暗い引力 の商品レビュー
表紙のイラストがとても印象深く手に取った。 6話の短編それぞれ、このイラストの如く、闇に堕ちるようなお話。それぞれとても面白かったし、同時に表紙から受け取る印象を全く裏切ってない。 中でも「極楽」 借金から逃げるために認知症を装って施設で匿われるお話。 自分が突然行方不明になっ...
表紙のイラストがとても印象深く手に取った。 6話の短編それぞれ、このイラストの如く、闇に堕ちるようなお話。それぞれとても面白かったし、同時に表紙から受け取る印象を全く裏切ってない。 中でも「極楽」 借金から逃げるために認知症を装って施設で匿われるお話。 自分が突然行方不明になったら、唯一の身内である一人息子に迷惑がかかる、、であろうが、そんな事はお構い無しで、、 それも仕方ない、唯一の親孝行だと諦めてもらおう、、なんてお気楽な主人公。 暗い中にもクスッと笑える部分あり、飽きずに楽しめた。 この作家さんは、色んなテイストの物語が得意らしく、どれもとても好評らしい。ぜひ、読んでみよう!
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暗い引力。看板に偽りなし。悪の囁きに吸い寄せられるような短編集で、どの話もワンパターンではなくバリエーション豊富でクオリティが高かった。全作面白かった。なかでもお気に入りは『海の子』→反吐が出るようなオチ。偽善者が大嫌いなので終始ゾワゾワ。『捏造カンパニー』→こういう頭脳戦?は面...
暗い引力。看板に偽りなし。悪の囁きに吸い寄せられるような短編集で、どの話もワンパターンではなくバリエーション豊富でクオリティが高かった。全作面白かった。なかでもお気に入りは『海の子』→反吐が出るようなオチ。偽善者が大嫌いなので終始ゾワゾワ。『捏造カンパニー』→こういう頭脳戦?は面白くて読む手にも力がこもる。『蟻の牙』→往復書簡は苦手なのだがこれは興味深かった。『堕ちる』→これが一番タイトル作として相応しい内容かも。表紙の人も落ちている。傑作の絵画に魅せられた学芸員。絵が巻き起こす狂気に呆然。
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6遍の短編集。 どれもがダークで悪である。 そして到底考えられないことをやるから驚かされる。 何をもって悪である…かとはそれぞれだが、すべてに破滅を感じる。 堕ちていくイメージのカバーに絶望を感じるが、これは自ら招いたことなのだろう、暗い闇に引き寄せられた作品に怖さを感じた。...
6遍の短編集。 どれもがダークで悪である。 そして到底考えられないことをやるから驚かされる。 何をもって悪である…かとはそれぞれだが、すべてに破滅を感じる。 堕ちていくイメージのカバーに絶望を感じるが、これは自ら招いたことなのだろう、暗い闇に引き寄せられた作品に怖さを感じた。 「海の子」〜養子だと知っていたが、実は…気づいたときには憎しみしかなかった息子のとった行動は。 「僕はエスパーじゃない」〜仕事が忙しい妻に代わって育児も家事もこなす夫に妻が言い放ったのは。 「捏造カンパニー」〜倒産やリストラで無職となった同級生3人が考えたのは、実体のない会社を設立したことだったが。 「極楽」〜借金から逃れるために企んだのは認知症のふりだったが。 「蟻の牙」〜亡き夫の死は、過重労働のせいなのか…その後も不正を隠蔽しようとする会社側の態度と関わる人の死。 「堕ちる」〜地方の美術館の学芸員が、任された回顧展の企画から妻しか描かなかった作家のことを調べるうちに〈ゼロ番〉を手に入れ…。
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皮肉な味のするの6編の短編集。 以下印象的だった作品。 「海の子」 養子として迎えた息子の出生の秘密。同情的な気持ちで見ていた人物が一転して醜悪な人物に。そういうオチになるとは思ってなくて驚いた。自業自得だけど、残酷なラスト。 「極楽」 借金から逃げるために認知症を装って特別...
