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バベル オックスフォード翻訳家革命秘史(上) の商品レビュー

3.9

38件のお客様レビュー

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2026/04/09

他言語の翻訳の限界。埋まらない理解の溝が権力と金の流れを支配してゆく。言語ファンタジーだからこそ描き出せる現代社会の地域・人種差別や男尊女卑の闇。脚注がいっそ虚構世界を強化して現代社会のメタファーへの皮肉たっぷり。読み応えがすごい。

Posted byブクログ

2026/03/31
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※このレビューにはネタバレを含みます

「翻訳で失われる意味」を魔法のエネルギーにするというのは独創的な設定ですね。 上巻の半ばまでは、正直なところ物語の運びが少し回りくどいと感じる部分もありました。著者自身のオックスフォードに対する強い思い入れや、アジア系学生としての複雑な視点が色濃く反映されているせいか、必ずしもストーリーに直結しない衒学的な描写も多く、もっと軽快なエンターテインメントを期待していた身としては、少し足踏みをしているような感覚があったのも事実です。 しかし、主人公たちがイギリスを離れ、広東へと渡るあたりから物語の相貌が一変します。 それまで「知識」としてしか知らなかった植民地主義やアヘン貿易の残酷な実態を、彼らが最前線で「現実」として突きつけられる。その圧倒的な不条理を経験した結果として、ロビンが実の父であり支配者でもあるラヴェル教授を殺害するという凄絶な決断を下す流れには、強い説得力がありました。 そこでようやく、本作が単なる魔法学園ものではなく、差別への抗議や、不実な支配体系への反乱を描く「切実な物語」であることが明確になった気がします。 林則徐が登場し、アヘン戦争という実在の歴史のうねりに物語が飲み込まれ始めてからは、一気に引き込まれました。著者が自身の経験を通して抱いてきたであろう「怒り」の熱量が、ここからどう爆発していくのか。期待を持って下巻を手に取りたいと思います。

Posted byブクログ

2026/03/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

図書館で借りた本。『バベル』というタイトル通り、言語に関連したファンタジーらしい、という情報だけで読み始めた。 かなり独特なファンタジーだった。銀の棒に同じものを表す別の言語の単語を刻むと、言語間の意味の微妙な違いによって不思議な魔術的力が作用する、という変わった設定。時代は大英帝国の全盛期とも言うべきアヘン戦争開戦直前、有名な林則徐も登場したりする。 主人公は広東で生まれ育った少年ロビン・スウィフト。銀工術がテーマではあるのだが、上巻の間ではほとんど術を使う場面がない。それが上巻の最後の最後に、父殺しという形で発動する。 初めからずっと不穏なものが根底に流れている物語だとは感じていた。ロビンの生活も、バベルと呼ばれるオックスフォード大の王立翻訳研究所も、大英帝国も、非常に危うい、何かの拍子に壊れてしまいそうなバランスの上に成り立っている、そんな印象を抱かせる。ロビンはヘルメス結社の陰謀に加担するが、蓋を開けてみれば同期4人のうち3人が結社の息がかかったスパイだったことが判明する。もうダメだよこの学校。 この感想は上巻を読み終えた時点で書いているが、先の展開の予想がつかない。本のタイトルが『オックスフォード翻訳家革命秘史』となっているので、これから革命を起こすのだろうか?ロビンが?まあ父親の教授を殺してしまったので、元通りの生活には戻れないだろうが… あまり幸せな結末を迎えそうにないが、ロビンには幸せになって欲しい。確かにラヴェル教授は差別主義者のDV野郎でろくなものではなかったが、それでもロビンにとっては父親であって、親殺しは呪いとなるだろう。果たしてここから幸せになれる展開があるのだろうか。 それから同期のラミー、レティ、ヴィクトワール。正直誰もが不幸な結末を迎えそうである。特にレティ。一人だけ結社のスパイじゃないし、植民地に対する感覚も同期の3人とは違うので、いかにも悲惨なことになりそうな気がする。 物語は勧善懲悪でハッピーエンドでなければならない、というのは窮屈な思考だと最近感じていて、色々な形の物語があっていいと思っている。読んでいて不快な話とか、悲しい話、恐ろしい話にもそれはそれで価値があると思う。だが、それでも主要人物達、バベルの同期4人の幸せを願わずにはいられない。あまり叶いそうにない願いだが、下巻を続けて読んでいこうと思う。

Posted byブクログ

2026/02/27

国が搾取され、そうした現実になんの疑念も抱いていない帝国主義に不信感を持ちつつ、置かれた環境に矛盾を抱えている主人公たちになんとも言えない気持ちになった。。言語がこの物語のキーになっていて、語源とか翻訳についての解説もまた面白かった。

