残月記 の商品レビュー
月をテーマにした、ややダーク寄りのファンタジー三編。 勝手に『山月記』を意識した作品かと思っていたが、実際はまったく異なる内容だった。 月の持つ神秘的なイメージがしっかりと表現されている。 雰囲気や情景が頭に浮かびやすく、わかりやすく読みやすい作品だった。 アニメ化にも向いていそ...
月をテーマにした、ややダーク寄りのファンタジー三編。 勝手に『山月記』を意識した作品かと思っていたが、実際はまったく異なる内容だった。 月の持つ神秘的なイメージがしっかりと表現されている。 雰囲気や情景が頭に浮かびやすく、わかりやすく読みやすい作品だった。 アニメ化にも向いていそう。
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短編の残月記は、月昂のことより、下條による独裁国家のリアルさと気持ち悪さがすごい印象的だった。やっぱり独裁政治は、一部の人を人扱いしないことで、支配者側が自尊心とか欲を満たす仕組みになって、特に理由もなく支配者側から転落してしまって、そうしたら尊厳も誇りも全部失って救いもなくなっ...
短編の残月記は、月昂のことより、下條による独裁国家のリアルさと気持ち悪さがすごい印象的だった。やっぱり独裁政治は、一部の人を人扱いしないことで、支配者側が自尊心とか欲を満たす仕組みになって、特に理由もなく支配者側から転落してしまって、そうしたら尊厳も誇りも全部失って救いもなくなっちゃうんだと思った。その辛さを詩とか木彫とか芸術に反映させて優れた作品が出たとしても、それは全然喜ばしいものではなく負の遺産的なものになっちゃうし、更にそれを糧として乗り越えようみたいに無関係の人が芸術として享受するのは傲慢だなあとも思った。(まあ糧とするしかないんだけど) 下條に対する便器のような白い歯っていう表現が好きすぎて笑った。あと、愛してるということは愛し続けるということで闘士であり月昂である自分が口にできる言葉ではないって考えてた後、昆冥期で死に行くときに愛してるって伝えたところがめっちゃよかった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
なんだろう。 とても不思議な魅力のある小説です。 完全にSFなのに、月の持つ不思議な力に魅せられてしまう。ある日突然月の表裏が変わって自分が自分でなくなってしまう日が本当に来るような、そんな気分になるし、読後数日そんなありもしないことをふと月を見ると考えてしまって怖くなる。 短編2編と中編1編で構成されており、中編の残月記に関してはもはや完全にSFであるが、何故か惹き込まれる。どこかにこんな世界があるかもしれないと思わされる。 それほどまでに、月の持つ不気味で不思議ななにかがあると私たちは知っている。 新月には出産が多い。 満月が近づくと月経が起こる。 月にまつわる不思議な迷信のようなものを聞いたことがあるのも、月が何かしら不思議な力を持っており、それに一度でも魅せられたらもう、その世界にハマってしまうのかもしれない。 不思議な世界に飛び込める静かで不思議な体験でした。
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月が関係するSFファンタジー短編中編集 短編2つに表題作の中編1つ ・そして月がふりかえる 研究者として不遇の人生を歩みながも、やっと社会的にも認められてきた主人公 家族とのささやかな幸せな生活を送る中、日常的に行くファミレスで見上げた月が裏返ったのと同時に、家族が入れ替わっ...
月が関係するSFファンタジー短編中編集 短編2つに表題作の中編1つ ・そして月がふりかえる 研究者として不遇の人生を歩みながも、やっと社会的にも認められてきた主人公 家族とのささやかな幸せな生活を送る中、日常的に行くファミレスで見上げた月が裏返ったのと同時に、家族が入れ替わった世界になってしまう 妻や子供の姿形は同じで、自分の歩んだ人生も同じなのに、別人がその地位に収まり、自分はまた別の冴えない人生を送っている事になっている世界 ファミレスを出てから、彼が何をしようとしているのが疑問だったけど なるほど、話しをしたかったのか 気持ちはわかるが、その結果は悲しくも…… 著者は、希望を持てるラストにしたという事で、最後の展開は長大な物語の導入にも思える でも、ここで終わりなのだな 彼は元の世界に戻る事ができたのか、またはこの世界で同じような人と何かをしたのか どっちでしょうね? ・若い叔母が遺した、月の風景が表面に浮かぶ石 月景石を枕の下に入れて眠ると月に行けるという しかし、悪夢のためお薦めはしないとの事 月景石を枕の下に入れて眠ると、月の世界に生きる別人としての夢を見る そして、目覚めると、最近付き合い始めた斎藤と同棲する部屋の隣に住む家族の女子中学生が元からいない事になっていた 月の世界の行く末と、こちらの世界の改変についてのお話 河原の何でも無い石を拾う叔母 世間の認知としては低いけど、「水石」という文化が昔からある 自然石の模様を何かに見立てて、台座や箱なども専用で作るとかね なので、叔母が「風景石」と名付ける行為はそんなに不思議ではない あと、ヤスリで磨くとものすごくピカピカになったりするけど、人の手が加わってない方がいいという人も多いので、そこはもう完全に好みの問題ですね それはそうと、月の世界の方 イシダキと呼ばれる種族(?) 