22歳の扉 の商品レビュー
現代版リアル四畳半神話大系。 大人と子供の狭間である大学生、彼らは確かに大人でありながら、大人になろうとしている子どものようにも見える。 どんな4年間を過ごそうが、なるようになるというか過去は過去であって未来を生きる気力になる。全て忘れて消えてしまうけれど確かにそこに足跡がある。...
現代版リアル四畳半神話大系。 大人と子供の狭間である大学生、彼らは確かに大人でありながら、大人になろうとしている子どものようにも見える。 どんな4年間を過ごそうが、なるようになるというか過去は過去であって未来を生きる気力になる。全て忘れて消えてしまうけれど確かにそこに足跡がある。人に揉まれながら、好きを知り、他人を知り、自分を知っていく主人公がとても恵まれていて羨ましく見えた。 大学生活って何故これほどに魅惑的な時間なのか。何に熱中してもいいし、全てを怠惰に過ごしてもいい。十人十色の生活の先に共通する価値観も存在すれば、全く異なる未来も創造される。それを能動的に行動できるならばそれ以上に素晴らしく効率的なものはないが、そんなことは到底不可能である。そう。だからこそ、どっしりと構えて生きれば良い。自分を変えるのは確かに自分だが、人を変えるのは環境であるのだから。
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大学生の堕落した感じ。それをかっこいいと思っている、尖っていることがよしとされるような、独特のあの感じがめちゃくちゃ解像度高めに描いてある。そしてそれに陶酔している感じも、、
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※ 大学4年間に主人公とその周りの人たちが、 考え、悩み、もがき、乗り越えてその人なりの 覚悟と決着を見つけていく物語。 高校時代の悩みや甘酸っぱさとは違う、 もっと根源的で深く自己矛盾と欲求に 何度もぐるぐと繰り返しながら向き合う 苦さが印象的。 大学生というある程度の自由...
※ 大学4年間に主人公とその周りの人たちが、 考え、悩み、もがき、乗り越えてその人なりの 覚悟と決着を見つけていく物語。 高校時代の悩みや甘酸っぱさとは違う、 もっと根源的で深く自己矛盾と欲求に 何度もぐるぐと繰り返しながら向き合う 苦さが印象的。 大学生というある程度の自由と自己責任の 両方を背負った感じや、大学という社会と 区切られた環境と時間の中で過ごす開放感と 将来への漠然とした不安や淡い希望、 時間の経過とともに気配を増す焦り、 人物たちのどこまでももどかしい様子から 滲んで感じられた。
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表紙とタイトルに惹かれて読んでみた。 大学生のノリを思い出す。大学卒業が近づくたびに心がすこし動き出すあの感じも。
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読んでいくうちにだんだんと引き込まれておもしろくなって、最終章の途中まできたところで、もう一度最初から読み直して、ラストまでを読み切った。 どんなにおもしろいと思った本でも、これまでは一気に読んで再読することはほとんどなかったから、私にしてはめずらしい読書の仕方。 ドラマチッ...
読んでいくうちにだんだんと引き込まれておもしろくなって、最終章の途中まできたところで、もう一度最初から読み直して、ラストまでを読み切った。 どんなにおもしろいと思った本でも、これまでは一気に読んで再読することはほとんどなかったから、私にしてはめずらしい読書の仕方。 ドラマチックなことやびっくりさせられる意外な展開もとくになく、順序よくダラダラと大学の4年間が描かれているんだけど、それがまたなんかとっても良かった。 関西のまちで過ごした自分自身の大学4年間のことを思い出した。ふだんはほとんど思い出すこともないような出来事やそのときの自分の感情、親しくしていた人たちのことなど。 読み終えて何とも言えない気持ち。 若い時代の恥ずかしくてなかったことにしたい事柄を思い出したり、宝物の思い出をあらためて取り出して味わったり、あの頃から30年近く経ったいま現在の自分の状況に感謝したり。 京都に行きたくなった。 いや、京都でなくても、新しいまだ知らない土地で新しい生活をしてみたいと思った。
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朔の4年間を通して、私も大学時代を過ごした京都の景色を少し懐かしく感じました。 それにしても若いです。 大学生だからこその馬鹿らしさ、青さを存分に楽しませてもらいました。 その時間は楽しいけれども、乗り越えて先に進まないといけないもので、ある意味まだ学生気分を抜けれてないようで...
朔の4年間を通して、私も大学時代を過ごした京都の景色を少し懐かしく感じました。 それにしても若いです。 大学生だからこその馬鹿らしさ、青さを存分に楽しませてもらいました。 その時間は楽しいけれども、乗り越えて先に進まないといけないもので、ある意味まだ学生気分を抜けれてないようです。 でもこんなパワーもう私は失ってしまったかもしれない。 没頭できるもののある人生を羨ましく思います。 僕はただ、好きなものを好きだって言いたい。 俺は面白いものが見たいんだよな。面白くないものを見てると、搾取されてる気分になるだろ。何だろうな、そう、面白いというか、弾けるというか、しがらみのないものが見たんだよ。 We live in the top point of our past even though we forget the past. Just living means not forgetting everything.
