死んだ木村を上演 の商品レビュー
八年前に木村青年が亡くなった真相を究明することに目的があり、その死は、演劇部員5人の合宿中の出来事であった。明確な課題があり、容疑者や場が限られているので、読んでいてわかりやすい。演技で回想しながら真相を解明してゆくところが、当時は見えなかった事実やメンバーの心理が浮き彫りにな...
八年前に木村青年が亡くなった真相を究明することに目的があり、その死は、演劇部員5人の合宿中の出来事であった。明確な課題があり、容疑者や場が限られているので、読んでいてわかりやすい。演技で回想しながら真相を解明してゆくところが、当時は見えなかった事実やメンバーの心理が浮き彫りになり、心理劇のような面白さがある。 頭の片隅で、こんなまどろっこしいこと、大人がやる?という思いも湧かない訳ではない。また、佳境に入ると、それぞれの後ろめたさが白熱しすぎて読み手として冷めてしまう。 でも、ラストもきれいにまとまっているし、『少女マクベス』とは違った面白さがあった。
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デビュー作がとても良かったので、期待してハードル上げて読みました。中盤までは正直いまいち。文章もちょっと読みにくいし。あれ?このまま終わっちゃうのかな?と思いきや、 終盤から一気に面白くなる。具体的に言うとP140から。登場人物それぞれの抱えていた秘密が明かされていくにつれて、それまでそんなに魅力を感じなかった登場人物達が一気に魅力的になる。 個人的に咲本さんがすごく好き。終盤の変貌、自虐&毒舌キレっぷりが笑ってしまったw 読後感もいい。ハードル上げて読んだけど、超えて来ました。次回作はどんな話なのか楽しみです。
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死んだ〇〇第3弾。 ・・・終わってみれば、やっぱり面白い! すべて手のひらの上で転がされていた驚きと感情の爆発によるカタルシス!新感覚的ミステリー。 大学の演劇研究会の卒業公演制作合宿中に死んだ木村。 彼は作家の才能に溢れ、人格にも優れた...
死んだ〇〇第3弾。 ・・・終わってみれば、やっぱり面白い! すべて手のひらの上で転がされていた驚きと感情の爆発によるカタルシス!新感覚的ミステリー。 大学の演劇研究会の卒業公演制作合宿中に死んだ木村。 彼は作家の才能に溢れ、人格にも優れた美男子だった。みな彼を尊敬し好意を持っていた。 そんな彼がなぜ死んだのか。事故?自殺?それとも? 8年後の2024年、何者かに同じ場所に再び集められた同級生4人。庭田(男)、井波(男)、咲本(女)、羽鳥(女)。 木村の死の真相を知りたいという理由で、彼らは当時の状況を再現することになった。 すなわち「上演」が始まったのだ。4人は何を知っているのか・・・ 正直いって前半はスロースタート。 設定の奇妙さと強引さもあり、彼らは一体何をやっているんだ?、そして私は何を読ませられているんだ?という感じ。 元・演劇研究会の俳優たちとはいえ、〇〇劇の非現実さ、8年前の出来事をここまで精緻にトレースできるのか?という当たり前の疑問が重なって、読み進めるのにそれなりの忍耐を要した。 しかし!!結論から言えば、この前半の「フリ」が大きく効いてくる。 終盤〜ラストの爆発に、感じていたフラストレーションが、そっくりそのまま興奮とカタルシスへと変わった。面白かった! 勘の良いひとなら、この「上演」というキーワードに引っかかるかもしれない。 〇〇できない語り手、〇〇トリック、〇〇劇、メ〇〇点、〇〇子構造的な仕掛けなど、読み終えてみれば、なるほどなぁ〜と膝を打つこと間違いなしだ。 また、一作目の『死んだ山田』でもそうだったが、この作者は会話劇が上手い。芸人のボケツッコミのようにリズムとテンポが良い。 終わってみれば全て良し、という感じでやはり面白かった。なんだかんだこの『木村』がいちばん好きかもしれない。 ただ、この作品は映像化できないだろうなぁ。その理由はなぜか、ぜひ読んでみたください。
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えっ、木村、結局なぜ死んじゃったの?河童の気持ち追う説でいいの?なんて無念な。才能あったし、美形だし(演劇に関係なし)、生きてたら凄い作品を生み出してただろうに、もったいない…。 最初からレビューでネタバレしてしまったが、本作は木村の最期の日まで一緒にいた4人のサークル仲間が、木村の死の真相を当時の出来事を演じる形で探るという話である。 最初は乗り気ではなかったメンバーたちが、段々と演技に熱が入っていくのが面白い。でも、8年前にした会話、仕草等をそこまで鮮明に普通覚えてるか?どんだけこの人たち、記憶力良いの?あと、脅されているとは言え、プライバシーにかかわる会話もちゃんと皆の前で再現していて凄い…というかよくやるよ。咲本と井波の部屋での出来事再現なんてただの公開羞恥プレイじゃないか…唖然。 これを皆で演じることによって、何だか最後皆すっきりしてて良かったね…?こちらは正直、何だか皆それぞれ自分の罪を公開して自己満足してる様子に若干引き気味だよ。まっ、木村が満足そうなんで良しとするかー。
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大学の演劇研究会の合宿中に脚本・演出担当の木村が不審死を遂げる。そして8年後、当時は自殺と判断されたが納得のいかない木村の妹によって、合宿に参加したメンバーが集められ木村が死ぬ直前までの言動を皆で再現することになる…。8年経っても細かな所まで覚えてるのすご過ぎ。途中まで愉しげな合...
