野生のしっそう の商品レビュー
障害児の兄が失踪して疾走する。よくわからない兄の言動とそれをとりまく人たちのことを書いているのだが、あまりに散文的で何が言いたいのかわからない。そう感想を言ったら、知人から、そのわからなさが、障害児の兄をわからないことに通じているのではないかという意見をもらった。書いてないことが...
障害児の兄が失踪して疾走する。よくわからない兄の言動とそれをとりまく人たちのことを書いているのだが、あまりに散文的で何が言いたいのかわからない。そう感想を言ったら、知人から、そのわからなさが、障害児の兄をわからないことに通じているのではないかという意見をもらった。書いてないことが多いのに、余計なことが書いてある。書いてないことについては、別の著書に書いたと註がついているので、この著者の著作を追っている読者にとっては、それらをつなぐ本なのかもしれないが、初めて読む側からすると不親切すぎる。自著以外からの引用もあるが、唐突だったり、中途半端な紹介で、全体の文脈の中での位置付けが不明である。文化人類学という学問は、あるがままに受け入れることが第一歩なのかもしれないが、これで学問として成立するのだろうか。断片的なエピソードは面白いので、エッセイとして読むにはいいのかもしれない。
Posted by
- 1