叔母が悪夢と言っていた理由はそこなのだろうな 結果、こちらの世界でも若くして亡くなることになった もしかして、叔母が月の世界に行くことになったので、今の世界も既に改変された世界という可能性があるな ・残月記 独裁者に支配された近未来の日本 人々を恐怖させている感染症・月昂病 月の満ち欠けに応じて精神の躁鬱が連動し、昏冥期には3%程度の人が亡くなってしまう 逆に、明月期には身体能力の向上があり、また攻撃性や性欲の発露が問題視されている また、精神的な高揚もが見られ、創作活動で名を成した人もいる 感染が発覚した場合は、療養院に送られ、世間とは隔絶した状態で一生を過ごすことになる 主人公の宇野冬芽は、本来ならば療養院に送られるところ 格闘技好きの独裁者の意向で開催されている、月昂者達による剣闘士として命を賭けて戦う事になる 彼は何の為に戦ったのか? そして、彼の人生の最期とは 特定の病気の隔離政策と療養所の描写は、ハンセン病を思わせる 他にも、優生保護法に基づいて、許されない処置を行ってきた歴史があるので、まったくの絵空事には思えないリアリティを感じる 独裁体制の成立にしても、独裁者は民主主義から生まれる側面もあったりするので、荒唐無稽なストーリーではない 結局、どの話も理由や原因の説明がされないところが消化不良 この辺の世界観の説明がされているかが気になってしまう私はSF設定やファンタジーの適性がそんなに高くないのだろうなぁ それにしても、3つの話に関連性はない、のか? 一応、「月の裏側世界」という共通点があるような気はする それぞれの世界は同じでなくとも、こちらの世界が瞬時にして変わってしまうように、月の世界も改変されているものの、元は共通の世界だったりしないだろうか? ----------------- ダークファンタジー×愛×ディストピア。全編「月」をモチーフにした、超弩級エンターテインメント! 計り知れぬ想像力が構築した三つの異世界。 「そして月がふりかえる」 不遇な半生を送ってきた男がようやく手にした、家族というささやかな幸福。 だが赤い満月のかかったある夜、男は突如として現実からはじき出される。 「月景石」 早逝した叔母の形見である、月の風景が表面に浮かぶ石。生前、叔母は言った。石を枕の下に入れて眠ると月に行ける。 でも、ものすごく「悪い夢」を見る、と。 「残月記」 近未来の日本、人々を震撼させている感染症・月昂に冒された若者。 カリスマ暴君の歪んだ願望に運命を翻弄されながら、抗い続けてゆく。愛する女のために。 -----------------
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もうジャンルなどといった陳腐なカテゴライズから外れた作品。 月に関する3作(個別の作品)全てがパラレルワールドの話なので、そういった世界観が好きな方には良いと思います! ジャンルでいったらSF(1行目は何)
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3作から構成されていて、最後に全て繋がるのかなと読む前に思っていたけれど、全く別の話で全て繋がることはなかったのでそこは少し残念でした… ただ、作者の創造力がとにかくすごい!!最後の残月記のような世界がもし来たら怖いなぁって思いました。独裁者が現れずに平和のままであってくれ〜 ...
3作から構成されていて、最後に全て繋がるのかなと読む前に思っていたけれど、全く別の話で全て繋がることはなかったのでそこは少し残念でした… ただ、作者の創造力がとにかくすごい!!最後の残月記のような世界がもし来たら怖いなぁって思いました。独裁者が現れずに平和のままであってくれ〜 月によって人生が狂わされていく人たち… 特別自分と相性があう物語ではなかったけれど、月からこんな物語が出来上がるのはすごいと思う!!
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タイトルに惹かれて、手に取ってみた。 「明月記」と言えば藤原定家だが「残月記」とは。 「そして月がふりかえる」「月景石」の中短編と、 表題の「残月記」三篇の一作。 全てが月をテーマに、物語が描かれている。 一番好みだったのは「月景石」か。 日常から夢へ、日常から月の世界へと飛...
