令和元年の人生ゲーム の商品レビュー
著者のデビュー作の切れ味に惚れて本作にも手を出してみた。結論から言うと、短編だからこそ光る題材なのだろうという感想。勘違い野郎の転落劇にカタルシスを求めて読んでいたのだが、長編にすることで令和の時代背景とZ世代の価値観についての描写が続いていく。 この作者の価値は、令和の風俗史で...
著者のデビュー作の切れ味に惚れて本作にも手を出してみた。結論から言うと、短編だからこそ光る題材なのだろうという感想。勘違い野郎の転落劇にカタルシスを求めて読んでいたのだが、長編にすることで令和の時代背景とZ世代の価値観についての描写が続いていく。 この作者の価値は、令和の風俗史ではなく、山田太一的な共感性周知の物語だ。短編では過不足なくコンパクトにまとめられていた背景情報が前面に出すぎていて「そうじゃない」感が強い。山田太一を求めていたのに開いたら司馬遼太郎の本だった、みたいな感覚だ。
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【大きな物語の消失】 著者の麻布競馬場が言うには、前作の"東京タワー本"では競争社会に飲まれる社会人を中心に描いたが、今作ではその後の社会で翻弄されるZ世代を中心に表現したとのこと。作中では、ビジコンサークル、イケイケベンチャー、意識高い系学生の寮、銭湯の復興...
【大きな物語の消失】 著者の麻布競馬場が言うには、前作の"東京タワー本"では競争社会に飲まれる社会人を中心に描いたが、今作ではその後の社会で翻弄されるZ世代を中心に表現したとのこと。作中では、ビジコンサークル、イケイケベンチャー、意識高い系学生の寮、銭湯の復興支援など多岐に渡る場面でその内情を描いていた。私もZ世代の一人であるが、作中の登場人物らがZ世代の具体を表象しているか?と言われると疑問が残るような話が多かったように感じる。 しかし、競争社会で勝ち残る・ただ上を目指すといった通底した価値観(いわゆる大きな物語のようなもの)の消失によって正解は何か?と迷走する学生・社会人が共通して描かれていたように感じる。 先日、三宅香帆の"考察する若者たち"を読んだが、やはりZ世代(=プラットフォーマーの進化とともに育った世代)は、大きな物語の消失→小さな物語の誕生の中で個人がどのように生きるのか?を真に問われている世代であると思う。ありとあらゆる小さな社会に属する中でそれぞれの社会での正解は何か?を考えるにあたり、正解に固執する。例えば、インスタグラムの中ではインスタでウケそうなプロフィールを作成したり、共感を呼びそうなストーリーや投稿をするように最適化する。プラットフォームが示す型に順応するように個人は行動するようになる。 そんな時代の変遷の中でどのように生きるのか?の解決策の1つが去年や一昨年ヒットしたアニメ「チ。」や映画「ひゃくえむ」で表現されるような個人に芽生える"衝動"だと考えている。分裂し小さな社会が多様化する中で、究極的に何が大事かと言うと、それらを取捨選択する個人の意思に着地するものと考えている。実際、三宅香帆の著書でも、「ついやってしまうもの」「徹夜するほど時間を使ってしまうもの」に目を向けると良いと述べられている。
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意識高い系のZ世代の働き方、そしてジレンマ。前作もそうだけれど、有名どころの大学出身者ばかりが登場する。いろいろと世代世代の悩みというのはあるのだろうけれど、なかなか理解しがたい部分も多かったな。
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オーディブルで聴いた。 常にうっすら意識高い系を含む全方位を小馬鹿にしながらしかし完全な冷笑系とは異なって、なんというかチンして忘れたカップにほんのり残っている程度の温もりがあるのが味 沼田とかいうニヤニヤ笑いの人間見下し系執着ホモ(あえてこのよくない言葉を使う)がどんどん憎...
オーディブルで聴いた。 常にうっすら意識高い系を含む全方位を小馬鹿にしながらしかし完全な冷笑系とは異なって、なんというかチンして忘れたカップにほんのり残っている程度の温もりがあるのが味 沼田とかいうニヤニヤ笑いの人間見下し系執着ホモ(あえてこのよくない言葉を使う)がどんどん憎めなくなり、彼の結末が知りたくて最後まで聴いたところがあるのだが結局どこにも漂着せず逆になるほどな…となった 沼田、お前何があったんだよ 読み終わってじわじわ「うーん……よかったな」と湧き上がってくる小説 時々あまりにもシュールな場面があり、それもおもしろかった 虚しさを抱えた若者だったらどんぴしゃ刺さったかもしれない
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自分と重なりすぎてびっくりした!でも割と不穏な終わり方だからそこだけがタイプじゃなかったかも。 でもそういう本ほど読みたくなるよね。 結局はみんな自分の人生に責任を持つことから逃げている?という風刺が根底にあるのかな そしてそうやって逃げながらの行動をしながらもみんな病んでい...
