作文 の商品レビュー
祖父母の戦争体験を聞き綴った2人の小学生の作文。教師から称賛されるも、子どもならではの脚色等があり、その後の現代パートへ波及します。 記憶とは? 継承とは? 物語のもつ意味や力、体験の聞き取りの再構築は真実か、複雑な世の中への向き合い方等々、本書を読みながらそんなことをつくづ...
祖父母の戦争体験を聞き綴った2人の小学生の作文。教師から称賛されるも、子どもならではの脚色等があり、その後の現代パートへ波及します。 記憶とは? 継承とは? 物語のもつ意味や力、体験の聞き取りの再構築は真実か、複雑な世の中への向き合い方等々、本書を読みながらそんなことをつくづく考えてしまいました。 小山田浩子さん初読でしたが、思いの外軽やかな筆致で、重い問題提起をされながら最後に上手く爽やかにかわされた感じです。でも、この120ページ程度の中編小説は一読の価値ありと思いました。全ては読み手の受け止め方次第なんでしょうね。 むかしむかーし、若者の「無気力・無関心・無責任」気質を指して、「三無主義」と呼んだ時代がありました。特に政治や社会問題に対して冷めた態度をとり、「しらけ世代」と嘆かれることも…。 翻って現代は? 戦争は身近にあるものの、私たちは日々の生活に疲れ、「我関せず」「他所ごと」で、少なくとも戦争に関する「三無主義」は大人にも多く、二極化が顕著な印象です。 首相の「非核三原則」見直し検討報道だとか、その他諸々に「えーっ!」と思っても、諸外国のように行動を起こすエネルギーがないのが日本人? あ、SNSでの陰湿さ過激さは得意? 戦後80年の今年、私たちが戦争と平和へ関心をもつきっかけをくれる作品と思えました。
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小山田浩子さんといえば「母の友」で連載していたエッセイでも感じられた、それは有り得るとも、それはないでしょうとも思えそうな、奇妙なんだけれど現実に起こったとしても何だか肯けそうな、フィクションとノンフィクションの境界線に佇むような、その絶妙さ加減が味とも思えるエピソードが印象的...
小山田浩子さんといえば「母の友」で連載していたエッセイでも感じられた、それは有り得るとも、それはないでしょうとも思えそうな、奇妙なんだけれど現実に起こったとしても何だか肯けそうな、フィクションとノンフィクションの境界線に佇むような、その絶妙さ加減が味とも思えるエピソードが印象的だったことを思い出す。 そして本書では(久々のU-NEXT100min.)、広島県出身の小山田さんが戦争を題材にしたということなんだけれども、ものすごく深刻な感じというよりは、人間だからこうしてしまうというような、真面目で直向きな様も可笑しみを交えて描いていたり、令和の時代だからこそ感じなくなってきている何気ない違和感をユーモラスに皮肉っていたりする点に独特さを感じられて、読み終えた時には戦争というよりは家族を題材にしているのかと思えたような、飄々とした中にもある真摯さが魅力なのかもしれないし、よくよく考えてみれば戦争と家族というのは切っても切り離せない関係性だ。 また、小学校六年生の頃に書いた戦争を題材にした作文が、大人になった現代の人生に色濃く影響を及ぼしているといった、物語としての面白さも本書にはあって、そこには子どもだから、そうなってしまった的なものも垣間見えそうだけれども、結局そうしたものは人生に於いて、あまり重要ではなく、自らの意志を信じて生きていれば自然と何とかなるのかもしれないというような、あまり句点や段落分けの少ない文章の書き方に根拠のない不安感を抱きながらも、そんなゆるい前向きさに励まされたような気がしたのも、また彼女ならではの独特な作風なのかもしれない。
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祖父母の戦争体験を綴った作文が褒められた二人の小学生。実はその作文は…。戦争を知らない世代が戦争体験を語り継いでいくことの難しさ、危うさを問う。大人になった二人が本人達の気づかぬところでリンクするラストも見事。
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これも戦争・広島の話だった。小学校の宿題で、戦争体験者の話を聞いて作文する。線路に押しつぶされて息絶えた馬の描写があった。どうすればそんな状況になるのか。。でもこの芥川賞作家は、今回も少しだけ話の視点がズレて、ちょっとドキッとする
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広島に住んでから、小山田浩子さんの本はずっと読みたいと思っていたが、本屋でパラパラページをめくると行間なくびっしり文字が並んでいる様からなんか読みづらそうだなと思い、立ち読みするたびに買わずに置いてしまっていた。この本は100分で読めるということで、ならば小山田浩子さん入門編とし...
広島に住んでから、小山田浩子さんの本はずっと読みたいと思っていたが、本屋でパラパラページをめくると行間なくびっしり文字が並んでいる様からなんか読みづらそうだなと思い、立ち読みするたびに買わずに置いてしまっていた。この本は100分で読めるということで、ならば小山田浩子さん入門編としては良いだろうと読んでみた。読みづらいと想像された文章も読み進めるうちにどんどん体に染み込むようになってくる。クセになるとはこのことかな。 まさに入門編としてちょうど良い。
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この作者のこのずらし方は奇妙な味でもある。かのような形で伝えることのほうがあるいは効果があるのかも。
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ハンドレッドミニッツノヴェラ 約100分夢中で読める中編小説。 よく行く書店の新刊コーナーで、 金原ひとみさんの「マザーアウトロウ」と言う作品の横に棚差しで陳列されていた本書。 ---------------------------------- 戦後80年 広島生まれの芥川賞...
ハンドレッドミニッツノヴェラ 約100分夢中で読める中編小説。 よく行く書店の新刊コーナーで、 金原ひとみさんの「マザーアウトロウ」と言う作品の横に棚差しで陳列されていた本書。 ---------------------------------- 戦後80年 広島生まれの芥川賞作家が いま“戦争”について描く ---------------------------------- 書店を見回すと各コーナーには 戦争にまつわる本が複数展開されていて。 夏休みだもんな〜、そーゆー時期だよな〜、 でも重たいのは読めないなあ、 と見送っていたんですが、 本書ならばと思い、手に取りました。 子どもの頃の夏休みの宿題、 戦争体験者から話を聞いて作文を書く。 小学生、教師、家族、クラスメイト。 戦争について考える。 広島の原爆の話も出てきます。 少し遠い過去の戦争だけれど、経験者が近くにいて。 作文の内容は戦争のことを書いているけれど、 実体験のない小学生たちの日常の言動(悪ふざけ等のの罪とも呼べない小さな罪)が差し込まれる。 そして、ロシア、ウクライナ、パレスチナ、 あちこちで戦争や軍事衝突が起こっている。 自分の中の遠近感が狂うというか。 戦争を知らない世代として生まれたのに、 今この瞬間に地球上で戦争が行われている。 どこかで何かが違っていたら、 ということを考えさせられました。 本当に100分ぐらいで読めるので、 本がなかなか読み終わらない!という焦り(を感じたりします、私。苦笑)もなく、ちょっとした達成感もあるのでおすすめです。
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