バタン島漂流記 の商品レビュー
史実の海難事故をもとに、バタン島に漂流した船乗りたちを描いている歴史小説。 江戸時代の船で遭難して生き残り、更に漂流先で船を作って再度日本に戻ってくることは奇跡的。 漂流しているときの絶望感がすごすぎて、海は大きくて怖いものだと感じてしまった。ただ、仲間が頭を信じてついていくとこ...
史実の海難事故をもとに、バタン島に漂流した船乗りたちを描いている歴史小説。 江戸時代の船で遭難して生き残り、更に漂流先で船を作って再度日本に戻ってくることは奇跡的。 漂流しているときの絶望感がすごすぎて、海は大きくて怖いものだと感じてしまった。ただ、仲間が頭を信じてついていくところは熱い気持ちにさせられた。 極限状態で仲間を信じる、陸を信じる、生きて帰れることを信じる、、、本当に難しい。それを克服してしのいだ時は読み手までほっとしてしまった。 バタン島で出会った人々との暮らし習慣など、厳しいこともあったが、生きて帰ることができてよかった。
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漂流して潮のかげんでフィリピン北部のバタン島に着いてしまうことが度々あったようです。こちらは江戸時代の初期1668年に漂流した15人の水夫たちの史実に基づいたフィクションです。15人中、2人は殺害され、1人は事故死、1人は島に残り、11人が無事日本へと帰還します。 原住民が酷す...
漂流して潮のかげんでフィリピン北部のバタン島に着いてしまうことが度々あったようです。こちらは江戸時代の初期1668年に漂流した15人の水夫たちの史実に基づいたフィクションです。15人中、2人は殺害され、1人は事故死、1人は島に残り、11人が無事日本へと帰還します。 原住民が酷すぎる。積荷を強奪して船を壊して奴隷にするとか。働きの悪い年寄り2人は殺害するし、島で働く分には労働力としてある程度自由もあったようですけど口伝だけで文字を持たない文明レベルの原住民に家畜のように扱われるとか・・・ 原住民を信用させて舟を作って日本に戻っるとかこれが史実であったところが感動します。 現地妻を娶って1人島に残った人もいるようですが、 その後この島でどんな扱いを受けたのか気になるところですが、言葉や文化に日本的なものの影響あたえたりとか、野蛮な原住民が年配をいたわる意識とか持ってくれれば残った意味もあるのかなって思いました。 日本に帰れた11人もいろいろ試練が待ってた様子が浦島太郎のように面白く仕上げられてて、1680年には逆にバタン島の漁民23人が宮崎県に漂着した史実もあってこれもうまく物語に取り入れてるのは流石でした。
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江戸時代初期に新造船颯天丸で江戸を出帆した一行が、不意の嵐に見舞われ遭難してしまう。楫も帆も失い、水や食糧も底を尽きかけたとき、前方に3つの島影を発見する。 “バタン島”なんてふざけた名前だと思ったがフィリピンに属する実在の島で、Wikipediaによればこうした出来事は実際に何...
