普天を我が手に(第一部) の商品レビュー
昭和年間(元年〜64年)に亘る大河小説。 全3巻1700ページ超の大作。 大正15年の年の瀬に大正天皇が崩御し1週間しかなかった昭和元年に、財閥・華族を背景に持つ陸軍少佐竹田耕三、金沢の侠客矢野辰一、文芸誌編集者森村タキ、大連の興行師五十嵐譲二らそれぞれに志郎、四郎、ノラ、満が...
昭和年間(元年〜64年)に亘る大河小説。 全3巻1700ページ超の大作。 大正15年の年の瀬に大正天皇が崩御し1週間しかなかった昭和元年に、財閥・華族を背景に持つ陸軍少佐竹田耕三、金沢の侠客矢野辰一、文芸誌編集者森村タキ、大連の興行師五十嵐譲二らそれぞれに志郎、四郎、ノラ、満が誕生するところから第1巻は始まり、真珠湾攻撃で終わる。 張作霖爆殺事件、満洲国設立、2.26事件、支那事変と軍国主義が国内で台頭していく中、良識派として対米開戦回避に動く耕三、有力代議士野口徳三郎の後押しを得て右翼の大立者となっていく辰一、コミンテルンとも関係しながら女性解放運動を進めるタキ、満鉄の謀略と絡みながら満州でのビジネスを拡大する譲二たちの動き(や、子供たちの成長)から、世情や時代背景、各勢力の複雑な動きを重層的に描き出す。 どこか楽観的で諧謔味を含む語り口もあって、過度に悲観的なトーンに陥ることなく、当時の状況を現実味をもって感じられる。 ページ数は多いが、平易な表現や生き生きとした登場人物たちのおかげで全く苦にならない。 主人公は親の世代だが、第2世代たちの人生も所々で交差するのが面白い。
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高校で日本史を取っているということで、全体の雰囲気を掴むためになにかフィクションで読みたいなと思っていた時に見つけた一冊。3部構成ととても長く、読み応え抜群。だんだんと主人公たちの間に繋がりが出来ていくところが心地よい。授業で戦時のことを詳しく学んだ今また読み返したい本。
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昭和元年から戦争開始までのお話。陸軍、警察、右翼、左翼、満州などなど盛りだくさんの内容で、それぞれの人物が絡み合って時代が進んでいく。今からたった100年前の話だというのも信じられない。自分にとっては曽祖父母や祖父母が生きていた時代でもあり興味深かった。第二部以降は順番待ち。
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三部作の一部でこのボリュームと迫力。 昭和元年から太平洋戦争までの日本が徐々に確実に戦争に向かう中で奥田英朗の真骨頂の群像劇が展開される。 国民性というものは簡単に変わるわけではなく、 我々日本人が当時と今と何ら変わらない事にもっと自覚的で無ければならない。
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昭和元年に生まれた4人の子どもの成長を追いながら昭和史を語るこの本、第一部は元年から太平洋戦争開戦まで。まだ子どもたちはあまり語られず、親や保護者の生き様が綴られます。 陸軍少佐・竹田耕三と息子の志郎。 金沢の賭場を仕切る矢野辰一と養子の四郎(紡績工場の湯川社長から預かった妾の女...
昭和元年に生まれた4人の子どもの成長を追いながら昭和史を語るこの本、第一部は元年から太平洋戦争開戦まで。まだ子どもたちはあまり語られず、親や保護者の生き様が綴られます。 陸軍少佐・竹田耕三と息子の志郎。 金沢の賭場を仕切る矢野辰一と養子の四郎(紡績工場の湯川社長から預かった妾の女工員が産んだ)。 群青という女性向け文芸雑誌の編集者・森村タキと娘のノラ(佐藤安治という共産党を母体とする団体で活動する助教授と不倫して産んだ)。 大陸に活躍の場を求めたバンドマン五十嵐譲二と息子の満。 四人ともその道で自分の生き様を知り、うまく生きたり、信念を貫くような行動を取るので読んでいて徐々にのめり込みます。そして四人はその道でそれなりの人物たちなので、話は別々に語られていきますが、交錯したりします。 600ページを目の前にして、第一部と書いてあるこの本を手に取る人は、きっと読書好き、また奥田英朗ファンです。私は話題本だったので、仕方ない、……よむか、という後ろ向き姿勢で読み始めました。最初の300ページは結構日本史の教科書をなぞっているのか?というくらい展開薄めで眠くなります(個人の感想です)。でも、最後の方は登場人物にも入れ込んできて、続きが読みたくなる感じになりました。内容はめちゃくちゃ骨太なので、好みが合えば間違いない一冊だと思います。 不倫もヤクザの闘争もあるしそもそも長くて楽しめないと思うので高校以上向け。神童なら小学生から個人渡しでOK。
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昭和元年生まれの四人の主人公。任侠人、陸軍軍人、雑誌記者、ミュージシャン、それぞれの立場から昭和初期の世相が語られていく。当時の日本にとっての満州がどういった意味だったのか少し理解できた。物資の困窮、治安維持法など少しずつ戦争に進んでいく世相が痛ましい。四人の子供たち(第三部での...
