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3.6

60件のお客様レビュー

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2025/01/07

すごく読みやすくてあっという間に読み終わった 自分自身が作中に出てくる喫茶店「ブルー」でコーヒー片手に読書を楽しんでいる気分だった 自分が受け入れられているようでとても居心地の良い時間だったな きっとそれは本作の主人公である鳴海くんがむやみに他人を線引きしないからだろう 自分と違...

すごく読みやすくてあっという間に読み終わった 自分自身が作中に出てくる喫茶店「ブルー」でコーヒー片手に読書を楽しんでいる気分だった 自分が受け入れられているようでとても居心地の良い時間だったな きっとそれは本作の主人公である鳴海くんがむやみに他人を線引きしないからだろう 自分と違うからという理由で人を拒絶しない かといって過剰に許容するわけでもない ちょうどいい距離感に感じた

Posted byブクログ

2025/01/02

主人公の鳴海が、絶望しているわけでもないが諦めていて、夢も希望もなく、感情を捨てている。無気力でローテンション。考えていることは内にのみ向かい、常に内省的。自己を抑えたところが、話しやすかったりするのか、彼の周りには、他人に話しづらい感情を抱えた人たちがやってくる。正直言って集ま...

主人公の鳴海が、絶望しているわけでもないが諦めていて、夢も希望もなく、感情を捨てている。無気力でローテンション。考えていることは内にのみ向かい、常に内省的。自己を抑えたところが、話しやすかったりするのか、彼の周りには、他人に話しづらい感情を抱えた人たちがやってくる。正直言って集まりすぎのような気もする。 物語は主人公と同じく、大きな事件もなく淡々と進む。やや啓蒙書のような趣も‥

Posted byブクログ

2025/01/01

これまで著者の作品で読んだのは2作品「消えない月」「シネマコンプレックス」 「消えない月」は加害者と被害者の二つの視点から「ストーカー」を描いたもの、「シネマコンプレックス」はシネコンで働く一日をとおしてスタッフたちが抱える悩みを描いたもので、著者の作品はとても久しぶりですが、今...

これまで著者の作品で読んだのは2作品「消えない月」「シネマコンプレックス」 「消えない月」は加害者と被害者の二つの視点から「ストーカー」を描いたもの、「シネマコンプレックス」はシネコンで働く一日をとおしてスタッフたちが抱える悩みを描いたもので、著者の作品はとても久しぶりですが、今回は「多様なセクシャリティ」がテーマです。 性や恋愛のことを考えなければ、僕は「普通の子」だ。でも性や恋愛のことが大事にされる世界で、僕は「普通の子」ではない。 本文p82 こう語る鳴海優輝は、大学のジェンダーの授業で「アンセクシュアル、アロマンティック」という言葉を知り、定義は定まらないものの名前があることで、救われる気持ちをもつという場面に、私はなぜかドキドキしてしまいました。 なぜなら私の年代ではとても想像できない性的嗜好に、もしや友人の中にいたかもしれないと思ったからです。私のことだから、きっと無神経なことを言っていたかもと思うと、無知とは恐ろしく、ヒリヒリした気持ちです。 知識を得て、言葉を知り、客観的に自分を考え、少しでも楽に生きていける道を探している。 本文p168 さらに初めて知った思考が、強い信頼関係を築いた先でしか、恋愛感情を抱けない「デミロマンティック」 作品では喫茶店「ブルー」を営む啓介がそうなのだが、啓介の指向をわかり愛され結婚し娘を持ったはずの妻の絵梨でさえ、今の状況に疑問を持ち離婚を考える場面に、関係性の維持の難しさが描かれています。 常連客の悩みに向き合う鳴海が、自身の悩みにこう考えたのが、作者の多様なセクシュアリティを持つ人々への答えのように思いました。 いつか、壁を乗り越えなくてはいけないと考え、自分を追い詰めていた。 それは、間違っていたのだと思う。 壁のこちら側で楽しく暮らせば、充分なのだ。 そうしているうちに、その壁は自然と崩れていく。 本文p248

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2024/12/28

すごく分かりやすい表現でセクシュアリティのことであったり、性への考え方が描かれていて私としては読みやすく内容もすぐに入ってきました。 様々な志向を持った方が登場してくるので読んでいてこういう考え方もあるんだな、私はこう考えるかなっていうのを考えながら読めた1冊でした。

