アボカドの種 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
かわいいと感じるうたが多かったです。 一方で、世の中の空気は重たいです。戦争、流行病、ご自身の病気や親御さんの老化……。そんな中での息子さんの成長は希望ですね。 2024/10/14 p.9-65 p.13 “ウクライナ今日は曇りというように戦況を聞く” このことばから、最近書かれたうたなのだとわかったしまいました。それがとても悲しいです。 奥付は2023年。わたしの予想はおおよそ当たっていました。 p.17 “手間ひまをかけて生きれば甘くなることもあるよと笑う干し柿” このうた、すきです。 わたしの人生も甘くなぁれ。と言いつつ、もう十分甘いのですけれどね。周りの優しさによって。 p.20 “息子十九” もうそんな歳なのですか! リアルタイムではないものの、赤子の頃のうたを読んだことがあるので、驚いてしまいます……。 p.25 “関係を分類できず見上げれば名前を持たぬ星がまたたく” すべての関係性に名前をつける必要なんてないと思います。 とても仲が良い友人がいますけれど、親友ほどではないと思ってしまい、なんとも名付け難い関係だと感じています。友人以上親友未満? だからといって、その人が大切ではないってわけではないです。好きだから、よく遊ぶし、信頼しているし。……ただ、向こうがどのくらいの気持ちなのかわかっていないだけです。なんだかんだ、重要なことはあまり話していないです。 p.26 “人生は油断ならない 還暦の木箱に小さな恋のブローチ” かわいい表現。 新しい出逢いがあったのですね。すてきです。 p.32 “二人がけの席に二人で座るときどんな二人に見えるのだろう” 恋していますねえ。かわいいです。 きっとお似合いですよ。と、知りもしないのに言いたくなってしまいます。余計なお世話ですけれど。 p.34 “はちみつのような言葉を注がれて深夜わましは幸せな壺” わぁ……! かわいい。 その壺が満たされますように。 p.50 “ イーロン・マスク氏、ツイッターをXに。 言の葉をついと咥えて飛んでゆく小さき青き鳥を忘れず このままでいいのに異論は届かないマスクの下に唇を噛む ” イーロン・マスク氏だから「異論」と「マスク」ってことなのですね。なるほど。 個人的にはTwitter時代に卒業してしまったのですけれど、Twitterではなくなった場所は、随分変わってしまったそうですね。特にネット上では永遠なんてないだろうと思いつつも、こんなにも変わってしまうとは……。 彼は何をしたいのでしょう。大きなオモチャで遊んでいるかのように見えてしまいます。 p.54 “ドラマに夢中になりすぎた私は、放送期間中、もしここで登場人物が短歌を詠んだら……という妄想をツイッターに投稿し続けた。頼まれもしないのに。” 短歌がお好きなのだと強く伝わってきます。 創作をする人たちって、原点はここですよね。溢れ出てくる熱意を形にすること。 この短歌のツイートとドラマを同時に楽しむことができた人たちが羨ましいです。 p.58 “大切な友と友が結ばれて嬉しくて泣く、寂しくて泣く” ……こんな未来が来るかもしれなかったのですけれど、来ませんでした。わたしにとって、それは、良かったのかもしれません。 彼らはそれぞれ、いま、しあわせになっています。多分。 2024/10/19 p.69-151 p.70 “ノンアルのビールを置かぬ売店” 病院の売店だと品揃えが違うのでしょうね。アルコールは売っていないのでしょうか……? p.73 “積み上げた本の背表紙確認しそっと引き抜くジェンガのように” 本好きあるあるですね。 p.74 “「点滴の針は抜いちょきましょうね」と優しく針を抜かれちょる午後” 噛んじゃったのですね。かわいい。 p.94 “「しい」の付く言葉並べる森の午後 雄々しい悔しいイノシシ美味しい” リズム感が良いうた。音読したくなります。 p.102 “手紙書く彼の時間を思いおり84円切手の歌に” もう84円で送れないのだなぁ……と別の切なさを感じます。 p.105 “辛かった過去の記憶を薔薇として三十一文字の花瓶に活ける” 美しいうた……。辛さが和らぎますように……。 p.133 “切り札のように出される死のカード 私も一枚持っているけど” 自分の親へ、ことばにできなかったモヤモヤの正体はこれだったかもしれません。あなたは死を考え始めているのかもしれないですけれど、わたしは人生のほとんど、死が選択肢にあるぞ……と。 p.146 “人生は長いひとつの連作であとがきはまだ書かないでおく” 人生のあとがきって書けるのでしょうか。あの世で考えるのでしょうか。
