人魚が逃げた の商品レビュー
人間味あって、みんながみんな等身大で 目の前のことに四苦八苦してるからこそ 共感できるし入り込める。 いつもながらの青山さんの作品だけど だからこそ安心して読める。 ほっと一息つきたいときに読むのに良い◎
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Amazonの紹介より ある3月の週末、SNS上で「人魚が逃げた」という言葉がトレンド入りした。どうやら「王子」と名乗る謎の青年が銀座の街をさまよい歩き、「僕の人魚が、いなくなってしまって……逃げたんだ。この場所に」と語っているらしい。彼の不可解な言動に、人々はだんだん興味を持ち...
Amazonの紹介より ある3月の週末、SNS上で「人魚が逃げた」という言葉がトレンド入りした。どうやら「王子」と名乗る謎の青年が銀座の街をさまよい歩き、「僕の人魚が、いなくなってしまって……逃げたんだ。この場所に」と語っているらしい。彼の不可解な言動に、人々はだんだん興味を持ち始め――。 そしてその「人魚騒動」の裏では、5人の男女が「人生の節目」を迎えていた。12歳年上の女性と交際中の元タレントの会社員、娘と買い物中の主婦、絵の蒐集にのめり込みすぎるあまり妻に離婚されたコレクター、文学賞の選考結果を待つ作家、高級クラブでママとして働くホステス。 冒頭から、謎の王子が現れて、人魚が逃げたと発言したということで、どうしても王子が気になるところですが、王子の存在は、あくまでも脇役の立ち位置であり、主人公達を引き立ててくれる存在でした。 5人が王子と出会うことで、自分自身の今置かれた恋愛や恋愛観を通じて、成長していく物語になっています。 青山さんの作品というと、やはり色々な伏線を張り巡らせて、最後に集約していくという展開が印象的だったのですが、今回はそういったインパクトは薄い印象でした。 個人的には、「全てが繋がれている」という爽快感がほしかったのですが、構成よりも、登場人物の心理描写や出来事にスポットをあてることで、より内容やメッセージ性が伝わったように感じました。 全5章で、主人公はそれぞれ異なっています。 物語の舞台は銀座で、和光や歌舞伎座、鳩居堂など有名な所が登場するので、行ったことのある方には、より親しみがわくかと思います。 さらに青山さんの表紙を手掛けている田中達也さんやU-kuさんも物語における友情出演のような感じで登場したので、ちょっと興奮してしまいました。 5人は、それぞれ王子と会います。普通ならば不審な人物だと思って避けたり、スマホで撮影したりとあまり王子と対等に向き合いませんが、この人たちは王子の話を聞き、王子にアドバイスをしたり、王子をきっかけに自分も何か変わろうと奔走します。 その助言は、その人自身の生き方からにじみ出た発言だったのですが、色んな角度から話されていたので、なるほどと思った部分もありました。 「人魚姫」の物語は、あまり憶えていなかったのですが、人魚から見た思いと王子から見た思い、そして老若男女、それぞれの解釈に、色んな意見を垣間見たので、面白かったです。 そして、助言を言った後の登場人物達がちょっと成長していく描写に優しく温かな気持ちになりました。 特に第1章と最終章が印象的でした。第1章は、ある女性に恋におちた男性、最終章ではその女性視点という「対」の構成になっています。 自分はこう思っていたのに、相手は違うことを思っていたという展開だったので、お互い直接向き合わないといけないと痛感させられました。 肝心の王子ですが、最後までハッキリと明示せず、匂わすようなファンタジックな存在で終わります。 途中、カードを店に提示したときは、ズッコケましたが、最終的にほわっとした空気感があって、不思議な感覚がありました。 また、最後の語り部が話す場面はエモく感じました。 人々が行き交う歩行者天国が、別の解釈で違った見方で見ることができるので、その発想がなく、新鮮味がありました。 今度、歩行者天国を上から見て、そういった考え方で覗きたいと思いました。
