ファラオの密室 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
白川尚史、デビュー作なのか「異能の持ち主」だな、経歴も東大工学部→AI研究→起業して上場企業CTO→マネックスグループ取締役・・・「なぜこの人が古代エジプトを舞台にした本格ミステリを書ききったのか……」と二度驚く、ビジネスでいうブルーオーシャン戦略でツタンカーメンの前王の死というタイミングを狙って小説にするとは普通の新人が絶対に思いつかない発想、スケールと論理にエジプト神話をトリックの核に据えるなんて天才的 紀元前1300年代後半、アマルナ期の余波、アクエンアテン王が押し進めたアテン一神教が伝統的な多神教の神官層・民衆から猛反発を受けファラオ自身も揺らぎ始めた時代、そこに「アテンの名を騙るモノ」による太陽の暴走の危機が重なる、神官長メリラアが「死せるアクエンアテン王を復活させて息子ツタンカーメンに信仰を元に戻させる」必要に駆られるのもむべなるかな 政治・信仰・欲望と神々の秩序が絡み合ってエジプトの摩訶不思議な世界に誘う発端は「セティの心臓を欠けさせた」行為だ(単なる個人的怨恨や狂気の沙汰ではなくエジプトの神々とアテン神・一神教を強いたアクエンアテン王とそれに反発する諍いという時代背景が憎い) セティは冥界の死者の審判(心臓をマアトの羽と秤にかける儀式)で「心臓が欠けている」と宣告され永遠の彷徨いを免れるために地上に舞い戻る、期限は3日、自身がなぜ命を落とし心臓を奪われなければならなかったのかを追う過程で上司の魂胆ー真の狙いが明らかになる、それは現代人から見れば理不尽だが、個人的な恨みなどではなく大望のための「練習」に過ぎなかった 当時のエジプト社会の宗教的・政治的危機感を前提に、現代の価値観で「ありえない」と一笑に付すのではなくセティ自身がその理不尽を「必要悪」として受け入れるに至る心理の機微を一切の説教臭なく物語の流れの中で自然に理解させてしまう、この「当時の視点での必然性」をここまで鮮やかに描き切る力量はまさに異才と呼ぶほかない ミステリーとしての完成度も高い、密室トリックは古代エジプトの建築・ミイラ製作技術・宗教儀礼を徹底的に駆使したもので論理的にも視覚的にも納得のいくものだ、加えてセティの3日間というタイムリミットがもたらす緊張感ミイラでありながら人間らしい葛藤を抱える主人公の魅力脇を固める個性的なキャラクターたち(特に奴隷の少女カリの視点が現代読者に寄り添う良き緩衝材となっている)ラストには幸せなどんでん返し──エンターテインメントとしても申し分ない、読後感は爽快でありながらどこか重い、エジプトの神々が人間の営みに深く介入し信仰の対立が一人の死を「必然」に変える世界、その中でセティが自らの死を「理不尽」ではなく「必要な犠牲」として受け止める姿に現代を生きる私たちも考えさせられる、白川尚史という新星がミステリーの枠を超えて歴史小説ファンタジー宗教哲学の領域まで軽やかに踏み込んだ一冊、古代エジプトに興味がなくてもミステリー好きなら絶対に損はしない、むしろ読まなければ損だ、強くおすすめする、次作が待ち遠しい、稀有な才能の誕生を祝福したい
Posted by
面白かった! 古代エジプト好きの私にはたまらない。 表紙絵が軽くネタバレだが ならではの謎解きなど楽しんだ。
Posted by
生活や信仰背景等も知れて良い勉強に。エジプト展でももうちょっとじっくり浸かれそう。先王の展示会日本でもして欲しいな。ミステリーも特殊だけど読み応えもありました。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
終盤、奴隷の女の子が覚醒しすぎな気が。 それ以外はエジプトのコンセプトが新しくて面白かった。 真犯人がそこまで印象に残らなかったけど、最後当たりは熱血展開でこれもありかとおもっちゃった。 なんなら登場キャラより作者さんの略歴のほうが印象に残っている。
Posted by
時間がかかり、先ほどやっと読了しました。 恥ずかしながら、わたしは、歴史全般のみならず、古代エジプトの歴史的背景には、とんと無知な状態からの、初のエジプトのミステリーでした。 いや〜、そこ、分からない?、とツッコまれそうなほど、大切な箇所が私には難解で、読み切るのにたいへんだった...