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ほぼ俵さんと同年代で、自分自身ライフステージが移り変わる中で感じる体と気持ちの変化を、今回の歌集でも感じた。 俵さんが作られたものに限らず、短歌や俳句って「ことば」の奥深さや美しさにあらためて気づかされてくれる。
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図書館にて。どれもクスッと笑える作品だった。中でも受験生の母親目線の作品が、笑える中にも少し切なさがあって好き。
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図書館のレコメンドから。有名歌人の歌集。歌集を買うことはもちろん,読むこともほとんどない。読み進めると,何となく時間の流れがあり,詠む人の状況や立場,背景が分かってくると映像として浮かび上がってくる。その映像は詠む人が見ているものと同一ではないはずで,読み手の知識や経験によって作...
図書館のレコメンドから。有名歌人の歌集。歌集を買うことはもちろん,読むこともほとんどない。読み進めると,何となく時間の流れがあり,詠む人の状況や立場,背景が分かってくると映像として浮かび上がってくる。その映像は詠む人が見ているものと同一ではないはずで,読み手の知識や経験によって作られるわけだ。余白が多い分,詠み手と読み手(おー,どっちも「よみて」という音)の想像力が必要であり,想像力の妙なのかもしれない。報道でもあったマルハラに対する歌「優しさにひとつ気がつく ×でなく〇で必ず終わる日本語」が入っていた。
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配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。 https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=10279461
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2020年夏から足かけ4年の作品、375首を選んだ俵万智さんの第七歌集。 息子と過ごした宮崎でのこと、親が住む仙台でのこと、入院、コロナ禍、息子の受験時のことなどが詠まれていた。 『サラダ記念日』、『チョコレート革命』とは、ガラリと雰囲気が変わっていた。俵さんが歳を重ねて息子...
2020年夏から足かけ4年の作品、375首を選んだ俵万智さんの第七歌集。 息子と過ごした宮崎でのこと、親が住む仙台でのこと、入院、コロナ禍、息子の受験時のことなどが詠まれていた。 『サラダ記念日』、『チョコレート革命』とは、ガラリと雰囲気が変わっていた。俵さんが歳を重ねて息子が手を離れ、病気を経験し、親の心配をするようになったからだろうか。比較的落ち着いた感じだったが、ハッとさせられる歌もあった。 人生の予習復習 親といて子といて順に色づく紅葉(もみじ) 心には管制官がいないから着陸の場所自分で探す 会話って会って話すと書くんだなあ七ヶ月ぶりに友と会話す 傘寿過ぎて人は変われる「ごめん」から「ありがとう」になる母の口ぐせ 三十一文字で、これだけの思いを表せるのだから、たくさん話したらもっと思いが伝わるかというと、そうでもないことがあるのは、不思議なことだなと思った。 最後に私のお気に入り3首 ファイトよりちよっと可愛いファイティンが気に入ってる今日もファイティン! 優しさに一つ気がつく ✕ではなく○で必ず終わる日本語 つかうほど増えていくもの かけるほど子が育つもの 答えは言葉
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初めて俵万智さんのうたに出会ったのは小学生の国語の教科書。実家には「チョコレート革命」があるのでその頃のイメージで読んだら…。 自分が結婚し、子育てしているのだから当たり前なのだけれど、歌を通して「時が経ったんだな」と改めて感じた。 まだまだ我が子は小さいけれど、この先また手に...