皮肉な味のするの6編の短編集。 以下印象的だった作品。 「海の子」 養子として迎えた息子の出生の秘密。同情的な気持ちで見ていた人物が一転して醜悪な人物に。そういうオチになるとは思ってなくて驚いた。自業自得だけど、残酷なラスト。 「極楽」 借金から逃げるために認知症を装って特別養護老人ホームに潜り込む女の話。認知症の診断にはMRIとか専門的な検査をするだろうし、そう簡単にはいかんやろ…とは思うのですが、皮肉な結末が面白かった。 「蟻の牙」 過労死で夫を失い、企業に過失を認めさせるために戦う妻。妻がWEB上で公開した証拠資料としてメールや手紙のやり取り、記事の抜粋、議事録などで構成されている。現場に責任を押し付けてトカゲのしっぽを切って上の人間はのうのうと逃げおおせている。こういうことって実際にいっぱいあるんだろうなと思って暗い気持ちになった。果たして蟻の牙は届くか… 多分初めましての作家さん。好きな感じの短編集でした。 「暗い引力」というタイトルの作品は収録されていないけど、全体的にこのタイトルと表紙のデザインがぴったりだと思いました。
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雑誌「ジャーロ」に2022から2023に掲載された短編6編 雑誌をほぼ読まない私は、全く知らなかったけど ミステリー小説専門誌 実はミステリーと知らずに読みまして 逆に岩井さんの知らなかった魅力がより大きく 気がつかないうちに引き込まれる闇 闇でもがく人を描いた六編 「海の子」...
雑誌「ジャーロ」に2022から2023に掲載された短編6編 雑誌をほぼ読まない私は、全く知らなかったけど ミステリー小説専門誌 実はミステリーと知らずに読みまして 逆に岩井さんの知らなかった魅力がより大きく 気がつかないうちに引き込まれる闇 闇でもがく人を描いた六編 「海の子」 72歳、妻に先立たれた夫 一人息子は 訳ある養子だった 息子に乞われ、その時の状況を語る 見知らぬ女が妻に乳飲子を引き渡し去っていった 養子のはずの息子は父親にそっくりになっていく 真実を確認した息子の報復 「僕はエスパーじゃない」 妻を労りよく気が利く夫 キャリア志向の妻と一人息子 妻の顔色 世間の風潮を読み 行動する夫 妻の望み通りの夫と育つ 妻はそのあまりの空虚さに別れを決意する どーすりゃいいのよ! 「捏造カンパニー」 捏造した会社で融資を受け続ける三人組 突然の税務調査に慌てふためく どーにか会社の体裁を整えて迎えた税務署員 そっちも捏造 「極楽」 パチンコの借金から逃げる為認知症を偽る 本当の認知症患者と共に過ごすうちに そうなれば極楽 「蟻の牙」 家電メーカーに勤める夫が過労死 夫は会社の不正製品検査証を残していた 妻は、それを証拠として会社の隠蔽工作と闘う 書簡体小説で 手紙、メール、記事、議事録と 様々な文章形態を使い会社の不正に近づく 足元の蟻にも牙があります 「堕ちる」 地方都市に学芸員の職を得た主人公 地方画家の個展を任される その作家の絵を見て 精巧さに惚れ込む 妻だけを描き続けた作家のプロフィールを探し始めた主人公は 未発表の絵を発見し 自分の思いを止められず 罪を犯す
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タイトルの『暗い引力』は、収められている6編の短編の表題にはなっていないんですね…。6編全てひっくるめて『暗い引力』ということなのかと思いました。 「海の子」: 妻に先立たれ養子の息子にその経緯を話すことに…。 「僕はエスパーじゃない」: 仕事と育児の両立、夫の...
