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尖閣 1945 の商品レビュー

4.4

11件のお客様レビュー

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2025/01/23

『#尖閣1945』 ほぼ日書評 Day841 こういうのを本当の「ノンフィクション」と呼ぶべきなのだろう。 一昨年の刊行、あとがきにもある通り戦後78年を経て、当時を知る人も少なくなった中、よくこれだけのものをまとめられたと思う。 後から振り返れば、間も無く終戦というタイ...

『#尖閣1945』 ほぼ日書評 Day841 こういうのを本当の「ノンフィクション」と呼ぶべきなのだろう。 一昨年の刊行、あとがきにもある通り戦後78年を経て、当時を知る人も少なくなった中、よくこれだけのものをまとめられたと思う。 後から振り返れば、間も無く終戦というタイミングで、石垣から台湾への疎開を試みた「女子供」を中心とした一団が、途中で米軍機の攻撃を受け、「真水」があると言う情報だけに希望を託し、命からがら尖閣にたどり着く。 しかし、そこで待っていたのは、終わりのない飢餓。老人や子供、体力のないものから、次々にせっかく一度は救われた命を奪われていく様は、読んでいて心が痛くなる。 貴重な命が多数失われたが、それでも約半数を救うことができた、それに大きく貢献したいわばこのストーリーの主人公が、これまた信じられないほど几帳面に、その時の出来事のあらましを記録しておいてくれた。 本作を映画化するため、ふるさと納税のクラウドファンディングが立ち上がっている。 (右とか左とか、そういった事は全く無関係に)ぜひ1人でも多くの人にこの話を知ってもらうため、映画化に賛同いただける人が増えるとありがたいと思う。 https://amzn.to/4gbPfF5 クラファンはこちら https://www.facebook.com/share/18EtQFn4s8/?mibextid=WC7FNe

Posted byブクログ

2024/05/28

尖閣諸島の帰属問題は、日中間でかなりこじれているが、本書では日本固有の領土であるという主張の根拠、および中国が出している根拠についての矛盾点を、歴史家の研究結果を通じて淡々と記述している。 とかく領土問題となると熱くなりがちだが、あくまでも冷静に述べているのが、かえって好ましく感...

尖閣諸島の帰属問題は、日中間でかなりこじれているが、本書では日本固有の領土であるという主張の根拠、および中国が出している根拠についての矛盾点を、歴史家の研究結果を通じて淡々と記述している。 とかく領土問題となると熱くなりがちだが、あくまでも冷静に述べているのが、かえって好ましく感じた。(以前読んだ「尖閣諸島と日中外交」では、日本の歴史家でも、中国の領土だったという解釈をしている人の根拠も出されていた) 力によって解決するのではなく、歴史の深堀りで、外交的な解決をしていって欲しいものだ。 しかし、本書のメインは領土問題の話ではなく、尖閣諸島とは切ってもきれない関係の人たちが主人公だ。 江戸末期の1856年、現在の福岡県八女市の農家の三男坊として生まれた古賀辰四郎は冒険心と商魂に恵まれ、明治12年23歳の時(琉球藩から沖縄県とした琉球処分の直後)に那覇に渡り、海産物を扱う「古賀商店」を開業した。 彼は東シナ海の航路で貴重な目印となっている無人島の尖閣が、アホウドリの一大繁殖地となっていることに目をつけ、真水のある魚釣島に渡り羽毛や魚介類の採集のための「古賀村」を作るに至り、人口も最盛期で248人を数えたらしい。 彼の事業を受け継いだのは、長男の善次だった。父の死の翌年大正8年12月、福建省の漁船が難破して辿り着いた魚釣島の村民に助けられ、天候が回復してから、石垣島に移送、そこでも手厚い保護を受けた後帰国させ、当時清国を倒した中華民国から感謝状をもらっている。 その後アホウドリの減少に伴い、昭和になると、常駐ではなく定期訪問という形となっていった。 時は経ち沖縄戦、彼らがいた石垣島も毎日のように爆撃され、台湾に疎開することを決める。200人超が3隻の船に乗り込み(後にエンジントラブルで2隻への分乗となる)、米軍機の攻撃を避けるため尖閣方面に迂回する航路を取るが、敵機に見つかり機銃掃射を受けることになる。 多くの人が命を落とし船も破損するが、なんとか尖閣までたどり着き、文字通りのサバイバル生活が暫く続く。一方壊れた船の残骸などを集め、手作りの船をこしらえて自力で助けを呼ぶことにした。 結局石垣島に辿りつき、助けの船を出すのだが、この時には既に日本は降伏し戦争は終わっていた。 沈没する船から人々を救い出し、銃撃で壊れたエンジンを直し、魚釣島に人々を上陸させ、そして決死隊となって、ついに石垣島への助けを呼ぶことに成功した男――その金城珍吉が息子に伝えていたのは、「人のことはいくらでもしなさい」という素朴でシンプルな言葉にほかならなかったと言うことが心に響く。 それにしても人間の精神力の強さには驚かされる。 本書では、「尖閣戦時遭難事件」と言われるものに焦点をあてているが、一括りに”沖縄戦争”と言われると抽象的になり、共感が乏しくなりがちだが、このように目の前で起こっているような錯覚を覚えるドキュメンタリー仕立てでは、当時の人たちの心に触れているような気持ちになる。 しかし犠牲者の遺骨が仮埋葬のまま今もご遺族の訪問を待っているのに、なぜ日本は、自国の領土である尖閣への墓参を許可しないのか。 尖閣戦時遭難事件は、それだけで尖閣列島が「日本である」ことを示すものである。 古賀辰四郎が「真水」を開拓してこれを確保し、人が住めるようにし、多くの命を救った「業績」は、時がどれほど経とうと、忘れられていいものではない。 遺族にとって戦争はまだ終わっていないのだ。

