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Z世代化する社会 の商品レビュー

4.1

24件のお客様レビュー

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2025/02/07
  • ネタバレ

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「Z世代」と呼ばれる若者たちを分析することで、社会の在り方と変化を展望する。 ●Z世代の住処 ・若者はSNSという檻の中で監視し、監視されることによって安寧を得ている。コミュニケーション「らしきもの」を取りながら、ヌルい関係性の中でお互いを監視し続ける。 ・学校も「不快なものを極力排除した」楽しい場所でなければならない。Z世代は「客」だから。そして、教員が指導しようものならすぐにクレームを入れる。こうして、教員と生徒、お互いがWin-Winになる「無関心」という関係が生まれる。 ・若者は、「ありのままでいたい」けど「何者かになりたい」という、相反する願望を抱えている。無理はしたくないものの、他人から「凄い」と言ってもらえるレベルではありたい。 ●消費の主役・Z世代 ・「若者らしさ」「推し活は人を幸福にする」という社会言説を作り、Z世代を消費のターゲットにするビジネス。「みんなやっているから」という曖昧な理由で、サービスやモノが飛ぶように売れていく。 ・コンテンツが個別多様化し、より閉鎖的で他者から見えないようになる中で、不適切で粗悪なものが若者をとんでもない方向に「教育」していく危険性がある。YouTuberやインフルエンサーが「ビジネス」のために行なっていることを、リアルな世界線での倫理観として学んでしまう若者たち。 ・「友達と違ってたら嫌ですよね」 こうやって「不安」を煽ることで、Z世代をカモにする企業も存在する。不安に根拠は必要ないので、若者はホイホイ金を払う。 ・若者のいる現代社会はビジネス化の一途をたどっている。そして、知識がなくて意思決定が拙い若者は恰好のカモである。 ●唯言が駆動する非倫理的ビジネス ・「やりがい」「ガクチカ」「インターン」「コミュ力」など、言葉が一人歩きしてしまい、その言葉の真偽はともかく「正しいという空気」さえ作ってしまえば、事実を都合良くコントロールできる。 ・実態なき言葉を駆使して「成功体験」を積んできたZ世代は、それなりにいる。しかし、実態のない、言葉しかない薄い世界にしたのは他でもない「オトナ」。 ●劇的な成長神話 ・「成長」「自己実現」など、若者は具体性のない付加価値を求める。 ・「道徳の対称性」によって、自分と違う立場の人には口出しできず、第三者的でどこか他人事な思考に陥る若者。「好きにしたらいい」「自分で考えてやってごらん」など、大人が是としてきた個人主義的な自己責任論を、若者たちは参考にし、また強いられている。 ●消えるブラック、消えない不安ー当たりガチャを求めて ・職場は確実に脱ブラック化してきているにも関わらず、若者の「不安」を消えず、「ゆるい」職場は敬遠されてしまう。どこかに必ず「やりがいのある職場」があると信じ込み、離職を繰り返すことで「ガチャ」を回し続ける。 ・社会は人を怒らない方向にシフトしており、怒られた経験ない若者たちは、「怒られる」=「恥ずかしいこと」「この世の終わり」だと思ってしまう。 ・他責思考の人間に、「当たり」は永遠に回ってこない。 ●不安と唯言のはてにーわれわれに何ができるのか ・Z世代は、我々の住む社会の構造を映し出した「写像」である。世代間で分断するのではなく、我々みんなに同じ構造があることを認識し、どうやってそこから生きていくのかを考えていくことが重要。 ・自分にぴったり合う仕事、楽しい仕事など、この世には存在しない。 ・「満点志向」の人間から脱却して、「われわれは頭が悪い」という自覚をもとに、愚直さをもって賢くなる努力を積まなければならない。 ・信頼にも不安にも根拠はないからこそ、「余裕」を持って生きる。

Posted byブクログ

2025/01/20

信州大学附属図書館の所蔵はこちら→ https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BD06543434

Posted byブクログ

2025/01/13

「世の中全体がZ世代化している」という内容なのかと予想して読んでみたけれど、そういう話でもないみたい。Z世代の若者について、彼らの目線にまで降りてしっかり分析している感じで、なるほどなあと思うことひとしきり(特に前半が面白い)。後半に関連するモバイルプランナーってあまりピンとこな...