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「人魚が逃げた」と王子が銀座に現れ、その人物と接点をもった人たちが織りなす物語。 章ごとに登場する人物たちは、それぞれ悩みを抱えていて、その悩みが王子と接したり、周辺の人物との関わりの中で、新しい気づきを得て運命の歯車が好転していく。 運命は決まっているかもしれないけど、少しの気づきや行動で全く別の方向へ転がっていくこと。 人は想像、妄想、思考のし過ぎで思いもよらない方向へ進んでしまうこともある。人と人との関係は、言葉だけでなく表情や仕草などから読み取るべきである。 何かに迷って決断を余儀なくされた場合「確かな自分(しっかり)」を見つめ直し決断をくだしたい。 1恋は愚か 友治 友治の理世さんに対しての劣等感がなんとなく共感できました。自分より賢くセンスがあってお金持ち。そして、美しい容姿をもっている理世さん。嘘で塗り固め自分を大きく見せようとする点や、嫉妬して空回りするところがなにか昔の自分を見ているみたいで良かったです。 最後王子との会話の中での、言葉なしで気持ちを汲み取ることはできない、だからこそ表情や仕草から理解しようとする努力が必要だったこと。人との関わりの中で、言葉ばかりに気になってしまうが、その人の言葉を発しているときの表情や仕草も汲み取ることが人間関係の上では大事かなと思いました。50万返せてよかったです。 2街は豊か 伊津子 娘奈緒大きくなり、目標がなくなったとき自分の人生について考えてしまう話。娘が王子にかけた言葉により、気づく。 人がみていないところでやってしまうこと。それが本当に自分がやりたいこと。 3嘘は遥か 渡瀬昇 妻と離婚し独り身になり、絵画を集める生活。妻からもらったアンティーク懐中時計を売却するために行動すると、一枚の絵画と出会う。 絵画をその人の心の変化によって見え方が変わる。 4夢は静か 日下部伸次郎 小説家 王子とのやりとり 5君は確か 理世 友治との出会いは劇場、河童姿に一目ぼれ。もとから友治に片思いだった。偶然事務所が同じ、退職日も同じ、友治から声をかけてもらう。 両想いなのに自身を過小評価し、消極的な方向へいっているため、友治とのすれ違いが起きていた。 同じホステスの後輩紗奈との会話で考え方がかわる。 最後紗奈が教会へ戻るとき、王子も同じ方向にいて話題の王子がその相手かと思ったら違うのかい!って部分が想像したらくすっと笑えました。 エピローグ SF 王子はタイムスリップしてきた。他にも物語の人物が現世に来ていたということで、それが嘘なのか本当なのかは誰にもわかりませんという締め方。 紗菜と財閥の男は元から両思いだったという結果。そんな運命は想像できなかった。
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久しぶりに青山ワールドにどっぷり漬かれました 最近の青山先生の作品の中では好きだったなぁ 相変わらず、別の本の登場人物が出てきたりとリンクさせてるところ大好きです
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連作短編集。 逃げた人魚を探す王子が登場、アンデルセンの「人魚姫」をモチーフとした作品で恋人、親子、夫婦のいろいろな思いが描かれている。 相手の思いなんてわかるわけがないのに勝手に想像して、思い込んで悶々としてしまう… これってきっと誰もが感じたことのある気持ちだと思う。 でも悶々としているだけではなんの解決にもならなくて… 悩んでばかりいても仕方ないよ、と背中を押してくれるような心温まる物語だった。 年の差恋愛のカップルの思い、巣立つ娘を送り出す母の思いと巣立つ娘の思いが特に印象深かった。
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こんな荒んだ私でも 彼女の本には何もかまえることなく、物語に入っていける感覚があるのです。 ファンタジーなんですが、 登場人物は身近で共感できる感じ方を持っているからでしょうね。 言葉自体が優しいので安心できます。 ハッと思うような言葉もいくつか。 みたてとか 物語に対する人...
こんな荒んだ私でも 彼女の本には何もかまえることなく、物語に入っていける感覚があるのです。 ファンタジーなんですが、 登場人物は身近で共感できる感じ方を持っているからでしょうね。 言葉自体が優しいので安心できます。 ハッと思うような言葉もいくつか。 みたてとか 物語に対する人の違う感じ方っていうのが面白いと思います。 今回は号泣系ではないけれど 静かな川の流れに身を委ねるような、そんな感覚でした。
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大好きな青山さんの新刊。 青山さんと言えば、、のリレー方式で繋がる連作短編集♪ 青山さんお決まりのスタイルだけど、なぜだか全然飽きることがないんだなぁ〜(*´˘`*)♡ 今作もじんわり、素敵なお話でした〜♡ 今作のキーマンは、逃げた人魚を探してるという王子様。舞台は銀座。...
