死なれちゃったあとで の商品レビュー
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とある人間の死について語り続ける話かと思いきや、 今まで出会った人との死についての話だった。 著者の方は顔が広いのか、結構な数の死に立ち会っている。 これがアニメの世界なら、 この方が毛利小五郎か江戸川コナンじゃないか疑っているところだ。 (対談で岩井さんが「崖をのぞき込む人のそばにいる頻度が高い」と表現しているが なるほど、確かにそういうことならコナンと共通している) 中には衝撃的なエピソード、 大学時代の親友や父親など身近な存在の人間もいるが 比較的淡々と語られ、一人に対してのページ数もそこまで多くないので 重さはなく、さらっとした文章だ。 この方はとても情に厚いというか、 そういうことを考えることもないほど優しい人なのだろうなと思う。 お父さんが亡くなって香典三千円持ってきたパートのおばちゃんや 穴に落ちた人を見て「あ~こりゃ死んどるねぇ」と言い放つ人、 寝たきりのおばあちゃんを10年間一度も見舞わないいとこ。 その場で直接聞いたわけじゃないから、感じ方が違うのかもしれないけど 『まぁ、いるよね…』と思ってしまう。 反対に貯金3万円しかなかった父親に対してあのように寛容にはなれない。 よくわからない間に借用書も取らず(おそらく)金を貸していた父に対して、 家族みんながそれほど怒りに満ちていないのは、 お父さんが余程人が良くて憎めないタイプだった以外に納得できない。 これはその時お金に余裕があったかどうかの問題ではないと私は思う。 家族皆してお人よしだったのかな。 しかし最後の雨宮まみさんに関しては、少し感じが違った。 失礼ながらヒャダインさん以外誰も知らなかったので 著作を読んでみたいとメモには書き込んだのだが、 なんかちょっと、引っ張られそうな感じがするので 精神バランスが良いときに読んでみたいと思う。 本当はこれを読んで、自分の中にある『死なれちゃったあとで』のことを 上手く言語化できないかと思っていたのだけれど 私にとっての雨宮まみさんだったようで、書いても上手くいかないと思った。 ブクログを書く理由は、同じ本を二度読まない為なのだが 読み終わったら次の本を読む前に感想を書くようにしている。 長文になってもいい。書きたいこと全て書いたら読み直さない。 そうするとスパッと次の本に集中できるからだ。 この本を使って、同じ作用を狙ったのだけれど、まだ早かったらしい。 いつか私も、消化できるようになりたい。 その時初めて、感想を書き直すことになるかもしれない。
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著者の周りに起こった死をテーマに、 喪失感を手放さずに向き合いながら生きていくことを描いた一冊。 死なれ"ちゃった" の言葉のとおり、 共通して予見しないタイミングでの死が綴られる。 それも、身近な人〜見知らぬ人まで様々な関係性から見た『死』が描かれること...
著者の周りに起こった死をテーマに、 喪失感を手放さずに向き合いながら生きていくことを描いた一冊。 死なれ"ちゃった" の言葉のとおり、 共通して予見しないタイミングでの死が綴られる。 それも、身近な人〜見知らぬ人まで様々な関係性から見た『死』が描かれることで、死生観について考えさせられる。 私はまだこんなにもたくさんの死は体験していないので、 これから、人の死に目に触れる機会が増えていくのだろうなと思う。 印象的だったのは、 喪失を受け止める時間を持たないことは、 その人の存在がなかったかのように振る舞うことになるのだ、ということ。 喪失感があることは、その人が少しでも自分の生活や価値観を形作っていた証拠なのだなぁ。それは、死別に限らず、離別でも同じことだなぁとも思った。 著者のすごいところは、意図してかは不明だけれど、 死別による喪失感に対して、 話す、赴く、考えるということをかさねる中で、 自分自身や周囲の人のグリーフケアをしていることだと思う。 悲しみも、自分の中で時間をかけて消化して、心の中にきちんとしまうことができるようになりたいな。