自分と重なりすぎてびっくりした!でも割と不穏な終わり方だからそこだけがタイプじゃなかったかも。 でもそういう本ほど読みたくなるよね。 結局はみんな自分の人生に責任を持つことから逃げている?という風刺が根底にあるのかな そしてそうやって逃げながらの行動をしながらもみんな病んでいるみたいな?これがZ世代の風刺だとしたら昔はどうだっんだろうって思う 自分の人生の責任から逃げていることを自覚しつつも、そのことにやまないように最善に尽くす生き方をする人、 人の愛に依存し、それに対して何か答えようとはしない人、 人の決断やアドバイスを自分の決断として、責任から逃げようとする人 とりあえず世間一般の「正しい」に縋り付く人。 色々致し、ある程度悲観的に書かれているけど、そこに対して、この生き方が良いとか、ポジティブなことは書かれていなかったような? 心の底から幸せな人は出てこなかった気がする。 じゃあ心の底から幸せになる人生はやっぱり自分で考えて構築していかなきゃならないし、そういうことを改めて考えたいって思わせてくれた小説だと感じた。
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「わぁ、『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』と比べると、皮肉があんまりなくて、人として大切なものについて書いてるなぁ。なんかポジティブな感じがするー!文章も上手!」って思って読んでいた。第3章までは。 第4章、なにこれホラーじゃん。こわすぎ。麻布競馬場さんは麻布競馬場さん...
「わぁ、『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』と比べると、皮肉があんまりなくて、人として大切なものについて書いてるなぁ。なんかポジティブな感じがするー!文章も上手!」って思って読んでいた。第3章までは。 第4章、なにこれホラーじゃん。こわすぎ。麻布競馬場さんは麻布競馬場さんでした。
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短編四篇それぞれ語り手が異なっているが、一貫して同じ沼田という男が現れる面白い語り口。沼田に何があったのかはちょっと知りたかった。 平成世代の自分の時も意識が高い学生はいたし、正しいことをしたい自己満な人いたし、それらの人を冷めた目で見る何もしない奴もいたので、あまり「Z世代」と...
短編四篇それぞれ語り手が異なっているが、一貫して同じ沼田という男が現れる面白い語り口。沼田に何があったのかはちょっと知りたかった。 平成世代の自分の時も意識が高い学生はいたし、正しいことをしたい自己満な人いたし、それらの人を冷めた目で見る何もしない奴もいたので、あまり「Z世代」というものの特徴が際立っているようにも思わなかったけど、人間みんなどこかで似たもの同士なのかもしれない。
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2月15日読了 えっ、じゃあ私たちはこれからどうやって生きていけばいいんですか? そう問いたくなるような小説だった。 グサグサと私の内面を見透かすような言葉がたくさん出てきた。 「頭のいい僕たちは、いつだって社会の顔色ばかり伺って社会が望むことをやって、周りの大人を喜ばせて。その隙にサボりつつでも皆が納得する成果は出す。」 「自分の責任の元に失敗することを極端に恐れた結果、他人の言葉に責任を押し付けるようになった」 「ハードワークしてバリューを出す訳でもない自分の怠惰さに向き合うことから上手に逃げてる。賢い大学を出た彼らはそうやって上手に自分を好きになってあげる」 冷笑することにも限界が来て、借り物の言葉で夢を語ってもダメで、でも自分ってそもそもなんなのかわかんなくて、それでも自分を好きでいたい。 でも今の私たちに答えがあったら、きっと借り物の答えのために必死に生きるんだろうな。
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各章によって主人公は異なるが、各場面に沼田という主人公に影響を与える人物が出てくる。彼は、賢いが不器用で、素直ではない人物だが知的な部分を持っている人物である。大衆の人が考えることとは、違う道を選ぶため、その際に主人公は考えさせられ彼と関わることで人生に影響を与えられている。 この本では、自分自身の生き方に信念を持つことが大切。また知識は人を導いたり翻弄することができることを学びました。また仕事において大衆の考えは、一つの考えに過ぎず、自分自身で知識をつけて多くの道を切り開くことは選択肢のひとつと思いました。 例)サークルのリーダーは成功者に翻弄されていた、ベンチャー入社の女の子は、周りのことを気にし過ぎて人を評価していた、合宿では、Z世代の人たちが自分たちが何かしらの存在であることに拘り、人の意見に流されていた、お風呂屋の店主は自分自身で考えることを放棄し、イメージを形作ってくれるものに沼っていたなど
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圧倒的成長!圧倒的バリュー! キラキラの中で生きてる人達も大変だなと思った。 正しい事をしていないと不安になる、は分からんでもないけど"シロクマは正しい"はカルトっぽい不気味さを感じた。
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