「世の中全体がZ世代化している」という内容なのかと予想して読んでみたけれど、そういう話でもないみたい。Z世代の若者について、彼らの目線にまで降りてしっかり分析している感じで、なるほどなあと思うことひとしきり(特に前半が面白い)。後半に関連するモバイルプランナーってあまりピンとこなくて。全体的に文章が堅苦しくなくてとても読みやすかった。

Posted byブクログ

2025/01/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

zenlyなどにより互いの情報を監視することで、自身の行動を最適化するなど、監視されることに対する抵抗がかなり薄い可能性が今の若い世代にはある。 小中高大と何もせず、手も挙げず、ノートも取らず、ただ黙って座っていることが「いい子」とされる学校環境と異なり、職場ではそれは成立しない。 学校は不安なものを排除し、楽しさだけで満たされたテーマパーク化している。 明確な美醜の基準がない中で、「ブサイク」といえば「ブサイク」にしてしまえる。この他にも、「ガクチカ」や「インターン」「コミュ力」など、意味内容が伴わない唯の言葉が跋扈している。 鳥羽和久『君は君の人生の主役になれ』「ガチャ概念の最たる誤りは、当たりがどこかにあると錯覚している点」とあるように、「ガチャ」と他責思考の人々に当たりなど、永遠に回ってこない。 Z世代はただのアーリーアダプターで、人類すべての社会構造を写し取った存在である。自身も同じであるということを認識し、どう共存するかを考えることが重要である。

Posted byブクログ

2024/12/21

Z世代を理解したいというよりは、Z世代が社会にもたらす影響を知りたくて手に取る。特に気になったのが「お客様になっていく若者たち」という副題である。著者は東京大学講師であり、1989年生まれなのでいわゆるY世代なのであろう。大学教員であるため、Z世代である学生とは日常的に接する機会...

Z世代を理解したいというよりは、Z世代が社会にもたらす影響を知りたくて手に取る。特に気になったのが「お客様になっていく若者たち」という副題である。著者は東京大学講師であり、1989年生まれなのでいわゆるY世代なのであろう。大学教員であるため、Z世代である学生とは日常的に接する機会が多くある立場でもあり、そうした経験を通じて得られたエピソードが議論に説得力を添えている。 件の副題については経営学を専門とする著者らしい2つの視点がある。1つは、Z世代の若者達が企業のマーケティングのターゲットとして「お客様」になっているという視点である。ネットで情報を取るのが当たり前であるこの世代は、一方で人生経験も少なく「不安」も多い。そうした不安を使用する企業というか悪質な業者に金づるとしてカモにされてしまっているという実態を書かれている。「自分の仲間が内定取っていたら、どう感じますか?」と不安を煽って登録者を募る新卒採用業界である。 また、若者がそうした業者の片棒を担がされる様なことも多くあり、例えばモバイルプランナーという仕事である。これは携帯電話の乗り換えを勧誘する仕事で、Googleで検索すると2クリックでその仕事に申し込みが出来るくらいに簡単にその世界に足を踏み入れられるものである。その仕事は完全歩合性であり、多くは学生たちの友達の携帯乗り換えをさせる事で成り立っているダークな側面がある業界でもある。正しくお客様になっていく若者という事である。 もう一つの視点であるが、実際に自分たちの事を「お客様」であるかのような振る舞いについても洞察されている。大学の講義を受ける学生は、その講義が簡単に単位が取れるかどうかが重要であり、レポートや出席が問われない授業はタイパが良いとされる。金を払っているのは学生側(実際は親の場合が多いはずだが)であり、顧客であるという意識がそうさせているのではないかという。ただこの視点についても鋭い指摘がなされており、顧客であったとしても本来学生が大学から得られる便益は学びであり成長であるという視点が欠落しているという事だ。タイパとはタムパフォーマンスという意味であるが、コストの対価となるパフォーマンスはどこにいったのだと。コスパ志向の罠は、コストを惜しむあまりその対価も失っているということだ。パフォーマンスとは経営者の視点であり、この点について著者は若者が経営者化しているという。しかし、その深みは浅はかでもある。 本書で知った言葉に「ガクチカ」がある。学生時代に力を入れたことという意味らしいが、学生であれば学業がガクチカであるべきなのに、学生はアルバイトやサークル活動、更にインターンなどの学業とは別の事を語りたいというニーズがあるという。但しこれは、採用企業から見ればやはり本末転倒にしか見えないはず。 以前、SNSを中心に流行した言葉に「親ガチャ」というのがある。他にも配属ガチャ、上司ガチャなどもあるという。この考え方は極めて浅い運命決定論のようなものである。このガチャ概念の特徴は、確率が固定されていて自分では変動させる余地がないという徹底的な他責思考でもあるという。 以下、Z世代の特徴 - 同世代の事を何か聞かれても、「別に本人が良ければいいのではないか」などと自分だったらどうするか、といった自分の意見を引っ込めたり、自分とは別に語るる傾向がある - 物語を共有して共有目的とすることを宗教的と感じる。Z世代は熱くならない。 - アドバイスを説教と感じる

Posted byブクログ

2024/12/21

独身未婚中年男性の自分が読んでみました。 なかなか面白かったです。 自分は「一般的な」20代の若者と接点はほとんどなく、接点を持つつもりも基本的にはないので、この本に出てくるような「一般的な」若者とはかなり距離を持って接すればいいかと思っているので、普段彼ら彼女らの考え方がわか...