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2024/12/27

「南部芸能事務所」で感じたように、人の繊細な感情の表現がすごいと今回も思いました。また、今回のテーマの知識は、何から得るか知りたいです。

Posted byブクログ

2024/12/26

普通とは何なのか。 皆と違うからおかしいと考えてしまうだろうが、それを決めるのは話を聞いた相手だから答えは一つではないだろう。 当てはまる色がなかったとしても、別に変ではないし自分という人間の個性を大事にして生きるのも一つだろうな。

Posted byブクログ

2024/12/24

はじめましての作家さん。なぜこの作品を手に取ったのか、覚えていないけれど、私にとっては大事なテーマでした。アロマンティック・アセクシャルの人たちがぶつかる壁が、なかなか理解できずにいたところを、すすっと書いてくれていたと思います。ありがとう。 2024/11/6読了

Posted byブクログ

2024/12/24

性的マイノリティの話でありながら、現代の息苦しさを抱える人なら誰でも響く話のように思う。 この世界は普通という枠からはみ出してしまう人に、とことん冷たい。 主人公はうまく自分をごまかしながら、周りに溶け込んで生きてきたのだけど、30歳を目前にしてここではやって行けないと強く感じ...

性的マイノリティの話でありながら、現代の息苦しさを抱える人なら誰でも響く話のように思う。 この世界は普通という枠からはみ出してしまう人に、とことん冷たい。 主人公はうまく自分をごまかしながら、周りに溶け込んで生きてきたのだけど、30歳を目前にしてここではやって行けないと強く感じて安定した大手企業を辞めてしまう。 喫茶店でのバイト生活を送りながら自分について考える日々。 ゆっくりとした季節の移り変わりと、それぞれ悩みを抱えた人たちとの交流。 誰にでもフラットで、否定せずに穏やかな主人公はみんなに好かれている。 家族も、根掘り葉掘り聞くことはないが主人公のことを大切に思っているのがわかる。 普通じゃないことは、生きづらいかもしれないけどそれだけが、人からキツくあたられる要因ではないんだなとふと思った。 周りを否定せず、反発せず受け入れる。でも無理はしない。そんな時間を過ごせる場所を見つけられたら幸せだな。

Posted byブクログ

2024/12/22

本作の主人公は、他人に恋愛感情を抱かないという特徴を持っている。 アルバイト先のカフェで出会う人たちとの出会いを通じて、世の中には恋愛感情や性的指向についてだけでも把握しきれないくらい多様な人たちがいるのだということを知る。 そんな中で、彼は自分自身は恋愛に興味がないのに、自分に...

本作の主人公は、他人に恋愛感情を抱かないという特徴を持っている。 アルバイト先のカフェで出会う人たちとの出会いを通じて、世の中には恋愛感情や性的指向についてだけでも把握しきれないくらい多様な人たちがいるのだということを知る。 そんな中で、彼は自分自身は恋愛に興味がないのに、自分に近しい人は普通の恋愛感情を持っているのだと勝手に認識してしまっていることを自覚する。 また、彼は自分自身の特徴について、家族を含め周囲の人にあまり話せないでいる。そのように、自分の性や恋愛に対する感覚について、意識して誰にも言わないのは、自分自身が偏見の強い人間である証拠というような自己分析をしている。 このように、彼は非常に内省するタイプであり、大事な姿勢であると同時に生き辛いこともあるのではないかと思う。 ただでさえ、多数派の人たちと異なるということと向き合い、周囲と折り合いをつけながら生きていくのは本当に骨の折れることだと思う。 それでも、無理して壁を乗り越える(=多数派の生き方に近づける)のではなく、壁のこちら側で肩肘はらずに生きていく事もできるということに、人との出会いを通して気付いていく。そうして自然体で過ごしているうちに、その壁も自然に溶けていくのだと。 自分自身も一人で抱え込みすぎて、心がパンパンに膨れてしまうことも時々あるので、このような表現は少し自分の視野を広げてくれるものになった。

Posted byブクログ

2024/12/22

最近は何も起こらないお話が多い。 消えない月とか水槽の中みたいな話もまた読みたいな、と思いながらもいっきに読んだ。 この方の小説すごく私は好き。

Posted byブクログ