ドヴォルザークに染まるころ の商品レビュー
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町田その子の作品最新作。今まで読んだ中でやっぱり心情描写のリアルさというか、生々しい心のグラデーションの描き方は秀逸だった。ドヴォルザークってなんだと思ったら遠き山に日は落ちての原曲だった。夕日が沈む頃に鳴る学校のチャイム、それまでに生まれる各登場人物の視点と心の動きは相変わらずリアルで。ただいつもよりなんとなく締めがTHE締め、というか登場人物が名言はいて、小説全体のメッセージがそれにまとまってしまう瞬間があまり好きではなかった。少し何か軽くなってそのまま終わってしまったような感覚。でも、ハッピーエンドなのかアンハッピーエンドなのか分からない、ただ温もりだけが残るゼロの地点、小説の終わりが登場人物のゴールではなくスタートを感じさせるような終わり方は大好き。
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田舎の小学校が舞台で、女性たちの抱える様々な問題をや葛藤を描いた物語。 自分勝手でこちらを蔑ろにする夫、恋人、凝り固まった考えを押し付けてくる義父母など、母や女性という役割へのしがらみや憤りが描かれていて、それが伝わってきた。 鬱屈や葛藤を抱えたり、投げ出したくなったり、そん...
田舎の小学校が舞台で、女性たちの抱える様々な問題をや葛藤を描いた物語。 自分勝手でこちらを蔑ろにする夫、恋人、凝り固まった考えを押し付けてくる義父母など、母や女性という役割へのしがらみや憤りが描かれていて、それが伝わってきた。 鬱屈や葛藤を抱えたり、投げ出したくなったり、そんな中でもちょっと前を向けたり、感情が巧みに描かれていてよかった。 ☆3.7
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第1話 ドヴォルザークの檻より 群先生と画家の男の過去に囚われた類 三好の発言が気持ちいい。しかし、類の、自分が変わらずとも他人に平凡な日常から救い出してくれと求めたくなる気持ちは、男女問わず共感できるところだろう。いいなぁ 第2話 いつかのあの子 堕胎した過去、千沙 適当で明るい性格と傍から見えていても、当人はこの場を穏便に済ませるには〜と咄嗟にそっちに走ってしまうだけ。自由奔放にみえて、実は他人の顔色を伺った上で演技をしている。難しい。 第3話 クロコンドルの集落で 認知症の義母に打ち明ける管理栄養士の佳代子 これまた義母の発言にスカッとする。管理栄養士だから食いっぱぐれないと書かれているが、殆ど賃金はさえないのが実情である。そこに目をつぶれば、一応は食いっぱぐれないだけ。香水やネイルに気になる辺りが管理栄養士っぽさを出していて笑った。そうゆう人も確かにいるだろう。 夫に同じ人間だと思われていない。子供を持った“ママ“になれば、“ママ“は性交渉なんて非教育的なことはしない、というわからないでもないけど夫の精神がなかなかに幼い。ママは女として終わっていて、パパはなぜ風俗通いなどして男を終わらないのか?いつ終わるのか? 第4話 サンクチュアリの終わりの日 転校する小学6年、麦 第5話 わたしたちの祭り 発達障害の娘を一人で育てる三好
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『サンクチュアリの終わりの日』すごく良かった 小学生、両親が離婚、父と祖母と暮らすが、母が引き取りに来る 同級生達との別れや自分の身体の変化を受け入れたくない けれど、それを、受け入れなくてはならないことだけは、祭りの進行とともに、理解していく そう、人生は変化の連続で、自分で飛び出せる、変えられる、自分の努力が実ることもたくさんあるよ。でも、自分で全てをコントロール出来るわけではもちろんない。ないけれど、その変化を、やっぱり受け入れなきゃいけない。人生のコマを進めていかなければならない。自分のご機嫌をとりながら、周りの大切な人に助けられながら 鬱々としたテイストのお話が多かったので びっくりした
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≪ 遠き山に日は落ちて―― 小さな町で、それぞれの人生を自分らしく懸命に生きる女性たちを描いた感動作。≫ なつかしいなあ わが母校もこの曲だった 荘厳だけどうら寂しい帰宅を促す曲 町田そのこさん 登場人物がすっきり把握できなくて 最初ちょっと困った 廃校になる小学校 閉鎖的...
