ハートレス・ケア の商品レビュー
就職活動が難航し、やむなく有料老人ホームで介護士として働くことになった大石正人。介護の仕事に意義を見出せず退職を考えるも、今後の転職活動に支障が出ることを恐れ、せめて半年、その間だけの辛抱だと自分に言い聞かせている。 利用者に寄り添う優しい介護士になんてなれないし、なるつもりもな...
就職活動が難航し、やむなく有料老人ホームで介護士として働くことになった大石正人。介護の仕事に意義を見出せず退職を考えるも、今後の転職活動に支障が出ることを恐れ、せめて半年、その間だけの辛抱だと自分に言い聞かせている。 利用者に寄り添う優しい介護士になんてなれないし、なるつもりもない。人気のある職業に就いた友人の話を聞いては劣等感を抱き、今の自分を「負け組」だと卑下する日々が続く。 どうせ半年で辞めるのに。新しい業務を覚えながらもそう考えていた正人は、現場で働く職員たちの姿を見て、とある疑問を抱いた。どうして、この人たちは介護の仕事を選んだのだろうか――。 ☆4つけてるけど4.5をつけたい! ブクログの献本企画に当選していただいた本です! 有難うございます♪ 介護関係の作品が続いたけど この作品はとても心が晴れやかになる内容でした 元介護士だった著者だから とても現実的に感じるし 介護施設内の様子がよくわかりました 就職活動に失敗し しょうがなく介護士として働くことになった主人公の大石正人 半年したら辞めようと惰性で働いていたけど その間に悩みながら少しずつではあるけれど 成長していってるなぁと感じながら読んでいました 介護士の仕事は給料が安くてしんどいってよく聞きますが とても重要だしなくてはならないお仕事だと思います これだけ高齢化が進んでいる日本で将来どうなるんだろう?って近づきつつある我が身のことも考えてしまう 最初から介護という仕事を希望していなくても この主人公のように悩みながらも前に進んでくれる介護士さんが増えるといいのになぁと思いました
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同級生たちがキラキラした職業につく中、就活に失敗した(と思っている)主人公は介護職に就職する。 いわゆる5K(危険、汚い、きつい、暗い、臭い)と言われる介護を半年で辞めると決め、日々奮闘する。 心の中で文句を言いながらも、大切なことが理解できているような描写が散りばめられているので、最初から結末は想像できる。ドキドキハラハラはない分、あたたかい気持ちのまま読了。 いつかもし家族の介護をすることになったら、この本を思い出して介護には何が大切なのかを思い出そうと思う。
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ビジネス書や自己啓発系の本を読みがちだが、先日のブクログの応募に当選したこともあり、この小説を2日間で一気読み 長引いた就活の末介護職に就いた主人公は、まったく介護という職に向き合えず嫌いなまま働いていたが、職員との会話や利用者との関わりの中で、介護という職の良いところに気づいていく 初めは職業を「福祉」とぼやかしていた主人公も最終的には自分の職業を「介護士です」と話せるように変化を起こした、利用者との対話はグッときた メーカー勤務で、主人公の想像するいわゆる「普通」の仕事に近いことをしている自分からすると、周りの人を想い、尊厳持って関わる介護士という仕事には敬意しかないと感じた 人からの感謝が働く原動力だよな、とヒシヒシ感じる自分としては心にくる作品だった この本に出会えて、そして、読むことができてよかった 久しぶりの小説というのも、本を読んでいる間は、自分とは違う境遇や世界に飛べるという点で良かった
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小原瑞樹『ハートレス・ケア』 2024年 opsol 第1回ハナショウブ小説賞大賞受賞作。「介護・医療・福祉」がテーマの小説賞。 新卒で介護施設、老人ホームに就職した大石くんの物語。 祖母も介護施設にお世話になっていたけど、まだ他人事みたいなところもあったと思います。でも今、...
小原瑞樹『ハートレス・ケア』 2024年 opsol 第1回ハナショウブ小説賞大賞受賞作。「介護・医療・福祉」がテーマの小説賞。 新卒で介護施設、老人ホームに就職した大石くんの物語。 祖母も介護施設にお世話になっていたけど、まだ他人事みたいなところもあったと思います。でも今、これからまさに介護というものが日に日に身近なものになってきています。 そんな中、とても興味深く読み進めました。 ドキュメンタリーのようなリアルな介護士の仕事、生活が描かれています。知識としてはわかっていたような気がするだけで、あまりの業務の大変さと緊張感の高さが恐ろしいほど伝わってきます。 でもそこは小説なので、主人公の成長記録であったり、感涙するほどの感動であったりとも物語性としてもおもしろかったです。 教則本であったり、教則本だけではわからない心や尊厳などがつまった素晴らしい作品でした。 #小原瑞樹 #ハートレスケア #opsol #ハナショウブ小説賞 #読了
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感想 仕事は辛い。できるなら明日にでも辞めたい。でもそれでいいのか?自分のことを待ってくれている人はいる。泥に塗れたとしても。きっと輝く。
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就活に失敗し、不本意ながら介護の仕事に就いた青年の成長物語。 青年の悩み、先輩の優しさ、要介護者の思いを読みながら自分自身に落とし込んでいく様な読書体験となった。 介護とは人の幸せを心から願うことのできる尊い仕事なのだという言葉が心に残った。 元介護士の著者ならではの作品ではないだろうか。 介護職を知る意味でも読んで良かったと思えた。
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好きなことを仕事にできたら、どんなに楽しく幸せだろう。 みんな一度は考えたことがあると思う。 本作の主人公・大石くんは、就職活動に連敗し、仕方なく介護職に就いた青年。 人のお世話をするのも、お年寄りが好きなわけでもない。ただ、仕事だから、やらないといけないからやっているだけで、半年後には辞めてやると思いながら働いている。 同じ施設で働く先輩たちは、信念を持ったり、やりがいを感じながら働いている人たちが多い。 一方で、「キツい、汚い、給料少ない」の3Kで、底辺の仕事だとぼやく同僚もいる。 ぼやく同僚に同意しつつも、利用者をモノみたいに扱うその姿にモヤモヤしたものを感じる大石くん。でも、心情的には共感できる部分もある。 そんな大石くんの良いところは、先輩たちの仕事ぶりを「すごい」と尊敬し、介護職に対する想いを質問するところ。そして自分の悩み(辞めたいと思いながら働いていること)を素直に話せること。 先輩・同僚や利用者との対話を通して、少しずつ介護の仕事を尊いものだと考えるようになる大石くんの変化は、見ていて頼もしい。 「仕事だから」と割り切ることも必要だと先輩の田沼さんは言う。 「続けていくうちに、誰かに必要とされる時が来る」とナースの野島さんは言う。 そして、最初はギスギスしていた利用者の村上さんは「辞めんな。この仕事を続けて、わしらを助けてやってくれ」と言う。 そんな人たちの言葉を聞いて、大石くんは「辞めることを止める」決断をする。 好きでもない仕事を続けていくと言う選択をするのは、転職を選ぶことと同じくらいの勇気が必要だ。 けれど、そんな決断をしながら働いている人の方が、好きを仕事にしている人よりも、きっとずっと多い。 そんな人たちに、「一緒にがんばろうな」と思わせてくれる、未熟で素直で健気な青年の物語だった。
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