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暦のしずく の商品レビュー

4.2

24件のお客様レビュー

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2026/04/21

文耕の人となりを序章の解説で知ってしまったので、悲劇的な成り行きを覚悟して読んだけれど、一捻りある結末に、こう来たかとニヤリとした。爽快だった。この小説自体が、事実と拵え物が絶妙に混ざった文耕が語る講釈の再現のようで、時代物の醍醐味を楽しんだ。

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2026/04/19

あー面白かった! まるでまさに講談の様な! 沢木耕太郎はどこでこの仕舞かたを思いついたのだろう?鼻っからなのかそれとも中途で史実だけでは救いがないと思ったのか。 項が進むにつれ、項が数える程になるとこの旅も終わってしまうという寂しさ。これはKindleとかでは伝わらないんじゃない...

あー面白かった! まるでまさに講談の様な! 沢木耕太郎はどこでこの仕舞かたを思いついたのだろう?鼻っからなのかそれとも中途で史実だけでは救いがないと思ったのか。 項が進むにつれ、項が数える程になるとこの旅も終わってしまうという寂しさ。これはKindleとかでは伝わらないんじゃないかなあ。 まあ他人の読書体験などどうでも良いのだが。 そういえば『キャパの十字架』もわりと好きだったんだよなあ。 それにしても取材や調査は骨が折れたろうな。恐ろしいことよ。いや、それすらも話中の馬場文耕ではないか(笑)首を打たれることはないが。 楽しかったなあ、つまんないから酒でも呑もうっと。

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2026/04/17

『暦のしずく』沢木耕太郎(朝日出版)を読む。江戸の戯作者を正義のルポライターにみごとに仕立てあげるドキュメンタリー手法に感激した。「語ることは騙ること」という虚実問題を江戸期に考えるとしたらどうなるのか。史料を読み解く面白さと相まって、「真」なるドラマは日々の生活における市井の人...

『暦のしずく』沢木耕太郎(朝日出版)を読む。江戸の戯作者を正義のルポライターにみごとに仕立てあげるドキュメンタリー手法に感激した。「語ることは騙ること」という虚実問題を江戸期に考えるとしたらどうなるのか。史料を読み解く面白さと相まって、「真」なるドラマは日々の生活における市井の人々の人情とともに進行していくのだ。

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2026/04/11

沢木氏の初の時代小説。 剣客物、人情噺でもある本書。 講談師と同時にライターである馬場文耕が 沢木氏である。礼節の少年から、剣士になり。武士を捨て自由を得る。 山形の井上ひさし遅筆堂で氏の講演会に参加 サイン会にて、少しお話しさせていただいた。 内容はここで語れないが、 私にとっ...

沢木氏の初の時代小説。 剣客物、人情噺でもある本書。 講談師と同時にライターである馬場文耕が 沢木氏である。礼節の少年から、剣士になり。武士を捨て自由を得る。 山形の井上ひさし遅筆堂で氏の講演会に参加 サイン会にて、少しお話しさせていただいた。 内容はここで語れないが、 私にとって衝撃的で、生涯の宝となった。 その時に読んでいた本が本書であり、 他に多数あるなかで、サイン会用に購入したのも「暦のしずく」である。 つまり書棚に2冊ある。 見開き扉には、一文にある。 「天路を歩む 沢木耕太郎」

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2026/03/26

一緒に歩いているような気になる。史実を丹念に追っていて、同時代の本を読んだ時に読み流して事件の真相を知った気になった。

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2026/03/03

沢木耕太郎氏による初の時代小説。 江戸の庶民生活、剣術、恋愛、巨悪による陰謀と盛り沢山ながら、やがて一本の線へと見事にまとまっていく。 冒頭に結末が語られ、そこへ至るストーリーであると何度も思い起こさせておいてまさかのどんでん返し。

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2026/02/24

講釈師 馬場文耕が何故罪人となったか という話 江戸時代に生きる武士や町人、百姓の 人情や暮らしぶりがわかる いつの間にか文耕ファンになっている

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2026/02/16

沢木耕太郎さん初の歴史小説という事で興味深く読むも内容はさておき文体が合わず自分にはイマイチだった。

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2026/02/17
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※このレビューにはネタバレを含みます