≪ 遠き山に日は落ちて―― 小さな町で、それぞれの人生を自分らしく懸命に生きる女性たちを描いた感動作。≫ なつかしいなあ わが母校もこの曲だった 荘厳だけどうら寂しい帰宅を促す曲 町田そのこさん 登場人物がすっきり把握できなくて 最初ちょっと困った 廃校になる小学校 閉鎖的な中でのそれぞれの思い出、悔い 衝撃の始まりからあたたかなラストまで それにしてもイヤな男ばっか 女性のひたむきさに比べて…… やはり町田そのこさんでした ≪ 溯り 記憶の溝は 小学校 ≫
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田舎の一見平和な町の人間ドラマ。 それぞれの人のほの暗い部分とキレイな部分が混ざって、息苦しく絶望を感じながらも、それだけではないような。少し救いがある内容でよかった。
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建物や電線に細切れされない大きな夕焼けが見える土地での話し。 人を多角的に見せてくれる作品でした。 ラストで私は、声が出てしまいましたー! そうなの? そんな人だったの? まあー誤解でもこのラスト好きですよ。 ちょっと、モヤ感は残るけどね。
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母校の廃校が決まり最後のお祭りに卒業生たちが集まり、当時や今の思いが巡る話。 周りからは華やかな存在や充実した生活を送っているように見えても、実際本人は満足していなかったり、物足りなさを感じているんだなぁ。現実で誰もの心の隙間にある気持ちだと思う。だからちょっとした周りからの声掛...
母校の廃校が決まり最後のお祭りに卒業生たちが集まり、当時や今の思いが巡る話。 周りからは華やかな存在や充実した生活を送っているように見えても、実際本人は満足していなかったり、物足りなさを感じているんだなぁ。現実で誰もの心の隙間にある気持ちだと思う。だからちょっとした周りからの声掛けとか、周りの人の生き方を見ると気持ちが変わっていくことがある。 というように登場した一人一人がお祭りを通して前向きになる良い話だった。
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故郷は懐かしい思い出、悲しい思い出、切ない思い出に溢れている。 そこから飛び出して新しい世界を知り大人になった者にしたら抜け殻のようなところ。懐かしいけれど思い出したく無い過去をもつ者もいる。古い慣習に心の中では反発しながらそこに居続ける人もいる。 今の時代には無い男尊女卑の世界...
故郷は懐かしい思い出、悲しい思い出、切ない思い出に溢れている。 そこから飛び出して新しい世界を知り大人になった者にしたら抜け殻のようなところ。懐かしいけれど思い出したく無い過去をもつ者もいる。古い慣習に心の中では反発しながらそこに居続ける人もいる。 今の時代には無い男尊女卑の世界、息が詰まるよう世界と夕方にながれるドヴォルザークがリンクして郷愁を感じた物語でした。
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九州にある小さな町の小学校が閉校になる。最後の秋祭りに集った人々の学校の思い出を交えながら話が進んでいく。全部で5話あるけど、それぞれ主人公が違くて、この場面でこの人はこう思っていたのかと思ったりして同じ場面が描かれていても新鮮な視点で読めるのが良かった。 個人的には最後の章が一番良かったかな。 五章のうちほとんどの主人公が元々その小学校に通っていて今は母となっている。 一章の主人公である類はある夏休みに郡先生とふらりと町にやってきた画家の逢瀬に遭遇。その後、先生はその画家と駆け落ちしてしまった。小学生にはショッキングな出来事な気がする…。そんな類も同級生と結婚して今は母となっている。最後の秋祭りの日に、今は作家として活躍している一つ下の後輩である香坂が現れる。類は香坂に、当時の画家と同じような自分を町から連れ出してくれるような雰囲気を感じるが…。 各章の母親たちがそれぞれの悩みを抱えていて、でもそれでも前を向いて生きている。
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