時間がかかり、先ほどやっと読了しました。 恥ずかしながら、わたしは、歴史全般のみならず、古代エジプトの歴史的背景には、とんと無知な状態からの、初のエジプトのミステリーでした。 いや〜、そこ、分からない?、とツッコまれそうなほど、大切な箇所が私には難解で、読み切るのにたいへんだったかもです。 中盤くらいからの怒濤のごとき謎解きの数々は、圧巻で、ページをくる手が止まらないほどでした。 この本も、私の大切なかたから、是非と薦めて頂きました。 これまでと違った世界観が味わえて、なおかつ面白かったです。 読んで良かったです。
Posted by
最後まで読めなかった...(lll- -)チーン 読書体験というよりは、台本読まされてる感じ。状況整理の説明文みたいになってしまっていて、セリフはテンプレっぽい。想像力を必要とされない書き方なので、読みやすいっちゃぁ読みやすいかもしれないけど。。。 それぞれ好みですが、私は好...
最後まで読めなかった...(lll- -)チーン 読書体験というよりは、台本読まされてる感じ。状況整理の説明文みたいになってしまっていて、セリフはテンプレっぽい。想像力を必要とされない書き方なので、読みやすいっちゃぁ読みやすいかもしれないけど。。。 それぞれ好みですが、私は好きではなかったなぁ。。古代エジプトとか神様の話とかは大好きなんだけど。
Posted by
率直に、面白いテーマだと思った。本当に実験的(?)なテーマとエンタメに清々しいほど振っていると思うので、なんか全体的に軽めなのもご愛嬌かなぁ。著者のご経歴も面白い。
Posted by
エジプトに関する知識はほとんどなかったが読みやすかった。探偵役も話の展開もこの舞台ならではのという感じ。しっかりミステリーしてて満足。 エピローグにでてくるある名前をみて「あ、そうなんだ!」と思わず唸りました
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
このミス大賞ということで買ってみた(半分は表紙の子が可愛かったから)。舞台となる古代エジプトについてあまり知識がないので(世界ふしぎ発見のエジプト回を数回見て知った程度)、若干不安ではあったが特に問題なかった。ただ時代背景だとか死生観だとかがちょっと理解できない部分はあったが、全体的に楽しめた。 が、問題なのは肝心のミステリー部分に関して。作品の中で大きく2つの事件が発生するが、そのどちらもが現実味に欠けていてちょっと拍子抜け。なのでミステリーに期待するとガッカリするかもしれません。ファンタジーだと思えば楽しめます。 1つ目の石運び毎回最下位事件。蛇行している事に気付かない程度の蛇行で2時間も遅らせることができるものなのか? 2つ目のミイラ消失事件。こちらは金田一に出てくるトリック並みに落胆する。P300に空気穴の外まで200シェセプとある。1シェセプ7.5cmなので1500cm。垂直方向で矢に縄(包帯)付き。矢が外に出たとしても、頭が入る程度の空気穴に2本目を射る時は、そこに縄が2本垂れ下がっているのでさらに困難。仮に2本目の矢が外に出たとしても、滑車の状態になるためには2本目の矢が1本目の下に入らないといけないのでさらに困難。仮に滑車の状態ができたとしても、ミイラが付いた縄を引っ張れば2本目の矢が折れる可能性が高くさらに困難。仮に引っ張れたとしても、ミイラが2本目の矢に引っ掛かりさらに困難。仮に引っ掛からなかったとしても、ピラミッドは傾斜ではなく階段状になっているので重りの黄金のサンダルが転がり落ちずさらに困難。仮に転がったとしても、黄金のサンダルがミイラよりも相当重くないとミイラは外に出ていかず… 果たしてこれが成功する確率はどのくらいなのだろうか。この超低確率のトリックを、弓の名手でもないカリがわずか小一時間ほどで成功させたのは、ファラオの加護なのだろうか。 とまぁ、どうせならミステリーにせず、歴史物にしてくれたらよかったのに(それだったらきっと読んでないと思うが)。 あとカリの人物像が安定してないように思った。突然の名探偵津田みたいな展開にはちょっと笑った。 長々と書いたが最後にもう1つ。 この表紙にしたのは悪手だと思う。(自分もだが)大抵の人はこの人を主人公のセティだと思うだろう。でも読み進めるとセティは男だと分かる。てことはカリか。でも奴隷はこんな高そうな装飾品を身に付けないし…てことは誰?? ……やっぱりお前やったんかい!ってなり、オチが弱まった人は多いと思う。 (この表紙イラストはAIなんかな?手が変すぎる)
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
全く前情報を入れずに読んでみたら紀元前のエジプトの話で主人公は死んでるし神様出てくるし生き返っちゃうしミステリーなの?!と思いつつ、しっかり謎解きもあってちゃんとミステリーでした。セティの真相は割と序盤でわかってしまったけど。 ただ、ミイラが外に出る仕掛けだったり死生観も違うので普通のミステリーというよりかは私にはファンタジー色が強過ぎたかなあ。 最後、カリがどれくらいで外に出られたのか?あとセティがやっと心の内を明かしても、もう死んでるんだよなあという気持ち。
Posted by
