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下町サイキック の商品レビュー

3.6

52件のお客様レビュー

  1. 5つ

    9

  2. 4つ

    15

  3. 3つ

    20

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

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2024/11/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

下町のよき風情人情がそこはかとなく漂う小説。煩わしく感じる所もあるだろうがここではそんな負の空気は感じられない。少し敏感すぎる主人公の成長物語。結婚出産までいくとは思わなかったけれど、そういう出来事には紙面を費やさないで人との出会い関わり方へのこだわりで物語は進んでいく。友おじさんとの何気ない日常の、それでいてはぐらかさない真摯な会話が素敵だった。

Posted byブクログ

2025/01/06

吉本ばななさんが「キッチン」でデビューした時、”それまでの文学の型に囚われない、若い女性の感性で形作られた新しい小説のスタイル”というような認識でちょっとしたブームを巻き起こしたことを覚えている。 当時は今よりもずっと、文芸が多くの人々の生活の中にいた時代だった。親し...

吉本ばななさんが「キッチン」でデビューした時、”それまでの文学の型に囚われない、若い女性の感性で形作られた新しい小説のスタイル”というような認識でちょっとしたブームを巻き起こしたことを覚えている。 当時は今よりもずっと、文芸が多くの人々の生活の中にいた時代だった。親しい人達と「あれ読んだ?」なんて人気ドラマを話題にするのと同じくらいの感覚で。 それを機に次々と、吉本ばなな風の新しいスタイルで小説を書く、主に女性の小説家が現れた。 私も流行りに乗って読んだけど、なんせ私の嗜好は「歴史・SF・海外ミステリー」だったので、比喩を多用してふんわりした外見の中にちょっと毒を含ませたりした、作者の”分かるかなーこの感性”わかる人にはどうぞ”的な作風が、若者特有の独りよがりや傲慢さのように感じて全くそりが合わなかった。 確か「キッチン」に続く「つぐみ」まで読んだような気がするが、あまりにも感性先行でふんわりしすぎていた為、どんな話だったか全く記憶に残っていない。 「小説ってこんな感じでもいいんだ!」といわゆる純文学の文体から抜け出した、ライトノベルも含めた現代の小説スタイルは、ここら辺から始まったんじゃないかなぁ、と勝手に思ってる。 で、この度、図書館をウロウロしていたら、新刊コーナーに吉本ばななさんの名前をみつけ、懐かしく手に取ってみた。 この方の作品を読んだのはもう35年前。そして私とほぼ同世代の作家さん。 この年月を経て、この人はどんな小説を書くようになったんだろう。 読み進めてまず感じるのは、スピリチュアル要素。これなくしてこの物語は始まらない。 そして物語の核は、スピリチュアルを通した死生観のように思う。 (そもそもスピリチュアルの始まりは、神や仏と会話したり奇跡を起こしたりする技法ではなく、いかに生きて死ぬか。死とはなにかを問う哲学に近いものだと思っている) そしてどんどん希薄になる現代社会の人間関係に向けて、今とは違う形で培われていた人との繋がりへの愛惜。 『なるほどね。吉本さんも歳を重ねてきたんだな』としみじみし、改めて、1人の作家、特に同世代の作家の作品を追っていく楽しみを教えてもらった一冊になった。 【追記】 「今は分からなくてもきっとあとから分かる」的な文章があとがきに添えられており、 おお、やはりこの人変わってないな、と思った次第

Posted byブクログ

2024/10/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

なんだか言いたいことが伝わったようなわからないような・・・ 文体では感じられないけれど、前作のエッセーともに、ある意味、メッセージ性を秘めているんだけど。 あとがきにあるように、もう少し時間が経ってから読むといいかもね(笑)

Posted byブクログ

2024/10/15

霊視能力(サイキック)のある少女が、下町で淡々と暮らす様子を描いている。 死んでしまった少女の声を遺族に届けたり、家族全員を失った少年の家族の霊と会ったり、 そういうことも起こるけれども、基本は近所に住むおじさん家族と交流して、時々おじさんと人生について話をしながら なんと...