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2024/05/23

第6章「尖閣はなぜ日本の領土なのか」において、中国の主張が、1969年の国連の尖閣を含む海域への学術調査の公表以降であり、同調査で、この地域に石油埋蔵の可能性が指摘されたことを受けたものであることによる旨が明らかにされている。 ただし、本書は、この問題を論じたものではない。194...

第6章「尖閣はなぜ日本の領土なのか」において、中国の主張が、1969年の国連の尖閣を含む海域への学術調査の公表以降であり、同調査で、この地域に石油埋蔵の可能性が指摘されたことを受けたものであることによる旨が明らかにされている。 ただし、本書は、この問題を論じたものではない。1945年7月から8月にかけて起こった、石垣島民の台湾への疎開船が、米軍の機銃掃射で遭難し、生き残ったもの達が魚釣島に漂着、奇跡的に救出されるまでの、戦争の悲劇と当事者の生き残りを賭けた勇気あわれる営みを描いた、緊張感溢れるルポルタージュである。ここで、第6章の記述が、違和感を感じさせるほどの現実を、読者である私たちに提示する。[尖閣の中心である魚釣島において、日本人の営みを描くことで、日本国であることを強調しようとしたのか?]

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2024/03/16

中国が領有権を主張するずっと前から石垣島民と尖閣諸島の深い関係。戦時中台湾に疎開しようとした船が尖閣諸島に漂着した歴史秘話を描いたノンフィクション。

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2024/02/04

この本は尖閣列島が日本の領土である証拠とその尖閣を巡る当時の様々な人々の生き様、死に様を事実として書き記したものである。 金城珍吉を始めとする男達の想いや執念は現代人に失われてたものを思い起こさせてくれた。 また、彼らが命懸けで作った歴史は生きている我々にとてつもない勇気をもたら...

この本は尖閣列島が日本の領土である証拠とその尖閣を巡る当時の様々な人々の生き様、死に様を事実として書き記したものである。 金城珍吉を始めとする男達の想いや執念は現代人に失われてたものを思い起こさせてくれた。 また、彼らが命懸けで作った歴史は生きている我々にとてつもない勇気をもたらしたのではないか。

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2023/12/31

久しぶりに門田氏の真骨頂ノンフィクションを堪能できた。中国との関係云々は抜きにしても、尖閣にまつわる歴史的事象を全く知らなかったので、とてもとても興味深く拝読させていただいた。太平洋戦争関連の史実で沖縄戦は詳しくてもこの内容を知らない読者は多いと思うので、門田氏を狂信的右翼と思っ...

久しぶりに門田氏の真骨頂ノンフィクションを堪能できた。中国との関係云々は抜きにしても、尖閣にまつわる歴史的事象を全く知らなかったので、とてもとても興味深く拝読させていただいた。太平洋戦争関連の史実で沖縄戦は詳しくてもこの内容を知らない読者は多いと思うので、門田氏を狂信的右翼と思っている方にも是非読んでもらいたい。

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2023/12/29

▶︎これだけの証拠があっても中国の「核心的利益」論を説き伏せることができない日本の外交政策ってなんなんでしょう?

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2023/12/27

戦争の酷さ、表に出ていないところでこのような悲劇がある事を改めて認識したとともに、その中で懸命に生き抜く為に決死の覚悟で動いた英雄がいることを。 そして、尖閣についての歴史をこのドキュンメントを通して知ることができた。 尖閣の危機を他人事に見ることなく、日本国民として、先人が命を...

戦争の酷さ、表に出ていないところでこのような悲劇がある事を改めて認識したとともに、その中で懸命に生き抜く為に決死の覚悟で動いた英雄がいることを。 そして、尖閣についての歴史をこのドキュンメントを通して知ることができた。 尖閣の危機を他人事に見ることなく、日本国民として、先人が命をかけて守ったこの土地を守ることが必要だ。 こういった文献で後世に伝える形を作る門田隆将さんの功績は大きい。