江戸時代初期に新造船颯天丸で江戸を出帆した一行が、不意の嵐に見舞われ遭難してしまう。楫も帆も失い、水や食糧も底を尽きかけたとき、前方に3つの島影を発見する。 “バタン島”なんてふざけた名前だと思ったがフィリピンに属する実在の島で、Wikipediaによればこうした出来事は実際に何度も起きているのだそうだ。 前半の嵐との戦い、後半の島での辛苦など読み応えのある海洋冒険小説だった。15名の船乗りたちの性格や人間性の書き分けも素晴らしかった。
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男の意気地や団結ってなんやねんって毎度思うのにやっぱ感激させられてしまう。 異国に流されてまでの主従関係。結束力、人情。 まっすぐな男たちのお話です。
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直木賞作家 西條加奈作品 1668年 徳川4代家綱の頃 江戸幕府は鎖国の時代 尾張から材木を積んで江戸へ向け出港した船が、江戸で荷を下ろし 今度は尾張藩への植木などを積んで帰還するはずが、悪天候にあい外洋へと流され フィリピン バタン島へ漂着した。その史実をもとに 書かれた作品 主人公 和久郎は船大工になろうとしたが その道をあきらめ、幼馴染の門平の乗る尾州廻船で水夫になる。 情があり知恵もある「船頭」志郎兵衛のもと 個性豊かで諍いもあるが、仕事には手を抜かない海の男たち15人 江戸からの帰り 悪天候にあい 様々な困難を乗り越えながら漂着したのは 見たこともない肌の色をした ことばもわからぬ島だった。 乗組員それぞれが個性豊かで、前半は荒波をみんながア適材適所 知恵を出し合いながら乗り越えていく。 手に汗握る展開で 読む手が止まらない。 縦割り社会の役割 船乗りの男気 未知の国・島民たちとの駆け引き・・・ 主人公たちのやり取りなどはフィクションだとわかっているものの 船に乗り 生死をさまよいながらも「母国に帰ろう」とする熱い想いは グッと迫るものがある。 尾張大野村(愛知県常滑市)に残された資料を基に NHKが『池内博之の漂流アドベンチャー』でヨットでチャレンジしたそうだが そちらも見たかった。 男くさい漂流アドベンチャーです。おすすめ。
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漂流記、というだけあって、漂流中や流れ着いた島での暮らしなど、かなり詳細に描かれている。まざまざと目に浮かぶほどの徹底ぶりで臨場感はあるのだけど、時に少ししつこく感じるタイミングも正直あったものの、それが物語の熱量となって後半一気に読み切ることができた。
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寛文8年(1668年)、尾張大野村から出航した商船が嵐に遭い、台湾とフィリピンルソン島の間にあるバタン島に漂着した実話に基づく冒険小説。 同様の漂流物は、吉村昭の「漂流」や「大黒屋光太夫」などがあるが、漂流した船乗りが帰国のため、自力で船を作るという点で他と差別化できている。 史...
寛文8年(1668年)、尾張大野村から出航した商船が嵐に遭い、台湾とフィリピンルソン島の間にあるバタン島に漂着した実話に基づく冒険小説。 同様の漂流物は、吉村昭の「漂流」や「大黒屋光太夫」などがあるが、漂流した船乗りが帰国のため、自力で船を作るという点で他と差別化できている。 史実や文献を調べ、船の構造や船員個々の役割分担、ランビキという海水から真水を精製する知恵と工夫が詳細に描かれているのもこの作品ならではの特徴だ。 ストーリーは、15人の漂流者の人間関係、苦境を耐え抜く精神力を根底に、嵐の中での漂流シーン、島での奴隷のような生活、島民との友情の芽生えなど波乱万丈で予期せぬ展開が魅力。 1年7か月ぶりに帰国するまでの間に培われる船員たちの絆、帰国してからの苦悩など、多くの感動的な場面も散りばめられている。
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大事なところだから詳しい説明になっているのだとは思うけれど、船の造りや乗組員の役職などなじみが無さ過ぎてなかなか頭に入ってこず… 苦難が多い漂流、バタン島での生活とつらい展開が続くところも、読み進めるのに苦労した理由 頭や楫取ももちろん、門平には死んでほしくなかった 史実に基づいている物語、知らなかった事を知れるのは面白かった
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17世紀中頃、江戸時代。尾張から漂流した颯天丸。黒潮とその循環流に乗り、遠くフィリピンのバタン島に漂着する。言葉も通じぬ異国で絶望する15名の運命。史実に基づく小説、漂流譚。 江戸時代の船にまつわる専門的な用語にも注目。普通に会社で使う「すり合わせ」という言葉の語源を本書で知る。...
17世紀中頃、江戸時代。尾張から漂流した颯天丸。黒潮とその循環流に乗り、遠くフィリピンのバタン島に漂着する。言葉も通じぬ異国で絶望する15名の運命。史実に基づく小説、漂流譚。 江戸時代の船にまつわる専門的な用語にも注目。普通に会社で使う「すり合わせ」という言葉の語源を本書で知る。 鎖国下での船乗りの生命力には感嘆する。
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自分だったら、どうする?止まるか万に一つの無事航海に賭けるか。帰国しても妻は再婚。仕方ないとはいえ哀しい。鎖国政策、ここまで徹底?「異国への渡りようを覚えた者たちを船に乗せる訳にはいかない」あまりに狭量だけど…
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