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バタン島漂流記 の商品レビュー

4.1

17件のお客様レビュー

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2024/09/15

寛文8年(1668年)、尾張大野村から出航した商船が嵐に遭い、台湾とフィリピンルソン島の間にあるバタン島に漂着した実話に基づく冒険小説。 同様の漂流物は、吉村昭の「漂流」や「大黒屋光太夫」などがあるが、漂流した船乗りが帰国のため、自力で船を作るという点で他と差別化できている。 史...

寛文8年(1668年)、尾張大野村から出航した商船が嵐に遭い、台湾とフィリピンルソン島の間にあるバタン島に漂着した実話に基づく冒険小説。 同様の漂流物は、吉村昭の「漂流」や「大黒屋光太夫」などがあるが、漂流した船乗りが帰国のため、自力で船を作るという点で他と差別化できている。 史実や文献を調べ、船の構造や船員個々の役割分担、ランビキという海水から真水を精製する知恵と工夫が詳細に描かれているのもこの作品ならではの特徴だ。 ストーリーは、15人の漂流者の人間関係、苦境を耐え抜く精神力を根底に、嵐の中での漂流シーン、島での奴隷のような生活、島民との友情の芽生えなど波乱万丈で予期せぬ展開が魅力。 1年7か月ぶりに帰国するまでの間に培われる船員たちの絆、帰国してからの苦悩など、多くの感動的な場面も散りばめられている。

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2024/09/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

大事なところだから詳しい説明になっているのだとは思うけれど、船の造りや乗組員の役職などなじみが無さ過ぎてなかなか頭に入ってこず… 苦難が多い漂流、バタン島での生活とつらい展開が続くところも、読み進めるのに苦労した理由 頭や楫取ももちろん、門平には死んでほしくなかった 史実に基づいている物語、知らなかった事を知れるのは面白かった

Posted byブクログ

2024/09/05

2024.9.5 江戸時代初期が舞台の歴史小説でもあり、海洋冒険小説でもあります。当時の航海や生活の克明な描写にリアリティを感じました。

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2024/09/04

17世紀中頃、江戸時代。尾張から漂流した颯天丸。黒潮とその循環流に乗り、遠くフィリピンのバタン島に漂着する。言葉も通じぬ異国で絶望する15名の運命。史実に基づく小説、漂流譚。 江戸時代の船にまつわる専門的な用語にも注目。普通に会社で使う「すり合わせ」という言葉の語源を本書で知る。...

17世紀中頃、江戸時代。尾張から漂流した颯天丸。黒潮とその循環流に乗り、遠くフィリピンのバタン島に漂着する。言葉も通じぬ異国で絶望する15名の運命。史実に基づく小説、漂流譚。 江戸時代の船にまつわる専門的な用語にも注目。普通に会社で使う「すり合わせ」という言葉の語源を本書で知る。 鎖国下での船乗りの生命力には感嘆する。

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2024/09/03

自分だったら、どうする?止まるか万に一つの無事航海に賭けるか。帰国しても妻は再婚。仕方ないとはいえ哀しい。鎖国政策、ここまで徹底?「異国への渡りようを覚えた者たちを船に乗せる訳にはいかない」あまりに狭量だけど…

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2024/09/01

★5 史実に基づいた江戸時代の漂流記、海の男たちの生き様を堪能できる歴史冒険小説 #バタン島漂流記 ■あらすじ 徳川四代目家綱の時代、尾張と江戸を航路を結び、物品の輸送を行っていた。船には船頭をはじめ、十五名の船乗りたちが乗船していた。しかしある航海の途中、突然の荒波に船が難破...

