本心 の商品レビュー
読書記録75. 本心 亡くなった愛する人をバーチャルな世界で甦らせる近未来 事故で突然母親を亡くした男性が自己決定による死を望んでいた母親の本心に迫る 親を失くす事は誰にでもやってくる未来だけれど そのケアについてはもっと思い遣られてもよいのでは? と作者の言葉 主人公の...
読書記録75. 本心 亡くなった愛する人をバーチャルな世界で甦らせる近未来 事故で突然母親を亡くした男性が自己決定による死を望んでいた母親の本心に迫る 親を失くす事は誰にでもやってくる未来だけれど そのケアについてはもっと思い遣られてもよいのでは? と作者の言葉 主人公の出生 生活格差、選択的自己死 仮想現実世界とリアルを繋ぐ日常 そんな世界がやってくるのか? 死んだ後まで自己の想いや過去 たとえ家族であってもほじくり返されたくはないと いまのままの世界で命終いをしたいと願う、個人的感想
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思っていた話と違った… AI母との笑いあり涙ありの生活メインかと思ったが主人公の身の回りに起きた出来事をきっかけに感じた政治的な思想が長々と書いてあっただけ。 本当に読みづらかったし最後まで読んでも何を言いたいのか分からなかった。 この著者の他の本も読んだことがあったがその本にもこの本にも国会議事堂前でのデモの描写がある。 著者の左翼的描写が気になったため、申し訳ないが全然感動できなかった。 実写映画が気になっていたので観に行く前に読んでおいてよかった。映画は観ないことにした。
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生前、自由死を望んていた母が急逝し、 母の本心を知るべくAIで母を蘇らせる話。 近未来にありそう。 人間の本心って、本人でさえよくわからないと思う 「もう十分」って相手を気遣う言葉だし、満足してるからって意味もあるよね。 死生観、貧富の差、考えちゃう ちょっと難しい言葉...
生前、自由死を望んていた母が急逝し、 母の本心を知るべくAIで母を蘇らせる話。 近未来にありそう。 人間の本心って、本人でさえよくわからないと思う 「もう十分」って相手を気遣う言葉だし、満足してるからって意味もあるよね。 死生観、貧富の差、考えちゃう ちょっと難しい言葉が多かったけど、主人公の内省的な性格がよく出てると思う。
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少し未来の日本の話。 AIやVRが日常生活に取り入れられている。 格差社会は広がって弱者は底辺から抜け出せない。 主人公朔也は、母親と二人暮らしだったが、母が事故で急死してしまう。 母が死んで孤独になりVR制作の会社に母のVRを依頼する。 生前、母は自由死(安楽死みたいなもの)を望んでいた。 なぜ自由死を希望していたのかをVRを通して母の考えを知ろうとする。 この小説には悪い人が出てこない。 同僚が犯罪を犯してしまったりするが、本質はいい人という感じだった。 悪い人が出ると気分が沈んでしまうので、私は好みだった。 社会の構造が、弱者はなかなか抜け出せないという意味では読んでいて苦しかった。 はじめは母をVRにするという話はどれだけマザコンなのかと感じたが、 主人公の生活には母しか接する人がおらず、孤独から母を作りたいと思ったのだなとわかった。 生活が向上し、いろんな人とかかわる内に、母のVRとは距離がでてきて、 最後成長していたのが良かった。
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平野啓一郎さんの著書を最初に読んだのは昨年(2023年)12月、『本の読み方 スロー・リーディングの実践』で、小説を読むのはこれが初めて。いつかじっくり読もうと思っていた作家で、初期の作品を何冊か持っているのだけど、近く映画を見ることになるかもしれないので本書を先に読んでしまっ...
