錠剤F の商品レビュー
装丁と帯で充分不穏な短編集と想像できる。 本当に短い短編で、もう終わるのにどんなオチがあるのかと心配?するも、見事に完結するのである。 そして、完結ではなく読後に違和感や疑問、そして妙な余韻やが残るのである。
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『錠剤F』を初め、タイトルにそそられた。孤独の寂しさを埋めようと踠く人、鬱憤晴らしに因縁をつける人、執着心から抜け出せない人…常軌を逸した人がわんさと登場。陰湿な物語だが後を引かない。
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やっぱり、陽が当たる部分だけって事は無いですよね。 そんな事を痛烈に伝えて来ます。心して読まなくては負けてしまいそうです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
これは何とも…好きとも嫌いとも言えない短編集だった。荒野さんの小説には必ず「冷たい男」が出てくると勝手に思っているが、この短編には「怖い人間」が沢山出てきた。 息子がいないから自分たちのところに養子に来ないかと誘い、どんどん勝手に話を進めていく夫婦や、コンビニであなたの子種が欲しいと言ってくる女など、どこか不気味で周囲にいてほしくないタイプの人間たちだ。 最も楽しめたのは「みみず」という短編。「みみず千匹」を持つ女性が、自分の中にみみずがいなければ良いのに、いや、みみずこそ自分だと葛藤するシーンが強烈。自分のアイデンティティがみみず千匹なのに、本当に愛されているんだったらみみずなんていなくても良いはずと信じた女性が、他の男性と性行為し、みみずの有無を確かめようとするのだ。 悲しいかな、この女性はもしかしたら凄い名器の持ち主かもしれないのに、自分ではその素晴らしさを味わえないんだよね。 いっそのこと名器を持っていない方が、自分に自信が持てたのだろうか。
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バイト先のコンビニに現れた女から、青年が 「ある頼みごと」をされる「ぴぴぴーズ」、刺繍作家が 夫の黒い過去を知ってしまう「刺繍の本棚」など、 日常の隙間にひそむ「孤独」を描き出す短編集。
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ちょっとブラッキーな荒野さんの10作になる短編集。どれも日常のありふれた光景なのにズドーンと落とされる不気味さが凄い。面白かったが私の好きな荒野さんではなかったので☆3
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「乙事百合子の出身地」 「ぴぴぴーズ」 「あたらしい日よけ」 「みみず」 「刺繡の本棚」 「墓」 「スミエ」 「ケータリング」 「フリップ猫」 「錠剤F」 10篇収録の独立短編集。 井上ワールド全開。 物語全体から気怠さが漂い、孤独と闇を感じた。 明るさは微塵もない。 心地良...
「乙事百合子の出身地」 「ぴぴぴーズ」 「あたらしい日よけ」 「みみず」 「刺繡の本棚」 「墓」 「スミエ」 「ケータリング」 「フリップ猫」 「錠剤F」 10篇収録の独立短編集。 井上ワールド全開。 物語全体から気怠さが漂い、孤独と闇を感じた。 明るさは微塵もない。 心地良さは皆無だが独特な世界観が癖になる。 240頁の中に10篇の物語が収録。 1篇が僅か20数頁の作品であるというのに、冒頭で読み手の心を捉え結末まで目を逸らす事が出来なくなる。 どの短編も秀逸で甲乙付け難いが、衝撃的だったのは「フリップ猫」と「錠剤F」。 闇の深さに慄く。
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短編集です。どの話もダークでした。 たとえば、タイトルになっている最終話の『錠剤F』は、同僚が怪しい男から怪しい薬(苦しまずに楽に死ねる)を買おうとする話です。 いや、これはないでしょうと思いながらも、もしかしたらひょっとして、と思ってしまうような。 ぬるい絶望を感じました。
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10編収録されている短編集。日常の中に不穏な空気が広がっていく。自分の中に、他人との間にそれはあってそこでは孤独のように独りでその空気感が怖い。それが何気ない日常から不意に現れるからゾッとするしこの作品たちに惹かれていってしまう。ずっと不気味さや恐怖感のようなものが付き纏っている...
10編収録されている短編集。日常の中に不穏な空気が広がっていく。自分の中に、他人との間にそれはあってそこでは孤独のように独りでその空気感が怖い。それが何気ない日常から不意に現れるからゾッとするしこの作品たちに惹かれていってしまう。ずっと不気味さや恐怖感のようなものが付き纏っている作品集。
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10篇を収録した短篇集。すべて独立した作品で連作ではないが、あえて共通点を探すならば、どの作品もダークサイド寄りということかな。でもまあ、いつもの荒野さんのような気もする。 どれも読んでいる間はおもしろいのだが、読み終わった途端に忘れてしまった。あまり印象に残らなかった。
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