グレイの森 の商品レビュー
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読み終わった後にこの作者の方の経歴を見て「なるほど…」と納得してしまうくらいに生々しい物語だった。 この方は現役で働いていた頃にもしかしたらこういう事件に関わったことがあるのか、関わっていなかったとしても考えさせられる日々の連続だったのか… そう思わざるを得ないほど、子育てで悩み劣等感の塊の母親と父親の無関心さ、「普通」が何よりも大切なこの日本という国の生きづらさ、そこから犯罪が起き、そして世間の無責任な罵倒、この描き方がリアルだった。 被害者側、加害者側、どちらの立場になってもしんどい。 今回の事件は、母親の子供の頃からの劣等感や学生時代のカーストと父親の世間体などお互い共通する事柄が多くて、それがやっと終盤に少しだけ分かり合えたのだけれど、そのきっかけがこんな大変な事件を経てというのは本当に不幸だったとしか言えない。 事件を起こした張本人だけは何も変わることなく、いまだに自分を正当化し続けている所にはただただ憤りを感じるだけだったが、そこはリアルさも感じた。 私は子育て未経験なので、私も「わからない側」なのだけれど、この作品を読んでいたら結婚や出産、子育ては果たして女性にとって幸せなことなのか分からなくなった。 藍と潤の関係性が一番幸せなのでは… 人は“グレイ”な生き方の方が幸せなのだろうなと思わされた作品だった。
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グレイの森 水野梓さん 臨床心理士。 全てが繋がった。 怖いなぁー。 自分がその立場になったら、 どうなっちゃうんだろう。 怖いなぁー。
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恐ろしくなった。 わたしも… 7人の子を殺した殺人者の母、聡美と、 自分の子を叩くことをやめられない被害者の母、塔子とそう変わらないのだと思う。 "正しい"と思う事柄に子どもを当てはめて、 それが子どもにとって良いことなのだと信じ込み、子どもをあるがまま受け入...
恐ろしくなった。 わたしも… 7人の子を殺した殺人者の母、聡美と、 自分の子を叩くことをやめられない被害者の母、塔子とそう変わらないのだと思う。 "正しい"と思う事柄に子どもを当てはめて、 それが子どもにとって良いことなのだと信じ込み、子どもをあるがまま受け入れられない。 だけどグレーでいいんだと、自分と子どもとの関わりをもう一度考えさせてくれた一冊。 "正解のない世界を生きる勇気" 今のわたしに必要なメッセージを届けてくれた本でした。 作者の方に感謝です。ありがとうございます。
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後悔しない人生なんてあるのだろうか。あの時こうしていればと思うことは誰だってある。特に親側からみたら子育てについてはいつも正解を模索している。小さな頃の世界は母親の存在がかなりの部分を占めていて、親の考える愛情を受け止めるのに子供たちは必死だ。親にすべての責任があると思わないけれ...
後悔しない人生なんてあるのだろうか。あの時こうしていればと思うことは誰だってある。特に親側からみたら子育てについてはいつも正解を模索している。小さな頃の世界は母親の存在がかなりの部分を占めていて、親の考える愛情を受け止めるのに子供たちは必死だ。親にすべての責任があると思わないけれど、「教育」が絡んだ子育ては子供の心を歪ませるのには十分な要素だと思った。「この国はいつまで女性を同じ場所に留めておくのだろう」という言葉が心に残った。
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殺人事件関係者の心と向き合う臨床心理士の話。ミステリ風味。内容が重いせいか結末に物足りなさは感じる。善悪観ははっきりしており、グレーを許容するものではないのが私には残念。
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人と人を隔てる深く険しい谷を越えられるものがあるとしたら、ただ一つ、想像力ではないか。 想像の翼を広げることで、人はいつか、互いを隔てる深い溝を越えることができるかもしれない。
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臨床心理士の藍の抱えている兄の死のトラウマとボランティアでかかわっている事で頼まれた小学生の引きこもり、に加えて偶然知りあった小学校の生徒7人殺人事件の犯人の母親。一人にこれだけ都合よく重なるかなど都合の良い登場人物は多いけれど、内容は真摯に考えさせられる。白黒ではなくグレーの価値、正義には正しさだけでなく優しさが必要など、心に響く。 同居する同僚の潤、人間として理想すぎる。
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臨床心理士の藍は、ボランティアで知り合った小学校教諭に頼まれ、不登校の女子の家庭教師を引き受ける。通ううちに少しずつ心を開くようになった少女だが、その心には深い闇が横たわっていた……。 人の心の問題に立ち入る臨床心理士を主人公とした、社会派の水野さんらしい作品だ。 幼児期から有名...
臨床心理士の藍は、ボランティアで知り合った小学校教諭に頼まれ、不登校の女子の家庭教師を引き受ける。通ううちに少しずつ心を開くようになった少女だが、その心には深い闇が横たわっていた……。 人の心の問題に立ち入る臨床心理士を主人公とした、社会派の水野さんらしい作品だ。 幼児期から有名校に入学するための対策をしなければならない“お受験”問題、凶悪事件の加害者と被害者、それぞれの家族などが描かれていく。 主人公は経験値が低く力不足なのは明らかだが、それ故の気付きもありよかった。ただ、偶然が多すぎて白けた気分になったのは否めない。
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ミステリーではないんだろうけど 凶悪事件の 被害者と加害者のそれぞれの身内が たまたま同じタイミングで ひとりの臨床心理士と関わり合い また、名前まで知っていながら お互いの関係について深く考えないなんて… 書きたいことと 参考にしたことが分離したまま 物語としてちゃんと融合して...
ミステリーではないんだろうけど 凶悪事件の 被害者と加害者のそれぞれの身内が たまたま同じタイミングで ひとりの臨床心理士と関わり合い また、名前まで知っていながら お互いの関係について深く考えないなんて… 書きたいことと 参考にしたことが分離したまま 物語としてちゃんと融合していないから 臨床心理の本を読まされているようで 当事者たちの 憎悪や苦悩や葛藤が届いてこなかった。
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既視感のある忙しい文章さばきだな、と思って読み終わったら、前にも読んだことのある作家さんだった。どうやら、この作家さんが描く題材が、自分の気になるものと近いようで、気づけば読んでいるらしい。 テーマに興味を惹かれて期待して読むのだけれど、今回もうーん…となった。題材は面白そうなん...
既視感のある忙しい文章さばきだな、と思って読み終わったら、前にも読んだことのある作家さんだった。どうやら、この作家さんが描く題材が、自分の気になるものと近いようで、気づけば読んでいるらしい。 テーマに興味を惹かれて期待して読むのだけれど、今回もうーん…となった。題材は面白そうなんだけどなぁ。 なぜか読んでいるとイライラしてしまう。どういう心理でそうなるのか考えてみるけれどそれも今ひとつわからず、結局、自分が大人気ないだけな気がしてくる。 思い切って、ノンフィクションにしてみたらいいのに…と思ったりもする。 紹介されている音楽や絵画を調べて、鑑賞するのは楽しかった。
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