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香君(1) の商品レビュー

4.3

23件のお客様レビュー

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2024/10/29

▼配架・貸出状況 https://opac.nittai.ac.jp/carinopaclink.htm?OAL=SB00555963

Posted byブクログ

2024/10/29
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※このレビューにはネタバレを含みます

冒頭から一気に引き込まれる。 素晴らしい壮大な世界。 上橋さんの知識と文才と、フィールドワークで培ってきたすべてのものをもってしてでないと書けないであろう物語。 初代「香君」がもたらしたという奇跡の稲「オアレ稲」によって繁栄を極めたウマール帝国。その属国である西カルタン藩王国のかつての藩王の孫である15歳の少女アイシャが物語の主人公。 アイシャには特殊な能力があり、植物や虫たちのコミュニケーションを「香りの声」のように嗅覚で感じることができる。 アイシャの祖父は民に恨まれ藩王という地位から失脚しており、それゆえにアイシャも弟のミルチャも追われる身であったが、その特殊な能力によってウマール帝国の視察官であるマシュウによって命を救われ、かくまわれることに。 アイシャの祖父が藩王から失脚した原因が「オアレ稲」であった。この「オアレ稲」はどんな土地でも育つというすごい作物であるが、なにやら危険性をはらんでいると考えたアイシャの祖父は自国に「オアレ稲」を植え付けることを拒み続け、結果、大規模な飢饉で多くの民を苦しめたという。 私たち読者は読み進めるうちにこの「オアレ稲」がどうやらこの壮大な物語のキーになりそうだと気づかされていく。 一方マシュウによって生活する場を与えられたアイシャは現「香君」であるオリエの近くで生活することになるが、オリエに自分と同じ特殊な能力がないことに気づいてしまう。活神であり、その能力でもって事象を予言するとされる「香君」に能力がないことに驚き戸惑うアイシャ。 ・・・とにかく圧倒的な世界観でした。 アイシャたちの世界はエキゾチックなようで、「稲」という作物からもなんとなく懐かしさを感じるような、絶妙な世界。 そして、ウマール帝国の神話のような成り立ちから、政治的な策略、戦略、見通し。 カタカナの固有名詞や、歴史の流れがぱっと入ってこないポンコツな私の頭脳では追い付けない完璧な世界観でした。上橋さんの頭の中ってどうなってるんでしょう。 守り人シリーズや鹿の王でも圧倒されましたが、上橋さんには何度も圧倒させられるんだろうと確信しました。 読了したような書き方になりましたが、まだ「1」を読み終えた段階です。 続きが気になってしょうがないです。

Posted byブクログ

2024/10/20

匂いが立ち昇る文章。土、鉄、風、そして青香草。 青香草はきっとミントみたいな清涼感の香りなんじゃないかな。花も、茎も葉も同じく香る。一度嗅げば忘れることはない香り。 これはスゴイものを読んでいますね私…国の成り立ちと受け継がれてきたものの重さ。歴史が紐解かれ、これからを予言する...

匂いが立ち昇る文章。土、鉄、風、そして青香草。 青香草はきっとミントみたいな清涼感の香りなんじゃないかな。花も、茎も葉も同じく香る。一度嗅げば忘れることはない香り。 これはスゴイものを読んでいますね私…国の成り立ちと受け継がれてきたものの重さ。歴史が紐解かれ、これからを予言する。思惑が錯綜する、政治の話。「香り」を中心に置いた物語。強く匂い立つ香り…

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2024/10/16

だいぶ前に単行本で読んで、読み返したいなと思っていたところで文庫化!ありがたい!3巻が11月、4巻は12月発売なのはちょっと辛いですが…。 詳しい感想は続刊を読んでから書こうと思ってますが、とりあえずこれだけ。上橋さんの作品は骨太で読みごたえがあるのに小難しくなくて嬉しい。登場人...

だいぶ前に単行本で読んで、読み返したいなと思っていたところで文庫化!ありがたい!3巻が11月、4巻は12月発売なのはちょっと辛いですが…。 詳しい感想は続刊を読んでから書こうと思ってますが、とりあえずこれだけ。上橋さんの作品は骨太で読みごたえがあるのに小難しくなくて嬉しい。登場人物にも芯が通っていて、彼らの選択を、生きていく道程を見届けたいと思ってしまう。 3巻を手に入れるまでに2巻を読み通さねば…!

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2024/10/16

ハードカバーは発売月に図書館で読んでとても力のある作品だったので、文庫できた揃えることにしました。読み返し中だが、また物語に引き込まれている。

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2024/10/14

植物や昆虫が発する香りを声として聞くことができる少女アイシャ。 オアレ稲を拒否したが故に追われた旧藩王の末裔。 命を狙われ、逃れた先は、オアレ稲を広めることで、周辺各国を平定しているウマール帝国。 匿われた先で、香りで万象を知る〈香君〉と出会う。 密接に絡み合う糸。まだ多くの謎が...

