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知性について の商品レビュー

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27件のお客様レビュー

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2025/07/06

この方の文章を読むと、なにかものを書きたくなる。不思議と行動に移したくなる。まさに「不活性部分に通電して強い鼓動を始める」ような本。 いちばん強いメッセージは、読書は「わからないところにこそ目を向けろ」ということ。目次から推測して読む定番の速読法だと、パッとわかる文以外を無意識...

この方の文章を読むと、なにかものを書きたくなる。不思議と行動に移したくなる。まさに「不活性部分に通電して強い鼓動を始める」ような本。 いちばん強いメッセージは、読書は「わからないところにこそ目を向けろ」ということ。目次から推測して読む定番の速読法だと、パッとわかる文以外を無意識で読み飛ばすようになってしまう。人間が成長するのは、わからなかったことがわかるようになったとき。じっくり分からない部分を洗いだすことが大切。

Posted byブクログ

2025/07/05

『アイデンティティーを共有する集団が社会的行動の基本となるべきだというのは、それだけ聞くと当然のように思われるかも知れませんが、「アイデンティティーを共有する」ということになると、一度その集団に登録された人は、「共有されたアイデンティティー」を変更することができなくなる。集団的な...

『アイデンティティーを共有する集団が社会的行動の基本となるべきだというのは、それだけ聞くと当然のように思われるかも知れませんが、「アイデンティティーを共有する」ということになると、一度その集団に登録された人は、「共有されたアイデンティティー」を変更することができなくなる。集団的なアイデンティティーに居着くことを強要される。その集団が定めた「うちのメンバーなら、こう考え、こう感じ、こうふるまうべきである」という定型の習得を義務づけられる』ー『15「複雑化」するための教育/「自分らしさ」に居着いてはならない』 内田樹師の理路はいつも平易だ。しかしそれを自分ひとりで辿ろうとすると途端に道を見失う。個人的な経験からも、優れた先達からの教えとは常にそうしたものだという感覚が自分にはあって、例えば、リチャード・ファインマンの説明は聞いている時には分かった気になるが後で考え直してみるとよく解らない、というような逸話もそれを裏付ける。以前、後輩を指導するような立場に在った頃、図や式を書きながら説明したメモを「それをもらってもいいですか」と聞かれたものだったが(そしてそれと同じことを自分も頼んだこともあるが)、その時に理解したと思った理路はそこにはなく、残念ながらそのメモから同じ道を辿ることはしばしば困難だ。そこにあるのは何かを指し示した記号だけなのであって、指し示されたものは直截には見えていない。なので師の本は何回か読み返すのだが、読み返すといつもまるで初めて聞いたことのように脳が勝手に感じてなるほどと思う。とは言え、その論はいつも大体同じところに着地しているようにも感じるという不思議さ。聞いたことのある感覚と初めて聞かされたような感覚の混在。本書の中でも言及される「伝道師」という立ち位置の説明を聞いて、その感覚の混在も尤もなことなのだろうと少し理解する。あたかも論語の「子曰く、」と始まる話を聞いている感覚に近いものをこの人の理路には覚えるのだな、と。 ソーシャルネットワークやブログの文章にも接しているけれど、内田樹師の文章は単行本となった形で読むのが常に一番しっくりとする。それはきっと、この哲学者が志向するものが小さな論に収まり切らない「大きな考え」にあるからなのだろうと本書を読んで改めて思う。本書は特に元々韓国の読者を対象に書かれた「問答集」のような本であるため丁寧に説明が為されていることに加え、質問者が妙な色眼鏡を掛けずに問い掛けているためでもあるが、中心にあるその「大きな考え」の下地を丁寧に解説し、「説く」というより「指し示す」、という態度で書かれているためかも知れない。「百聞は一見に如かず」という言葉はややグラフィカルなものへの偏重が感じられることわざだけれど、何かを説明する時に「絵にして見せる」ことは伝えたい「概念」を様々な意味の既に張り付いてしまった口語やきっちりと定義された専門用語に載せ代えるよりも「直截的」に伝え易いとは思う。もちろん、そうやって伝わったものが自分が示そうと思ったものと同じである保証はないけれど、そこで新たに見出された理路が間違っているとも言えない。使い得るものはシニフィアンに過ぎないけれど、伝えたいものはシニフィエなのだ。そのことをこの著述家程にはっきりと意識して書いている人はいないのではないだろうか。そしてそのシニフィエのことを伝えようと思っている人が必ずしもはっきりと理解していない可能性もまたある、そのことも含めてこの哲学者の示す態度は公正だ。そんな思考を重ねて「原理」に近づこうとすると判ってくるのは、原理とは白黒のはっきりとした単純なものではなく、複雑な反射面を持つものなのだということ。差し詰め、意味は常に他者を通して自分の中に返ってくる、っていうことかな。

