グレイの森 の商品レビュー
デビュー作から追い続けている水野作品。 今回はズッシリと重く、読み進めるのに苦労した。 冒頭でいきなり描かれるのは校庭で繰り広げられる無差別殺人。 七人の子どもが犠牲になり犯人は間もなく逮捕。 加害者の母親と被害者家族の言葉から浮き彫りになって来るのは現代社会が抱える学歴至上...
デビュー作から追い続けている水野作品。 今回はズッシリと重く、読み進めるのに苦労した。 冒頭でいきなり描かれるのは校庭で繰り広げられる無差別殺人。 七人の子どもが犠牲になり犯人は間もなく逮捕。 加害者の母親と被害者家族の言葉から浮き彫りになって来るのは現代社会が抱える学歴至上主義。 それにしても、こういう事件で度々感じるのは父親不在と無関心、無責任さ。 臨床心理士・藍の目を通して見る其々の家庭に潜む闇にやりきれなさを感じる。 子どもの心を育てるのも壊すのも親次第。 子が生まれた瞬間の喜びを忘れずにいて欲しいと願うばかり。
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読み進めるのが辛い話だったけど、相談者に真摯に寄り添う臨床心理士 藍の姿勢に好感が持て、とても読み応えがあった。 加害者を産み育てた母親の苦悩、悔恨、悲しみ‥心の叫びが綴られた聡美の日記に、同じ母親として胸が痛んだ。 白黒つけず、簡単に答えも出ないグレーのまま。そこに救いを感じる...
読み進めるのが辛い話だったけど、相談者に真摯に寄り添う臨床心理士 藍の姿勢に好感が持て、とても読み応えがあった。 加害者を産み育てた母親の苦悩、悔恨、悲しみ‥心の叫びが綴られた聡美の日記に、同じ母親として胸が痛んだ。 白黒つけず、簡単に答えも出ないグレーのまま。そこに救いを感じる読後感。
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正直、途中までなかなか進まなかったが! 途中から一気に読んでしまう。 本当にあった事件と重ねこころが震える
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
頭では理解できても心が理解を拒む。理解することを恐れる気持ち。それでもそんな「化け物」と呼ばれる犯人を産み育てたのはまぎれもなく一人の母親であることにどこか惹かれる自分もいる。 なぜ、という問い。答えの見えない問い。 その問いの両側にいる犯人の母親と被害者の母親の、その苦しみと恐怖と後悔、そしてぬぐえぬ愛を目をそらさずに受け取った。 これは「母親」の物語でもあったが、この物語が母親の物語である、というその事実をこそ、世の父親たちはしかと受け止めるべきなのかもしれない。 人の心、という眼には見えないものを扱うこと、「完治」のない治療を続けること、真っ暗な心の奥深くにともに沈み込みただただそばにいる、という信号を送り続けること、いまここにいるあなたとわたしの間に起こっていることを目をそらさずに見続けること。すべてがとても苦しく辛い時間で、自分の「健康な部分」を切り売りしながら続けていくような仕事だ、臨床心理士というものは。藍もきっとそうだったのだろう。潤がそばにいてくれてよかった、と心から思う。藍にとって潤が一種のスーパーバイザーだったのかもしれない。
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