族」文藝春秋読了。民事不介入と言って、警察は、ご家庭のトラブルには、おいそれと口出せんのですよ。それから警察はマニュアル通りの対応をした。これはまともでないラスボス率いる軍団による家族という名の犯罪史。物語はモチーフから生まれた。読み始めたら後戻り出来ない。悪い夢をみているような #尼崎変死殺人事件
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とにかくしんどい。一回中断したらまた読み始めるのに気が重すぎてやめたくなったくらい。でもいざ読み始めたら一気読みしてしまった。しかし、とにかくしんどい…
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14年前、当時ニュースでよく目にした主犯と見られる女のことは今でも覚えている。全容解明がなされないまま終わったあの衝撃的な事件について、社会的弱者の生き様を描き出すことが得意な葉真中さんなりの〝解釈〟が繰り広げられるフィクション。実際の事件を知るだけに読み進めるのが辛く、ラストも...
14年前、当時ニュースでよく目にした主犯と見られる女のことは今でも覚えている。全容解明がなされないまま終わったあの衝撃的な事件について、社会的弱者の生き様を描き出すことが得意な葉真中さんなりの〝解釈〟が繰り広げられるフィクション。実際の事件を知るだけに読み進めるのが辛く、ラストもそこに救いを求めるしかないのか…と暗澹たる気持ちになる。簡単に乗っ取られてしまう「家族」というものの不確実性、優しさと表裏一体の残酷さに慄き、「民事不介入」という言葉の冷たさを改めて思い知らされた。
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2011年に表面化した尼崎連続変死事件をモチーフにしたファクションであるが、事件を想起させる。 この事件を知ったときは衝撃を受け、現実なこととして受けとめるのは無理だと思った。 八王子を舞台にし、ピンクババアこと夜戸瑠璃子が関わる人に喰いつき、その家族をぼろぼろにして財産を奪...
2011年に表面化した尼崎連続変死事件をモチーフにしたファクションであるが、事件を想起させる。 この事件を知ったときは衝撃を受け、現実なこととして受けとめるのは無理だと思った。 八王子を舞台にし、ピンクババアこと夜戸瑠璃子が関わる人に喰いつき、その家族をぼろぼろにして財産を奪い気にいらない奴に制裁を下す。 逃げても追い、痛めつけては服従させての繰り返しで、幾つの家族を悲惨な目にしてきたのだろう。 人物相関図を見ても、最早どういう繋がりで家族としてきたのだろうかがわからない。 もしかすると亡くなった人はもっといるのかもしれないが、瑠璃子が死んだことにより何もわからない。 「民事不介入」を盾に幾つもの大胆で悍ましい犯行を重ねるとは、狂気の沙汰としか思えない。 彼女の家族とは何を意味するのか…
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Twitterで誰かがおすすめしてたのでKindleでサクッと読みました。 書き方、まとめ方がうまくて読みやすかった! 登場人物というか被害者の多さと、本当の血縁関係じゃない別家族がたくさん出てくるので複雑すぎて混乱するかと思ったけど、1人ずつ視点で話を追っていくと全体が繋がっ...
Twitterで誰かがおすすめしてたのでKindleでサクッと読みました。 書き方、まとめ方がうまくて読みやすかった! 登場人物というか被害者の多さと、本当の血縁関係じゃない別家族がたくさん出てくるので複雑すぎて混乱するかと思ったけど、1人ずつ視点で話を追っていくと全体が繋がって読みやすかった。 北九州監禁事件のアレンジかと思ったけど、尼崎事件ていうモデルの事件があるんだ…。知らなかった…。怖い…。 こんな怖いことしてる人が、こんなイカれた事件が普通に存在しててめっちゃ怖かった。ちゃんと知らなかった。 こんな状態になった時にやっぱり警察を頼るしかないだろうから、民事不介入とか言われた絶望するよな、、。 利用されて死んでいく側が、幸せだったって言っててさらに絶望した。 巻き込まれた家族本当に可哀想としか言えない。 夜部瑠璃子も幼少期に性的虐待を受けてて、歪んだ愛情しか注げない、っていうのももう本当に絶望 黒幕かもと言われているあばたの男が歌舞伎町のキッズ達をまとめて家に住まわせてるという謎のカットも、全然ありそうで怖い。絶望ってこの世に充満してるから、歪んだコミュニティを生み出すのなんて簡単だと思えてしまう。 義妹の朱鷺子が、確実に自分の子供をなぜか瑠璃子に献上していて怖かった。 ウロボロスのネックレスは何を意味しているのか。 瑠璃子という主犯が死んでも、闇を抱えてる人はこの世のにごまんといるから、こういう悪夢は終わらないよ、っていう暗示かと思った。怖すぎる。。 しかもこれのタイトル「家族」なの、改めてこわっ。 北九州のやつは、本当に支配、被支配で犯人は性処理とかもさせてて暴力性を強く感じるけど、この事件はわざわざ「家族」という形にこだわって、本当に愛情を注ぎたかったのかもという側面もあるから、歪んだ愛情すぎてこわい。
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うーん。 尼崎連続変死事件の話かと思ったら、それをモチーフにしたフィクション… とはいえあまりに酷似しているものだから、無意識に実際の事件と比べてしまい、素直に物語に没入できず、なんともモヤモヤする読書体験に終わり、ちょっと残念でした。
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こえー。今晩眠れない。ところで舞台は八王子。八王子の人怒っちゃうんじゃない? 今は警察も民事不介入とか言わないよね?
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