針女 の商品レビュー
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清子の目を通して描かれる戦争がとても恐ろしかった。こんな時代があったなんて…。 新しい生き方を模索し、働きたいと考える清子が大変清々しく、そして力強く感じた。
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いろいろ容赦なさすぎて、読んでいて辛い小説だった。 主人公清子が針を踏んでしまい足が不自由になる。時代性はあるが、足が不自由な人を貶める言葉が再三出てきて、身体の不自由なかたが読んだらどんな思いをするかと思うとつらい。 出征した幼馴染弘一を心の中で慕っていた清子、あるとき彼も自分を愛していたことを知る。その時の清子の思いも少女マンガ的な心境からは程遠い。終戦、弘一は無事戻ってくるが、それからの展開も少女マンガ的には行かない。 最後、清子が職業婦人として手に職を持って自立していく姿が暗示されて終わる。清子を陥れた針に最後には助けられるということか。 読んでいるときは容赦なさがつらかったが、現代人の目から見ると、それで良かったのだと思える。訳ありの夫や姑などに煩わされることなく針一本で立っていく清子に著者は希望を託したのだ。
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有吉佐和子の小説は、善人が善人なだけでなく、悪人が悪人なだけでないから、読後スッキリしないのに何度でも味わいたくなる。 お幸の変貌ぶりを思うに、人は自分の頭で考え、自分の手で生きる術をつかみ、自分の足で立たなければ、自分を見失ってしまうのかな。
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東京下町の大瀧三五郎の営む仕立て屋で、縫い子として働く矢津清子は、実の親はなく娘同然に三五郎とその妻のお幸と暮らしていた。 彼らの一人息子が出征をし、戦後に復員したが以前の真面目さは影もなく正体の崩れた男になっていた。 三五郎が亡くなり、お幸の清子に対する感情も障害を負った女に大...
東京下町の大瀧三五郎の営む仕立て屋で、縫い子として働く矢津清子は、実の親はなく娘同然に三五郎とその妻のお幸と暮らしていた。 彼らの一人息子が出征をし、戦後に復員したが以前の真面目さは影もなく正体の崩れた男になっていた。 三五郎が亡くなり、お幸の清子に対する感情も障害を負った女に大事な息子を盗られてなるものかという狂気に近いものがあった。 戦争というものが、家族同然に暮らしていたものにこんなにも酷い仕打ちをするのか… 愕然とする思いと縫い子一筋にやっていこうとする清子の思いに胸を打つ。 縫い子として針を進める手先の描写や針を踏んでしまい、それが原因で跛となったことの大変さも訥々と書かれている。 清子は、戦時下と戦後の混乱を生き抜いた強い女だったのではと思う。
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初読だった有吉佐和子さん。 青い壺で知ったのですが、一言で面白かったとは 言って良いのかわかりません。ただ、 戦争がもたらした様々な人間の闇や人を変えてしまうほどの打撃をもたらした事は事実であり 単純に戦争が良いとか悪いとかのお話では ありません。 主人公の清子、親代わりだった...
初読だった有吉佐和子さん。 青い壺で知ったのですが、一言で面白かったとは 言って良いのかわかりません。ただ、 戦争がもたらした様々な人間の闇や人を変えてしまうほどの打撃をもたらした事は事実であり 単純に戦争が良いとか悪いとかのお話では ありません。 主人公の清子、親代わりだったお幸、三五郎 息子の弘一 戦争がなかったらきっと、本物の家族に 慣れたのではないか。淡い恋心が成就していたのか 仄暗さもありつつ、時にハラハラしたが 筋の通った考えを貫いた清子が先に 幸せであって欲しいと、ただ願った。 それにしても、お幸も恐ろしい。 弘一は今の言葉で言うと「クズ」に思えた。 戦争で苦しんだのはアンタだけなの?と。 体験したことがないから苦しみは計り知れない だとしても心根の弱い男に清子は勿体ない。 読後は悪くありませんが、読み手によって 捉え方が著しく変わる物語でした。
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⭕️針女(しんみょう) 主人公の清子は両親を失った後、裁縫の親方・三五郎に引き取られ、親方夫妻と息子との家庭のもとで、我が子のように愛情をもって育てられていた。 三五郎の妻・お幸も、思いやりと優しさをもって清子と接していた。 清子は針子としての資質に長けていたようで、若い時から仕...
⭕️針女(しんみょう) 主人公の清子は両親を失った後、裁縫の親方・三五郎に引き取られ、親方夫妻と息子との家庭のもとで、我が子のように愛情をもって育てられていた。 三五郎の妻・お幸も、思いやりと優しさをもって清子と接していた。 清子は針子としての資質に長けていたようで、若い時から仕事を任されるようになる。 若い清子は、三五郎の息子・弘一に思慕の念を密かに抱いていた。 弘一は幼い頃から学業には秀でていて、大学は東京帝大に進んでいたのだが、学徒出陣で出征することになる。 弘一に召集令状が届けられた時、受け取ろうとした清子は慌てて立ち上がる時に縫い針を足に刺し、大層な手術が原因で右足が不自由な身となってしまう。 戦果も厳しくなり、三五郎宅も空襲で焼かれ、瓦礫を寄せ集めてバラックを建てて3人は雨風を凌ぐ生活になる。 ようやくの終戦後、清子が1人で髪を洗っている時に、突然弘一が戻ってきた。 弘一の無事の帰還に三五郎とお幸は喜び、以前にも増して弘一に優しく接することになる。 弘一も何故か出生前とは性格が一変し、明るく三五郎とお幸と会話するようになっていた。 所詮赤の他人である清子は、親密な親子3人の家庭には居づらい思いを抱くようになり、不自由な身体を弘一の前に晒したくない思いもあって自立することを決める。 清子の縫子としての腕を見込んで、戦後の混乱期に商才を発揮する河野婦人が手を差し伸べてくれる。 河野の事業は順調に成長し、1人暮らしの清子の生活も安定する。 そんな時、清子の仕事場を兼ねた住まいに弘一が現れるのだが⋯。
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描写が丁寧なので戦争を経験してなくても状況が目に浮かぶようだった。 戦争は人を変えてしまうんだなぁ 世津子さん好き
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