羊は安らかに草を食み の商品レビュー
書店で平積みされていて、手に取った作品。 認知症になった老女の人生の足跡を辿る、女性3人の最後の旅。大津、松山、絶海の五島列島…。戦時中、銃弾が飛び交う満州を歩き通し、命からがら祖国に辿り着いた彼女は、いかにして戦後の苛酷を生き延びたのか。 老女たち3人の最後の旅。 こんな年...
書店で平積みされていて、手に取った作品。 認知症になった老女の人生の足跡を辿る、女性3人の最後の旅。大津、松山、絶海の五島列島…。戦時中、銃弾が飛び交う満州を歩き通し、命からがら祖国に辿り着いた彼女は、いかにして戦後の苛酷を生き延びたのか。 老女たち3人の最後の旅。 こんな年になっても、心を許せる友達がいるっていいなぁ。 穏やかな雰囲気の現代と交互に語られる老女の過去が壮絶すぎた。 満州引き揚げ。 戦前戦後の満州で10歳の少女たちが見聞きしたり、体験したりしたあまりに凄惨な出来事。 読み進めるのが苦しかった。 読んだ作品の内容はあまりずっと覚えていられない私だけど(だから感想を記録し始めた)この作品は忘れないと思う。 戦争を知らない世代が戦争を知るために、戦争は人の生活だけでなく、人の一生を破壊するということを知るために、二度と戦争を起こさないために、多くの人に読んでほしい作品だと思った。 認知症になった老女の人生の足跡を辿る旅を通して、他の老女も自分の人生と向き合っていく場面が印象的だった。 『別れる辛さを思うより、この世で出会えたことを喜びましょう』(P437) この作品で一番心に残った言葉。 人とやむなくお別れをする時に思い出したい。 ✎︎____________ 戦争は人の人生を狂わせるわね。(P132) こうやって大事に大事に積み重ねてきたものの上に、今の自分は成り立っているのだ。それを今さら捨てられない。簡単に捨てていいものじゃない。(P170) 年老いた親は、ただ助けを求めるだけの情けない存在だとしか映らないのか。老人は、萎縮して遠慮して生きるべきなのか。まさか。そんなことはない。ここまで生きてきた重さを背負い、堂々としていて何が悪いのだ。(P256) 辛い時は泣かなかったのに、優しい人の前では涙が止まらなかった。(P321) 混乱を極める満州から死なずに生きて帰れた者と、凍てついた大地の下で眠ることになった者との差は、それこそ紙一重だったのだ。だから、生きて帰ってきた者の体の一部は、あの場所に囚われている。そこから遠く離れ、どれだけ月日が流れても解放されることはない。(P370) どんなことにも理由があるんですよ。そうしなければならない理由がね(P433) 別れる辛さを思うより、この世で出会えたことを喜びましょう(P437)
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とても面白かったです。 戦争のシーンがなんとも言えない気持ちになりましたが、わたしの知らない世界を知れたような気がします。今がどれだけ平和で幸せか。 益恵が今までの人生を一人で背負ってきていた姿に感動しました。というか、登場人物みんなかっこよかったです。(島谷以外は、、、笑)
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過去と現在が交互に出てくるけど読みやすくかった。 まぁちゃんの過去が壮絶で、、、 でも最後はきっとハッピーだから本当に良かった
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満州からの引き揚げの話は過酷。まあちゃんは最後素敵な旦那さんに巡り会えて良かったな。ミステリーもあり介護の話もあり、いろいろ盛りだくさんだけど面白い。この作家さん初めてだと思ってたけど違った。ブグログありがとう。
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認知症になった益恵を、二十年来の友人アイと富士子が最後の旅に連れ出した。それは、益恵の人生の足跡を辿る旅。大津、松山、そして絶海の五島列島へ―。(e-honより)
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認知症になった益恵が友とともに旅に出るというお話で、その行く末が気になりながら読み進めていた。高齢になっても同じ趣味を持ち、気の許せる仲間がいるのは羨ましいなと思った。ほのぼのとしたストーリー展開なのかと思いきや、益恵の過去が明らかになるにつれ、戦争時の体験が壮絶だったことに衝撃...
