小山さんノート の商品レビュー
うまく感想をまとめられずに何度も途中まで書いては消し、また書いては消すことを繰り返した。それは人間がいかに多層的な感情と思考と計算を持っているかが伝わり、一概に例えば○とは割りきれず、かといって△とか✕でもなくそれらがその時々で多様な重なりあいをした組み合わせを見せるからこそ人は...
うまく感想をまとめられずに何度も途中まで書いては消し、また書いては消すことを繰り返した。それは人間がいかに多層的な感情と思考と計算を持っているかが伝わり、一概に例えば○とは割りきれず、かといって△とか✕でもなくそれらがその時々で多様な重なりあいをした組み合わせを見せるからこそ人は悩んだり笑ったり泣いたりと対外的に見せる姿が変わるが、それらの全てが1人の人間の中で常に変化している事を表している証拠なんだろうな、と今は思っている
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テント村でA6サイズのノート80冊を残して亡くなった小山さん。書かれた内容を文字起こししたらA43段組659ページ。広く読まれるようワークショップに関わった方々に感服します。小山さんの克明な記録は生きるために必要なことの優先順位や傷つけられてはいけない守るもの、日常的に継続的に頭...
テント村でA6サイズのノート80冊を残して亡くなった小山さん。書かれた内容を文字起こししたらA43段組659ページ。広く読まれるようワークショップに関わった方々に感服します。小山さんの克明な記録は生きるために必要なことの優先順位や傷つけられてはいけない守るもの、日常的に継続的に頭や体を働かすための何かがよく見えるようでした。
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2024年3月 すごい本に出会ってしまった。 苦しい生活の中でノートに書くこと読むことで自分自身をなんとか保ってきた小山さん。 その日あったことや空想をノートに書きつける。 小山さんはおそらくわたしの父親と同世代で、当時の女性は一人で生きるのが今とは比べものにならないくらい大変だ...
2024年3月 すごい本に出会ってしまった。 苦しい生活の中でノートに書くこと読むことで自分自身をなんとか保ってきた小山さん。 その日あったことや空想をノートに書きつける。 小山さんはおそらくわたしの父親と同世代で、当時の女性は一人で生きるのが今とは比べものにならないくらい大変だっただろう。でも小山さんは自由に生きた。 手書きのノートを活字に起こしてくれたワークショップの方たちに感謝。
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日記部分はまだ途中まで(テントを出て、ひとり暮らしをはじめたとこまで)。 生きることが、ただ食べて寝る以上のものであることを突きつけてくる。残された日記を処分せず、深い気づきとともに、出版物へと昇華してくれたワークショップのみなさんに感謝。 p.43 読む、書くことで意識よみ...
日記部分はまだ途中まで(テントを出て、ひとり暮らしをはじめたとこまで)。 生きることが、ただ食べて寝る以上のものであることを突きつけてくる。残された日記を処分せず、深い気づきとともに、出版物へと昇華してくれたワークショップのみなさんに感謝。 p.43 読む、書くことで意識よみがえり、心の調和が保てる。これをお金のないため理解されず、止められたら、生きていても何の価値もない。
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●感想 途中から、自分の中での葛藤があった。小山さんの行動がわからないこと(理解できない)ことが多かった。だんだんと読む気力がなくなっていった。 ・なぜ職につかないのか ・なぜDVから逃げないのか ・なぜお金がないのにタバコを買うのか 考えてみると、それは他者についての自分の想像...
●感想 途中から、自分の中での葛藤があった。小山さんの行動がわからないこと(理解できない)ことが多かった。だんだんと読む気力がなくなっていった。 ・なぜ職につかないのか ・なぜDVから逃げないのか ・なぜお金がないのにタバコを買うのか 考えてみると、それは他者についての自分の想像力の乏しさをあらわしているんじゃないか?という気持ちになった。 ・路上生活者、生活保護自給者への偏見がある? ・女性という立場、元々置かれている弱い立場ゆえのつらさもわかっていない? DV被害者の逃げられなさや、路上生活者が持つ公への不信感、経済的に自立した個人を大前提とした資本主義社会でうまくやっていけている(と思っている)私たちには想像がつかないさまざまな葛藤がこの日記には込められているのではないか。そうした当事者の日常を少しでも追体験できたのは、小山さんがもつ文学的素養と書き続け、社会へ開元しようという意思、そして、それに共感したこの本の元になったWS参加者のおかげだろう。 ただこの本を読んで、よくわからない、おもしろくない、感情移入できない、となってしまうのは、自分の中にこうした生き方を否定する認知バイアスがあることを認識すること。まずこうした人たちを理解することから、だれもが生きやすい社会ってなんだろうって考えることからはじめたいと思った。 以下メモ ●豊かな想像力 森の木切りに対して淋しさを感じる 野宿し、自然と共に暮らしているからかも。そういった感覚は都会に暮らしていると失われがちであるが、都会に野宿するだけでも、そういった想像力は取り戻せるのかも。 共の人が喫茶店に行くといったときの嬉しさ ひとりでいることを好んでいるのは間違いないが、その時間を共有できることに喜びを感じられる人であった。小山さんはいろんな人に囲まれて生きていて、もちろん苦しいこともあるのだが、喜びももちろん感じていた。 ボルヴィックの水 この高原の写真を切り取って持ち歩いている。ラベルですら、美しさを感じられる。 後半になると身体の不調からか、想像の世界が拡張する イマジナリーフレンド、イマジナリーワールドが広がる。小山さん自身の文学的な素養もあったからかもしれない。 国と結び付けられた喫茶店 世界に出なくても、世界を感じられる。旅行に行くような気持ちで楽しむことができるのではないか。 ●日常のささやかなことに敏感 - 100円拾った、シケモク拾ったなど - 梅雨、雨、そういった影響をもろに受ける生活 - 社会にフィットしなかった - “図書館はげんしゅくすぎて、かたく息苦しい” - 小山さんにとって、図書館のような空間、そして、社会は過ごしにくかったんだろう - 現代社会 - 動画配信のホームレスもいる - もう少し生きやすかったかもしれない - とは言いつつ、再開発が次々行われホームレスの人たちは排斥され続けている
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朝日新聞2024120掲載 評者:山内マリコ(小説家、エッセイスト@wiki) 東洋経済2024224 評者:牟田都子(作家、校正者) エコノミスト2024213 評者:後藤康雄(成城大学社会イノベーション学部教授、応用計量経済学、産業組織、他)
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2023年刊。ホームレスの女性自らが書き続けた日記から抜粋して活字化したもの。恐らくは書いた本人の事実認識ばかりなので、綺麗ごとはない。夢や希望の語りがない訳では無いが、瞬時に竦む。圧倒的に、金欠と精神的な圧、体調不良、悪い意味でのその手の男性からの身体的・精神的暴力の継続。日記...
2023年刊。ホームレスの女性自らが書き続けた日記から抜粋して活字化したもの。恐らくは書いた本人の事実認識ばかりなので、綺麗ごとはない。夢や希望の語りがない訳では無いが、瞬時に竦む。圧倒的に、金欠と精神的な圧、体調不良、悪い意味でのその手の男性からの身体的・精神的暴力の継続。日記は主に喫茶店で書かれるが、その喫茶店に行けない苦悩…。それらが延々と書かれている。 感情移入出来ますか? 読んで楽しいですか? 何か行動を起こそうと決心出来ますか? 手書きの日記を活字化したのは興味深いが、書籍への個人的な読書評価として2以上を付けるという選択は無い。
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