霊視能力(サイキック)のある少女が、下町で淡々と暮らす様子を描いている。 死んでしまった少女の声を遺族に届けたり、家族全員を失った少年の家族の霊と会ったり、 そういうことも起こるけれども、基本は近所に住むおじさん家族と交流して、時々おじさんと人生について話をしながら なんという事もない日常が流れていく。何かを掴めそうで、掴めず。そんなお話。

Posted byブクログ

2024/10/13

主人公大人すぎて何回か今何歳だっけ?って確認しに戻ってしまった けっこう生々しい会話なのにどろどろしたところがなくて爽やかなのがすごい この人の書く物語のにんげんたちの距離感が好き

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2024/10/09

吉本ばななさん的な要素がいっぱい詰まった作品。 スピリチュアルだけど、そこがメインじゃなくて、作者あとがきにあるような古き良き下町のシステムのようなものを描いている。 窮屈で面倒臭くて、と現代人が敬遠した結果崩壊寸前の下町的なるもの。それが持つ大きな力。 例えば「清濁」に登場する...

吉本ばななさん的な要素がいっぱい詰まった作品。 スピリチュアルだけど、そこがメインじゃなくて、作者あとがきにあるような古き良き下町のシステムのようなものを描いている。 窮屈で面倒臭くて、と現代人が敬遠した結果崩壊寸前の下町的なるもの。それが持つ大きな力。 例えば「清濁」に登場する新さんのような人を“生きていることが仕事”として抱合する懐の深さ。 都会の人が身軽さと引き換えに失った大事なものを書き留めておこうという試み。 懐かしさと、寂しさを感じながら読んだ。 「大人が痩せがまんしてでもちゃんと大人だと、子どももちゃんと子どもでいられるのです」という言葉には納得しかない。 今の世の中、“子ども大人”が多すぎて、子どもが子どもでいられない時代だと思うから。

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2024/10/08

本屋さんでビビッと惹かれて購入。 スピ(リチュアル)みたいな感じでまとめる人も一定層いるけど、伝わる人には伝わると思う、そんな色々が詰まってる。 さらっとかかれてる一行も、私にとってはずっしりな言葉の連続で、それを交わすキヨカと友おじさん、その他の人々。ばななさんは意図してないか...

本屋さんでビビッと惹かれて購入。 スピ(リチュアル)みたいな感じでまとめる人も一定層いるけど、伝わる人には伝わると思う、そんな色々が詰まってる。 さらっとかかれてる一行も、私にとってはずっしりな言葉の連続で、それを交わすキヨカと友おじさん、その他の人々。ばななさんは意図してないかもしれないところでたくさん泣けました。あったかい本だったなあ。

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2024/09/23

2つ目のお話が好き。新さんと地域との共生関係が良かった。新さんにもちゃんと役割があるのが良いね。それでも健康状態や時代の変化で、その関係がどうしても変わっていってしまうのが寂しい。

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2024/09/21

最初に感じたのは こういう力を持って生きていくのは大変だろうなって言う事。 「下町を舞台にした ハートフルな物語」とテレビで紹介されてたけど 家族や仲良しのおじさんとの優しい時間や会話に対して 時々 遭遇する 過去の事件が悲惨 残酷さがちょっと気になりました。 ばななさんの言う ...

最初に感じたのは こういう力を持って生きていくのは大変だろうなって言う事。 「下町を舞台にした ハートフルな物語」とテレビで紹介されてたけど 家族や仲良しのおじさんとの優しい時間や会話に対して 時々 遭遇する 過去の事件が悲惨 残酷さがちょっと気になりました。 ばななさんの言う 生き方やサバイバルのノウハウと言うより この本(内容 登場人物のセリフや考え方)全てがスピリチュアル本って感じがしました

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2024/09/12

下町に暮らす目に見えないものが見える中学生のキヨカと近所に住む友おじさんとの大切な日常。 見えてしまうせいか、大人たちに接する機会が多いせいか、随分と大人の気持ちのわかる中学生だなぁという印象。 大人の感覚で心の内を言葉にするせいか、まったく中学生とは思えないキヨカに不思議さを...

下町に暮らす目に見えないものが見える中学生のキヨカと近所に住む友おじさんとの大切な日常。 見えてしまうせいか、大人たちに接する機会が多いせいか、随分と大人の気持ちのわかる中学生だなぁという印象。 大人の感覚で心の内を言葉にするせいか、まったく中学生とは思えないキヨカに不思議さを感じながら、下町ならではの人情も味わえた。 あとがきに記されてた、当時の下町は、この世からはみ出してしまった行き場のない人たちをなんとなく、薄ぼんやり、誰もむりせずに包み込んでいたというのも懐かしさを想起させられた。

Posted byブクログ