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生と死はとなりあわせ いつだってすぐ身近にあるのに 死への恐怖に気づかないふりをして 死なれちゃったことも忘れたふりをして それは自分が生を全うするためでもあり けど本書では死についてたくさん語り合っていて、少しも暗くなくて、辛いんだけど、苦しい思い出なんだけど 明るくて、つまり生きるパワーをもらえた 面白かったという感想は変なのかもしれないけど、いろんな人の死ぬ様はつまり生き様なので、読んでよかった そして人と話すことって本当に大事だと、おしゃべりな自分には嬉しい肯定感を得た 覚え書き あまり責任を感じすぎてしまうと、こっちがまいってしまうのて、時々思い出したり、時々忘れたりしながら、生きていく。 どこかで誰かが不幸なのは今に始まったことじゃない 他にもあったけどとりあえず( ˊ̱˂˃ˋ̱ )
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葬儀3000円はいい大人がすごいな。嫌いな人のは行かないしこの金額で出す事ない。 永遠の保留Kさんの働きでDさんのその後が知れてよかった。ネットで交流してた人が自分の死後も気にかけてくれるの嬉しい。 種子島のDくんのお父さん家古くなったから自分でたてなおしてかっこいい。DくんにもDくんのお姉さんにも種子島に来いと言えるのもかっこいい。 ファイナルキッスかなりありえなかった。周知の事実の恋人ならまだわからないでもないけど不確定で関係性わからないから止めれないし。死ぬとこういうことが起こる。we are the hitori の歌作る回覚えてる。 人とおしゃべりしたくなった。
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題名そのまま「死」について、受け身の「死」について書かれた作品 それは、本当に暴力的。有無を言わさず取り返しの付かない現実を突き付ける。 悲しみ、辛さ、後悔…それらは時間と伴に形を変えたり重さを変えたりしていく。 でも忘れることはない。時に心の疼きを伴って。 前田隆弘さんの言葉は...
題名そのまま「死」について、受け身の「死」について書かれた作品 それは、本当に暴力的。有無を言わさず取り返しの付かない現実を突き付ける。 悲しみ、辛さ、後悔…それらは時間と伴に形を変えたり重さを変えたりしていく。 でも忘れることはない。時に心の疼きを伴って。 前田隆弘さんの言葉は、励ます訳でもないのに力をくれる。 書くこと話すことによって整理されたり気付く大切な思いや記憶がありますね。 いずれ、また読み返してみたい。
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タイトルが絶妙で、書店で思わず手に取りました。思えばこんな風に本に出会い、ちょっと立ち読みしてから、レジに本を持って行くのはすごく久しぶりでした。 やっぱり書店でもっと本を買わなくては! 死なれちゃった後で、遺された人たちはみんなどうやって心の折り合いをつけているんだろうって、...
タイトルが絶妙で、書店で思わず手に取りました。思えばこんな風に本に出会い、ちょっと立ち読みしてから、レジに本を持って行くのはすごく久しぶりでした。 やっぱり書店でもっと本を買わなくては! 死なれちゃった後で、遺された人たちはみんなどうやって心の折り合いをつけているんだろうって、見ないようにしていたけど、私ももっと人と故人について話したかったんだな、と気づきました。 心に深く刺さる本で、今のところ、今年一番の本でした。
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大切な人の死に対して、心構えを持つことは可能だろうか。突然の場合はもちろん無理だけど、長患いだった場合はどうなのか。 私の大切な人の死の経験は「突然」に偏っているため想像でしかないのだけど、心構えを充分したつもりでも、やはり悲しみや後悔がまったくない死はないだろう、ということ。 ...
