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アリアドネの声 の商品レビュー

3.7

107件のお客様レビュー

  1. 5つ

    21

  2. 4つ

    46

  3. 3つ

    28

  4. 2つ

    9

  5. 1つ

    2

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2025/10/01

素直に面白かった。重複障害の日常生活における困難さも丁寧に描かれており、日頃からの想像力が大事と感じた。限界という言葉も逆転の発想で切り替わり、ラストも鮮やかに回収されて良かった一冊。

Posted byブクログ

2025/10/01

井上真偽(いのうえ・まぎ)さんという作家。本屋であらすじを見て、面白そうと即買い。 巨大地震が地下都市を襲い、「見えない、聞こえない、話せない」三つの障害の女性が遭難し、救助隊がドローンを駆使して救出する話だ。 ドローンは様々な場所で実に活躍している。テレビ撮影では馴染み深い...

井上真偽(いのうえ・まぎ)さんという作家。本屋であらすじを見て、面白そうと即買い。 巨大地震が地下都市を襲い、「見えない、聞こえない、話せない」三つの障害の女性が遭難し、救助隊がドローンを駆使して救出する話だ。 ドローンは様々な場所で実に活躍している。テレビ撮影では馴染み深いが、高いところや人が入れない場所の点検、また災害救助のシーン…ビジネスでもめざましい。一般ユーザー向けの講習会などは予約でいっぱいらしい。 崩壊した地下の建物は浸水や漏電、電波障害や火災など、様々な予期せぬ困難があり、遭難者の救助は困難を極め、小説ながらとても緊張感がありました。映画化されたら是非見に行きたい。 ちなみに「アリアドネ」はギリシャ神話の登場人物に由来する言葉であり、困難から抜け出すための道しるべとなる「アリアドネの糸」という故事成語で有名。 また主人公の口癖がなかなかいい。 『無理だと思ったら、そこが限界だ』 これは胸にちょっと残るな…

Posted byブクログ

2025/09/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

地震がおこり、崩落した地下都市に幽閉された視力・聴力に障害を持つ女性。 主人公はドローンを用いて彼女を救出しようとするが…… 並行して展開するサブストーリーがやがて重要な意味を持つ。 思いがけない結末と、張られた伏線がきれいに畳まれる過程が見事。 困難な状況にも諦めずに努力し続ける主人公たちが魅力的だった。

Posted byブクログ

2025/09/29

歳をとるといろんなことに引っ掛っちゃってダメだね…地下深い施設、一部が崩落しちゃうほどの地震で、救出対象以外の一般人は全員「逃げ遅れることなく全員が退避できた」と? ハイテクシティ故、障害ある人々の人口比が多いかもという話だったのに?… 最初はどうしても、この状況を設定するため...

歳をとるといろんなことに引っ掛っちゃってダメだね…地下深い施設、一部が崩落しちゃうほどの地震で、救出対象以外の一般人は全員「逃げ遅れることなく全員が退避できた」と? ハイテクシティ故、障害ある人々の人口比が多いかもという話だったのに?… 最初はどうしても、この状況を設定するための進行のように感じてしまう。以後にミスリードするための材料の配置が淡々となされたような… でも私が好きな東野圭吾の小説だって、序盤は登場人物とか建物とか場の空気感を伝えるような場合が多いのに、どうしてこっちは無機質感を感じてしまうのか… とはいえ、街の構造やドローンの描写などめちゃめちゃ詳しくて。作者が理系なのかなと思ったら東大卒なのね…光の質量の話とかヘェー(無知)だった。ドローンてあんまり電池もたないのね…知らなんだ。 序盤でばら撒かれた要素の一体どれが生きてくるか…楽しみにしながら読んでいた。偽装疑惑か?国がらみか? 妹が何も関係していないとは思えないし…不穏な要素が適度に挟み込まれた末の結末だった。 救出班がみんな足を引っ張り合わず本気で全力で助けあうことが新鮮だった。大体1人はいるでしょ意地悪な奴が?緊迫した局面で失敗があっても誰もなにも責めないし、大きな声出す人もいない。強がらず素直に、他人に弱さを見せるし、それでいいと言ってくれる人がいる。 兄とのエピソードはよかった。お母さんとの会話が後でわかるとか。 全体的に…今まで読んだ特殊設定ものにありがちな、特殊なトリックを成り立たせるための物語、に近い匂いがしたかな。深い人間模様的なものはあまりなくて、感情移入することはできなかった。

Posted byブクログ

2025/09/28

この作品は、災害サスペンスとしての手に汗握る展開と、緻密なロジックに基づくミステリー、そして深い人間ドラマが見事に融合しています。読者が挙げられたように、序盤のドローンによる遠隔救助という近未来的な設定は、専門用語がありながらもスピード感があり、一気に物語に引き込まれます。巨大地...