昭和元年生まれの四人の主人公。任侠人、陸軍軍人、雑誌記者、ミュージシャン、それぞれの立場から昭和初期の世相が語られていく。当時の日本にとっての満州がどういった意味だったのか少し理解できた。物資の困窮、治安維持法など少しずつ戦争に進んでいく世相が痛ましい。四人の子供たち(第三部での主人公)の生い立ちもわかって良かった。これは昭和史を語る壮大な物語として貴重な一冊。わずか一週間しかなかった昭和元年生まれの四人。それぞれの親は、金沢の侠客一家、実家は銀行一家の陸軍少佐、満州に渡った楽士であり興行主。それに女性雑誌の編集者であり未婚の母。戦争の色濃くなる昭和初期をその4つの舞台で描くのだから面白い。戦争を避けたいだけなのに左派グループのリーダーにされたり、ただのやくざが右翼団体の頭目に担がれるなど世の中に翻弄されるが、やれることを頑張る男たちだ。一方タキは反戦運動の女と徹底マークされる。そんな親たちを見て育った子どもたちはいずれも聡明でたくましい。次巻は彼らの時代かな。昭和元年生まれ4人、その親子の大河ドラマ? 次の子は元年の生まれだ、新しい時代の申し子 昭和の最初の日に生まれた子や、ろくでもない出生かもしれんがそれを跳ね返して何かやってくれうやろう 名前はノラにしようと思う 男の子の名前は満にしよう、満州生まれの五十嵐満だ 満州事変はちゃんと事前に宣伝を繰り返しておけば国際連盟を脱退するほどの非難は浴びなかった 陸軍では必ず積極論が勝った 信仰に人生を捧げ妻帯しないつもりでした、しかし同じ信仰を持つ女の人なら結婚もいいかな 誰も逆らえないお方…天皇が少将人事を指示?大正15年(昭和元年)12月25日未明、陸軍少佐・竹田耕三の元に、長男志郎が誕生。同日、北陸・金沢で、矢野一家の親分・矢野辰一が、懇意の社長から預かっていた女工が出産後死んだことを知る。辰一は孤児四郎を自分の手元で養育することに。東京・神保町で進歩的な婦人雑誌「群青」の編集者として働く森村タキが、妻子持ちの社会運動家との間にノラを出産。同年の大晦日、野心を胸に中国・大連へわたった五十嵐譲二は、主宰するジャズ楽団の年越しパーティ中に妻から出産(命名満)報告を受ける。一部は親世代の話。戦争反対者の耕三が良い。昭和元年に生まれた4人の成長記かと思ったら、親世代の話?普通選挙法、治安維持法?1925年って大正末期だったんだぁ!年号丸暗記の歴史しか知らない自分の無知さ加減に呆れ果て、戦争への過程は教科書の1ページにしか過ぎなかった私に、突然それが祖父母の生きた時代だという衝撃と戦慄が走る。どんなに足掻いても開戦だとわかっているのに、何とか戦争を食い止めなくては…と竹田に気持ちがシンクロする。「危険なのは全員が同じ方向を向くことである」という言葉が重い。4人それぞれの形で迎えた開戦の日。2部の展開が楽しみで仕方ないさすが奥田英朗!竹田耕三、森村タキ、五十嵐譲二、矢野辰一。4人のキャラが鮮明に立ち上がり、血が通っている。開戦前夜に竹田耕三のように、必死に和平を模索した軍人もいたことを初めて知った。続きがとても楽しみ。人を巻き込み押し流す時の大河のただ中で己の時間を懸命に生きる者達の群像劇♪視点は四つ。穏健派陸軍文官・北陸の任侠親分・自由平等を謳う女性記者・外地大連の興業主。人物造詣が惚れ惚れするほどの典型であるが故に彼らの意志と迷いを通してあの時代を公平に俯瞰できる。第一部は昭和元年から16年の開戦まで。昭和史は領土拡大から焦土敗退そして高度成長と激しい上下動で賛美も多いが反省も多い。それを特定の主張に誘導することなく教科書的にもならず歴史の肝だけ押さえて見事なエンタメ小説に仕上げた作者の手腕に心から拍手を送りたい。