 宮本輝に続いて、沢木耕太郎もかっ!?  昔からよく読んできた作家が、そろいもそろって作家生活の最晩年に歴史小説、時代小説に挑む。去年(2025年)は、1月から4月まで毎月新刊発行で、宮本輝作品を楽しませてもらった。  沢木の本作は買ってまでは、との判断で図書館に予約を入れておいたが、数カ月待たされて回ってきた。作家のネームバリューで人気図書のようだが、沢木の小説作品には、さほど期待していないというのが正直なところ。小説前作『春が散る』も、よく映画化までいったなという思いが強い。  その前作と較べると、こちらの小説は、沢木らしいといえば、より沢木らしい。  なにしろ序章は、沢木がこれから歴史上の人物である馬場文耕をルポルタージュしますよ、と宣言するかのように、いかに資料に当たり、いかに馬場文耕の人生を浮かび上がらせるかを、作者として語っていたりする。凡そ、歴史小説の体ではないな、というのっけからの書き出し。  が、その筆致がいかにも沢木らしくて、嫌いじゃない。例えば、こんな記載だ。 「実に馬場文耕は、日本においてただひとり、演じたその芸によって死刑にされた芸人であるだけでなく、書いたその記事によって死刑にされた唯一のジャーナリストでもあったのだ。」  その存在を、ほぼほぼ自分自身に重ねているかのようだ。町の噂を拾い集め、仮説を立て、事実を推測する。おおよそ、沢木がルポルタージュの中でやってきた手法を、そのまま馬場文耕の行動に重ねている。 「文耕は、秩父屋の話を聞きながら、ばらばらだったいくつかのことがひとつにまとまってくるように思えてきた。」  このあたりのクダリは、過去のルポで見られた気がするし、キャパ作品の真実を探っていたときの手法というか、その中にも似たような表現に出くわした気もするくらい既視感があった。あぁ、文耕=沢木耕太郎なんだと思って読めた。  前半は、ジャーナリズム、あるいはメディアの使命、役割、社会に対して果たせることを人情噺に絡めて描き、やがて大きな政治、権力に挑む形で、そのルポライター精神が発揮されていく。  終盤、文耕による以下の気づきは、そのまま沢木の思いに違いない。 ― そうだ、真は巷にあるのだ。町にあり、村にある。自分はそこにある真に遭い、それを拾い上げ、語っていたのだ。そうか、この文耕は巷にある真を見出し、掴み取り、語ることが役廻りだったのだ……。 「語ることは、所詮、騙ること。大いに騙っていただきましょう」 「それは、突き詰めていけば、真と嘘の境というところに帰していくのだろう。」  このあたりも講談師、戯作者としての真髄として文耕に語らせるが、ルポライター、あるいはクリエイターとしての沢木の境地でもあろうと興味深く読んだ。  主人公の文耕がとにかくいい男で、あまりに出来すぎの感はあり、謎の若侍里見樹一郎の存在も、あまりに訳ありすぎて先が読めてしまうが、徳川九代将軍家重を、世間を欺く姿として描いたり、ワイロ政治で好印象の少ない田沼意次を意外なキャラとして、なんなら、この物語の終焉後、文耕と意次で、なにかやらかしそうと思わせる設えは、実に痛快だった!  沢木の小説としては前作より、はるかに面白かった。  宮本小説と較べてどうかは、好みの分かれるところだが、歴史小説として成り立っていたのは宮本輝作品か。本作は、随所で、いたるところに沢木耕太郎が顔を出し過ぎていた印象だ。  とはいえ、昔、司馬遼太郎も、そんなテイストを醸し出していたかなと、ちょっと懐かしくもあった。

Posted byブクログ

2026/01/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

張り扇が鳴ると、場面が立つ。いまの講談の話だ。 『暦のしずく』が連れていくのは、その手前の時代。型がまだ粗い、江戸中期の講釈だ。 主役は講釈師・馬場文耕。元は浪人で、剣の腕も立つ。刀を置いて下町で語る。釈台を叩き、軍記を語り、やがて当世の事件へ踏み込んでいく。吉原、歌舞伎、番町皿屋敷。噂を拾い、確かめ、講釈にする。人気が増えるほど、危うさも増える。 本が高く、貸本が廻る江戸で、声は重要な情報源だ。語りは芸であり、時事であり、うっかりすると罪になる。『森岡貢物語』『秋田杉直物語』、そして郡上一揆に触れた『美濃笠塗らす森の雫』。言葉が刃になった瞬間、届いてはいけない場所へ届いてしまう。 しかもこの時代、どこまで語っていいのかが曖昧だ。線が引かれていないのに、踏み込んだら終わる。文耕はその綱を渡る。困った人を見かければ助けずにはいられない。だから噂へ近づき、真実を語ってしまう。 それでも読後に残るのは、剣客ものの手触りだ。無尽流。田沼意次。平賀源内。江戸の肌触り。最後に釈台を叩く音が響く。これにて一巻の終わりでございます。

Posted byブクログ