十の輪をくぐる の商品レビュー
2つの東京五輪を生きる親子の話。泰介の現状と泰介の母の過去が交錯するんやけど、各時代の価値観の違いにゾッとする。多様な世の中であれ。泰介も大変やったとは思うけど、母の大変さと強かさと強さ!泰介に対する認識もどんどん変わる、この数十年価値観激動やな。
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泰介は、認知症を患う八十歳の母・万津子を自宅で介護しながら、妻と、バレーボール部でエースとして活躍する高校二年生の娘とともに暮らしている。 物語は現在2019年から2020年 そして母万津子が若かった頃の1958年からに分かれて書かれている。 初めはひどい男だと思った。自分の親...
泰介は、認知症を患う八十歳の母・万津子を自宅で介護しながら、妻と、バレーボール部でエースとして活躍する高校二年生の娘とともに暮らしている。 物語は現在2019年から2020年 そして母万津子が若かった頃の1958年からに分かれて書かれている。 初めはひどい男だと思った。自分の親を看てもらっているのに妻への思いやりがない。認知症の母に対しては声を荒げて詰る。 そんな父親を救ったのは娘だった。
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昭和、平成、令和。 それぞれの時代の″正解″を探すお話なのではないかと思った。 時代時代の″当たり前″に合わせることが難しい人は、少なくないと思う。 その人たちは苦しみだけでない、救いに導いてくれる存在がいるということを、この物語は示してくれた。 優しい人ばかりではないけれど...
昭和、平成、令和。 それぞれの時代の″正解″を探すお話なのではないかと思った。 時代時代の″当たり前″に合わせることが難しい人は、少なくないと思う。 その人たちは苦しみだけでない、救いに導いてくれる存在がいるということを、この物語は示してくれた。 優しい人ばかりではないけれど、必ずいると思いたい。 ーーーーー パリオリンピック開催中に、東京オリンピックのお話を読み、バレー選手に感情移入してしまった。
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「私は……東洋の魔女」なんて帯だったから、てっきり元日本代表の話なのかと思っていた。まさか自分を奮い立たせるためのお守りのような言葉だったとは……。 全体としては読んでいてイライラの止まらない泰介パートと、爽やかで軽やかでキラキラしている万津子パートが交互に表れる構成で、最初は早く万津子パートにならないかなと思って読んでいたが、次第に万津子パートが読み進めるには辛すぎる展開になると、自分探し中の泰介パートに早く戻らないかなと思った。この逆転現象は単純にすごいと思う。辛くてしんどくて涙が止まらないけど、ページを捲る手が止まらない、そんな中毒性のある本だった。 奇しくも丁度パリ五輪開催中に読み始めて読み終わったのも、何かしらの相乗効果になったかもしれない。今このタイミングで読めて良かった。
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辻堂ゆめさんの作品は2冊目。 『あの日の交換日記』がとても良かったので 2冊目にはブクログでも高評価だったこの本を選んだ。 ミステリー作家である辻堂さんだが 『十の輪をくぐる』は初めてのミステリーではない作品で 「今回は思いっきり人間ドラマに振り切って書いてみようと思った」と言...
辻堂ゆめさんの作品は2冊目。 『あの日の交換日記』がとても良かったので 2冊目にはブクログでも高評価だったこの本を選んだ。 ミステリー作家である辻堂さんだが 『十の輪をくぐる』は初めてのミステリーではない作品で 「今回は思いっきり人間ドラマに振り切って書いてみようと思った」と言われている。 読み始めたときから泰介に対して私が抱いた違和感。 物語終盤でその理由が分かったたき 想像力の欠如というか… 自分自身にちょっとショックを受けた… 「生きづらさ」を感じていたのは泰介だけではなかった。 母・万津子、さらには1964年の東京オリンピックのころの女性たち。 彼女たちの生きづらさ… オリンピックという表舞台ばかりに光が当たって 影の部分は見えなかった。 いや、見ようとしていなかったなぁ…
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戦後10年目の世界に降り立ったような臨場感を感じていたら、作者さんが20代だという驚き。 最後の書評にて「作者は自分の劇団(作品)の中に子役から老人まで、優秀な役者が豊富に揃っている」が全くその通りで、とにかく器用で文章が上手。 作者・辻堂ゆめさんの名前を覚えておかないと、と思い...