認知症になった益恵が友とともに旅に出るというお話で、その行く末が気になりながら読み進めていた。高齢になっても同じ趣味を持ち、気の許せる仲間がいるのは羨ましいなと思った。ほのぼのとしたストーリー展開なのかと思いきや、益恵の過去が明らかになるにつれ、戦争時の体験が壮絶だったことに衝撃を受けた。読むのも苦しくなるくらいでしばらく寝かせておいたほどだ。ただ最後は友人の絆に涙し、とにかく今ある生を大切にしたいと思った。
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『晴れたらいいね』に続いて、戦争が大きく絡むお話を読んだ。 こちらはこちらでとても過酷。 そして過酷さの描写はこちらの話の方がえぐさを感じた。 同じ思いをした人としか語りたくなくなるのもわかってしまうような。 格言みたいなセリフ、と思ったのがそう繋がるのね!という部分があったり...
『晴れたらいいね』に続いて、戦争が大きく絡むお話を読んだ。 こちらはこちらでとても過酷。 そして過酷さの描写はこちらの話の方がえぐさを感じた。 同じ思いをした人としか語りたくなくなるのもわかってしまうような。 格言みたいなセリフ、と思ったのがそう繋がるのね!という部分があったり、小説の作り的な面白さもあった。 そしてこれだけお互いのことを思い合える友人や夫に出会えるのも奇跡のようなことだなと感じた。 人生の終わりが見えてきた時、こんなに支え合える人がいたら素晴らしいなとも思う。
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認知症になった俳句仲間の益恵の人生を辿る旅についていく友人たちの物語。 と聞いてなんとなしに手に取り、読んでみるかと読み始めると1人の女性の過去がとても壮絶なものであることと同時に過去でのある人物との強い絆が感じられる作品。 戦争描写が多く、多くの人が生きていても苦しい思いをし...
認知症になった俳句仲間の益恵の人生を辿る旅についていく友人たちの物語。 と聞いてなんとなしに手に取り、読んでみるかと読み始めると1人の女性の過去がとても壮絶なものであることと同時に過去でのある人物との強い絆が感じられる作品。 戦争描写が多く、多くの人が生きていても苦しい思いをした時代があったこと、生き残るためにみんななんでもしなくてはいけない時代が数十年前にあったことが信じられなかった。 高齢になっても続く変わらない友情で旅についてくる友人たちや認知症になっても変わらぬ愛で支える夫の姿が眩しかった。 旅を進めていく中で益恵とその友人のアイ、富士子がそれぞれの背負っている悩みや問題がほんの少し軽くなって行くところがよかった。 こんな友人を晩年になっても持てたら一生の宝物なのかもとも思えて羨ましくなった。
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認知症になった益恵と、長年の友達二人(どちらもお婆さん)で、3人仲良く益恵の思い出の地を巡る旅行 と一見ほのぼのとした展開だけど、益恵の秘められた過去が重すぎた。。終戦後の満州からの脱出は、ページを捲るのが怖かったけど、読まずにはいられなかった。読み応えありました。
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認知症を患い、日ごとの記憶が失われゆく老女に、それでも消せない”秘密の絆”があった-。 初めての宇佐美まことsan。 どんな話なのか、全く知らずに読みました。 認知症になった益恵、夫の三千男、友人のアイと富士子。第一章で旅が始まり、大津、松山、満州での回顧を経て、第五章の五...
認知症を患い、日ごとの記憶が失われゆく老女に、それでも消せない”秘密の絆”があった-。 初めての宇佐美まことsan。 どんな話なのか、全く知らずに読みました。 認知症になった益恵、夫の三千男、友人のアイと富士子。第一章で旅が始まり、大津、松山、満州での回顧を経て、第五章の五島列島で旅が終わりました。 満州での壮絶な体験。。合間に差し込まれている句が、とても苦しく切ないですが、素敵でした。「背を向けるむくろを照らす赫き夕日に」など。 國崎島での佳世との再会のシーンは涙が止まりませんでした。 佐那の夫・島谷は許せませんが、あの最後の手段(崖から・・)は、できれば避けて欲しかったです。時間がありませんでしたが、放っておいてもきっと天罰が下るはず!(願) 「生き生きて 八十路の旅や風光る」 Sheep may safely Graze♪
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