植物や昆虫が発する香りを声として聞くことができる少女アイシャ。 オアレ稲を拒否したが故に追われた旧藩王の末裔。 命を狙われ、逃れた先は、オアレ稲を広めることで、周辺各国を平定しているウマール帝国。 匿われた先で、香りで万象を知る〈香君〉と出会う。 密接に絡み合う糸。まだ多くの謎が残り、話はこれから動き出す。 政治力学や陰謀も描かれるが、主人公の周辺からは爽やかな香りが漂う感じがする。

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2024/10/15

オアレ稲。 やはりどうしても、日本の稲、稲作を思い出します。 日本の秋の、黄金の穂が垂れて、一面に波打つ光景を美しいと想いこそすれ、何か否定的な感情をもったことは、まったくありませんでした。 そもそも、ただの稲ではなく、オアレと付けた意味は、何なのでしょう? オアレマズラとい...

オアレ稲。 やはりどうしても、日本の稲、稲作を思い出します。 日本の秋の、黄金の穂が垂れて、一面に波打つ光景を美しいと想いこそすれ、何か否定的な感情をもったことは、まったくありませんでした。 そもそも、ただの稲ではなく、オアレと付けた意味は、何なのでしょう? オアレマズラという神郷の名とともに、作者の作った言葉なのでしょうか。 どこか、聴いたことのありそうな響きです。 一面に均一に、どんな環境にも馴染んで育つオアレ稲に危うさを想うこと。 相性の悪い植物同士を近い場所に植えることに、その植物の痛みのようなものを感じること。 一面の林、お互いに邪魔になるだろうと間引いて育てるだけが良いことなのか、わからないと想うこと。 人間の思惑通りにはなっていかない植物や自然の営みと、ヒトはどうやって共存していくのか、ということを考えさせられます。 タクおじさんの作る畑は、草の中どれが作物かわからない畑、いろいろな香りが賑やかなその場所は、以前にテレビで見た木村秋則さんの林檎ばたけを思いださせます。 『奇跡のリンゴ』の木村さんです。 なるほど、世の中には雑草というものはナイのかと、思わされたものでした。 これから、どのような展開で話をおさめるところにもっていくのでしょう。 楽しみでもあり、、、 結論を出すのは難しいなあと思いつつ、見守っていきたいと思います。

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2024/10/08
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※このレビューにはネタバレを含みます

あっという間に世界観に入りこめました。しかも個人的に好きなテーマである「香り」が物語の主軸なのでこの先どうなるのか気になります。上橋さんの作品は『獣の奏者』以来で、その時はカタカナの地名や単語が独特で、面白いけど読むのに苦戦した覚えがあるのですが、『香君』はさらっと読めました。 読書メモ✍️ アイシャは私たちが目で見て読み取る情報と同じレベルで、香りからもたらされる情報をうけ取っていて、彼女の中では香りという確信的な情報に基づいた言動でも周囲からすれば香りなんて分からないから奇妙に見えてしまう。アイシャや香君のような特殊な能力や立場は共感されにくいし常に孤独がありそう。でも今のところアイシャもオリエもマシュウも安らげる場所や本音を話せる人がいるから鬱蒼とした感じはない。 香りは誤魔化せないし、呼吸を止めることはできないので勝手に他人より多くの情報を受け取れてしまうのも大変そう。 最後にはアイシャが香君になるのか?オリエは香君じゃなくなったらどうなるのか?オアレ稲の秘密は?孤独、癒し、政治、生物がどう絡むのか楽しみ。

Posted byブクログ

2024/10/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

1巻、2巻一気読みしちゃったー。 2巻の終わり頃にあれ?これ2巻でおわるのか?って思ってたら案の定終わらなかった。3巻はまだ発売されておらず…続き読みたくて仕方がない。 本当に上橋作品はファンタジーと政治を掛け合わせるのが上手い。非現実の話しではなく、どこかにある国のいつかあった話しにどれも感じる。 主人公は香りで世界を見るけど、そこから物事を変えていくのはそれぞれの人が試行錯誤するしかなくて、すごい力だけでは世界が変わらないところもいい。 結局、やっぱりみんな頑張るしかないのよね…的な。 今回の作品は他の作品より恋愛色も少し早めに分かりやすく書かれてるのもいいな、と思った。 2人の行く末が心配。悪いことが起こりそうな予感…

Posted byブクログ

2024/10/03

上橋菜穂子作品はいつも安定して面白い。今回も世界観が作り込まれていて引き込まれるし、物語の筋も、色々な角度から「今後何が起こるんだろう!」とワクワクさせてくれる。 主人公アイシャについて、まだ理解が追いつかず感情移入できてないけども、物語が進むにつれて没入できると期待。

Posted byブクログ