クリティカル・ビジネス・パラダイム の商品レビュー
市場のニーズを調査しそれに応える従来型のビジネスに対比して、市場や顧客に批判的な=クリティカルな立場を取るビジネス(クリティカルビジネス)を今日より重要なビジネスのあり方として紹介している。 筆者の主張は明確で、私自身も概ね賛成であるのだが、自分の主張を補強するために事例となる企...
市場のニーズを調査しそれに応える従来型のビジネスに対比して、市場や顧客に批判的な=クリティカルな立場を取るビジネス(クリティカルビジネス)を今日より重要なビジネスのあり方として紹介している。 筆者の主張は明確で、私自身も概ね賛成であるのだが、自分の主張を補強するために事例となる企業を一面的に切り取っているように見られる部分もあり、「クリティカル」に読むと躓いてしまうときもあった。 ブルネロ・クチネリについては初めて知ったが、よい企業のあり方だなと感じた。
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山口周さんの集大成的な書籍「ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す( https://x.gd/Rktuo )」の続編とも言える本書。「ポスト資本主義」の一端を見ることができる。 事例として上げているパタゴニアやフェアフォンのようにブランド戦略として多くの支持を獲得できた成功者が登場するのはわかるし共感もする。そのような未来がやってくることを地球人としては願っている。まさに「社会運動とビジネスの交点に立てている企業」と言えるだろう。 ただ、その交点に立てる企業が主流となりうるのか?あるいは、その交点に立つことが生き残りの必要条件となるのか?といえば、残念だけどNoと言わざるを得ない。 SDGsや人権という責任を果たす企業と、これらを無視して地球環境も従業員をも徹底的に搾取して顧客価値最大化に邁進し続けるブラック企業との市場競争ははたしてどちらに軍配が上がるのか? 地球に優しく、他所の国の低賃金労働者の苦しみにも共感を示して全体最適の中で「足るを知る」消費者なのか、それとも利己的な消費者なのか。 どちらがこの世の中で多いのか?という問いに置き換えてみたら、どちらの企業が優位かは明らかだ。 人類は「津波よ、来たれ!我なき後に!」と願いながら「自分さえ良ければ…」「今さえ良ければ…」という「現在志向バイアス」のバグを抱えて生きている。 持続可能でない搾取をするブラック企業を強制的に市場から退出させるもっと強力なシステムが必要となるだろう。本書のような思想をアルゴリズムに実装する何かが。
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『#クリティカル・ビジネス・パラダイム:社会運動とビジネスの交わるところ』 クリティカル・ビジネスとは何か。 一般に我々が「ビジネス」と言った時に考えるものの真逆なもの。 競合優位に立ち、より多くの市場シェアを取り、より多くの利益を上げるというアプローチは「アファーマティブ・ビ...
『#クリティカル・ビジネス・パラダイム:社会運動とビジネスの交わるところ』 クリティカル・ビジネスとは何か。 一般に我々が「ビジネス」と言った時に考えるものの真逆なもの。 競合優位に立ち、より多くの市場シェアを取り、より多くの利益を上げるというアプローチは「アファーマティブ・ビジネス」と呼ばれる。その逆で、個別企業の売上や利益よりも、社会全体としてのベネフィットやフェアネスを優先する、こうしたアプローチを「クリティカル・ビジネス」と呼ぶ。 一例として、環境に配慮した洗剤等を作るメーカーが、自社と競合する製品をPBで開発すべしとウォルマートに持ちかける。通常、アファーマティブ・ビジネスの世界では考えられないことだが、自社で独占するよりもウォルマートのように世間に影響力のある企業に同種の製品を売ってもらうことが、ひいては社会のためになると考えるアプローチだ。 もう少し過激な例としては、自然派化粧品のザ・ボディショップがある。同社は動物実験を行わないことを標榜しているが、そこに興味のない顧客にとっては "So what?" な事柄にすぎない。一方で同社は、自社製品が顧客に与えるベネフィットについては一切言及しない。むしろ、同社の創業者は、どんな化粧品であっても、使用者を美しく変えたり若返らせることなどできない、美しい広告モデルを使ったCMを見せて、顧客にそうした勘違いをさせるのは一種の詐欺行為であるとまで主張していた。 もう少しソフトなものではIKEAイスラエルの例がある。 体が不自由等の理由で通常の家具にちょっとした不自由を感じる人が市場の1割ほどいる。逆にいえば10%に過ぎないため、従来はROIが合わないと看過されることが多かった。 IKEAでは、そうした人たちに向けて、補助器具の設計図を無償公開し、3Dプリンターで自ら作れるようにした。 限定的な商圏だけで見た場合には切り捨てられがちな10%を、グローバルレベルの問題と見ることで、むしろ市場全体の10%のシェアを獲得できるチャンスと見たというのが、このケースの肝である。 といった具合に学びの多い一冊。この著者はファクトを整理し、わかりやすく伝えるのが上手い。 と、持ち上げてみたが、一方で、本書のタイトルにもかかわらず「クリティカル(批評的)」な側面が弱いのは相変わらず。 最終章の消費アクティビズムに関する分析では、環境負荷の少ない商品を選ぶ比率が、日本はインドや中国に比しても低いとする。 10億を超える人口を擁する両国のどこまでが調査対象になっているのだろう? 例えば中国では、首都である北京でさえも、ウォシュレットはおろか尻を拭いたトイレットペーパーをトイレに流すことはNGだ(便の付いた紙をゴミ箱に捨てるのが普通)。故に日本の(特に観光地の)公衆便所では「トイレットペーパーはゴミ箱に捨てず便器に流してくれ」と大書しているのをご覧になったこともあるだろう。 https://amzn.to/4dAjLaR
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これからのビジネスの主流と目されるクリティカル・ビジネスの解説書。 成熟社会において、批判的考察を通して、遠くの・未来の他者への共感から、「歓びに充ちた節制と解放する禁欲=joyful sobriety and liberating austerity」(イヴァン・イリイチ)の...