Posted byブクログ

2026/01/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

書評を見てからずっと読みたかった本。いっきに読んだ。 翻訳がテーマなので、翻訳について何度も議論が交わされている。翻訳は原作そのものにはなりえない。原作のニュアンスを真に伝えることはできない、といった主張や言葉が通じることで広がる世界など否定や肯定が重なり合っている。 話自体は時々読み進めるのが苦痛になるような虐待や差別が書かれている。 主人公の行動や仲間、周囲の人の様子などありきたりな部分もあり、話の流れもどこかでみたような話だったりもする。こうなるんだろうな、という方向に最後まで話が流れていく。 悪者側の人物たちがカリカチュアライズされすぎているように思える。でも、こういう小説に出てくるような人って本当にいるんだよな、とも思う。びっくりするような差別意識の人、それをはばからない人、尊大な人、自分を高級だと思っている人が実在することをわたしも知っている。著者は実際にオックスフォードにいたようだし、小説だと思うなかれというところなのかもしれない。 部分部分は退屈で、2冊の本を最後まで読むのは時間がもったいなくなる時もある。 しかし、できれば、途中を飛ばしてもよいから、最後に主人公が友人と話をするシーンは読んでほしい。 翻訳とはなにかを長く議論してきたこの小説の、希望に満ちた一つの結論が書かれているからだ。

Posted byブクログ

2026/01/12

タイトルからノンフィクションかと思っていたらパラレルワールド的ファンタジーだった。 大学、マント、世界中から集められたエリート学生たちの寮生活…とちょっとダークなハリポタっぽいところも。 一応魔法っぽいのが出るけどこの作品では派手な回復や攻撃が出来るわけではなく、産業革命時の技術...

タイトルからノンフィクションかと思っていたらパラレルワールド的ファンタジーだった。 大学、マント、世界中から集められたエリート学生たちの寮生活…とちょっとダークなハリポタっぽいところも。 一応魔法っぽいのが出るけどこの作品では派手な回復や攻撃が出来るわけではなく、産業革命時の技術に代わるものであって商業商品みたいな意味合いを持っており、それを生み出せたり扱えるのがオクスフォードのエリート、という設定。 魔法よりもメインになっているのは、扱っているテーマが帝国主義とマイノリティであり、搾取する側とされる側であり、虐げる側と虐げられる側と言う構図であり、幼くして有無を言わさずイギリスに連れてこられたマイノリティ側の主人公が父親との確執を乗り越えようとし、同じく帝国主義に抵抗しようとする…といういわゆる正統派ビルドゥングスロマンの部分。そこはとても説得力がある。 私は言語学と中国語にも興味があるので、この世界の魔法に関する言葉の語源や変化のお話なども楽しく、割と一気読み出来た。

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2026/01/07

言語を駆使した魔法システムがユニーク 身内に翻弄される主人公の学園生活が上巻の大半を占めているのだが終盤の展開をきっかけに下巻になだれ込む勢いがすごい

Posted byブクログ

2026/01/02

本書発売時の”本の雑誌”のめったくたで取り上げられているのを見て、気にはなっていたもの。年末ランキングでも複数から選ばれているのを受け、やっぱり読んどかんと、ってことで。後半の展開を褒める評を見た気がするので、ここで判断するのは早計かと思うけど、現時点ではまるでピンとこず…。後半...

本書発売時の”本の雑誌”のめったくたで取り上げられているのを見て、気にはなっていたもの。年末ランキングでも複数から選ばれているのを受け、やっぱり読んどかんと、ってことで。後半の展開を褒める評を見た気がするので、ここで判断するのは早計かと思うけど、現時点ではまるでピンとこず…。後半への期待が無かったら、途中で読むのを止めてました。にしても、これだけ苦手意識を持ってしまうと、はたして後半に手が伸びるのか?っていう。そのレベル。図書館ものSFってことで、勝手に”図書館の魔女”を期待していたのもアカンかった。

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2025/12/16

key作品のような日常パートが長く、なかなか本題に着手しないが、いざ展開するとジェットコースターのように怒りと憎しみと楽しさと悲しさが頻繁に入れ替わる。 キャラクターに思い入れができ、時代背景や土地の文化を自身に馴染ませながら読み進めていくとなるほど、面白い。特に話題に銀や翻訳が...

key作品のような日常パートが長く、なかなか本題に着手しないが、いざ展開するとジェットコースターのように怒りと憎しみと楽しさと悲しさが頻繁に入れ替わる。 キャラクターに思い入れができ、時代背景や土地の文化を自身に馴染ませながら読み進めていくとなるほど、面白い。特に話題に銀や翻訳が絡むと長くなりやすいので注意が必要。説明パートのようなもの。

Posted byブクログ

2025/12/16

疫病が流行る広東からイギリスへ連れていかれるロビン。 ラヴェル教授の指導の下オックスフォード大学へ。 そこで気の合うはみ出し者仲間と出会って友情を育んでいく。 ハリーポッターのような雰囲気のあるSF。翻訳と銀と魔法と人種差別が絡む世界。

Posted byブクログ