Posted byブクログ

2023/12/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 今もなお、尖閣諸島周辺の日本領海に中国海警局の船舶が侵入し続けている。(2023.12.18現在、2023年に入り42日)  中国によるこの領海侵犯の状況に何らの排除行為も取らない自公政権がいる。  許すまじ、覇権主義中国共産党、習近平、親中自公政権。 「魚を捕るのではないから許可は出ません、などと言われて「はあ、そうですか」と、引き下がれるはずがなかった。  そもそも日本人が「日本の領土」に上陸できないなどと誰が決めたのか。髙吉は「ふざけるな」という思いだったのである。」(245頁)  という状態は今も続いているのだ。 「「ひとのことはいくらでもしなさい」  珍吉は息子にそう教えていたというのである。私はそれを聞いて、凄まじい珍吉の行動の数々の光景を思い浮かべた。  沈没する船から人々を救い出し、銃撃で壊れたエンジンを直し、魚釣島に人々を上陸させ、そして決死隊となって、ついに石垣島への助けを呼ぶことに成功した男――その金城新吉が息子に伝えていたのは、「人のことはいくらでもしなさい」という素朴でシンプルな言葉にほかならなかった。」(271頁) 「尖閣戦時遭難事件は、それだけで尖閣列島が「日本である」ことを示すものである。  古賀辰四郎が「真水」を開拓してこれを確保し、人が住めるようにした「業績」は、時がどれほど経とうと、忘れられていいものではない。  本書に記したとおり、古賀辰四郎のその「真水」によって、多くの命が救われた。そのことを日本のジャーナリズムが描かなければ、尖閣に食指を動かす側の思いどおりにされてしまうことを私は思った。  本書でお届けしたのは、中国側がひと言も触れることができない、言い換えれば、絶対に触れてはならない決定的な「歴史の真実」にほかならない。  本書をもとに、尖閣の真の歴史を知って欲しいと切に願う。そこで頑張った先人たちの姿に、どうか思いを馳せていただければ、と思う。」(291頁 エピローグより)   (作品紹介から) 「命」を救ったのは「真水」をたたえた日本の領土だった――。 知られざる「尖閣戦時遭難事件」の史実が“中国の噓”にトドメを刺す  事件から「78年」という気の遠くなるような歳月の末に緻密な取材で浮かび上がった苦悩と感動の物語。  なぜ「尖閣列島」は日本の領土なのか。そのことを示す、ある遭難事件。中国はなぜこの事件に触れられないのか。すべてが今、明かされる。  1945(昭和20)年6月末、石垣島から台湾に向かって最後の疎開船が出た。沖縄本島で日本軍が米軍に敗北し、八重山への米軍の侵攻を恐れてのことである。  だが、200人余の疎開者を乗せた2隻の船は東シナ海で米軍機の攻撃を受け、1隻は沈没、1隻は奇跡的に魚釣島に辿りつく。「あそこに行けば真水がある」との疎開者の進言があったからだ。  明治時代に“無主の地”魚釣島で真水を開拓した実業家・古賀辰四郎。それに伴い国際法に則って日本の領土に編入した明治政府。疎開者たちの多くの「命」を救うことになる真水をたたえた魚釣島は、同時に食べる物がない飢餓の島だった――。  餓死者続出の中、石垣島に助けを呼ぶため若者たちによって「決死隊」がつくられた。疎開者たちは夜を日に継いでサバニ(小舟)を完成させ、決死隊を送り出す。決死隊の若者の額には「赤い鉢巻」が締められていた。その鉢巻の意味と、そこに込められた疎開者たちの思いとは……。  奇跡がいくつも重なり合ったこの遭難事件と救出劇が、なぜ尖閣の日本領有を示すものになるのか。哀しく、悲惨で、目を背けたくなる出来事は、同時に、どんな逆境でも信念と矜持を失わなかった日本人の「希望の物語」でもあった。  なぜ尖閣は日本の領土なのか。尖閣と無縁な中国が、なぜ、かくも理不尽な主張をくり返しているのか。  「本書を読み終わった時、その答えを知ると同時に、人間とは“極限”に追い込まれても、使命感と不屈の精神さえあれば、とてつもない底力を発揮することを知っていただければ嬉しい。そして、毅然と生きることが、日本人にとっていかに大切か、是非、思い出してほしいと願う」(「はじめに」より)

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2023/12/17

戦前、魚釣島には鰹節工場があり、そこで働く人々が暮らしていたことは知っていたけれど、戦時中の石垣島住民の台湾疎開、その最終の疎開船に乗る人々に起こった「尖閣戦時遭難事件」の事は全く知らなかった。沖縄以外ではまったく、沖縄ですら知っている人がほとんどいなくなっているらしい。生死をか...

戦前、魚釣島には鰹節工場があり、そこで働く人々が暮らしていたことは知っていたけれど、戦時中の石垣島住民の台湾疎開、その最終の疎開船に乗る人々に起こった「尖閣戦時遭難事件」の事は全く知らなかった。沖縄以外ではまったく、沖縄ですら知っている人がほとんどいなくなっているらしい。生死をかけた壮絶な出来事、内容は本著を読んでもらいたいが、この時に亡くなった方のご遺骨がいまだに魚釣島に残されているのに、引き取ることも、手を合わせに行くことすら出来ないなんて。尖閣は日本固有の領土なのに。

Posted byブクログ