タイトルの『暗い引力』は、収められている6編の短編の表題にはなっていないんですね…。6編全てひっくるめて『暗い引力』ということなのかと思いました。 「海の子」: 妻に先立たれ養子の息子にその経緯を話すことに…。 「僕はエスパーじゃない」: 仕事と育児の両立、夫の助けもあって妻は順調にこなしていたが…。 「捏造カンパニー」: 同級生3人がペーパーカンパニーを設立、突然税務調査が入ることになり…。 「極楽」: パチンコの借金から逃れるため、老女が考えた策とは…。 「蟻の牙」 長時間勤務で夫に先立たれた妻の復讐劇とは…。 「堕ちる」 地方の美術館で学芸員として個展の準備に奔走するうちに…。 どの作品も、ダークでその世界観に読んでいて気づくと堕ちている…。連作短編ではなく、どの作品も全く異なるテイストなのに、引き込まれている…。なんか、スゴイ作品でした。まさに『暗い引力』でした。
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岩井圭也の六篇の短編集です。どの作品も素晴らしいですが、最後の作品の「堕ちる」は衝撃的な作品です。この一片だけでも読む価値があると思われます。 この短編集を読み、岩井圭也という執筆者に歓心を持ちました。他の作品も是非とも読みたくなりました。 何か久しぶりに良い出会いに巡り合ったよ...
岩井圭也の六篇の短編集です。どの作品も素晴らしいですが、最後の作品の「堕ちる」は衝撃的な作品です。この一片だけでも読む価値があると思われます。 この短編集を読み、岩井圭也という執筆者に歓心を持ちました。他の作品も是非とも読みたくなりました。 何か久しぶりに良い出会いに巡り合ったように思われます。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
岩井圭也の短編集は初めてじゃないかな?上手い長編小説を書く作家さんと思っていたが、短編もなかなか読ませる。 タイトルの引力って言葉が実によくわかる、これ「嘘」のことなんよね。欲望とか見栄とか言い訳のために「嘘」をつく時、抗いがたい何かにグッと引き寄せられてる感があり、あれは確かに引力的やわと。 「僕はエスパーじゃない」は考えさせられたなぁ。相手の気持ちを読んで行動することに愛はないんだろうか?空気を読む、忖度までは違っても、そこから相手に対してどうするか…の行動部分には愛とか情が大いにかんけいしてると思うんだが… どれもこれも後味悪い余韻の短編だが不思議と引き込まれるし、読み終わったあとに何かしらすっきりしているところもあるのが絶妙。
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短編だからか、展開が読みやすくキャッチーなところもあるが、さすが岩井氏とでも言うべきか、各場面を緻密に引き摺りながら人物たちが堕ちていく姿が描かれている。個人的には『楽園の犬』や『われは熊楠』のような、じっとりと汗をかき、またざわっと鳥肌がたつような作品が好きかも。
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6編が収められたダークな短編集 *海の子 *僕はエスパーじゃない *捏造カンパニー *極楽 *蟻の牙 *堕ちる 短編なのをすっかり忘れて読み始めた 第一話「海の子」 告別式を終えた日の夕方、 妻を病で亡くした佐々木は、二十歳の息子・海太と仏壇の前にいる場面から始まる。 ...
6編が収められたダークな短編集 *海の子 *僕はエスパーじゃない *捏造カンパニー *極楽 *蟻の牙 *堕ちる 短編なのをすっかり忘れて読み始めた 第一話「海の子」 告別式を終えた日の夕方、 妻を病で亡くした佐々木は、二十歳の息子・海太と仏壇の前にいる場面から始まる。 私は一瞬で物語に引き込まれ、ドキドキしながら50頁ほど一気に読み進めた。 えっ?終わり? まだ続くよね? 突然、闇の中に放り出された気分。 第二話「僕はエスパーじゃない」 あれ? さっきと違う話? 今度は、幼い息子を持つ夫婦の話だ。 私はここでようやく短編集なんだと思い出す。 これまたラストで闇の中に置き去りにされた。 最後の「堕ちる」 地方の美術館に赴任したばかりの学芸員が主人公。 めちゃくちゃ怖いよ。 でもこれが一番良かった。 人間の欲望は、なんと恐ろしいんだ。 6編どれもブルっと震える、こわ~いお話。 まさにタイトル「暗い引力」の通り、 主人公たちは闇の世界へと転落していくのだ。 岩井圭也さんの作品を読むのは4冊目だけど、どれも作風が違うんだ。 スゴイなぁ。
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