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愚か者の石 の商品レビュー

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22件のお客様レビュー

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2024/06/15

北海道開拓史の闇の部分に光を当てた作品。 明治18年、国事犯として北海道の樺戸集治館(刑務所)に収監された瀬戸内巽が送った過酷な獄中生活を描く。同房の大二郎と親しくなった巽は、彼の隠し持つ綺麗な石に気付く。さらに2人は釧路集治監へ移送され硫黄を掘ることになる。巽、大二郎に加え、看...

北海道開拓史の闇の部分に光を当てた作品。 明治18年、国事犯として北海道の樺戸集治館(刑務所)に収監された瀬戸内巽が送った過酷な獄中生活を描く。同房の大二郎と親しくなった巽は、彼の隠し持つ綺麗な石に気付く。さらに2人は釧路集治監へ移送され硫黄を掘ることになる。巽、大二郎に加え、看守である中田が渋い。極限状況での奇妙な連帯感がいい。 樺戸集治館の目的は犯罪者の収容と開拓のためだった。囚人たちは粗末な食事と苛烈な環境の中での肉体労働に酷使される。北海道開拓の裏に囚人がいたことは知っていたが、ここまでひどいとは思わなかった。読み応えのある力作だった。

Posted byブクログ

2024/06/12

河崎秋子さんの最新作、面白く読了しました。 学生時代の政治的活動で捕らえられた巽と、 嘘や法螺ばかりの大二郎、冷酷にみえる看守中田の3人を通して描かれる集治監で起きる出来事と、 少しずつ見えてくる大二郎の過去を追う物語。 今回も今までの作品と違わず、 過酷な環境で強く逞しく生...

河崎秋子さんの最新作、面白く読了しました。 学生時代の政治的活動で捕らえられた巽と、 嘘や法螺ばかりの大二郎、冷酷にみえる看守中田の3人を通して描かれる集治監で起きる出来事と、 少しずつ見えてくる大二郎の過去を追う物語。 今回も今までの作品と違わず、 過酷な環境で強く逞しく生き切る姿、 運命、宿命に翻弄されながらも魂は譲らないといった力強さに強く惹きつけられ続け、物語に引き込まれていきました。 次作品も楽しみにしています。

Posted byブクログ