Posted byブクログ

2025/06/30

知性が拙い私は慣れない新書を読むのに体力が必要だったけれど、内田さんなりの「文武両道」の解釈が興味深く、感銘を受けた。 他人を批判して、相対的な優劣を語ることをやめた話。 誰かや何かを批判をして自分が成長するならいくらでも判するけれど、批判したところで自分は何も成長しない。 だか...

知性が拙い私は慣れない新書を読むのに体力が必要だったけれど、内田さんなりの「文武両道」の解釈が興味深く、感銘を受けた。 他人を批判して、相対的な優劣を語ることをやめた話。 誰かや何かを批判をして自分が成長するならいくらでも判するけれど、批判したところで自分は何も成長しない。 だから誰かに批判されても誰とも論争はしたことがない。 指摘されたことが正しければ、そのまま「そうですね」と頷いて受け入れ、指摘されたことが間違っていれば、相手にすることはない、と。 それを合気道の師匠から学んだという話。 できることなら、門人の全員が自分より先へ進んで欲しい。自分を超える弟子を育てること、それが教育の開放性、豊饒性ということだと思う。という話。 素晴らしいと思いました。

Posted byブクログ

2025/06/29

久しぶりにこの方の本を、良い意味でまた同じようなことを述べているなという感覚で読んだ。考え方が一貫しているということなんだなと思う。 弟子という存在が、「自分がよく理解できていないことについても論じることができる」ポジションであることという話や、読んでいて自分が分からないことを...

久しぶりにこの方の本を、良い意味でまた同じようなことを述べているなという感覚で読んだ。考え方が一貫しているということなんだなと思う。 弟子という存在が、「自分がよく理解できていないことについても論じることができる」ポジションであることという話や、読んでいて自分が分からないことを「喉にささった魚の小骨」としてずっと気にかけ続ける・「理解できないこと」のリストを長くしておくことといった話を今回も浴びる形となって、著者について存在を教えてくれた高校時代の塾講師に教わって以来の懐かしさと確からしさを改めて感じた。

Posted byブクログ

2025/06/23

知識は誰にも奪われることのない財産って昔にそんな言葉があったけど、本当にすべての人が生きていくためには、独り占めしない知の共有が必要なんだよねって内田先生が言ってくれてます。 僕も弟子のひとりとして。伝道していきます。 まずは友だちの誕生日におすすめの本をプレゼントするところか...

知識は誰にも奪われることのない財産って昔にそんな言葉があったけど、本当にすべての人が生きていくためには、独り占めしない知の共有が必要なんだよねって内田先生が言ってくれてます。 僕も弟子のひとりとして。伝道していきます。 まずは友だちの誕生日におすすめの本をプレゼントするところから。

Posted byブクログ

2025/06/15

知性という話ではないが、日本人は日本語しか使えない国で過ごしているため、外国で「世界は広い」と思える機会があるが、米国などの英語圏の人はこういった感覚を得難いのかもしれない I want to develop the kind of intelligence that all...

知性という話ではないが、日本人は日本語しか使えない国で過ごしているため、外国で「世界は広い」と思える機会があるが、米国などの英語圏の人はこういった感覚を得難いのかもしれない I want to develop the kind of intelligence that allows me to break out of my own mold—to have the courage to be fluid and ever-evolving.

Posted byブクログ

2025/06/08

勝手に師と思っている内田樹(韓国て最近人気らしい)が、韓国の人から寄せられた質問に答えていく本 ウチダ節、全開。 心地よい。 右翼も左翼もフェミニズムも、それぞれ賛同するが原理主義には組しないというこのひとのスタンスは、どこまでも人間的だと思う

Posted byブクログ