初めて俵万智さんのうたに出会ったのは小学生の国語の教科書。実家には「チョコレート革命」があるのでその頃のイメージで読んだら…。 自分が結婚し、子育てしているのだから当たり前なのだけれど、歌を通して「時が経ったんだな」と改めて感じた。 まだまだ我が子は小さいけれど、この先また手にとった時、もっともっと色んなことが感じられるようになっているのではないかと思う歌集だった。
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全375首、琴線に触れた歌を並べてみた。 ・人間かどうか機械に試されて人間として答えつづける ・かすみ目の不眠の鬱の母親が今日の私の不調を見抜く ・人生の予習復習 親といて子といて順に色づく紅葉(もみじ) ・手間ひまをかけて生きれば甘くなることもあるよと笑う干し柿 ・渋いことあ...
全375首、琴線に触れた歌を並べてみた。 ・人間かどうか機械に試されて人間として答えつづける ・かすみ目の不眠の鬱の母親が今日の私の不調を見抜く ・人生の予習復習 親といて子といて順に色づく紅葉(もみじ) ・手間ひまをかけて生きれば甘くなることもあるよと笑う干し柿 ・渋いことあったら私も試そうか皮をむいたり茹でて干したり ・むっちゃ夢中とことん得意どこまでも努力できればプロフェッショナル 〜イーロンマスク氏ツイッターをXに〜 ・言の葉をついと咥えて飛んでゆく小さき青き鳥を忘れず ・このままでいいのに異論は届かないマスクの下に唇を噛む ・10センチ以上は開かない7階の窓にも届く梅雨晴れの風 〜東京オリンピック2020〜 ・新型も陽性(ポジティブ)も悪い意味なり令和二年の春の地球儀 ・宇宙から地球を見れば人類は集まることが好きな生き物 ・コーヒーをインスタントに変えぬこと母の矜持の香る食卓 ・愚痴、不満、悲観、諦念、母からのマイナスイオンたっぷり浴びる
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「サラダ記念日」から36年。 20代の瑞々しさとは趣の違う短歌がずらり。 40歳で生んだ子が20歳となった還暦の朝の歌 病気や闘病の歌 両親の介護の歌 コロナ時の東京オリンピックの歌 心に残った短歌を少し。 「色づいてはじめて気づく木のようにいつも静かにそこにいる人」 赤、黄色...
「サラダ記念日」から36年。 20代の瑞々しさとは趣の違う短歌がずらり。 40歳で生んだ子が20歳となった還暦の朝の歌 病気や闘病の歌 両親の介護の歌 コロナ時の東京オリンピックの歌 心に残った短歌を少し。 「色づいてはじめて気づく木のようにいつも静かにそこにいる人」 赤、黄色、オレンジ。 どんな色なのでしょう。 きっと、いえ、絶対に大切な人。 「シャルドネの味を教えてくれたひと今も私はシャルドネが好き」 心の中を覗かれたような一句! 「会話って会って話すと書くんだなあ七か月ぶりに友と会話す」 コロナの時の… あれやこれやが蘇ります。 「つかうほど増えてゆくもの かけるほど子が育つもの 答えは言葉」 一番好きな歌! 万智さんの還暦を取材した「プロフェッショナル 仕事の流儀」(NHK) 私は観ていませんが、番組のサブタイトルが「平凡な日常は、油断ならない」だったとか。 このサブタイトル、素敵です。 平凡な毎日を大切に。 そんな気持ちにさせてくれる歌集でした。
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あっけらかんとしていて、世の中を楽しむことにてらいがなくて、やっぱりすごい方だなーと思った。自分とタイプの違う生活スタイルだけど、おもしろく読めた。
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