一次元の挿し木 の商品レビュー

松下龍之介(著者)

2025/11/22

遺伝子ミステリー。
大学で遺伝子の研究を続ける悠(はるか)は、4年前に失踪した義妹紫陽(しはる)を諦めきれず、研究の傍ら探し続けていた。

ある日、鑑定を頼まれたのは、遠くインドの山奥で発掘された200年前の人骨。
その人骨のDNAと紫陽のDNAが完全に一致した。

その謎を解き明かそうと動きはじめたのと時を同じくして、悠の身近で不審な出来事が次々とおこりはじめる。

全体的に不穏な空気が漂う1冊で、遺伝子という神の領域に触れた科学者たちの末路といえなくもない。そんな物語。

中盤からギリギリまで切迫した緊張感が続く。そして最後は綺麗に片付く。なかなかの読み応え！

とは言え、小説あるあるで、なぜか主役が美男美女。美男にも美女にも人それぞれ好みってもんがあるのだよ…と言いたいけど…どゆわけか〝全ての人が引き寄せられる美男美女〟設定。
WHY⁈いらんなぁ。
美男美女にすることで、逆に人間性が薄れてしまうのがもったいない。

スタートの「え！どゆこと⁈」から始まり、中盤の残虐性と喪失感、絶望感からのラストがキレイ過ぎるのは少しアンバランスを感じた。

今年の18冊目

2025/11/22

すぐに読めました。
遺伝子操作の話で恐ろしく感じました。
近い未来にこんな事が起こるようになるかもと思うと…でも最後はハッピーエンド的な感じだったので良かったです

2025/11/22

書影は何度も見かけていたのですが、手に取った決め手は、YouTubeチャンネル「ほんタメ」。
たくみさんが紹介されていて、面白そう！！と早速書店に買いに行きました。

ーヒマラヤ山中で発掘された200年前の人骨のDNAが、4年前に失踪した義妹のものと一致した。ー

ミノタウロス
紫陽花の挿し木
牛尾と名乗る大男
石見崎教授の姪・唯
カルト宗教・樹木の会

軸となる謎に加え、不可解な出来事や違和感があちこちに散りばめられていて、先が気になって気になって仕方がありませんでした。

終盤に差し掛かり、もしかしてそういうことだったのか・・・と気がついた瞬間のせつなさよ。
そして、浸っている間もなく、手に汗握るクライマックスへ。
圧巻の読書体験でした。

ループクンド湖って実在するのですね。
800人ほどの人骨で埋めつくされた氷河湖とは。
事実は小説より奇なり。

これほど読み手を惹きつける力のある作品がデビュー作ってすごいなぁ。
次回作があるのなら、ぜひ拝読したいです！

2025/11/21

この本の最初の大きな謎は、行方不明の義理の妹のDNAと200年前の遺体のDNAが一致すると示されたこと。遺体はインドの氷河湖ループクンドのもので、そこには人種も死亡時期も多様な骨が800ほど埋まっている。でも、実際に読むと、この謎は多分大多数の人には割と早くに想像がつくのです。じゃあ、どうしてそうなったの？そして“ちゃぽん“という音を立てながら近づいてくる殺人鬼の目的は？行方不明の妹はどうなっているのか？など謎がどんどん湧いてきて、読み進められる本でした。ただ、現実にはこうならないのでは？みたいな部分があって、入り込めなかったので★4。作家の方の肩書きを読むと、生物工学系ではなく、機械工学や電気系の方っぽくて、それは意外な印象です。
実在するループクンド湖の真の謎も気になるところ。
内容が難しいのと男女の仲が出てくるので中学校以上。基本は高校くらいからがいいと思います。

2025/11/21

確かに面白かった。するする読めて、ストーリーの行く末も私は想像できなかった。(できる人は出来ると思う)そしてトリックも面白く、よく辻褄のあっている話だと思った。謎が解明したら謎が生まれて、の繰り返しで最後まですぐ読んじゃう。

ただ、最後はそれで良かったの？という最後だった。登場人物が現実的なキャラクターではなくどちらかというと作られたお話に出てくる性格なので華があり、好きになるように作られていた。悪役と良い役もはっきりと分けられていて、そこも現実的ではなかった。(というより悪役へのフォーカスがあまり無かった。)なので、幸せになって欲しい分最後の終わり方はちょっと余韻が残る？感じ。推しの子の終わり方みたいでした。
あと、やはりキャラクターちっくなところと少し作り物という雰囲気や作品としての美しさのようなものが冗長だったところが気になる。最初読んだ時、ラノベを読んだ感覚というか少し後ろめたくなる気持ち、共感性羞恥とまではいかないけど似た感情がしばしば湧いた。セリフっぽさもあった。最後もハラハラしたけどやはりファンタジーにも寄るのかな？といった印象。ファンタジーと現実の間なのがちょっとだけ肌に合わなかったのかな？

いかんせんトリックが面白かったしそれまでの話の進め方や語感の子気味よさは秀逸。だけと読後感はちょっと足りないものがあった。これからの本が楽しみ。あと、出てくる言葉や映画もとても良いものが多い。人生で輝く瞬間が過ぎたら、あとはそれを頼りに生きがいにして残りの人生を消費する、みたいな言葉が1番刺さった。私はいつ来るんだろうな。もう過ぎてないといいな。

2025/11/20

テンポをよくすぐ読める。途中でなんとなくわかる、最後の最後はいいのかよくわからないけとわ全体的に面白く読ませてもらいました！

2025/11/20

義理とはいえ妹と恋愛関係にあるの無理！！！！！！！！！！！！文章上手くて楽しいけど、主人公イケメンで他女性キャラとも恋愛ぽくなるのも私には合わなかった

2025/11/21

インド北部に実在する呪われた湖、ループクンド。
多種多様の年代、人種の骨が大量に放置されているというこの場所には、人骨を持ち帰った者に呪いが降りかかるという言い伝えが。
遺伝子学者である七瀬が必死に捜索する、4年前に行方不明となった妹。ループクンドで見つかった200年前の人骨と、妹のDNAが何故か一致した──

遺伝や血のつながりを扱いながら、「人を人たらしめているものは何か」というテーマへ自然に関心が向かっていく点がとても興味深かった。

著者は小説を書き始めて間もないそうだが、物語の流れの作り方や伏線の回収が丁寧で、デビュー作とは思えないほど安心して読める一冊になっている。
生物学や遺伝子工学の描写にもきちんと裏付けがありつつ、やや幻想的な雰囲気も漂っていて、科学と物語のバランスがとても良かった。

タイトル「一次元の挿し木」に込められた意味が物語の中でしっかりと回収される点も読後の満足度を高めている。全体として読みやすく、テーマ性も感じられ、次回作にも期待したくなる作品だった。

2025/11/19

小説を書き始めて暦の浅い作者の作品とは思えない素晴らしい作品でした。

物語の始めの雄大な謎の気配と後半の謎解きでは質感がかなり違いましたがよく収まりましたという感じです。

今後の作品が楽しみな作家さんです。

2025/11/19

いやー良かった。

現実離れしたところは多分にあるけれど、なんの変哲もない日常に物語で刺激をもらうならちょうどいいくらい。立て続けに現れる謎や伏線のほとんどはしっかり回収してくれる。あれ結局なんか意味あったん？というモヤつきは少ない。

人物像や風景の描写は詩的。表現に慣れてないと最初は違和感を持つかもしれないが、慣れれば脳内で映像化して浮かべやすい。スリリングな展開の映画が好きな人はハマるかも。