本心 の商品レビュー
近未来にしては格差がなくなっていない。 格差は広がり、障害者は億劫になる。 読んでいて少ししんどいものがあった。
Posted by
最新技術を使い生前そっくりの母を再生させた息子は、“自由死“を望んだ母の、“本心“を探ろうとする。最愛の人を失った喪失感をAIで蘇った母との対話で埋めようとする主人公の苦悩や葛藤が胸に突き刺さる。 急速にテクノロジーが進んだ少し先の未来。 AIやメタバースが当たり前となった世界...
最新技術を使い生前そっくりの母を再生させた息子は、“自由死“を望んだ母の、“本心“を探ろうとする。最愛の人を失った喪失感をAIで蘇った母との対話で埋めようとする主人公の苦悩や葛藤が胸に突き刺さる。 急速にテクノロジーが進んだ少し先の未来。 AIやメタバースが当たり前となった世界は、さらに経済格差や分断が進み複雑化している。自分の死の時期を自ら決めることが合法化された社会。この小説で描かれている世界は、今自分が生きている現実や抱えている漠然とした不安感と地続きだった。 とても深く読み応えのある作品。映画も早く観たいな。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
自分の死のタイミングを自由に決められる「自由死」が実現した場合、格差のある社会でそれはどう機能するのか。 健康な70歳が自由死を望む社会は、果たして健全なのだろうか? 生まれながらに格差のあるおかしな世の中を変えたいと願う朔也と岸谷の、対照的な行動。どちらが正しいかは明白だとして、その行動に至る差はなんだったのか? 些細なことに生きる意味を見出す以下の一文がお気に入り。 P.467 僕に今、あの木の緑が、あのように美しく見えていることには、僕が生きていく上で、必要な意味があるのだった。
Posted by
分かりやすい伏線を感じながら読み進め、それは回収されることなく、解釈をこちらに委ねられる本だった。 「本心」というワードは本のなかで何回か出てくるが、 すべてコンテクストが違い、本心って結局なんなのか、 分からなくなった。 他人や自分の本心、愛する人の他者性、 諸々の「分から...
分かりやすい伏線を感じながら読み進め、それは回収されることなく、解釈をこちらに委ねられる本だった。 「本心」というワードは本のなかで何回か出てくるが、 すべてコンテクストが違い、本心って結局なんなのか、 分からなくなった。 他人や自分の本心、愛する人の他者性、 諸々の「分からないこと」への不安と尊さを感じた。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
心情と情景が丁寧に描かれていて、脳内に情景だ広がる。素晴らしい。 SFか?と思いきや、社会問題がテーマな重厚なお話。 主人公が驕らず、成長していく様が、暗に賢かった母親を受け継いでいるのを感じ、思慮深いばっかりにうまく時代を生きられなかったことがありありと分かる。読後感が非常に良い作品だった。 三好がなにを考え、最後の決断に至ったかはちょっと想像が及ばなかった。
Posted by
これ本当面白かった! 死んだ母親の本心を聞き出そうと母親のVRを作る話なんだけど、母とのエピソード以外にも色んな展開があって面白い お気に入りです
Posted by
なかなか最後まで読みきるのに苦戦 後半部分は一気にダダダダダッと読めました 命の尊厳、自由死、難しいテーマばかりだったけど自分なりの解釈で落とし込めたから良かった 読み終わった後、もう一度読み直してみたくなる本
Posted by
個体として生の存在意義を追求する前半から,尊厳死に端を発した他者との関わりの中で,人の生は群体の中でその存在意義が浮かび上がる後半に展開する.生にまつわる多くの事象が盛り込まれるため,ぶれた印象を受ける一方,生は一つの事象では語れないこともまた確か.人の生にまつわるテーマを純文学...
個体として生の存在意義を追求する前半から,尊厳死に端を発した他者との関わりの中で,人の生は群体の中でその存在意義が浮かび上がる後半に展開する.生にまつわる多くの事象が盛り込まれるため,ぶれた印象を受ける一方,生は一つの事象では語れないこともまた確か.人の生にまつわるテーマを純文学として一貫して追究する作家は,もう平野氏だけになってしまった.
Posted by
仮想空間、自由死、貧富の差、平野啓一郎の描く近未来がやけにリアル。 重厚感があって読み応えたっぷり 文章がうまいんよね。ストーリー云々よりも
Posted by
いくら似せていたとしても、VFでは本当に知りたかった本心を知りえない。静止するVFを基点に、その過去、現在、そして未来への葛藤の中で変化していく自分のコントラストが、何かを残した読後感だった
Posted by