永劫館超連続殺人事件 の商品レビュー

南海遊(著者),清原紘(イラスト)

2024/11/06

「死に戻り」「道連れ」のタイムループ設定が前提の特殊設定ミステリ。
表紙と、設定でライトノベルのような印象を受けるが丁寧な伏線とトリック、殺人事件現場の図解など本格ミステリ魂を感じた。
読後感も爽やかでした。

2024/10/24

複雑な設定が複雑になりすぎないようにうまく調理されていて、とても読みやすかったです！
細かな伏線も放置しないでちゃんと回収されていて、何というのでしょう、作者様の丁寧で几帳面な心遣いが読み手にも伝わってくるような、そんな一冊でした

ラノベちっくな物語を、読みやすさは残したまま本格的なミステリーに昇華させた手腕に脱帽です！！

2024/09/01

ファンタジーの世界観に本格ミステリの設定を放り込み、フェアな推理が披露される。
設定からしてラノベか、はたまた現実離れした世界観を想像するが、本作は立派な館ものとしてなかなかの出来栄えだった。
キャラクターも一癖二癖あって遊び心があるし、そして何より本格ミステリとしての筋が通っている。SF的設定まで咀嚼していて恐れ入った。南海遊、しかも推理小説は初めてだという。これからが楽しみである。

2024/08/31

タイムループ物なので読むのが大変かと思いましたが
全然そんな事はなく
常に没入出来て中盤から終盤にかけては
一気に読み切りました！

初ミステリー小説でしたが
読みやすく伏線回収が素晴らしい作品でした⭐︎

もう一度全てわかった上で読み直すと
また違う視点から読めて面白い作品だと思う！！！

2024/08/05

魔女ならではのトリックと動機に脱帽！！

難しい説明もあったけど、全体的にはコンパクトにまとまっていて読みやすかった。

探偵が密室トリックについて発した「他殺であり、事故死であり、自殺であり、或いはその多重構造がもたらした結果である」という台詞が、真相が明かされた時に、まさに言い得て妙だったなと。

2024/08/03

「特殊設定ミステリ」というジャンルになるらしい。
（そういうネーミングがあったとは！？）

産業革命頃のイギリス？を舞台に、女性主人が無くなった洋館での遺書公開に集まった、一癖も二癖もありそうな家人に客人、そして最後に現れた魔女…。

本格モノにタイムリープが織り込まれているが、キャラ設定もしっかりしているし、何より話のテンポが良く次々に話が切り替わっていく展開は見事。

複雑すぎてついていけないほどだが、最後の最後まで意外な展開もありながら、終わり方も鮮やか。
映像化は難しいだろうが続編を書いてほしい。

2024/07/20

細かい部分まで繋がる気持ちよさ。ド派手な設定に負けないロジックの組み立てに拍手！ごちゃごちゃしてる設定だけど読みやすいのがグッドでした。

2024/07/16

母の危篤を知った没落貴族ブラットベリ家の長男・ヒースクリフは、3年ぶりに生家に戻ったが、残念ながら母の死に目には会えず、葬儀と遺言状の公開の場を仕切る事となった。
大嵐により陸の孤島と化した館で起こるのは、最愛の妹と魔女の連続殺人事件。
「私の目を最後まで見つめていて」
そう告げた魔女がヒースクリフの瞳を見ながら絶命すると、二人は一日前に戻っていた。
魔女の死に戻りで繰り返されるこの殺人事件の謎と真犯人を、ヒースクリフは解き明かすことが出来るのか。

最期に目が合った人物を強制的に『死に戻り』に連れてくる”道連れの魔女”ことリリィジュディス・エアと、没落貴族の嫡男・ヒースクリフの2人を主軸にした、タイムループ×クローズドサークル×密室殺人の特殊設定ミステリです。これだけでもう、ミステリ好きにはときめく要素盛りだくさんで心躍らないわけがない。

妹の死を回避するために『死に戻り』を使いながら一つずつ可能性を潰して推理を進めていくようなやり方は、考えようによってはなかなか力業にも見えますが、その実きちんと道筋が通っていて、散りばめられた謎や伏線とあわせてとても魅力的です。
最愛の妹を守るために手段を選ばずループを繰り返すヒースと、他の目的がある素振りの”道連れの魔女”リリィ。別々の目的を持った二人が、徐々に信頼関係を構築していく様子なども見どころ。

タイムループ物にしては、時系列などがすっきりしていて読みやすい事、また登場人物それぞれにきちんと役割があって、いわゆる捨てキャラになっている人物がいないのも好印象でした。
希望のある終わり方も好きです。

2024/06/28

「目的も意味も無いわよ」とリリィは投げやりに言う。「それが神の意志だと伝えられているから、そうしているだけ。多くの民間伝承に建設的な理由は無い。産業革命が殺しきれなかった思考停止の産物、それが信仰というものよ」

何となく分かるような気がする。俺の知る母も、降りかかる不条理を笑って耐えるような人だった。高望みはせず、自分の手の中にあるカードで最善を尽くす。そんな母の生き方は、今の俺の考え方の基盤に似ている。

2024/06/10

永劫館超連続殺人事件 魔女はXと死ぬことにした
南海 遊
「私の目を、最後まで見つめていて」そう告げた『道連れの魔女』リリィがヒースクリフの瞳を見ながら絶命すると、二人は1日前に戻っていた。母の危篤を知った没落貴族ブラッドベリ家の長男・ヒースクリフは、3年ぶりに生家・永劫館(えいごうかん)に急ぎ帰るが母の死に目には会えず、葬儀と遺言状の公開を取り仕切ることとなった。葬儀の参加者は11名。ヒースクリフ、最愛の妹、叔父、従兄弟、執事長、料理人、メイド、牧師、母の親友、名探偵、そして魔女。大嵐により陸の孤島と化した永劫館で起こる、最愛の妹の密室殺人と魔女の連続殺人。そして魔女の『死に戻り』で繰り返されるこの超連続殺人事件の謎と真犯人を、ヒースクリフは解き明かすことができるのかーー『館』x『密室』x『タイムループ』の三重奏(トリプル)本格ミステリ。

本書は最近流行りの特殊設定ミステリーでタイムリープ系ですが、タイムリープは話が複雑になりがちとか何度も繰り返すうちにわけが分からなくなるとか、苦手な人多いのかなって個人的には思っています。しかし本書はとても読みやすく、話もそれほど複雑ではありません。理由と致しましては、ストーリがほぼ館の中だけで進む為、場面転換が少なく理解し易い事。〇に戻りも基本24時間前に戻る（最大で2日程度）だけなのでその日をやり直すだけ。物語の主要な部分はさほど繰り返さない事（最終的には何度も繰り返す事になりますがそれは大筋とは関係無くその繰り返しは無視していい事）等が挙げられます。気軽にサクサク読めます。しかしながら伏線もしっかり散りばめてあり、登場人物11人の行動や発言は最終的にどれも重要な役割を果たしており、誰もがこの密室殺人事件に関わっている為、後半はページをめくる度に新たな驚きを読者に与えてくれます。総じて中々面白かったです。そして多くの方が感銘を受けるのは標題ではないでしょうか
物語終盤まで読むと、なるほど確かに超連続殺人事件だな（笑）切なくも、悲しくも、クスっと読者だけが笑える題名となっております。読者の皆様も魔女と共にこの世にも不思議な密室超連続殺人事件を体験してください

「私の書評を、最後まで読み進めて見て」実はこの文章もう2000回も書いているので飽きてきましたけどね・・・・・・・