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
若い方の作品はほんと素敵ねぇ、と思いながらどっぷり浸らせていただきました。 史上最年少ですばる新人賞を受賞された作家さんですが、意外に感じたのは、一回り以上違うはずの自分の学生時代とキャンパスライフの印象があまり変わらないこと。 え? 今の若い子って、こんなにハチャメチャやるの……? もっとスマートでドライなのかと勝手に思っていましたが、お陰様で自分の青春の思い出に引き寄せて読み進めることができました。 ファム・ファタールの野宮さんと、乗り越えるべき壁としてそびえる夷川さん。 父親不在の機能不全家庭で育った野宮さんが人として未完成な若いうちに、彼女の中へ入りこんで懐柔していった(と主人公の田辺くんは見ている)夷川さんのグロテスクさが冴えていました。 彼のマッチョイズムから強烈な洗礼を受け、地下サークルのバー「ディアハンツ」を守り、そして彼からの卒業に成功した田辺くんにあっぱれと言いたいところですが、一方でそんな田辺くんも日岡さんを振り回しているところにリアリティを感じます。 人からの影響って、プラス面もマイナス面も渾然一体となって、ぐちゃぐちゃになって押し寄せてくることがありますね。 モラトリアム期であればなおのこと。 だからこそ臆病な田辺くんは、人との関わりでなく「場所」や「学問」を志向したのでしょう。 田辺くんは抑制的で控えめ、そして自覚的な青年ですが、日岡さんや北垣君に対しては割と鈍感というか、ナチュラルに傷つけている場面がありました。 そういう相手こそ大切にしてもらいたいなと、おばちゃん目線で感じてしまいます。 なんにせよ、みんな自分の生き方を真剣に見つめていてえらい! 若者を応援する気持ちがあふれてくる、素敵な小説でした。 京都という場の設定も素晴らしかったです。
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京都大学のアングラな地下部屋、学生が長居する喫茶、自由を持て余すキャンパス、どう処理したらいいのかわからないどでかいエネルギー、生と性がぶつかり合い、酒と議論と煙草が空間を支配していたあの頃を彷彿とさせるちょっと最近のキャンパスには面影のない群像がいい。
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私の大学時代の部室は、何故か一般の場所と異なる場所に。その建物は、乞食小屋と呼ばれた。複数の部で衝立等して分け合っていた。学食のお金もケチってそこで、蕎麦に卵入れたりして昼食を作っていた。ワンゲルだったので、煮炊き道具は、揃っていた。前の週に登った山行の反省会、次の山行の計画会、...
私の大学時代の部室は、何故か一般の場所と異なる場所に。その建物は、乞食小屋と呼ばれた。複数の部で衝立等して分け合っていた。学食のお金もケチってそこで、蕎麦に卵入れたりして昼食を作っていた。ワンゲルだったので、煮炊き道具は、揃っていた。前の週に登った山行の反省会、次の山行の計画会、テント干し等で、昼に集まる。といっても、脱線して馬鹿話。土日は、登山。夏休みは、山を縦走。冬休みと春休みは、スキー合宿。スキー合宿は、山小屋か、冬季で閉鎖中の企業施設。よって、自炊。毎日夜は、酒盛りと生ギター伴奏の合唱。眠くなった奴から寝袋で寝る。酒や食材が無くなると、下界にスキーで降りて買い出し。リュック一杯買ってくる。幾つかこの物語とダブってくる。 大学時代の恋愛って、危うく、幼い気がする。でも、それは恋愛の練習期間かも。その時代の恋愛から、結婚に繋がる者達。北海道の一人っ子が九州の奴ととか。人生分からん。 文中に出てくる担当教授が素晴らし過ぎる。やりたいと思った事をやれ!そんな時期か…。
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主人公は、京都の大学(おそらく京大)に入学した数学好きの田辺朔。大学生活になじめず、漫然と過ごしていた1回生の後期に、旧文学部棟の地下(通称「キューチカ」)でひっそりと営業されているバーのマスター夷川歩と出会って、大学生活が一変してからの4年間を描く。 出会い、恋愛、友情、サーク...
主人公は、京都の大学(おそらく京大)に入学した数学好きの田辺朔。大学生活になじめず、漫然と過ごしていた1回生の後期に、旧文学部棟の地下(通称「キューチカ」)でひっそりと営業されているバーのマスター夷川歩と出会って、大学生活が一変してからの4年間を描く。 出会い、恋愛、友情、サークル、学問、進路の悩み・・・と大学生というものが凝縮されたような小説で、自分の学生生活の断片も思い起こされた。京都を舞台にした現代版『三四郎』という印象。「場所が人を救う」というのは言い得て妙だと思った。 ただ、同じ京都の大学生活を取り上げる森見登美彦の作品などと比べると地に足のついた小説だとは思うのだが、どこか空想の産物感があるというか、現実には存在しない大学生活の「理念型」を見せられているような感じはあった。特に、最近の大学生がこんなに煙草を吸うのかなとは思った。 漢詩について愛を込めて澱みなく語る汀先生が、とても魅力的なキャラクターだった。
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