さいわい住むと人のいう の商品レビュー
前作がとても読みやすく共感が持てたので、今作も手に取った。 大きな洋館に住む老姉妹がそれぞれベットの上で亡くなっていた。二人は戦争孤児として、親戚中をたらい回しにされ苦労しながら育ち、将来、大きな屋敷を建て二人で住むことを夢見ていた。 性格も容姿も似ていない桐子と百合子の姉妹...
前作がとても読みやすく共感が持てたので、今作も手に取った。 大きな洋館に住む老姉妹がそれぞれベットの上で亡くなっていた。二人は戦争孤児として、親戚中をたらい回しにされ苦労しながら育ち、将来、大きな屋敷を建て二人で住むことを夢見ていた。 性格も容姿も似ていない桐子と百合子の姉妹。二人の人生が事あるごとに辛い決断をしなければならず、胸を締め付けられる思いがした。 実際、彼女たちのような人生を歩んだ方たちも戦後には大勢いたのだろう。 二人は最後には夢が叶えられて幸せだったのかな。 途中出てくる青葉親子の話も応援したくなった。 デビュー2作目だとは思えないくらい良作で、前作以上に惹きつけらた。菰野さんの今後に期待大。
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45 間違いを許さないのではなく、どうしたら間違いじゃなくなるかを、一緒に考えてくれるような先生 どうしたら正しくなるかじゃなくて 85 骨さえ折ればなんとかなりますから 100 私はもう二度とこの人を家族として信じることはできないのだ 102 この悪夢がどうして始まったのかわからない限りは、終わらせる方法もわからない 118 一度でいいから、どんなに大変でも、子育てをしてみたかったわ 173 私は料理が苦手だ 177 しかしそれが幸せなのかは、まだわからないのだった 186 泣き崩れてしまいたかった 202 みんな幸せになりたいだけ 203 その強さにたじろぐほどだった 204 私の全てを百合が肯定してくれているという強い信頼 224 ようやく驚きが胸の下に沈んできたので、姉を盗み見る余裕 225 食べてしまったカツレツも、やっぱり返しますなんてできない 228 それ以外にないという八方塞がり感と、そうするのが1番だという納得 234 私は幸せになることを諦めない 257 肩を窄めて息をする私と、子どものようじさんが、まるで今、手を取り合って生きているかのよつな 259 この美しい人は、自分の美しさには目もくれず、 273 自由になっていくのだと 276 たった今私の手のひらから飛び出した大きな音は、私の心が破裂した音だった 297 私自身が生み出す寂しさ 298 私が願った自由 300 妹の存在がなければ、こんなにも姉が強くなる必要はなかった 307 遠くに来てよかった、と思っただけよ 315 私たちは自分たちが幸せになりたいという命題と、互いを自由にしてあげたいという壮大な勘違いを胸に、この家を目指して生きてきた 316 私たちは、頑張りたかったのよね
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この作品を読むきっかけは、前作の「つぎはぐ、さんかく」がわりと好きだったこと、そしてこの可愛らしい表紙に惹かれたことで手にしました。読後、読めてよかったなぁ~って思えた、私的にはすごく好きなタイプの作品でした。 ある日、豪邸に住む老姉妹、姉は香坂桐子、妹は吉沢百合子…ふたり...
この作品を読むきっかけは、前作の「つぎはぐ、さんかく」がわりと好きだったこと、そしてこの可愛らしい表紙に惹かれたことで手にしました。読後、読めてよかったなぁ~って思えた、私的にはすごく好きなタイプの作品でした。 ある日、豪邸に住む老姉妹、姉は香坂桐子、妹は吉沢百合子…ふたりがそろって亡くなった…。その少し前に、地域福祉課に移動になった青年、青葉はその家を訪ね2人に逢っていた…。なぜふたりは亡くなったのか、そもそも、なぜふたりは一緒に暮らすようになったのか…ふたりの家族はどうしているのか?そこに、青年青葉の過去も図らずともリンクしていたとは…。 ふたりは幸せだったのかな…でも、幸せだったんだろうなぁ~。どちらか一方かけていたら、こんな穏やかなエンディングにはならなかったんじゃないかなっ…亡くなったのに、苦労したのに、なぜか不思議と穏やかな時の流れを感じるんですよね!百合子さんが作ってくれた、おいなりさん、この作品の裏表紙にそっと描かれてるんですがちょっと再現してみたくなりました。いや…私のお料理の腕では無理だな(汗)。
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地域福祉課に異動になった青葉が、民生委員に紹介されたのは、大きな屋敷に住む80歳の元教師の香坂桐子で、妹の百合子と2人だけで暮らしているという。 紹介され訪れて2週間後に香坂姉妹の訃報が届き… 物語は、その後姉妹の人生を20年ごとに遡っていく。 戦争孤児になった姉妹が、親戚の家...