大学の演劇研究会の合宿中に脚本・演出担当の木村が不審死を遂げる。そして8年後、当時は自殺と判断されたが納得のいかない木村の妹によって、合宿に参加したメンバーが集められ木村が死ぬ直前までの言動を皆で再現することになる…。8年経っても細かな所まで覚えてるのすご過ぎ。途中まで愉しげな合宿の様相でメンバーそれぞれが木村をリスペクトしているのがわかる。一体彼等に何が起きたのか。終盤の畳み掛ける会話の応酬が被せまくりで圧巻だった。8年間、内に抱えてきた物が弾けた瞬間だった。それで最後にしんみりさせるの好き。
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さて…死んだのは“木村”です^^; と、いうことでストーリーは…啓栄大学演劇研究会のメンバーに、「8年前木村を誰が殺したのか知りたければ雛月温泉に来い」と脅迫状が届く…。庭田、咲本、羽鳥、井波の4人は雛月温泉に向かい、当時のことを再現するかのようにそれぞれの役を演じ、真実に...
さて…死んだのは“木村”です^^; と、いうことでストーリーは…啓栄大学演劇研究会のメンバーに、「8年前木村を誰が殺したのか知りたければ雛月温泉に来い」と脅迫状が届く…。庭田、咲本、羽鳥、井波の4人は雛月温泉に向かい、当時のことを再現するかのようにそれぞれの役を演じ、真実に迫るというもの…。 序盤から中盤にかけては、なんともゆっくりな展開でしたが、終盤怒涛のように判明する真実にちょっとびっくり!!というか、ついていくのが精一杯な感じになります。ちょっと疲れちゃいました。みんな“木村”のことが好きだったし、それを今まで引きずって生きてきたんですね!! でも、8年前のこと、そんなに克明に再現できるかな??私…8年前何してた??とか思うと、思い出せないもの…。そう思うとちょっと無理あるかな、でもみんな演劇に携わっていた(いる)から、ありなんでしょうか??
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SL 2024.12.21-2024.12.22 死んだシリーズ3作目。 会話劇。特殊設定は前2作と同様。スピード感のあるセリフ回しは迫力がある。8年前の木村の死の真相をさぐるわけだけど、それぞれが抱える隠し事があんまり響かなかったのは残念。
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演劇研究会の同期で合宿を行い、その合宿中に1人亡くなってしまう。その死の真相に迫る為8年ぶりに同期が再開し当時の状況を再現する。人間の本性や感情をぶつけ合い、同期の死について考えるシーンは読んでいて熱くなりました。腹に抱えていたものをぶち撒けていく中で他者を理解していく過程は勢い...
演劇研究会の同期で合宿を行い、その合宿中に1人亡くなってしまう。その死の真相に迫る為8年ぶりに同期が再開し当時の状況を再現する。人間の本性や感情をぶつけ合い、同期の死について考えるシーンは読んでいて熱くなりました。腹に抱えていたものをぶち撒けていく中で他者を理解していく過程は勢いがあってとても良かったです。 すばらしい会話劇を観せてもらいました。
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『パンチの効いたセリフに痺れる作中劇型ミステリ』 死んだ○○シリーズ3作目。大学の演劇研究会の合宿中に亡くなった木村。演劇を愛し、将来を嘱望された彼は本当に自殺だったのか。8年後に当時の真相を探る作中劇型の対話体ミステリ。 演劇研究会らしく物語の中でそれぞれが役を演じ、作品全...
『パンチの効いたセリフに痺れる作中劇型ミステリ』 死んだ○○シリーズ3作目。大学の演劇研究会の合宿中に亡くなった木村。演劇を愛し、将来を嘱望された彼は本当に自殺だったのか。8年後に当時の真相を探る作中劇型の対話体ミステリ。 演劇研究会らしく物語の中でそれぞれが役を演じ、作品全体でエチュードのような体がとられている。その中で次々に炙り出される8年前に隠していた秘密。二転三転する構成が面白い。浅倉秋成さんの人気作「六人の嘘つきな大学生」的なミステリが好きな人は絶対に楽しめる作品。 後半はほぼセリフだけで物語が進行し、勢いに圧倒された。鍵括弧を閉じないだけで、こんなにも迫力を表現できるのか。これだけ会話が続いても誰の発言かわかる”セリフの書き分け”には高い執筆技術が必要だと思う。 金子玲介さんの作品は本当にパンチが効いている。それぞれの”負い目”が解き放たれた後半にかけての盛り上がりがすごい。一作目の「死んだ山田~」は漫画にできそうな青春SF作品。二作目の「死んだ石井~」はNetflixで配信されそうなデスゲーム。そして三作目の本作「死んだ木村~」は舞台演劇で見たいような臨場感。タイプの異なる三作を見事に書き上げた金子玲介さんの次回作にも期待したい。
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死んだシリーズの3作目。 大学の演劇サークルの仲間の木村が合宿中に亡くなって8年後。 4人の仲間のもとに届いた脅迫状。 木村を殺したのは誰か? 4人が合宿していた温泉宿に集まり、過去を思い出し演じてみると…。 知らなかったことが判明し、それぞれが罵倒しあう。 口に出さなければ...
死んだシリーズの3作目。 大学の演劇サークルの仲間の木村が合宿中に亡くなって8年後。 4人の仲間のもとに届いた脅迫状。 木村を殺したのは誰か? 4人が合宿していた温泉宿に集まり、過去を思い出し演じてみると…。 知らなかったことが判明し、それぞれが罵倒しあう。 口に出さなければわからないが、ここまで感情を溢れさせるってことは若いからか…?と思ってしまった。 最後にはお互いに理解できて、木村を上演できたことは良かったのかな。
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