この作品は、災害サスペンスとしての手に汗握る展開と、緻密なロジックに基づくミステリー、そして深い人間ドラマが見事に融合しています。読者が挙げられたように、序盤のドローンによる遠隔救助という近未来的な設定は、専門用語がありながらもスピード感があり、一気に物語に引き込まれます。巨大地下都市「WANOKUNI」という現代の迷宮に閉じ込められた、三重の障がいを持つ中川博美という要救助者。この絶望的なシチュエーションで、ドローン操縦士である主人公・高木春生が、兄の事故死というトラウマを乗り越えようと奮闘する姿は、まさに現代の英雄譚(テセウス物語)として読むことができます。全体を通じて、読者は絶望の淵から希望を見出すような、極めて爽快で清々しい読後感を得られます。 兄の口癖でもある「無理だと思ったらそこが限界なんだ」というセリフは、この物語の核心を突くテーマです。 この言葉は、主人公・春生の人生を縛る呪いでもあり、同時に不可能に挑む原動力でもありました。ミステリーとしての最も大きなトリックは、要救助者・博美の「三重の障がい」の真偽」をめぐる疑惑と、それにまつわる行動の謎です。 「盲(見えない)、聾(聞こえない)、唖(話せない)」という状況下での救助は、常識では「無理」の壁が立ちはだかります。しかし、春生がこの言葉を信じ、諦めずに指点字や触覚といった代替手段を模索し、チームが一丸となって困難を乗り越えようとする姿勢こそが、この物語の感動を呼ぶ最大の要素です。この挑戦の過程で、読者は「無理」という言葉が持つ、単なる諦めの表明ではない、より深い意味を知ることになります。

Posted byブクログ

2025/09/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

井上真偽作品といえば、強烈なキャラクターが印象的なミステリというイメージを持っていました。けれど本作は、まるでSFアドベンチャーゲーム or アニメの原作を読んでいるような感覚になり、本当に同じ著者なのかと驚かされました。 舞台は人が立ち入ることのできない危険な災害現場。そこに取り残された要救助者は「見えない・聞こえない・話せない」という三重の制約を抱えており、唯一の手段はドローンを介した救助。状況設定自体が緊迫感に満ちていて、読みながらこちらも息を詰めてしまうほど。 ドローンは便利な万能機械ではなく、電波やバッテリーの持続時間といった現実的な制約を抱えています。その中でどう救助を実現するのかが大きな読みどころで、過去作に登場したドローンの描写よりも格段にリアリティが増しているように感じました。相当な取材を重ねたのだろうと想像します(ドローンの資格を取ったのかな?)。 物語の終盤は少し駆け足の印象もありましたが、主人公の過去のわだかまりや要救助者をめぐる疑惑が解消され(後者はやや苦しいけど)、最後には概ねすっきりとした読後感が残りました。 1点だけモヤモヤ感があるとすれば、救助活動の各場面で要救助者が何を思い、どう感じていたのかを知りたかったことですかね。エピローグとしてそれが語られ、さらに主人公を含む関係者の「その後」に触れられていたら、個人的にはより満足度が高かっただろうと思いました。

Posted byブクログ

2025/09/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

何となく本屋で目についたので、帯買いしちゃいました。書いてあるような大ドンデン返しとまでは、いかなくても、ラストの繋がりは想像ができなかったな。 綺麗な終わり方で、読後はとてもスッキリいい気持ちになれました。 何となくもう少し大きなスケールの話かと思ってて、割と局地的な話だったので、少し拍子抜けしたけど、徐々にその世界観に引っ張られてきたかな。 全体のストーリーとしても、読者も一度疑惑を持たされた上でのひっくり返しは、なるほどと安心の感想でした。 気になるのは迷惑系YouTuberが、何かしらの裁きを受けて欲しかったー。

Posted byブクログ

2025/09/28

井上真偽の中にある欠片の一つが、大きくなって作品になったという印象を受けた。 作品を読み終えて感じた正直な感想は、語弊があるとは思うが障害者の方は生きる覚悟が違うのではなく、覚悟のある障害者の方しか一般の健常者は出会えていないのではないか、ということ。 かなり乱暴な言い方表現です...

井上真偽の中にある欠片の一つが、大きくなって作品になったという印象を受けた。 作品を読み終えて感じた正直な感想は、語弊があるとは思うが障害者の方は生きる覚悟が違うのではなく、覚悟のある障害者の方しか一般の健常者は出会えていないのではないか、ということ。 かなり乱暴な言い方表現ですが。 環境が人を作り育てていくという後天的なものの大切さ、主人公はその試練に出会い成長したのだろう。 改めて我が身を顧みなくてはいけないし、読書の醍醐味のひとつがこういう事の気づきをくれる点にありますね。

Posted byブクログ

2025/09/27

アリアドネの表題と一生モノのどんでん返しの帯につられて読みました。確かにハラハラドキドキ。ヘレンケラーかと思うような三重苦の遭難者を救援へ。しかもドローンで。とても期待して読みました。もちろん面白かったけど、ちょっと期待し過ぎたかも。「一生モノのどんでん返し」はちょっとハードル上...

アリアドネの表題と一生モノのどんでん返しの帯につられて読みました。確かにハラハラドキドキ。ヘレンケラーかと思うような三重苦の遭難者を救援へ。しかもドローンで。とても期待して読みました。もちろん面白かったけど、ちょっと期待し過ぎたかも。「一生モノのどんでん返し」はちょっとハードル上げ過ぎかなー。

Posted byブクログ

2025/09/25

ずっと読みたかった作品。文庫化されてて即購入。 大まかなあらすじだけで、どうやって救出するのか?この作風でどんでん返し? 気になりすぎていたので一気読みだった。 勝手に感動系だと思っていたけど、ちょっと違っていた…ドローンを駆使した救助劇。手に汗握るスリリングな展開で、臨場感ある...

ずっと読みたかった作品。文庫化されてて即購入。 大まかなあらすじだけで、どうやって救出するのか?この作風でどんでん返し? 気になりすぎていたので一気読みだった。 勝手に感動系だと思っていたけど、ちょっと違っていた…ドローンを駆使した救助劇。手に汗握るスリリングな展開で、臨場感ある描写がゲーム感覚のよう。 意外とシンプルなオチだったのに…大いに騙され 最後は霞んでいたものが一気に晴れた感じで読後感は良い。いつもとは違う新しい読書体験ができた。

Posted byブクログ