地域福祉課に異動になった青葉が、民生委員に紹介されたのは、大きな屋敷に住む80歳の元教師の香坂桐子で、妹の百合子と2人だけで暮らしているという。 紹介され訪れて2週間後に香坂姉妹の訃報が届き… 物語は、その後姉妹の人生を20年ごとに遡っていく。 戦争孤児になった姉妹が、親戚の家を転々としながら心に決めたことは、必ず2人で暮らせる大きな家を手に入れること。 性格も正反対の2人が辿ってきた人生は幸せだったのか…と。 幸せの定義は人それぞれだが、姉妹だけであちこちの親戚の家で肩身の狭い思いをし、大学まで出してもらった姉は教職に就き独身のまま…世話になった恩返しかのように妹が、障害を持つ洋次を世話するかのような結婚生活。 厳しくも真っ当なことを言う桐子を慕う生徒はたくさんいて、定年後も何かと相談にのっていたようで、愛想が良くて子どもも好きな百合子がいることもこの大きな家に人が来ていたのだろう。 青葉が最初に出てきたことにも繋がりがあったのだと。 そして、裏表紙のいなり寿司と桜にも… 最後には、この大きな家で姉妹で暮らせたことは幸せだったのだと思いたい。
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感想 人生の幸せ。他人が決めるものではない。例えそれが姉妹だったとしても。この世界には辛いこともたくさんある。だけどみんな光を目指してる。
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つらい幼少期を過ごしてきた姉妹が、二人で思い描いた家に住むという夢に向かって進んでいく。 お互いの思いやりから、それぞれの夢が変化していく様子があり、夢の家に幸いはあったのかな? 血の繋がりの強さと、人の繋がりの面白さも読み取れました。
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装丁の雰囲気とは違い、読み応えがあった。戦争で両親を亡くして、苦労する姉妹の人生が描かれる。自分も妹が居るせいか、桐子の生き方は理解できたが、百合子に関しては、本当に幸せだったのかなあと、穿って考えてしまう。
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戦争孤児の姉と妹。親戚の家をたらいまわしにされる間に形作られていった二人だけの決意。 でも二人きりの家族の長い長い時間は、それぞれの時間とそれぞれの意味を積み重ねていく。 誰にも邪魔されない、誰にも気兼ねしない、二人の夢を詰め込んだ大きな家。 そこでの暮らしを夢見て、その夢を実現するために耐え続けた二人が最後に手に入れたものは… 現在と過去と、そしてその途中を行き来することで明らかになっていく二人の人生。 誰かのために生きること、誰かと一緒に生きていくこと。 苦しみや悲しみを乗り越えていく強さは、どこから生まれてくるものなのだろうか。 お互いがお互いを思い合うことって本当は誰のためなんだろう。 相手のために我慢することって本当は誰が耐えていることなんだろう。 優しさが、思いやりが、純粋でまっすぐなはずのその思いが小さないき違いで絡まっていくこともある。その現実が切なくて苦しくて。 誰かのためにがんばっていることが、本当は自分のためかもしれない。それを認めることはある意味とてもつらいこと。それでもかつて同じ夢を見ていた二人なら、きっと分かり合えるはず。 そんな二人の物語を、優しく温かいだけで紡がない菰野江名のシリアスな目を、私は心底信じる。
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知らない作家さん 読める機会に恵まれたので 読んでみた だんだん深堀りされていく 姉妹の歴史と ともに動いていく心の描写が いちいちなんだか切なくなった どんな話なんだって聞かれると 読んでしばらくたっちゃったので おいなりさんがおいしそうな話 って言っちゃいそう ずっと覚え...
知らない作家さん 読める機会に恵まれたので 読んでみた だんだん深堀りされていく 姉妹の歴史と ともに動いていく心の描写が いちいちなんだか切なくなった どんな話なんだって聞かれると 読んでしばらくたっちゃったので おいなりさんがおいしそうな話 って言っちゃいそう ずっと覚えてそうな情景は ふんだんにあるんだけど ひとつのお話として 心に刻まれたかというと そんなことはなかった 情景を覚えてる本って 後々、すんごい読み返したくなるよなぁ いつかのその時のために おいなりさん、豪邸、サクラは この本だぞと残しておく 星は3つ
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時代を遡り、現在へともどってくるという物語展開。 老齢の姉妹が豪邸で亡くなることから物語は動き始める。 徐々に姉妹の過去が見えてきて姉妹を軸に物語は進んでいく。 ミステリー?と思いつつ読んだけれど、2人の女性の大河物語だった。 戦後、親を失い身内を転々としてきた過去を持つ姉妹。 異なる道を生き、たどりついたのは姉妹2人きりでの生活。 姉妹での生活にたどり着くまでの2人の日々は、人生いろいろだと思わせるに十分なもの。 幸せというのは人それぞれで、感じ方も人それぞれで… それは姉妹であっても違って… いろいろな事を思いつつ、姉妹に思いを馳せる。 淡々と静かに語られる、そんな物語で、生きていくということについて考えさせられた。
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