★5 史実に基づいた江戸時代の漂流記、海の男たちの生き様を堪能できる歴史冒険小説 #バタン島漂流記 ■あらすじ 徳川四代目家綱の時代、尾張と江戸を航路を結び、物品の輸送を行っていた。船には船頭をはじめ、十五名の船乗りたちが乗船していた。しかしある航海の途中、突然の荒波に船が難破してしまい、彼らは太平洋で漂流することに… もはや生還は絶望的であった。 ■きっと読みたくなるレビュー ★5 こりゃまた素晴らしい歴史冒険小説。海の男たちの生き様をガッツリ堪能できる傑作です。当時の船乗りの仕事を体験できる、海洋冒険小説でもありますね。 そして本作はなんと史実に基づいた物語、いやはや読書というのは勉強になります。文明も未熟な400年も前の時代に、こんなことをやってのけ人たちが居たのか… 人間とは無限の可能性がありますね。 本作のイチ推しポイントは、海の男たちの生きた姿。大海原の漂流から始まり、異国の地での厳しい生活。ひとりひとりの生の躍動がビンビン伝わってくる。船乗りとしての気概、日本に帰還するという想い、そして十五人の友情を余すところなく描いています。 キャラクターがまたいいんすよ。特に門平と和久郎は幼馴染。若かりし頃から船乗りに従事している門平は、船づくりの職で悩んでいた和久郎を船乗りとして拾ってあげる。その後、様々な待ち受けている苦難も、その都度お互いを励まし合い困難を乗り越えていくんです。そりゃ物語ではあるんしょうけど、いい話じゃないですか。もう泣きそう。 また船頭や先輩の船乗りの男たちがカッコイイんすよ。私もこんな頼りがいのある男になりたい。彼らの力強さを見ていると、日頃から愚痴ばっかり言っている自分が恥ずかしくなっちゃう。勇気と元気をもらえました。 そして漂流後に到着したバタン島、異国の地での生活についても興味深く描かれていく。酷い扱いを受けるのですが、日本に帰還することへの熱い想いが溢れ出て、読む手に力が入るんですよ。 漂流はもちろん、その後も様々な試練が待ち受けるのですが、彼らは立ち向かっていくんすよ! 時には耐えがたい悲劇もあったりするのに… 彼らをなんとか日本に帰してあげたい、心からそう思わせてくれるんです。 終盤はもう何も言えない、男たちの人生丸ごと肌で感じてしまい、マジで涙を流してしまいました。 歴史小説ではありますが、わかりづらい文章やセリフもほとんどなく、むしろ読みやすい。さすが直木賞受賞の作家先生。どなたにもおすすめできる、エンタメ抜群の冒険小説でした。 ■ぜっさん推しポイント 人間って嫌なことがあると、ついボヤいちゃいますよね~ 何もかもイヤになって、最終的には厭世的になってしまうこともある。 元気がでないということもあると思うんですが、そんな時にぜひ読んで欲しい本ですね。この本には、いかに真剣に生きるのか、生命に対する執着が余すところなくに描かれていました。

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2024/08/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

西條奈加さんはまたしても全く予想もしなかったすごい話を書き上げましたな。大人の冒険譚というべきか,ワクワク・ドキドキが止まらない,そして最後はちょっと切ないお話。 内容は,江戸時代に荷を運ぶ船が嵐に遭い,舵も帆も壊れて漂流することになるというもの。そして幾多の危機を乗り越え,乗員が奇跡的に全員無事でたどり着いたところは...。彼らは果たして故郷に戻ってこられるのか。江戸幕府の鎖国政策がどういうものかということも今まで知っていた知識とは別の観点で理解できた気がする。

Posted byブクログ

2024/08/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

私の大好きなジャンルである漂流記。これも掛け値なしに面白かった。言葉の通じない異国にたどり着くというところが、どこか旅をしている気にさせるからだろうか。荒くれ者の船乗りたちが、色々ぶつかり合いながらも、力を合わせて、生き延びるというシチュエーションが好きというのもある。 他の漂流記と違うところは、自分たちで作った船で日本に帰り着いたところ。はじめから船の構造がとても細かく描写されていたが、後半造船する場面に繋げる意味もあったのかも。 西條奈加さんの文章も素直で読みやすく、ひさびさに心躍る読書だった。

Posted byブクログ

2024/08/20

江戸時代の実話を基にした小説。江戸から尾張へ向けて荷を積んだ舟が港を目前にして嵐の為、流されて今のフィリピンの北の島に辿り着く。言葉も通じない島民達との確執もありながら15人全員で日本に帰る希望を捨てずに暮らして行く様子が胸を打つ。和久郎と門平の友情、白鷺のシーンが哀しかった。

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2024/08/02

四代家綱の時代。 江戸を出た弁才船が三河沖で遭難。 1ヶ月あまり漂流しバタン島に漂着。 島民に奴隷のように使われる。 そして、船乗りたちは自力で船を再建し日本へ戻ってくる。 これ、史実だという。 船の構造、専門用語などもわからないことは調べながら読み進めた。 「板子一枚下は地獄...

四代家綱の時代。 江戸を出た弁才船が三河沖で遭難。 1ヶ月あまり漂流しバタン島に漂着。 島民に奴隷のように使われる。 そして、船乗りたちは自力で船を再建し日本へ戻ってくる。 これ、史実だという。 船の構造、専門用語などもわからないことは調べながら読み進めた。 「板子一枚下は地獄」 荷を乗せ波に揉まれ目的地に帰り着くまで皆で無事を祈る。 西條奈加さんの手により人間味あふれる作品に仕上がっている。 島民との交流も読み応えあり。 当時は多くの海難事故があったという。 命を落とすこと無く日本に戻ったからこそ 今の時代まで語り継がれている。 命あってのもの。 頭たちの声が聞こえてくるようだ。

Posted byブクログ