大切な人の死に対して、心構えを持つことは可能だろうか。突然の場合はもちろん無理だけど、長患いだった場合はどうなのか。 私の大切な人の死の経験は「突然」に偏っているため想像でしかないのだけど、心構えを充分したつもりでも、やはり悲しみや後悔がまったくない死はないだろう、ということ。 この著者はおそらく、「死なれちゃった経験」が人よりも多い。 家族や友人など多くの人が経験する死だけでなく、偶然見かけた事故現場や、ついさっきまで一緒に仕事をしていた人が別れたあとに交通事故で亡くなってしまった…など、多くの人は経験しない内容も多い。 だからこそこの1冊ができたのだと思う。1冊になるくらい「死なれちゃった」エピソードがあるから。 通夜や葬式のあと、亡くなった人を偲んで、生きている者たちで語り合う、という場面は昔からよくあった。 その中には泣き笑いで話すようなエピソードもあったりして、そうしてそれぞれが想いを表に出すことで、どことなく安心したり悲しみを多少軽くしたりする。 そういう場面は、死から何年過ぎてもある。 不意に死んでしまった人の話題になって、笑って泣いたりする。私自身、そういう時間に救われたことは何度もある。 この本は、そういう効果もあるように感じた。 辛いなら、悲しいなら、人に話してしまおう。想いをまるごと共有するのは難しくても、語り合うことで解り合える部分もあるかもしれないから。 生きている者はまず生きていくことが大切なのだから、そのために、人にたくさん話して心を軽くする。その必要性を、悲しい死に遭った経験がある人なら、理解できると思う。 冒頭の「大学時代の友人の死」がいちばん悲しかった。いちばん後悔してしまうタイプの死。 私も今年後悔してしまうタイプの死を経験したけど、死に方を選べる場合と選べない場合があること、そして選べない場合のなかでも、最後の生き方は自分で選べるかということ、について考えた。 まだ自分は死からは遠いと考えるなら、おそらくそれは勘違いなのだとも思う。明日…もっと言うと数秒後、何があるかわからないのだから。 雨宮まみさんについて書かれた章も切なかった。やはり雨宮さん、周りにとても愛されていた方だったのだなぁと。自分が孤独ではないと、死ぬ前にわかっていたらよかったのだけど。
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誰かの死ほど気持ちを攪拌するものはない 著者の身近な人の死にまつわるエッセイなのだが、短編小説を読んでいるような気になる 自分が昔経験し、そして時間が経ち沈殿してしまった身近な人の死に対する感情が、撹拌されまた語りたくなる、そんな本。
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友人、父、祖母など親しい人、通りすがりの人、知り合ったばかりの人の死を描く。 親しい人を亡くしたばかりの人は読むのは辛いかもしれない。ちょっと落ち着いてから読むといいと思う。 若くして自死した親友の話も辛かったが、事故死した父の話も辛かった。まだ高校生の娘がいるのに、たった三万円...
友人、父、祖母など親しい人、通りすがりの人、知り合ったばかりの人の死を描く。 親しい人を亡くしたばかりの人は読むのは辛いかもしれない。ちょっと落ち着いてから読むといいと思う。 若くして自死した親友の話も辛かったが、事故死した父の話も辛かった。まだ高校生の娘がいるのに、たった三万円しか貯金がなかった。たくさんあったはずのお金は、借用書も貰わず他人に貸していた。(実質的にはあげていた。)息子の大学の仕送りも妻のパート代から出させていた。それが死んでからわかるっていうのは。生きているうちにわかれば怒りのぶつけようもあるが。 しかし、それを恨みにしなかった家族は偉かったな。 若いときは人が死ぬということを本当に分かってはいなかった。しかし身近な人が亡くなることで、死なれてしまったときどんな思いをするかというのがはじめてわかる。自分の死も意識する。 立派だと思ってた人が家族には優しくなかったり、賢いと思われていたために、みっともないところを見せたくないと虚勢を張ってしまう。世間ではよくあることかもしれないが、よく知っていたつもりだった人が、死んだ後にそうだったとわかるのは複雑な思いがする。自分は何もわかってなかったのかと。 一番辛いのは幼いあるいは若い子どもを亡くした親で、この本には著者の親友である息子を亡くした親の前向きな姿が描かれているが、そこに至るまでは地獄の苦しみであったと思う。 もし私が死んだ人だったら、こうやって書くというのは単に思い出すよりずっとしんどいのがわかるから、嬉しい。 思い出すことが、考えることが追悼であり、自分の心を整理することにもなる。そんなふうに思った。
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著者の周りで起きたいろんな死についてのエッセイ。なんかすごく日常的で、湿っぽくなくてでも暖かい、著者の人柄だろう、このひとを目の前にしたらいろんなことしゃべりたくなっちゃうのかな。雨宮さんについての文章は異性であることを意識しすぎている感じがして少し気持ち悪いと思ってしまったけど...
著者の周りで起きたいろんな死についてのエッセイ。なんかすごく日常的で、湿っぽくなくてでも暖かい、著者の人柄だろう、このひとを目の前にしたらいろんなことしゃべりたくなっちゃうのかな。雨宮さんについての文章は異性であることを意識しすぎている感じがして少し気持ち悪いと思ってしまったけど、でもよかった。 なんか人と喋りたくなった。
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