平野啓一郎さんの著書を最初に読んだのは昨年(2023年)12月、『本の読み方 スロー・リーディングの実践』で、小説を読むのはこれが初めて。いつかじっくり読もうと思っていた作家で、初期の作品を何冊か持っているのだけど、近く映画を見ることになるかもしれないので本書を先に読んでしまった。新聞の連載小説だったようです。 『本の読み方〜』に、〈「ページを捲りたくない、いつまでもこの世界に浸っていたい。」と感じてもらえるような作品を書きたいといつも思ってい〉るとあるだけに、言葉を選んで丁寧に書かれた落ち着いた文章。こちらとしてもひとつひとつの言葉を丁寧に読もうという気になります。 本作の舞台となる2040年の日本では、〝自由死〟が法制化されており、そのためには〈登録医による長期的な診察と認可が必要〉だとされている。主人公石川朔也の母親は、結果的に事故で亡くなったものの、生前は〝自由死〟を望んでおり、いつのまにか主治医から認可を得ていた。そんな母親の本心を知りたくて、朔也は母のVF(ヴァーチャル・フィギュア)の製作を依頼する。 その後、朔也はリアル・アバターの仕事をしながら、母をよく知っていた人たちに話を聞きに行ったりするのですが、さまざまなことが起こります。ここがこの小説のおもしろいところ。そういう人たちとの関係がどうなっていくのか、また、朔也自身の思いもよらない事実が浮かび上がってきたりもするので、最後まで目が離せませんでした。 とにかくいろいろと考えさせられますね。まず2040年の日本がこうなるのかどうか、興味深い。私個人的にはあまりこうなってほしくはないけど、リアル・アバターについては、これで喜ぶ人や助かる人がたくさんいそうだなとは思います。 宇宙を体験するアプリ《縁起 Engi》は、私もぜひとも体験してみたい! 朔也が体験しているシーンでは、まるで自分も見ているような感覚に陥って、なんだかフワフワしてました。これを一度味わったら、もういろんなことがどうでもよくなりそう。人生観もがらりと変わって、死ぬことも怖くなくなるんじゃないかな。
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分人主義はもちろん、死生観や格差や偏見、差別など、多くの要素が内包された小説だが、とても読みやすく、没頭してしまった。それは展開される思想や観念が前景とならず、物語と融和しているからこそなのだろう。読んでいて、不図『豊饒の海』を思い出した。著者の『三島由紀夫論』も読みたいと思う。
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“最愛の人の他者性” 本心というものはどうやったって理解できるものじゃない。他人はおろか自分の本心すらわからないというのに。 でもだからこそ、他者性と誠実に向き合い続けることが大切みたい。 人はしばしば、自分のエゴ(欲望)と他者の尊重との相克に苦しむことがある。 主人公は、母...
“最愛の人の他者性” 本心というものはどうやったって理解できるものじゃない。他人はおろか自分の本心すらわからないというのに。 でもだからこそ、他者性と誠実に向き合い続けることが大切みたい。 人はしばしば、自分のエゴ(欲望)と他者の尊重との相克に苦しむことがある。 主人公は、母に対しては葛藤の末他者として尊重できたと思うが、同居人に対しては最後まで自分の欲望を殺していただけだったのではないだろうか。と僕は読んでしまった。。。読み返せばまた違うのだろうか。 また、著者の死生観や哲学に興味が湧いたので、ぜひ他の作品も読んでみたい。
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平野さんらしい高尚な雰囲気。考えながら読むには重みもあって満足感のある作品です。個人的には哲学的な問いに入り込みきれず、徐々に苦しくなってきたので星は一つ。YouTubeなどでも多く紹介されている作品なので、色々な方の書評を聴けるのは楽しかったです。
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かなり考えさせられた。母親や父親にも自分がまだ存在してなかった過去があったことを読んで初めてはっきり認識した。途中で置いてけぼりになる部分はあったけどキャラクターの人物像が人間(?)ぽくて読み進められた。だいぶ時間が経ってからもう一度読み直してみたい。
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すごく面白いわけではなかったけど、 時折感じていたような疑問がうまく言語化されていて思わず線を引きながら読んだ 行き止まりさえ想像できないような、時間の連綿とした流れの中で、終わりとは何なのか 経時的に絶えず微細な変化を繰り返し続ける世界において、ある一瞬の存在とその次の瞬間の存...
すごく面白いわけではなかったけど、 時折感じていたような疑問がうまく言語化されていて思わず線を引きながら読んだ 行き止まりさえ想像できないような、時間の連綿とした流れの中で、終わりとは何なのか 経時的に絶えず微細な変化を繰り返し続ける世界において、ある一瞬の存在とその次の瞬間の存在は同じと言えるのか 生きている間も死後も正体は絶えず変化し続けるような気がする、一瞬一瞬別の存在っていうのも言い過ぎな気はするけど。 特に他者の認識のもとでの存在なんてブレが大きいわけで。 宇宙のvrの章がすごくよかったなあ 格差について取り上げていたが、 生きる意味を問うことが、無意識か意識的かは定かではないものの、豊かな者が、持たざる者を徐々に、生きることの中断へと追い詰めていくような行為だというのは納得 生きることは等しく時間をかけて死んでいくこと、そのような平等で折り合いをつけたい 格差を強制的に自覚させられた上での死の選択を自由死の存在によって余儀なくさせられるのなら、自由死がなくてよかったなーって思う
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