大好きな青山さんの新刊。 青山さんと言えば、、のリレー方式で繋がる連作短編集♪ 青山さんお決まりのスタイルだけど、なぜだか全然飽きることがないんだなぁ〜(*´˘`*)♡ 今作もじんわり、素敵なお話でした〜♡ 今作のキーマンは、逃げた人魚を探してるという王子様。舞台は銀座。 彼を軸にして、5人の悩める人達が自分の素直な気持ちに向き合い、一歩踏み出そうとする物語。 どの話も良かったけど、友治くんと理緒さんのお話がとても良かった。 5章を読んだ時には、思わずひゃ〜っ♡となった。 いじらしい2人のこと、応援したい気持ちでいっぱいになった。 ちょっぴりファンタジー要素もある今作、青山さんの作品に関わりの深いあの方々も出てきたり、他作品とのリンクもあったりと、ちょっとした遊び心もいっばいあった。 ゆったり優しい1冊( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )ホッ Net Gallyさんで読ませて頂きました\♡︎/
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心温まる作品。人魚が逃げたという設定がいろんな人の人生に繋がっていく。ありのままの自分でいいと思えるところや1行の文が誰かの人生を変えるっていうセリフがたまらなく好きです。 一気読みして明日仕事なのに起きれるだろうか。
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十二歳年上の恋人を持つ僕が、精一杯背伸びして彼女と釣り合おうとしてついていた嘘 二十歳になり夢を叶えるためアメリカへ旅立つ娘を持つ私の、孤独と無力感 趣味の絵画購入が過ぎて三か月前に妻と離婚した私の手元に残った妻からの贈り物のヴィンテージ時計 文学賞の選考結果を知らせる電話を待つ作家の私が活動的で社交的な妻の一言で取り戻す自信 手タレと銀座のクラブのママ兼任で十二歳年下の恋人を持つ理世 理世ママの店の元ホステス紗奈の失恋と勘違い 人魚が逃げたという言葉と共に歩行者天国でのロケでトレンド入りした王子 銀座に歩行者天国で「僕の人魚がいなくなってしまって……逃げたんだ。この場所に」という言葉ともにトレンド入りした「王子」。 とある日の、銀座で王子と遭遇した6人の物語たち。ちょっぴり切ない嘘や迷いや後悔が、王子と出会うことで変わり始める。 その瞬間の優しい鮮やかさ。誰もが自分の物語の主人公。うまくいかないこともあるけど、それでも人生ってどんどん変わっていくものだ。いや、変えていくものなのだ。アンデルセンが描いた人魚の物語を軸に展開する青山美智子ワールド。 これよこれ!!この読後感の良さが青山小説の醍醐味よ!!!
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歩行者天国で賑わう銀座の街中に、自らを「王子」と名乗る青年が現れる。まさに“王子ルック”で身を固めた彼は、逃げた人魚を探しているという……。王子と人魚をキーワードにした5篇とプロローグ、エピローグからなる連作短篇集。 いつもの青山作品同様に各章の登場人物は微妙につながっており、誰...
歩行者天国で賑わう銀座の街中に、自らを「王子」と名乗る青年が現れる。まさに“王子ルック”で身を固めた彼は、逃げた人魚を探しているという……。王子と人魚をキーワードにした5篇とプロローグ、エピローグからなる連作短篇集。 いつもの青山作品同様に各章の登場人物は微妙につながっており、誰がどこに関係しているのか想像しながら読み進めた。全体はアンデルセンへのオマージュだし、あの歌詞やら、あの画家さんの作品が登場したりと、遊び心に満ちている。 5章まで読み終えてエピローグへ。ここでの種明かしでようやく、これまでの時間が無駄じゃなかったと感じられた。愉しんで書かれているのはわかるが、ちょっとぼくにはついていけなかった。
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