独身未婚中年男性の自分が読んでみました。 なかなか面白かったです。 自分は「一般的な」20代の若者と接点はほとんどなく、接点を持つつもりも基本的にはないので、この本に出てくるような「一般的な」若者とはかなり距離を持って接すればいいかと思っているので、普段彼ら彼女らの考え方がわからない、と苦労することはあまりありません。(そうした若者に興味がないだけ?) 逆に、この本に出てこないような、ある意味ちょっと特殊な(例えばハイスペな)若者がいた場合にどう接していいかがわからず、その指南書みたいなものがあったらいいなと思いました。たまに接点があり、ちょっと苦労しています。 自分がハイスペでないから、ただ単に嫉妬しているだけかもしれませんが(汗)。 今の若者に不安を感じなくもないですし、少子化など問題は山積ですが、まあ日本も長らく続いてきているようですし、今のままで沈没するようなら日本もそんな程度の国ということで、それはそれでいいのでは?と普段から思っています。逆に、今の若者が中年になる20年後ぐらいに日本がまだ存在していれば、それはそれで捨てたことではないのかも、と思いました。 自分は独身未婚中年男性(ゲイ寄りのアロマンティックでアセクシャルではない)なので生きづらさは相変わらずあるものの、それでも多様性が叫ばれるようになって、昭和よりは生きやすいと思っています。ただその価値観も続かない可能性がある、というのをこの本の先生の言葉で気づかされ、ハッとしました。もし、特に精神的にマッチョな男らしさを求める風潮が復活したら自分は生きて行けなさそうな気がするので、なんとか自分の目が黒いうちは現在の風潮が続いて逃げ切りたいと思っています。

Posted byブクログ

2024/12/16

著者も本書の中で述べているとおり、「先生、どうか皆の前でほめないでください」を参考にしているというか、なぞっているというか、追試しているような感じがする(悪い意味ではない)。文体も似ていて同じ著者が書いたと言えばそう思えるかも知れない。上書きしている部分、補完している部分もありつ...

著者も本書の中で述べているとおり、「先生、どうか皆の前でほめないでください」を参考にしているというか、なぞっているというか、追試しているような感じがする(悪い意味ではない)。文体も似ていて同じ著者が書いたと言えばそう思えるかも知れない。上書きしている部分、補完している部分もありつつ、この2冊はセットとして読むべきかも知れない(あくまで個人的な感想)。完全肯定ではなく、かえってアンチ(笑)というわけでもない。実際のZ世代の若者として登場してくる事例が同じ様で少し違うのは学生の所属する大学の違いなのかなと思う。私自身複数の大学の学生と主に授業を通じて接する機会があるが、ものによって大学によって、これら2冊に書かれている学生像と近い、遠い(といっても微々たる違い)のニュアンス差がある。 Z世代は、線を引いたこちら側から客観的風に語るものではなく写像であるというところに妙に納得できる。あと、先にあげた書籍は問題提起で止まっているところが、こちらは解決策まで提示しようとしているところが大きく違う。いずれにしても、これまで言説や常識みたいな感じで、私自身がある意味偏見絡みで見ていたZ世代という塊への見方を大きく変えてくれたことは確かである。ひさびさに目から鱗的な知見が得られた気がする。 この手の書籍は嫌な人にとっては嫌なのだろうなと思いつつ、なんとなくお得な一冊に出会った感じ。

Posted byブクログ

2024/09/16

Z世代化の社会を作ったのは、Z世代だけでは無い。 過去から作られた社会の中で、不満→不安が高まり、主体性が薄く、平均より少し上、無理を犯さない。 このようなZ世代が社会の中でお客様扱いを受ける場面が増えて、それを見る上の世代も怒らず、距離を取りZ世代の社会に貢献している。 これ...

Z世代化の社会を作ったのは、Z世代だけでは無い。 過去から作られた社会の中で、不満→不安が高まり、主体性が薄く、平均より少し上、無理を犯さない。 このようなZ世代が社会の中でお客様扱いを受ける場面が増えて、それを見る上の世代も怒らず、距離を取りZ世代の社会に貢献している。 これからの社会は、このようなサイクルが回る中で、逆の意思、立場、意見、主張を持てる個人の存在が何よりも重要。 他人と違いを作る、産む、個性を形成する。 その中で相手を受け入れつつ、社会での動きを捉えて示唆する人が余裕を持ち、成長していくだろう。

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2024/09/13

社会のイマの話。 むき出しの不安ビジネス。ラベリングすることによる無意味化。 興味のある話題ばかりだった。 若者(というよりこれからの社会)に対しての洞察が面白い。 けして若者批判の本ではない。

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2024/09/12

1989年生まれの若手大学教員から見た若者論。「いまどきの若者は!」なのだが、意外におもしろいというか、まあ中堅校でも上位校でもそういう感じですか、みたいな。

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