冬期限定ボンボンショコラ事件 の商品レビュー
ひとまず完結の小市民シリーズ 常悟朗と小佐内さんが初めて出会った中3の ある事件を元に物語が始まります。 病院のベットで過去を思い出す常悟朗の 推理に注目です。 ボンボンショコラの謎もスッキリしました。 続編希望です。
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主人公小鳩君が友人の小山内さんと歩いているところを車にはねられて手術を受けるところからはじまる。 けっこうな事故だったようで、小鳩君は大腿骨骨折とかでしばし入院。受験を間近に控えていたのに、それも無理という過酷な運命を告げられる。 入院中の探偵が、身動きできないなかで推理...
主人公小鳩君が友人の小山内さんと歩いているところを車にはねられて手術を受けるところからはじまる。 けっこうな事故だったようで、小鳩君は大腿骨骨折とかでしばし入院。受験を間近に控えていたのに、それも無理という過酷な運命を告げられる。 入院中の探偵が、身動きできないなかで推理をするって、ミステリの伝統的なパターンだよなぁ、なんて思ってしまったが。『時の娘』とか、思い出した。 重症で動けない中、病室のベッドで小鳩君は3年前、同じ場所でクラスメートがひき逃げにあったことを思い出す。 あの事件は、どういう顛末をたどったのか。 記憶をもとにノートにつづられる過去と、現在の事故が錯綜する。 なぜか小鳩君が熟睡する深夜のみにお見舞いに来て、メッセージやプレゼントを置いていく小山内さん。 「わたしたち、どうしてあえないんだろうね」 メッセージは伏線だったんだなぁ。 この小市民シリーズと米澤氏のたしかデビュー作『氷菓』からはじまる古典部シリーズは、もともと似たところがあった。 高校生たちが主人公というところ。 低体温でいるようで、どこか自分の中のなにかを押し込めようとしているところ。 思春期のイタさを感じるところがあったんだよね。 古典部シリーズでは、主人公の奉太郎がどうして省エネに行動するようになったのか、その背景が語られる作品が数年前に出てたっけ。 本書は、小鳩君がどうして小市民を志すようになったのか。 その顛末が語られる、いうなればシリーズ全体の謎解き篇だ。 中学時代の小鳩君は事故の話を聞き、名探偵としてひき逃げ犯人を捕まえてやりたいと思った。 その過程で、小山内さんとも出会った。 でも、記憶をたどるうち、善意でやったことが相手を傷つけることもある、ということを知った。 そのこと自体にひどく傷つきつつも、でも自分のやったことがどうして相手を傷つけたのか、そのときはわからなかった小鳩君。 高校3年生となり、彼は自分が事故にあった顛末によって、どうして自分が相手を傷つけたのか、3年前を振り返りながら理解に至ったんだね。 少年時代を終えて、彼は一歩大人になったのだ。 物語として続いてほしいきはするけれど、でもこれは一つの物語の終焉ではあっただろう。 面白かったね。
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小市民シリーズが私を魅了するのは小鳩君と小佐内さんの謎解きよりも語り部の小鳩君の思考回路とその語り口だろうと思う。 よく言えば論理的で隙が無くミスを突かれることがなさそうな、悪く言えばしつこく回りくどく理屈っぽすぎる語り口。 実際に対面して彼の思考内容を口伝えでまともに聞き取って...
小市民シリーズが私を魅了するのは小鳩君と小佐内さんの謎解きよりも語り部の小鳩君の思考回路とその語り口だろうと思う。 よく言えば論理的で隙が無くミスを突かれることがなさそうな、悪く言えばしつこく回りくどく理屈っぽすぎる語り口。 実際に対面して彼の思考内容を口伝えでまともに聞き取っていたら多分もっと簡潔に言ってくれと頼みたくなると思うのだけれど、なんと言っても文字の上の表現。 自分の頭の中で彼の言葉に溺れるのはなんとも心地良い。
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受験目前の高3の冬に轢き逃げに遭ってしまった小鳩くん。小市民を目指す発端となり、小佐内さんとの出逢いにもなった3年前の轢き逃げ事件を回想しながら犯人を探す二人。 ずっと謎だった二人が小市民を目指す理由がわかって納得。 小鳩くんは最初から最後までほぼ病院のベッドの上なのに、回想と...
受験目前の高3の冬に轢き逃げに遭ってしまった小鳩くん。小市民を目指す発端となり、小佐内さんとの出逢いにもなった3年前の轢き逃げ事件を回想しながら犯人を探す二人。 ずっと謎だった二人が小市民を目指す理由がわかって納得。 小鳩くんは最初から最後までほぼ病院のベッドの上なのに、回想と小佐内さんの暗躍でとても楽しく読めました。ボンボンショコラには騙されました。小佐内さんすごいw 春期から冬期まで短編集も含めて美味しいスイーツ満載でどれもこれも食べたくなっています。京都編もあればいいなぁ...
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米澤穂信の冬期限定ボンボンショコラ事件を読みました。 小鳩くんと小山内さんの小市民シリーズの最新刊でした。 二人が小山内さんのリクエストでたい焼きを買って食べながら歩いているところに車が突っ込んできます。 小鳩くんは小山内さんを突き飛ばして小山内さんを事故から救いましたが、自分...