これからのビジネスの主流と目されるクリティカル・ビジネスの解説書。 成熟社会において、批判的考察を通して、遠くの・未来の他者への共感から、「歓びに充ちた節制と解放する禁欲=joyful sobriety and liberating austerity」(イヴァン・イリイチ)の実践(この言葉が個人的には一番気に入った)など、 社会とビジネスの課題を解決を目指すための、実例とアプローチ方法が多数述べられている。 これからの社会人だけでなく、これまで既に会社人人生を送ってきた壮年層含め、今後の生き方を見つめるのに最適なボリューム感の著作。 まずは行動から。
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山口周さんの本を手に取るのは初めてではないが、この本くらいうなづき続けたのは初めて。 どうして、AppleやTeslaやIKEAが世界的に企業になって、業界をリードし続けているのか、そういった企業が日本から生まれていない理由を、企業、顧客、その社会の分析から明らかにして、どうすれ...
山口周さんの本を手に取るのは初めてではないが、この本くらいうなづき続けたのは初めて。 どうして、AppleやTeslaやIKEAが世界的に企業になって、業界をリードし続けているのか、そういった企業が日本から生まれていない理由を、企業、顧客、その社会の分析から明らかにして、どうすればその環境が変わるかまで、綿密に提案がなされた良著。
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クリティカルビジネスパラダイム(CBP)とは、社会で見過ごされている不正義や不均衡を批判し、改善するための行動を起こすことによって価値を創造すること 少数派であることこそがCBPの核心をなす要素 問題とは私たちが認知的に新たに生成するもの 社会改革運動は、理想社会とはどのような社...
クリティカルビジネスパラダイム(CBP)とは、社会で見過ごされている不正義や不均衡を批判し、改善するための行動を起こすことによって価値を創造すること 少数派であることこそがCBPの核心をなす要素 問題とは私たちが認知的に新たに生成するもの 社会改革運動は、理想社会とはどのような社会ではないのか CBPのアクティビストがイニシアチブを立ち上げるきっかけとなった経験は偶然によってもたらされる とにかく早く小さく試す 安定した収入をもたらしてくれる本業を続けながら起業した人ほと、副業で大胆なリスクを取れる 逸脱者のよって多数派の規範がアップデートされる開かれた社会を築く 過去はこれからをどのように生きるか次第でいくらでも変えられる アクティビストのためのブックガイド これからの、今の社会において逸脱者になること、社会変革活動家になること、社会を変えていくことに対する実践的な武器となる本 社会に対する活動に加えて、まずは自分の所属する組織の中での活動においても参考にしたい。反抗することだけを目的にするのではなく、どうなりたいか、あるいはどうなりたくないのかをゴールとしながら。
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アファーマティブビジネスはステークホルダーの価値観や欲望を肯定的に受け取り、彼らの利得を最大化させて企業価値をあげるビジネス。 クリティカルビジネスはステークホルダーの価値観を批判的に考察し、オルタナティブを提案することを社会的に価値観のアップデートを起こすことを目指すビジネス...
アファーマティブビジネスはステークホルダーの価値観や欲望を肯定的に受け取り、彼らの利得を最大化させて企業価値をあげるビジネス。 クリティカルビジネスはステークホルダーの価値観を批判的に考察し、オルタナティブを提案することを社会的に価値観のアップデートを起こすことを目指すビジネス。 イノベーティブな意見ほど評価されない
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ガソリン車はCO2の排出で環境に悪いのはわかっているが「仕方がない、そういうものだ」 スマホの画面が割れたりバッテリー交換の修理代が高いが「仕方がない、そういうものだ」 安いしデザインも良いファストファッションは大量生産でCO2の排出も多いし児童労働問題もあるが「仕方がない、そう...
