エル・スール 新装版 の商品レビュー
あまりに寡黙で、他者に心を閉ざしたまま亡くなった父親のことを回想する少女アドリアナ。あの人は何を見聞きし考えていたのか、あの人にはどのような過去があるのか--偉大なようで卑小でもあり、“魔術師”のようで凡人でもあった亡父への語りかけが生み出す、アドリアナと父親二人きりの空間。一...
あまりに寡黙で、他者に心を閉ざしたまま亡くなった父親のことを回想する少女アドリアナ。あの人は何を見聞きし考えていたのか、あの人にはどのような過去があるのか--偉大なようで卑小でもあり、“魔術師”のようで凡人でもあった亡父への語りかけが生み出す、アドリアナと父親二人きりの空間。一人称による文体がかつて確かに存在していた何かを紡ぐが、それは単なる懐古ではなく批判や慰撫のように感じた。不思議な読み心地だ。 展開が一部異なるというVíctor Erice監督の映画版も味わってみたい。
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