利他・ケア・傷の倫理学 の商品レビュー
哲学よりの本で少し読みにくいと感じる所がありました。 特に後半に進むにつれて理解が難しいという印象を持ちました。 ケアとは何か、利他とはから自己変容まで。傷は共鳴すること。 自分が大事にしているものが大事にされなかった時に傷つくし、未来の自分を傷つけないための行動はセルフケア。...
哲学よりの本で少し読みにくいと感じる所がありました。 特に後半に進むにつれて理解が難しいという印象を持ちました。 ケアとは何か、利他とはから自己変容まで。傷は共鳴すること。 自分が大事にしているものが大事にされなかった時に傷つくし、未来の自分を傷つけないための行動はセルフケア。 他者の存在、ケアは自分からではなく相手が起点となって起こるもの。 他の本とも共通する考え方にもふれられて、ケアはについて理解が深まりました。
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「世界は贈与でできている」も面白かったが、この本もだった。 ただこちらから見えないためにすれ違う配慮をどのようにすれ違わないようにするのか、については次作に委任したのかな、この本では答えが出ていないように思えた。
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いい本だった、引用や参照も多くエピソードベースで多くの人の論考にも同時に触れられる。けど後半にかけて特に読み進めづらくなってしまった。(わかりづらいわけでなく、冗長に感じて飽きとの戦いだったようにも思う)けどいい本には変わりない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
前作との対として、「与える」ことに焦点を当てた1冊。哲学的な内容であり、完全に咀嚼し切れていない箇所も多々あるだろうが、現時点での認識を記しておく。 先ず興味を惹かれたのは、道徳と倫理の違いについて。端的に、道徳は規範やシステムにより強制されるものであり、一方倫理は「嫌だからしない」等、自由度を持つものだとのこと。この記述を通じて、道徳と異なり倫理は「実体感」を必要とするのではと感じた。仮に上記の定義が正しい場合、道徳を身に着けるために必要なことは規範やシステムを理解することであり、これは知性を有する人であればそう難しくないことと思う。一方、倫理には分かりやすい答えがなく、どうすれば倫理観を獲得できるのか疑問が残る。これに対する現時点の仮説が「実体感」であり、自らの過ちや他者からのFB等を得て内省し、血肉化する中で各人の倫理観というのは形成されていくのではと考える。だから何だ、という話かもしれないが、自身と倫理観が似通っていると感じる人との類似性(例:内省の深度、経験の種類等)を観察/解釈することにより、「どういう人であれば、倫理観を共有できるのか」をもう一段深く理解できそうに感じた。 次に、逸脱した行為が後から遡及的・事後的に「正解だったことになる」という考え方。似通った考え方として、「自分で決めた道を正解にしていく!」みたいな筋肉質な思想もあるが、これとは少し異なると想定。ポイントは、自己変容の有無。後者はあくまでも自分を主体/不動としながら突き進む考え方であるが、一方前者は自らも柔軟に変容しつつ、「結果として」過去の出来事を正解と捉えられるようになる、ということかなと考える。よく「学歴社会の言語ゲームを社会人になっても継続している人」を見かけるが、同時に、受験等の一時のプロセスが思い通りにいかなかったとしても、自己変容を繰り返す中で柔軟に暮らしている人も見かける(後者の方に魅力を感じるのは個人的主観)。良し悪しではないが、これまでの言語ゲームに囚われることなく、行動を変えることで過去も変えられるというポジティブな姿勢のもと、常に未来に開かれた可能性を希求していきたいと感じた。 特に印象に残った箇所は以下の通り ・「後悔が、あのとき私は自由だった、ということを示してくれる」(p.47) ・「利他とは、自分の大切にしているものよりも、その他者の大切にしているものの方を優先すること、である」(p.57) ・「道徳と倫理との違いとは、単純明快、強制と自由との違いである。「してはいけないからしない」、これは道徳であり、「嫌だからしない」、これが倫理である」(p.79) ・「言語ゲームの内部にいる者たちは、この硬化した規範、ルールを用いて、逸脱者への「退場勧告」が可能となる。そして、言語ゲームは<システム>へと変わる。かくして、道徳が誕生する。村上春樹が述べたように、<システム>はときに僕らの魂を深く傷つけます。既存の就活の仕組みも気がつけばあたかもシステムという実体としてそこにあるかのように思えてくるからこそ、一問一答集が作られるのです」(p.202) ・「よく、「社会に出ると正解のない問題に取り組まなければならない」という言い方がされますが、これは不正確ですし、不誠実です。正解はあるのです。それは権威者が事前に用意した、確固たる模範解答ではありません。そうではなく、私の行為が「正解だったことになる」という形の、遡及的・事後的な正解はちゃんとあり得るのです。正解を制作する。生きるとは、そんな創造的行為の積み重ねのことです」(p.217~218) ・「誰かのために大切な何かを手放すことで私が変わる。