ガソリン車はCO2の排出で環境に悪いのはわかっているが「仕方がない、そういうものだ」 スマホの画面が割れたりバッテリー交換の修理代が高いが「仕方がない、そういうものだ」 安いしデザインも良いファストファッションは大量生産でCO2の排出も多いし児童労働問題もあるが「仕方がない、そういうものだ」 「仕方がない、そういうものだ」が世の中たくさん溢れていて、毎日当たり前のこととしてそのままスルーしていました。 そんな中、アムステルダムのフェアフォンはiphoneとは違い誰でも液晶画面が割れたり、バッテリー交換したいときは自分で交換することにより、同じスマホを使い続けることでサスティナブルなことにつながる。まさに修理する権利を取り戻す社会運動ビジネスが代表的なクリティカルビジネスのようで、とても哲学的でわかりやすかったです。 このクリティカルビジネスの対義語として、アフォーダンスビジネスを掲げていました。 顧客のニーズに応えて企業は試行錯誤して新商品を開発したり、顧客の「こんなのサービスにしてほしい」を叶えてあげることも、アフォーマティブビジネスのようです。 その真逆として企業が社会問題を生成して、顧客に対して提示していくことがクリティカルビジネスのようで、アウトドアブランドのパタゴニアの商品を買って使い続けていることで環境にも配慮していくことになり、顧客も協力していくことができる。本当のWinWinですね! クリティカルビジネスのクリティカルとは批判的、反抗的というとこになると、そんなネガティブな考えが本当にビジネスとして良いものなのかを、歴史上哲学者やデータに基づいて詳しく解説していました。 近年、脱物質主義者と物質主義者の対率変化もとても参考になります。 まさにわたしも若い頃はあれが欲しいこれが欲しいと物力旺盛でしたが、今思えばあれはなんだったんだろうと思ってしまいます。 そしてクリティカルビジネスは少数派という問題。そこにはモスコヴィッツによる少数派影響理論で納得できました。 そして、クリティカルビジネスに挑戦あるいは参加していくにはどうしたらよいのか、日本の国だからこそ社会を変えていくチャンスでもあることを解説していただきました。 安全・快適・秩序の三拍子揃った日本では逸脱者をなかなか許容しない環境ではあるようですが、今の子供たちのためにも、これからの時代にとても必要な情報だと思います。 最後の半脆弱性の話も面白かったです。 ありがとうございました。
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今後の企業の在り方を考えさせられました 資本主義をハックする、という切り口のためには、 もっと頭を柔軟にしておかないといけない 読書メモ ・いち早く問題意識を持った企業によるマーケティング・コミュニケーションによる市場の教育が大きく寄与する。今日の社会では、公共メディアによる報道やジャーナリズムよりも、私的な企業によるマーケティングコミュニケーションこそ、社会変革の大きな役割を担っている。 ・本当に考えなければいけないことは、「SDGsの17個のアジェンダは実行あるのみ。あなたは18番目に何を掲げたいですか」ということ。 ・社会運動、社会批評としての側面を強く持つクリティカルビジネスのパラダイムにおいては、競合企業は必ずしも打ち倒すべき敵ではなく、同じ社会的問題の解決を目指す同志の側面を併せ持つことになる。 ・プラスサムゲーム。市場の大きさは可変であり、市場の拡大によって参加者すべての売り上げや利益を増やせる状況。クリティカルビジネスによる啓発や教育を通じ、新たな価値やニーズを創出している。 ・社会には常に不完全さがあり、その不完全さに対する反抗がなければ社会は進歩しない。 ・テクノロジーやイノベーションが経済を成長させるという主張は、一種の宗教。科学的なエビデンスがないにも関わらず、単に「そう信じたい人が、そう信じているだけ」だから。 ・公共性への関心が低い社会では、クリティカルビジネスは生まれにくい。この点こそ、西欧の社会において存在感を示すようになったクリティカルビジネスが、日本の社会からなかなか生まれない本質的な理由があると思っている。 ・能力レベルの高い人はそれに見合う挑戦的な課題を求める。「難易度の高いアジェンダ」は優秀でモチベーションの高い人を引き付け、逆に凡庸でモチベーションの低い人を遠ざける非対称性がある。 ・一般的に私たちは敵をつくることを避けるが、クリティカルビジネスでは逆に「意識的に敵を作り出し、その敵の持つエネルギーを反作用のように利用している。 ・言葉は情報でできており、情報はエネルギーを生み出す。社会運動は情報を食べて前進のエネルギーにする。
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クリティカル・ビジネスは①あるべき世界を定義し、②共感の力を利用し、③ビジネスとして行うことが重要。その理由としては、①現在の問題は変わらないので、どうありたいかが重要であり、②コンセンサスが取れていない少数のコアの力が推進上重要であり、③ビジネスとして行わないと広まらないからで...
クリティカル・ビジネスは①あるべき世界を定義し、②共感の力を利用し、③ビジネスとして行うことが重要。その理由としては、①現在の問題は変わらないので、どうありたいかが重要であり、②コンセンサスが取れていない少数のコアの力が推進上重要であり、③ビジネスとして行わないと広まらないからである。 特に、③のビジネスと社会運動的要素のバランスを取ることが重要であり、それには個人・会社の思想・哲学が必須であることを再認識した。
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