米澤穂信の冬期限定ボンボンショコラ事件を読みました。 小鳩くんと小山内さんの小市民シリーズの最新刊でした。 二人が小山内さんのリクエストでたい焼きを買って食べながら歩いているところに車が突っ込んできます。 小鳩くんは小山内さんを突き飛ばして小山内さんを事故から救いましたが、自分は車にはねられて重症を負ってしまいます。 幸運にも一命をとりとめた小鳩くんはベッドの上で3年前の同じような事件を思い出しながらノートにその事件の経緯を記録していきます。 小山内さんは何度か見舞いに来てくれたようで、メッセージカードとボンボンショコラや狼のぬいぐるみ、ドライフラワーなどをおいていきましたが、小鳩くんは寝ていて小山内さんに会えませんでした。 3年前の事件は犯人が捕まって解決しているのですが、事故当事者の日坂くんは小鳩くんの行動に感謝するどころか恨みを持っているように感じられました。 小鳩くんがなぜ小市民を目指すようになったのかということも含めて面白く読みました。
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春夏秋冬ひと段落。 あとはミステリーズ・紙魚の手帳掲載の作品を文庫化を待つのみ 書き下ろし1話追加で出して貰えるのを期待してます。
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ついに完結。これまでの集大成。すばらしい。 寂しいけど、卒業だから仕方ない。これからの2人も見守っていきたいなあ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
高校3年生になり,受験を控えた小鳩くんと小山内さんは堤防を歩いていて事故に遭う.轢き逃げ犯人は見つからず小鳩くんは重体で入院.この事は3年前の同じ堤防で起こった轢き逃げ事件を思い出させた.そしてその事件がそもそも二人の出会うきっかけだったという,現在と過去を行ったり来たりしながらちょっと危険なラストへ. 次は京都篇になるといいなぁ.
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大学受験を控えた高校3年の冬。川沿いの堤防道路で轢き逃げに遭い、病院に搬送された小鳩君。病室で昏々と眠る小鳩君の枕元には、小市民として“互恵関係”を結ぶ小佐内さんからの「犯人をゆるさない」というメッセージが残されていた。迫る車に気づいた小鳩君が小佐内さんを間一髪のところで突き飛ば...
大学受験を控えた高校3年の冬。川沿いの堤防道路で轢き逃げに遭い、病院に搬送された小鳩君。病室で昏々と眠る小鳩君の枕元には、小市民として“互恵関係”を結ぶ小佐内さんからの「犯人をゆるさない」というメッセージが残されていた。迫る車に気づいた小鳩君が小佐内さんを間一髪のところで突き飛ばしたため、小佐内さんは無傷で済んだのだ。一方、小鳩君は3年前にも同じ道で轢き逃げ事件があった事を思い出す。轢かれたのは中3当時のクラスメートだった… 今回の小鳩君は病室で寝たきりの“寝台探偵”。回想を交えて過去と現在の轢き逃げ事件の顛末が交互に描かれ、それぞれをパラレルに解決していく構成。両者が影響し合いながら徐々にリンクして解決に向かっていくプロットはリーダビリティが高く、終盤の急展開は手に汗握る。過去事件の方は疑問点が比較的すっきり解決した一方で、現在事件の方は犯行プロセスの蓋然性が乏しいように感じた。良かれと思ってやった事が、相手にとってはそうで無いこともある…という事を改めて学んだ。 覚悟と行動力を持つ小佐内さんと、観察力とひらめきを持つ小鳩君。二人の馴れ初めを描いた中学時代の“エピソードゼロ”は、〈小市民〉シリーズファンには読み逃せない物語。春夏秋冬を一巡した〈小市民〉シリーズ。この後どうなるのか?大学生(浪人生?)になって以降の物語も読んでみたい。 〈小市民〉シリーズ 1.春季限定いちごタルト事件 2.夏季限定トロピカルパフェ事件 3.秋季限定栗きんとん事件 4.巴里マカロンの謎 5.冬季限定ボンボンショコラ事件
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小市民シリーズ最終作。 高3の冬、小鳩くんは車にはねられ重傷を負う。 小鳩くんが病床で振り返る、3年前に小佐内さんと出会った"最初の事件"。 過去と現在の事件を通し、2人が小市民を目指したきっかけが明らかに。 いやー、最終作に相応しい、全く小市民的ではない、...
小市民シリーズ最終作。 高3の冬、小鳩くんは車にはねられ重傷を負う。 小鳩くんが病床で振り返る、3年前に小佐内さんと出会った"最初の事件"。 過去と現在の事件を通し、2人が小市民を目指したきっかけが明らかに。 いやー、最終作に相応しい、全く小市民的ではない、超絶面白ミステリでした。 巨大な密室とか、安楽椅子探偵ならぬ重傷探偵とか(笑い事ではないんですが)、ミステリ要素も充分なのに、やっぱり小鳩くんと小佐内さんは相変わらずでした(笑) 今年、一気に読めたのも幸運でした。
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