そうあるべきと命じられたものを破り、自らが言語ゲームを選び直すこと。利他とはそのように構造化されている。それは決して自己犠牲ではありません。なぜなら、それまでであれば単なる犠牲として捉えていた「私」自身が変容してしまうのだから。もはやそれを自己犠牲と規定できる私はいない。自己犠牲とは、私が変わらないままで何かを手放すことです。それは確かに損失と言えます」(p.240) ・「では「自分の大切にしているもの」とは何かというと、それは掟すなわち現行の言語ゲームに従おうとしている自分自身です。ある言語ゲームの中にいる、現在の自分よりも、傷を負うことになる未来の自分という他者のために、規則を破るという愚行を為す。セルフケアとは、未来の自分という他者を救うことである」(p.279)
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ケアとは、利他とは、傷とは。 善意がなぜ空回りをするのか。 いろんな事例、小説や哲学の引用、思考ゲームを経て考える哲学。 なぜタイトルが 倫理学 なのか、も読み進めるとわかってくる なんだか、NVCとも通ずるところがある感覚。
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「利他とは他者の傷に導かれて、ケアをなそうとする時、自分が変わってしまうことです」自己変容することがセルフケアの本質であるが、わかりやすい例で説明されているので平易。ただ本書のケア論は「ケアの倫理」や「利他学」で触れられているものであり、それを著者は知らないのか、知っていても知ら...
「利他とは他者の傷に導かれて、ケアをなそうとする時、自分が変わってしまうことです」自己変容することがセルフケアの本質であるが、わかりやすい例で説明されているので平易。ただ本書のケア論は「ケアの倫理」や「利他学」で触れられているものであり、それを著者は知らないのか、知っていても知らないふりをしているのか、疑問であった。
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前書「世界は贈与でできている」が「受け取る」の本であれば、この本は「与える」を考えた本である、と著者は言う。ケアや利他という言葉は聞き慣れてはいるが、深く考えたことはない。倫理的に考え、行動するとは何か?、この本を通して自身の中で構造化でき、アプローチしやすくなったと思う。 ケ...
前書「世界は贈与でできている」が「受け取る」の本であれば、この本は「与える」を考えた本である、と著者は言う。ケアや利他という言葉は聞き慣れてはいるが、深く考えたことはない。倫理的に考え、行動するとは何か?、この本を通して自身の中で構造化でき、アプローチしやすくなったと思う。 ケアは相手の大切なものを大切にすることで、利他は自分の大切なものよりも相手の大切を優先する。このように定義することで、言葉のしっぽを掴めるようなイメージがある。 個人的に腹落ちした部分が、「利他には葛藤がある」である。社会で決められた規範に対し、我々は道徳心でそれを維持しようとする。しかしながら、その規範に苦しむ人もいる。その苦しみを救うには逸脱しなければならない。この葛藤は日頃経験する。 大切にする対象は何か?どのように生きていけば良いのか?この本はきっと真っ直ぐに示してくれるだろう。
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ものすごく良い本 気づきも多い しかし、中島岳志の名著「思いがけず利他」の二番煎じに思えてしまったよ 様々な本を参照してるのにこの本が出てこないのは著者もわかっているのではないか 後半はやや冗長で勿体ない 良い本だけどね。前作読み直そうかな。
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ケアとは、その他者の大切にしていたものを共に大切にする営為全体のこと。 利他とは、自分の大切にしているものよりも、その他者の大切にしているものの方を優先すること。 自分の大切にしているものがあるにもかかわらず、他者に導かれて、その大切なものを手放すこと。 序盤でメモを取り...
ケアとは、その他者の大切にしていたものを共に大切にする営為全体のこと。 利他とは、自分の大切にしているものよりも、その他者の大切にしているものの方を優先すること。 自分の大切にしているものがあるにもかかわらず、他者に導かれて、その大切なものを手放すこと。 序盤でメモを取りまくったけれど、中盤以降は繰り返しの説明が多く感じてちょっとげんなり。
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道徳はシステムを作り、こうしなけばと決まりごととなる 一方で、システムの義務に抗い、自由に動くとき倫理が必要になる 倫理には利他という「自分の大切にしているものよりも、その他者の大切にしているものの方を優先すること」が問われる その問いに答えがケアという行動で示される
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