戦後10年目の世界に降り立ったような臨場感を感じていたら、作者さんが20代だという驚き。 最後の書評にて「作者は自分の劇団(作品)の中に子役から老人まで、優秀な役者が豊富に揃っている」が全くその通りで、とにかく器用で文章が上手。 作者・辻堂ゆめさんの名前を覚えておかないと、と思いながら一気に読み切った。 ラストはマツコの走馬灯の中に入り込んだような、暖かで力強い読後感が心地よかった。萌子がとってもいいこ。萌子…!
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1964年と2020年の東京オリンピックの時代を生きる、親子の姿を三代に渡って描かれる物語。 現代パートでは息子・泰介、過去パートでは母・万津子目線で描かれています。 息子・泰介のパートは正直、最初はイライラしながら読みました。会社や家庭での言動や行動があまりにひどく、なんて困っ...
1964年と2020年の東京オリンピックの時代を生きる、親子の姿を三代に渡って描かれる物語。 現代パートでは息子・泰介、過去パートでは母・万津子目線で描かれています。 息子・泰介のパートは正直、最初はイライラしながら読みました。会社や家庭での言動や行動があまりにひどく、なんて困ったおじさん…と思っていましたが、後半にある事実が明らかとなると泰介への思いに変化が訪れます。 母・万津子のパートは、結婚してからが波瀾万丈で、読み進めるのも辛く感じました。それでも、東京オリンピックで東洋の魔女を見たことで、生きる希望を見つけた万津子の母親としての思いがひしひしと伝わり、母の強さを感じました。 それぞれの思いが交錯し、2020年の東京オリンピックに向けて、泰介の娘・萌子に思いが託されるラストはとても良かったです。
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辻堂さん2冊目。1冊目の「山ぎは少し明かりて」でファンになって、この本でさらにファンになりました。読み終えて深い余韻に浸ります。 紡績工場で働く少女たちの会話のシーンはいきいきとしていてとても臨場感があります。それは「山ぎは…」の中であった少年たちの川遊びのシーンでも感じました...
辻堂さん2冊目。1冊目の「山ぎは少し明かりて」でファンになって、この本でさらにファンになりました。読み終えて深い余韻に浸ります。 紡績工場で働く少女たちの会話のシーンはいきいきとしていてとても臨場感があります。それは「山ぎは…」の中であった少年たちの川遊びのシーンでも感じました。本当に画面を見ているような気がします。これは文筆力があればこそなせる業だと思います。 東京オリンピックの東洋の魔女たちの活躍のシーンも私はリアルタイムでテレビで観戦しましたが、本を読んでいて目頭が熱くなりました。そして最後の娘の萌の活躍も。 まだ若い方なのに、当時のシーンや出来事をリアルに再現できる文筆力に再度感服!素晴らしい本でした。
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昔の亭主関白そのものの泰介をひどく嫌悪しながら、徐々にその泰介の真っ直ぐさに惹かれていく。 それは、泰介の周りにいた家族、母の万津子や妻の由佳子、娘の萌子の支えがあったからだ バレーボールの試合は、文章なのにまさに目の前で広がるようにありありと浮かんできて手に汗握る。 昭和の時...
昔の亭主関白そのものの泰介をひどく嫌悪しながら、徐々にその泰介の真っ直ぐさに惹かれていく。 それは、泰介の周りにいた家族、母の万津子や妻の由佳子、娘の萌子の支えがあったからだ バレーボールの試合は、文章なのにまさに目の前で広がるようにありありと浮かんできて手に汗握る。 昭和の時代を女で一つで生き抜く万津子の我慢強さと力強さには頭が上がらない。 十の輪とはそういうことだったのか
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吉川英治文学新人賞候補 ミステリー作家らしく、リーダビリティが高く、一気読み。 ADHDと診断された泰介が、こんなに素直に治療を受け入れて、好転するかは疑問だが、序盤からのモヤモヤが少し解消された。 今は認知症になっている万津子だが、DV夫と、それを容認する実家の母親にはいらいらさせられた。
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