タイトルに惹かれて、手に取ってみた。 「明月記」と言えば藤原定家だが「残月記」とは。 「そして月がふりかえる」「月景石」の中短編と、 表題の「残月記」三篇の一作。 全てが月をテーマに、物語が描かれている。 一番好みだったのは「月景石」か。 日常から夢へ、日常から月の世界へと飛び、SFであるがファンタジー色も強い。 「そして月は……」この作品も日常から急速に月の変化によって引き剥がされ、ラストは急展開で終わる。 最も長い表題作の「残月記」が、やはり一番精緻に書かれているとは思った。ディストピアSF小説とも、ファンタジーとも、恋愛小説とも読め、読後感もすっきり。 ただ、ウィルスとして感染するはずの疫病の感染対策の扱いが、少し雑に感じた。既存の歴史上のとある病気と似た隔離政策を思い、私の中で少し持て余す感じを覚えた。 それでも、全て読み終わると、著者の想像力の凄まじさを感じた。月からここまで生み出すとは。月に関する小ネタやエピソードが大量に詰め込まれている。
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表題作の"残月記"は、「月昂」という名の感染症が存在した世界が舞台。 月昂は、死の危険が高まる昏冥期と、常人では及ばないほど気力体力が充実する明月期を月の満ち欠けとともに繰り返し、長くは生きられない病だ。 近未来の日本では救国党による独裁政権が長く続き、月昂感...
表題作の"残月記"は、「月昂」という名の感染症が存在した世界が舞台。 月昂は、死の危険が高まる昏冥期と、常人では及ばないほど気力体力が充実する明月期を月の満ち欠けとともに繰り返し、長くは生きられない病だ。 近未来の日本では救国党による独裁政権が長く続き、月昂感染者は死ぬまで療養所での隔離生活を強いられていた。 そんななかで月昂感染者となった青年の冬芽は、剣道の腕を見込まれ月昂者同士が闘う競技への参加を提案される。 表題作をはじめ、月がテーマのSF作品が3編収録されている。 本作は月が物語の重要な要素になっていて、全体を通して月のどこか妖しく底知れない雰囲気が漂っていたように思う。 読んでいた時期がちょうど今年最大のスーパームーンの時期で、普段より大きく光る満月を見ながら、この作品のような妖しさや底知れなさを感じたことが印象に残っている。 本当に世界のどこかで起きているかもしれないと思わせるような世界観の描写で、それが不気味さをさらに際立たせていたように思った。 一方で、その詳細な世界観の描写で読むのにかなり時間がかかった部分もある。 どの物語も終わり方が、自分的には唐突な展開のように感じられた。 ページ数が少ない物語でも約100ページ程と長めなので、ここからどうするんだろう、結局なんだったんだろうと感じる終わりだったのは少しもったいなく思ってしまった。 壮大な世界観であるのに、どの物語も主人公が他者と交流することが少なく個人の閉じた世界に感じられたのも、世界は全く違うのに似た雰囲気の物語に感じられた理由の1つかもしれない。 終わり方も含めて違うバリエーションの物語もあると、もう少し楽しめそうだと思った。
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友達の引っ越しに伴い、置き土産としていただいた。 なかなかの分厚さゆえ長編かと思いきや、中編3作。 いずれも月をモチーフにしており、着眼点というか発想力というか、世界観の設定が秀逸。 各作品のラストも、ん?もしや…?と思わせぶりなスタンスもなかなか持ってかれてる感があった。 ...
友達の引っ越しに伴い、置き土産としていただいた。 なかなかの分厚さゆえ長編かと思いきや、中編3作。 いずれも月をモチーフにしており、着眼点というか発想力というか、世界観の設定が秀逸。 各作品のラストも、ん?もしや…?と思わせぶりなスタンスもなかなか持ってかれてる感があった。 ただ、個人的には相性がよくなかったな…。 帯の煽りは過剰すぎて、何一つ共感はできないし、ちょっと読み手が置いてかれてるなぁ、って感じも少しあった。 全体的に孤独感溢れる描写が多いから、もしかしたら、初めから連れて行く気ないくらいの作品なのかもしれない…。 あちこちで評価が高いようなので、いつも通り俺の感覚が世間とズレてるってやつです。 まぁ、SFってあんまり読まないから免疫なかったってことで。 でも、こういう世界観をゼロから作れるってのは本当に凄いと思う。しかも中編とはいえ三作品も。 斬新な世界観といえば、有川ひろさんの『図書館戦争』や貴志祐介さんの『新世界より』とかが真っ先に頭に浮かぶが、それとも少し違う感じ。 変な表現かもしれないが、部分的に詩集を読んでるって感じの方がしっくりくるかも。 ちょっと小川洋子さんっぽさを感じた。 合う合わないは別として、新感覚ではあるのでぜひ読んでいただき、感想を聞きたいもんです。 有意義な読書タイムをありがとうございました この読後感を噛み締めつつ せっかく譲り受けたのに、こんな感想ですみませぬ…。
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作者の頭の中の世界が、勢いのある文章で流し込まれてくる感覚。 電車の中で読むことが多かったのですが、世界観が強すぎて頭がおかしくなりそうになったり…… それも含めて楽しかったです。脳内に余裕があるときにぜひ、小田ワールドに浸ってみては?
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