お梅は呪いたい の商品レビュー

藤崎翔(著者)

2024/11/06

　お梅ちゃんは、お人形です。
作られたのは、五百年前です。

　身体の大きさは三十センチほど。
赤い着物を着て、白い足袋をはいています。
髪型は、もちろんおかっぱです。
　日本人形らしい日本人形なのです。

　お梅ちゃんは、戦国時代の人たちと暮らしていたので、持ち主の姫様や周りの人たちの怨念を背負ってしまって、呪いのお人形になっていました。

　呪い封じの頑丈な木箱に入れられて五百年間、古民家の奥でひっそり眠っていましたが、家の取り壊しの時に解体業者のおじさんにハンマーで箱を壊されて、令和の世に出てきてしまったのでした。
　そして、お梅ちゃんは呪いを始めることにしたのです。

　けれど、五百年も時代が変わると、どうも勝手がちがってうまくいきません。

　初めにお梅ちゃんを連れてきた若い男は、手のひらくらいの板に向かってしゃべったり、板を指でこすってばかりいます。
　お梅ちゃんは、人が言っている言葉は聞こえますが、聞こえてくるのは知らない言葉ばかりです。
　「てれび？」「りもこん？」「すまほ？」　？？？
　お梅ちゃんは自分で動くことができるので、若い男が寝ている間に男の部屋を歩いて見て回ることにしましたが、なんと！「すまほ」で録画されていました。。。。
　若い男は「ゆふちゅふばあ」だったのです！！
　お梅ちゃんの　お運命ちゃんは　いかに。。。。。

　令和の世に翻弄されながら、懸命に呪い続けるお梅ちゃんの姿が可愛くて応援したくなりますよ♪

　災い転じて福となす。　だめだこりゃ！　次行ってみよう！
呪いが祝いになってしまうお梅ちゃんの令和探訪記をぜひお楽しみください♪

「ねぇ、ねぇ、これってホラー？」
「ちがうよ。ほらー、コメディだよ、ほらー！」
「えっ？　どっちよ？...」

2024/10/23

FM802DJの浅井さんがオススメされていたので。
めちゃくちゃ面白かった…！

ある話で、まさかの展開に驚かされ、「そういやこの人ミステリ作家じゃん…」となりました(笑)
エピローグ(えぴろをぐ)まで面白く読ませていただきました。

呪う、という言葉が何だかポップに聞こえてきました。これもお梅の呪いか？

2024/10/20

普段手に取らないような系の作品なんですけどついつい読んでしまい呪われてしまいました。
戦国時代の眠りより封印を解かれた呪い人形のお梅さんが必至すぎて笑えます。
500年のブランクあるから歴史や現在人について色々おベンキョしてる姿も可愛らしいしカタカナを旧仮名使いと漢字を当てて自分なりに理解しようと試みてるところも微笑ましい。
猫に追われたりするとこもw

2024/10/16

プークスクス！呪いの日本人形がこうも笑えてしまうとは。戦国時代に大量の人間を死に追いやった日本人形、お梅。お梅が幽閉されてから500年の時が流れ、とうとう令和の現代に蘇った。「呪い殺す」ことを本能としているお梅だが、どうも昔とは勝手が違う。現代人にはまったく呪いが効かない。お梅、どうする！？今まで読んだ藤崎作品のなかでは一番良かった。お梅が結構賢いので、現代人の習性をすぐに覚えるのが面白い。「でゐゑぬえゑ鑑定」「えねゑちけゑ　いゐてれ」「寅馬」とかお梅独特の表記についつい笑ってしまう。続編希望。

2024/10/12

面白くてサクッと読めました

500年の時を経て、現代に封印を解かれた呪いの人形・お梅
呪いたいお梅の気持ちとは反して、どんどん幸せになっていく周りの人間たち
今の時代に戸惑ったり、呪いがうまくいかなくて焦るお梅ちゃんを応援したくなっちゃいます
呪いの人形を応援したくなることなんて、初めてでした笑
クスッと笑ってしまう場面がある反面、ちょっとしんみりする場面もありでとても楽しめた一冊でした

2024/10/05

なんか久しぶりに読書でもしたいなと、フラッと本屋さんへ。
おすすめコーナーで見つけた『インパクト』のある表紙。 五月女ケイ子 さんのイラストって、迫力があるのに可愛くてずるい。。つい手に取ってしまうじゃないか。

本はスイスイ読めて、予想通りクスッと笑ってしまう感じで面白かった。
呪いの人形お梅ちゃんが、あの手この手で呪い殺そうとするが、どうも上手くいかない。
500年前は、戦国時代の大名を滅亡にまで追いやった、『恐るべき呪いの人形、お梅』のハズなのに、可愛いドジっ子ちゃんに見えてくる。応援したくなる。
あれ、コレってひょっとして、私もお梅ちゃんの呪いにかかっているのか？！

お梅ちゃんや、登場人物の心情は、それぞれの立場で丁寧に書かれている。題材がユーチューバーなど私達の身近にあるもので共感しやすい。
ただ面白いだけではなく、現代人の心に何となく引っかかっている不安や、悩みを、お梅ちゃんを通して客観的に見る事ができた。

是非皆さんも、この本を読んで、お梅ちゃんの呪いにかかってみて下さい！

2024/10/04

呪い殺すこと、人の苦しみや悲しみが、快であり、人の喜びをただただ不快に感じる呪いの人形お梅。呪い殺すことに失敗し、幸せになる様を見ると不快感を募らせる姿勢は、何度失敗してもぶれない。そしてへこたれない。私としては、登場人物の幸せを願いつつも、このへこたれなさに救われるほど、お梅に肩入れしつつある。

2024/09/29

サクサク読めて面白かった。
お梅が本気で人を不幸にしたい、呪い殺したいと思ってる事に時々寂しくなるぐらい、ちょっと気を許してしまってる自分に気づく。
色んな人が繋がっていることも楽しい。
何故、この本を手にしたのか今となってはわからないけれど…もしかしたらお梅の念
なのかも知れない。

2024/09/27

主人公は500年ぶりに封印を解かれた日本人形、お梅。
日本人形というだけあってホラー要素があるのではと構えたが、ユーモア満載でひたすら笑える。
久しぶりの外の世界に人を呪おうと意気込むが令和という新しい時代についていけず…。
なかなか呪いがうまくいかないお梅に応援の気持ちが高ぶっていく。
終盤には感動的な場面も。
伏線回収が鮮やかで良い読後感だった。

2024/09/26

戦国大名２家を滅ぼした呪いの人形、お梅が現代によみがえる！
お梅は自分を拾った人間を破滅させるべく、連日連夜呪いをかけ続けるのだが…。
なんという事だ、全くうまくいかない。むしろ幸福になっていくではないか！