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4人の昭和元年生まれの人達の話になるんだろうけど、まだその親世代の段階。 ここから日本の状況が悪くなるけど、、しんどそうやなぁ、、、、。 けど、各人は魅力があり時代も分かりやすく面白く読んでます。続きがたのしみ。
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武田幸三。岩井財閥の三男。兄2人は銀行。自分は軍人に。陸軍の暴走を止めるグループのリーダー。暗殺されそうなる。双葉卒の娘は米国留学。戦争を止める為にフリーメイソンのルートで在日アメリカ人と会うが。ハルノートをつきつけられ、話は消えた。米在日大使館勤務になる。戦争が始まりそう。資金凍結されたので金を日本に戻る部下に手持ち。スパイ活動で拘束。釈放されるが、日本軍が真珠湾攻撃 金沢の侠客。矢野辰一。右翼団体の会長になる。 知り合いの社長が認知しなかった子供を育てている 勉強も、スポーツもできる。アメリカには勝てない、広がらないうちに講和すればよい。元役人の平山の影響。地元の社長からストライキの停止を依頼される 労働組合のリーダーの腕を切り落とした。 その恨みで撃たれる。一回目で、びっこに。二回目で撃ち殺される 婦人誌の群青の記者森村タキ。大学教授と不倫、シングルマザー。不倫相手は労働組合をサポート。金沢でヤクザ矢野辰一に片腕を切られる。復讐で辰一を撃つが殺せなかった。満州に逃げてロシア人のふりをするが見つかり、死体が池に浮かび事故死扱い。森村は共産党運動員から手紙が届いただけで逮捕。濡れ衣。雑誌の読者の富裕層婦人が不正逮捕を指摘て釈放。常に監視対象。真珠湾攻撃後、共産党員渡辺かよが丸の内でビラをまき逮捕。バケツリレーの練習に参加した自分を恥じて、戦争反対ビラを同じ場所で配り逮捕 五十嵐穣二。慶應大卒。トランペット奏者として活躍。黒人ジャズバンドに敵わないので、レストラン経営、イベント興行を始める。満州鉄道にコネができて成功。ホテル。ジャズクラブ。甘粕とも面識。関東軍にアヘンの受取をさせられている 満州の宣伝映画を依頼され、久しぶりに息子と中国ロシアハーフの部下と息子と帰国。部下は日本の軍需施設に撮影を依頼されていた。逮捕は免れたが二重スパイ活動を依頼。戻らなかった。真珠湾攻撃の直前、ジャズコンサート禁止。バンドも満州行き禁止。トランペットが送られてきた。
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最初は登場人物が多く、混乱したが、今回は奥の手で最初に著者インタビュー記事を読んで納得。 4人の登場人物、性格にはその子供たちの戦前から戦後にかけての小説。 4人の登場人物がわかるとすっかりこの世界に没頭。 三部作が楽しみ!
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またまたぶ厚い!しかも3部構成(笑) 竹田耕三と志郎 矢野辰一と四郎 森村タキとノラ 五十嵐譲二と満 子供の成長と合わせて、それぞれおもしろかった。 4人、いや8人の道が交差してくる感じ。 未来に起こる出来事が今から待ち遠しい。 ゆっくりじっくり楽しみたいですね。
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